7.中華、カレー、ハンバーガー

セッション SESSION

 天神のビルの2階にある本格派の広東料理店。メインダイニングは縦に細長く、三角形のような形をしている。窓側の席からは大きなガラス越しに外を眺めることができる。席は通常のテーブル席の他に、カーテンで仕切られた3~6名用の個室と5~13名用の完全個室がある。
 この日はランチタイムでの訪問。ランチコースは2000円と3000円の2コースがあったが、コースの内容を見て2000円のコースを選択。さらに、アラカルトから焼き物2品を追加注文した。ランチタイムはこの他に、メインディッシュ1品にスープと点心、サラダが付いた1000円と1200円のランチプレートがある。壁側のテーブルにはいろいろなワインや飲み物が氷で冷やされており、まるでフレンチレストランのようなビジュアル。
 別注文の「焼きたてチャーシュー(蜜汁叉焼)」はとてもジューシーで、「トントロの焼き物」もまた格別な食感でいい。この店の焼き物は実に美味しい。これに対して、コースの「2種類の前菜の盛り合わせ」のクラゲと豚すね肉ともにイマイチで、クレソンともマッチしていなかった。「揚げた卵と5つの野菜の甘酢餡かけ」の卵はフワッとしていて、火の通し方、塩味ともに良かったが、甘酢とは今一つ合わないような気がした。また、ランチなので牛肉の素材自体は良くなかったが、「豆豉炒牛肉(牛肉の豆豉炒め)」は、火の通し方、味付けともに良く、炒め物もスキルの高さを感じさせる出来だ。日本料理を判断する最大のポイントが「椀」であるように、広東料理のレベルを判断する最大のポイントはスープ「湯」であろう。この日のメニューは「湯」ではなく「魚肚山葯粥(山芋のお粥仕立て)」であったが、これが最高の出来だった。米の代わりに長芋をペースト状にしたすり流し状態のスープに金華ハムや魚の浮き袋などが入っており、コリコリとした浮き袋の食感に加えて、丁寧にとられた湯の深みが素晴らしかった。デザートの「滑らか杏仁豆腐」はトロトロで食感は最高だったが、杏仁の香りに欠けていたのが残念だった。
 ちなみに、焼き物に加えて、炒め物とスープ(実際には粥)が良い店はありそうで実はなかなかなく、福岡のランチでこの様なハイレベルな中華料理をいただけるとは思っていなかった。(2017年7月追加)http://www.tenjinterra.com/session/

福岡市中央区渡辺通5丁目25-18 天神テルラビル2階  
電話番号:050-5571-4171
定休日:水曜
営業時間:11時半〜14時、17時半〜20時半
予算:ランチコース2000円、3000円、ディナーコース5000円、8000円
アクセス:地下鉄七隈線・南天神駅6番出口を出てすぐ右にあるビル。南天神駅より徒歩1分(大丸福岡天神店の南向かい)
最寄りのランドマーク:大丸福岡天神店
お勧めポイント:本格的な広東料理がリーズナブルな価格で食べられる

ビルの2階ですココです!メインダイニングは縦に細長く、三角形のような形をしている壁側のテーブルにはいろいろなワインや飲み物が氷で冷やされており、まるでフレンチレストランのようなビジュアル今回注文した2000円のメニューメニューのアップ1メニューのアップ2コースの「2種類の前菜の盛り合わせ」。クラゲと豚すね肉ともにイマイチで、クレソンともマッチしていなかった別注文の「焼きたてチャーシュー(蜜汁叉焼)」はとてもジューシーで、「トントロの焼き物」もまた格別な食感でいい「焼きたてチャーシュー(蜜汁叉焼)」「トントロの焼き物」「揚げた卵と5つの野菜の甘酢餡かけ」卵はフワッとしていて、火の通し方、塩味ともに良かったが、甘酢とは今一つ合わないような気がした豆豉炒牛肉(牛肉の豆豉炒め)」火の通し方、味付けともに良く、炒め物もスキルの高さを感じさせる出来だ魚肚山葯粥(山芋のお粥仕立て)」であったが、これが最高の出来だった米の代わりに長芋をペースト状にしたすり流し状態のスープに金華ハムや魚の浮き袋などが入っており、コリコリとした浮き袋の食感に加えて、丁寧にとられた湯の深みが素晴らしかった付け合わせのザーサイデザートの「滑らか杏仁豆腐」トロトロで食感は最高だったが、杏仁の香りに欠けていたのが残念だった最後はお茶で締める 

Tiki

 南天神エリアの路地裏に佇む隠れ家的なカレー店。本当にこんなところにあるの?というような焼肉店横の細い路地を進むと、突き当たりに古い一軒家が見える。ドアを開けて店内に入ると、1階はオープンキッチンの狭いカウンター席が8席のみ。後から来た客が階段を上がっていくところを見ると、どうやら、2階にも客席があるようだ。人気店の取材はいつも開店前に行くことにしているのだが、この店もかなりの人気店らしく、開店後10分もすると行列ができはじめる。
 メニューを見ると、「スパイスMAXチキンカレー」、「豚ナンコツと季節野菜のキーマカレー」、「スパイシーチキンカレー」、「タイ風モルディブ寄りシーフードココナッツカレー」の4種類のみ。客のほとんどは常連客ようのうで、彼らの圧倒的な一番人気は「スパイスMAXチキンカレー」。
 もちろん、僕のお勧めも「スパイスMAXチキンカレー」である。メニュー名通り、ルーを口に含むとクミンを中心としたリッチなホールスパイスの香りが鼻腔一杯に広がる。久々に味わう絶妙かつ完璧なスパイスバランスだ。ルーはサラサラとした南インド風で、辛さの調整は、卓上の「辛味スパイス」もしくは、10本まで無料のタイ産青唐辛子(プリッキーヌ)で行う。何も加えずそのまま食べれば、CoCo壱番屋2〜3辛くらいの辛さレベルである。この店のライスはパラパラとしたインディカ米(長粒米)で、このサラッとしたルーに良く合う。
 2番人気の「豚ナンコツと季節野菜のキーマカレー」には、粗挽きの豚肉とコリコリとした豚ナンコツの他、豆やパクチーなどが入っている。辛さは中辛程度とマイルドで、ホールスパイス感はさほど感じられない。また、スパイスのメインはローズマリー・タイム系の香りなので、これは好みが分かれるところだ。このカレーは、添えられたレモンを搾っていただいた方がキリッとして味に深みが増す。(2017年3月追加)https://www.facebook.com/Tiki.Fukuoka

福岡市中央区渡辺通5-24-38  
電話番号:092-738-2008
定休日:日曜
営業時間:11時〜15時(なくなり次第終了)
予算:スパイスMAXチキンカレー850円
アクセス:地下鉄七隈線・南天神駅5番出口を出て左へ。「あかひげ薬局」、「フレッシュネスバーガー」の角を左折して進むと、右側に炭火焼肉「春吉 金剛園」があるので、横の小路を右折すると突き当たりにある。南天神駅より徒歩2分
最寄りのランドマーク:赤ひげ薬局、春吉 金剛園
お勧めポイント:ホールスパイスの素晴らしさを味わえる南インド風・スリランカ風カレー

「大丸百貨店」南向かいのこの角を曲がります右側の焼肉店「金剛園」が目印ですここなんですが、「スパイシーチキンカリー Tiki」の木の看板が出てなければ分かりません焼肉店のお手洗いの前の路地裏を進むと・・・一軒家のココのようです!ドアを開けて店内に入ると、1階はオープンキッチンの狭いカウンター席が8席のみ。後から来た客が階段を上がっていくところを見ると、どうやら、2階にも客席があるようだ黒板メニューテーブル上にもメニューがあった何故か、カレー店のカップラーメンが積まれているテーブル上には辛味スパイスと岩塩が置かれているこれがお勧めの「スパイスMAXチキンカレー」ルーはサラサラとした南インド風ライスはパラパラとしたインディカ米(長粒米)で、このサラッとしたルーに良く合うルーを口に含むとクミンを中心としたリッチなホールスパイスの香りが鼻腔一杯に広がる。久々に味わう絶妙かつ完璧なスパイスバランスだ2番人気の「豚ナンコツと季節野菜のキーマカレー」粗挽きの豚肉とコリコリとした豚ナンコツの他、豆やパクチーなどが入っているこちらのライスも、もちろんインディカ米 

スパイスロード(風味路)

 マニアックそうな店主がやっているカレー専門店。自分で描いたのであろうか?ピンク色の外観がとても印象的だ。店内はカウンター席とテーブル席が2つだけと非常に狭い。壁のメニューを見ると、この店のカレーの種類は1種類のみで、現在は月曜日から木曜日が「マサラチキンカレー」、金曜日から日曜日が「Maxチキンカレー」となっている。サイズはS、M、L、SSの4つがあり、S、M、Lは同じ値段で、SSは50円引きとなる。
 この日は土曜日だったので「Maxチキンカレー」。カレーはライスを取り囲むように予めルーが注がれており、ライスにはピクルスがのっている。一口食べると、スパイスの香りが口腔から鼻腔に広がり、辛さは中辛?と思うくらい辛く感じない。しかしながら、食べていくうちにジワジワと辛さが増してきて辛口だと実感。これだけホールスパイスが香る素晴らしいカレーを食べたのは、東京神田の 「インドカレー・カーマ(→ 銀座グルメバイブル・カレーの頁を参照)」 のチキンカレーか、新橋の 「ザ・カリ(→ 銀座グルメバイブル・カレーの頁を参照)」 のビーフカレー食べて以来である。食後にデミタスカップに入った甘めの自家製ラッシーが付いてくるが、これがまた口の中の辛さをリセットしてくれていい。それにしても、久々に食べた実に中毒性のある美味しいカレーである。(2013年10月追加)

福岡市中央区高砂2-11-1  
電話番号:非公開
定休日:祝日
営業時間:【月曜~木曜】11時半~15時、19時~21時、【金曜】11時半~15時、【土日】12時~15時
予算:マサラチキンカレー(S・M・L)850円、(SS)800円、Maxチキンカレー(S・M・L)900円、(SS)850円
アクセス:西鉄天神大牟田線・平尾駅出口を出てローソン側へ進み、信号を右折。次の信号を右折して「百年橋通り」を進み、高架下をくぐると左に「ロイヤルホスト」が見える。「TSUTAYA」を過ぎ、「かに本家」手前信号のT字路を左折すると、左側にある。西鉄平尾駅から徒歩5分。
最寄りのランドマーク:百年橋通り、かに本家
お勧めポイント:ホールスパイスが香る魅惑のチキンカレー

FRISCO フリスコ

 暗い路地の奥にあるハンバーガー専門店。実はこの店、東京の下北沢から移転してきた店なのである。店内はカウンターが6席、3人用テーブル席が一つだけしかなく、初老の店主1人でやっている。かなりマニアックそうな店主にはこだわりがあるようで、肉の焼き方や野菜など具材の組み合わせの変更は一切受け付けないという。本当かどうかは分からないが、店主によると、一応聞いてはあげるが最終的に変更はしないということである。なので、例えばピクルスが嫌いであれば、ハンバーガーが来てから自分で取り除いて食べれば良いのだ。
 この店の1番人気は「ダブルチーズバーガー」。但し、シングルでもパテは150gのボリュームがあり、「ダブルチーズバーガー」にすると、300gのパテに加えて野菜も倍になるのでご注意を。注文をすると、店主が鼻歌交じりでハンバーガーを作っていく。パテとバンズは炭火で網焼きされ、長いコテを使ってパテに線を引くように焼いて行く。換気が悪いせいかパテを焼くと店内はかなり煙たい。パテは嫌な牛肉の臭みなど一切なく、良質な牛肉を使用していることが分かる。挟む野菜は生玉葱とピクルス、トマト、レタス。生玉葱のスライスは厚切りが2枚入り、ピクルスもかなり分厚い。
 僕の感想としては、玉葱は1枚で十分で、むしろ全くない方が美味しいのではと思う。特にソースなどは使用せず、パテは塩胡椒のみで味付けされ、バンズにはマヨネーズが塗られているだけ。このようにシンプルな味付けながらとても美味しく、値段は張るが実にクオリティの高いハンバーガーである。ちなみに、食べ方は肉汁がこぼれないよう袋から取り出さずに、ハンバーガーを少しずつずらして食べるのがコツ。(2013年2月追加)

福岡市中央区舞鶴1-9-11 ハリウッドビル102  
電話番号:092-714-1610
定休日:火曜(火曜が祝日の場合には水曜が定休日に) 
営業時間:11時半~20時半 
予算:シングルチーズバーガー850円(フライドポテトとドリンク付きのセットは1400円)ダブルチーズバーガー1300円(フライドポテトとドリンク付きのセットは1850円) 
アクセス:地下鉄空港線・天神駅1番出口を出て明治通りを右へ。次の角を右折し、「ホテル モントレ」前の「舞鶴1丁目」交差点の信号を渡る。すぐに次の交差点を左折し、50mほど進むと右に「ハリウッド化粧品」の看板が見えるビル。地下鉄空港線・天神駅より徒歩5分。 
最寄りのランドマーク:ホテル モントレ ラ・ス−ル福岡 
お勧めポイント:値段が高いがクオリティも高いハンバーガー

完熟野菜の大自然CURRY

 地下鉄空港線・西新(にしじん)駅からほど近い商店街にある欧風カレーの店。肉屋の2階にあり、階段を上って店内に入ると、カウンター8席、2人用テーブル席が2つと、かなり狭い喫茶店のような感じ。ご夫婦なのか?店主と女性の2人でやっている。メニューの中にはカクテルなどのお酒もあり、夜は最近密かに流行している“カレーバー”のようなスタイルで営業しているのかもしれない。
 この店のお勧めは「ゴロッとビーフカレー」。100円増しで肉が増量された「Wビーフカレー」というものもある。いずれにせよ辛さは選べないのがマイナス点だが、ルーは円やかな中にもホールスパイスの豊かな香りが感じられて美味しい。店の説明によると、牛肉と10種の野菜で6時間かけてベースとなる出汁を取り、それに20種類ものホールスパイスを加えて作るという。辛さはそれ程ではなく中辛程度。辛さがもっとほしいという方は、備え付けのスパイスをセルフで加える方式。3日間煮込んだというビーフはそれ程美味しいというわけではないが、総合的には良質な欧風カレーである。お二人ともに客への対応が素晴らしく、ホスピタリティを感じる良い店だ。(2013年1月追加)

福岡市早良区西新4丁目8-41 2階  
電話番号:092-846-2212
定休日:水曜 
営業時間:11時半~15時、18時~22時 
予算:ゴロッとビーフカレー790円 
アクセス:地下鉄空港線・西新駅4-B出口を出て右へ、西新中央商店街へ進む。数十メートルほど進むと、右にパチンコ店、左に「肉の鳥安」があるので、その2階。西新駅から徒歩2分。 
最寄りのランドマーク:西新中央商店街 
お勧めポイント:真面目に作られた良質な欧風カレー

GARAM

 若い店主が1人でやっているカレー店。カウンターが8席だけと狭く、席の後ろを通るのもお腹の出ている中年男性には厳しいくらい。以前たまたま僕が福岡で見ていたローカルグルメ番組で取り上げられて以来、行列店となってしまったようで、現在では仕込みが間に合わなくなり、開店直後にソールドアウトとなるメニューもあるという。この日のランチタイムのカレーは4種(ディナーは7種)と数が少なく、その分少し値段が安い。また、自家製ヨーグルトで作った濃厚なミニラッシーも付いていて、ライスの大盛りも無料。どのカレーも注文を受けてから一つ一つ作られるので、混んでいると時間がかかることも。
 基本的に「ガラムカレー」と「ポークビンダルー(昼はやっていない)」は辛さを選ぶことができない。なので、辛さが苦手な人はこれ以外のカレーを注文すべき。店主によると、「ガラムカレー」以外のカレーなら、「チキンカレー」がお勧めらしい。カレーのベースとなるスープは、九州産“華味鶏”から取られたもの。店名と同じ「ガラムカレー」は真っ黒なカレー。ついつい僕の世代の漫画「包丁人味平・カレー戦争編」のカレー将軍・鼻田香作が作ったカレーを連想してしまうが、こちらはトロみのないサラサラなカレー。東京「デリー」のカシミールカレーにインスパイアされたらしいが、似て非なるスパイシーなカシミール風カレーなのである。
 初めは玉葱の甘さとホールスパイスが感じられ、それ程辛く感じないが、唐辛子成分なのか?後から刺さるような辛さが襲ってくる。辛さで評価するなら大辛といったところだ。全てがホールスパイスの風味かと言えば、それはちょっと微妙なところだ。具材は柔らかく煮込まれたチキンの手羽元が2本入っており、ライスにはレモン果汁とスパイス入りのマッシュポテトが添えられている。「キーママサラ」はクミンやローリエの風味がするドライカレーで、コロコロと大ぶりの鶏挽き肉を使用している。夜にはチルドラムを使用した「ラム キーママサラ」が加わる。ちなみに、僕のお勧めのスパイス入り紅茶「チャイChai」は、ランチタイムにはやっておらず、ディナータイムでもオーダーが入っていないときしか作らなってもらえない。(2013年1月追加)

福岡市中央区高砂1−7−4  
電話番号:070-5814-1242 
定休日:日曜 
営業時間:12時~15時、18時半~22時 
予算:ガラムカレー800円(夜は850円)、チキンカレー750円(夜は800円)、ラム キーママサラ950円 
アクセス:地下鉄・渡辺通駅の2番出口を出て直進し、すぐに「みらいホール」や「福岡銀行」が入っているビル側へ信号を渡る。更に「テムジン」の看板の見える方向へ信号を渡り、直進してファミリーマートを過ぎ、「ドレミ薬局」を右折すると突き当たり。地下鉄・渡辺通駅から徒歩5分。 
最寄りのランドマーク:ホテルニューオータニ博多 
お勧めポイント:ホールスパイス感のある本格的インドカリー