8.中華料理

大牌檔(だいぱいとん)

 名古屋市立大の臼井先生から教えてもらった中華料理店。この店は広東料理の名店 「茗圃(→ 名古屋グルメバイブル・中華料理の頁を参照) のオーナーが経営しているB級広東料理店である。「大牌檔」というのは香港における“屋台(大きな営業許可書を掲示した屋台)”という意味で、「茗圃」は高級中華、そして「大牌檔」は庶民的なB級中華路線というコンセプトらしい。「長者町繊維街」というちょっと寂しげな場所も、このコンセプトとマッチしている。
 入り口のガラスには「大牌檔、海鮮屋台」と赤文字で書かれている。メニューを見ると、値段が200円からと格安である。思わず大丈夫かな?と思ってしまうような価格である。店内は黄色を基調とした装飾で、大衆食堂のようなチープな椅子やテーブルも屋台的な雰囲気を醸し出している。料理人は現地の方のようで、お揃いのTシャツを着ている。メニューは定番料理の他、ホワイトボードに書かれたお勧め料理がある。僕的にはまずはお勧めメニューの中から選ぶことをお勧めしたい。
 先ずは実力を見るため、炒め物である「豚肉の青胡椒炒め」を注文。盛りつけはシンプルで見た目はそれ程ではないが、粒青胡椒と豚肉の相性が抜群で、キャベツの食感も良くかなり美味しい。また、他の料理も価格を考えると素材は最高とまではいかないが、火の通し方や塩味、スパイスの使い方などは申し分ない美味しさ。やはり特筆すべきは、日本人の味に迎合していない現地(香港)の味であるということと、大衆店にありがちな旨味調味料たっぷりの味ではないと言うこと。臼井先生と僕のお勧めは、上述の「豚肉の青胡椒炒め」の他、殻ごと食べられることで海老味噌も味わえる「海老の紹興酒炒め」、ピリ辛が美味しい「牛肉の朝天辛子炒め」、スープの出しが濃厚で美味しい「葱汁そば」などである。今回食べられなかったが次回試してみたいと思ったものは「海鮮塩漬け卵炒め」、「魚、イカと春雨の豆豉蒸し」、「バラ肉酒粕入り煮込み」、「湯葉巻き揚げ物」、「大牌檔特製肉野菜炒め」、「鶏香り揚げ黒胡椒かけ」など。
 今回は1階で食べたために実際は見てはいないが、店員に聞いたところでは、エレベーターで上がると2階にも同じテーブル席のダイニングがあり、3階には40名まで収容できる宴会場もあるという。とすれば、上の階まで含めるとかなりの大箱店であり、深夜までやっているので、2次会や3次会で使うことができる点も便利。(2014年7月追加 協力:臼井英晶

名古屋市中区丸の内2-19-12  
電話番号:052-222-0218
定休日:日曜
営業時間:11時〜14時、17時〜24時
予算:豚肉の青胡椒炒め800円
アクセス:地下鉄桜通線・丸の内駅4番出口を出て、「長者町繊維街」という看板が掲げられた交差点を左折して100mほど進むと左側にある。丸の内駅から徒歩2分。
最寄りのランドマーク:長者町繊維街
お勧めポイント:名古屋トップクラスのB級中華料理店

豚肉の青胡椒炒め

海老の紹興酒炒め

牛肉の朝天辛子炒め

葱汁そば

蒸し鶏ネギソース

小魚の香り揚げ

エビのマヨネーズソース

カサゴの揚げ浸し

牡蠣油焼きそば

殻付き海老の香港スパイシー

海鮮中華料理 黄河

 名古屋で人気の海鮮中華料理店。白を基調とした店内は、手前に2人用と4人用テーブル席が、奥の左側には3人用のテーブル席がある。さらに、奥の右側にはオープンキッチンのカウンター席が5つあり、中では料理人1人と女性のサービスの方が1人で忙しく動き回っている。
 この店の料理は四川から広東までとレパートリーが広く、ある意味、いいとこ取りで創作性の高い料理と言える。しかし、逆にそれが仇となってしまって、妙にまとまった和風中華となっている。日替わりのアラカルトメニューを見ると、海鮮食材や産地にこだわった魅力的なものが多い。アラカルトメニューは一皿のボリュームが少なく、コスパは悪い。一方、コース料理はフレンチのように一皿一皿美しく盛りつけられて供され、まるでヌーベルシノワのよう。前菜、スープ、メイン料理2〜3品、麺またはご飯、デザートから構成されるが、コースは事前の予約が必要だ。2日前までの予約コースは7000円と8700円の2つで、3日前までの予約コースは10800円と16200円の2つ。料理はどれも素材や火の通し方が良く、押し並べて美味しいが、特にこれは!という印象的ものはなかった。一般的な中華に比べるとスパイスの使い方が控えめな上に味付けが薄めなため、どうしても味にメリハリがないのである。僕は決して嫌いでないが、これが濃い味好みの名古屋の人に受けるかどうかは自信が無い。
 生ビールはエビスで、有料の中国茶が7種類、紹興酒は3年物と8年物、15年物の3種類ある。店内は禁煙であり、すぐに予約客で一杯となってしまうため、早めの予約が必要だ。味的には2つ星でも良いと思うが、コスパを考えるとこのような評価が妥当なところであろう。(2014年4月 協力:臼井英晶)

西区那古屋2-11-15  
電話番号:052-586-8556
定休日:月曜
営業時間:11時半〜14時、17時〜22時
予算:すみいかと菜の花のしお味炒め2280円
アクセス:JR名古屋駅桜通口を出て左へ進む。中央郵便局の前の信号を渡り、中央分離帯のある斜め右の通りを進む。「モンブランホテル」、「メルキュールホテル」、5叉路の「那古屋交差点」を過ぎ、「那古屋小学校」、「西区名駅二丁目歩道橋」を過ぎると右側にある(菊井町交差点角)。JR名古屋駅から徒歩13分。
最寄りのランドマーク:那古屋小学校、西区名駅二丁目歩道橋、菊井町交差点
お勧めポイント:素材にこだわった創作海鮮中華

山形県産 秘伝 豆の山椒風味(評価×)

愛知産黒鯛のネギオイル仕上げカルパッチョ風(評価◎)

三河鶏のよだれどり(評価△)

愛知県産すみいかと菜の花のしお味炒め(評価◎)

太刀魚の清蒸魚(評価○)

霧島山麓豚の揚げ物 特製黒酢がらめ(評価○)

浜名湖産大粒かきの豆豉炒め(評価◎)

陳麻婆豆腐(評価○)

うにと卵のふんわり炒め(評価×)

富山県湾内ほたるいかと香菜の和えそば(評価○)

しらすチャーハン(評価△)

北海道産ずわいがに肉入りチャーハン(評価△)

四川担々麺(評価○)

自家製 杏仁豆腐(評価△)

マンゴープリン(評価○)

 茗圃(みょうほ)

 

 

 この店の料理人スタッフは、元「福臨門酒家」の方ということなので、料理は広東料理である。「海老蒸し餃子」の皮は今一つだったが、粗切りのプリプリした餡は福臨門の味そのもの。特に、海鮮ものの料理が美味しく、イカや帆立の炒めなどは火の通し方が絶妙でいい。また、インディカ米を使ったパラパラのチャーハンは、香港の味そのままの本格的なもの。しかし、全ての料理が美味しかった訳ではなく、「棒々鶏」のソースはピリ辛でとても美味しいが、下に敷いている緑豆の板春雨が硬く粉っぽかったり、フカヒレの姿煮が真空パックのものの様に硬かったり、料理によって美味しさのバラツキが見られた。しかし、清湯スープは最高レベルの美味しさだけに、フカヒレを食べたい方は、姿煮よりもスープの方が良いと思う。この店の「茗圃」とは「茶園」という意味であるが、この店は曜日毎にお茶の種類を変えたり、ティーソムリエがいるほどお茶にはこだわりを見せる。実際、この店のお茶は、香港三茶人の1人・葉 榮枝の店「楽茶軒」から仕入れているという。なので、中国茶好きなら、料理と一緒に中国茶を頂くのがお勧めだ。まだまだ、完璧とはいかないまでも、一体感のある素晴らしいサービスも含めて、名古屋が誇るべき本物の中華料理店である。

中区栄2-12-22 ウィンコート・白川1階   
電話:052-253-7418
定休日:月曜 
営業時間:11時半~14時半、17時半~21時(14時半~17時半はティータイム) 
予算:干し貝柱、金華ハム、卵白の炒飯1780円、ランチコース:1880円~2880円、ディナーコース:4890円~14800円 
アクセス:市営地下鉄・東山線「伏見駅」5番出口を出て、“伏見通”を左へ「名古屋市科学館」方面に進む。「NTT docomo」を過ぎ、「名古屋市科学館」の交差点を左折。「名古屋市科学館」沿いに進み、通りを2つ過ぎるとすぐ左のマンション。伏見駅から徒歩5分。 
最寄りのランドマーク:名古屋市科学館 
お勧めポイント:名古屋が誇るべき本物の広東料理店

台湾小吃 六福(ろくふく)

 「名古屋東急ホテル」裏の怪しい雰囲気のエリアにある台湾料理店。恐らく、店のイメージと言おうか、コンセプトは台湾の屋台料理店なのであろう。メニューを見ると、現地台湾でしかあまり見かけないようなものまである。1階はカウンター7席だけと非常に狭いが、2階には20名くらい入れる大きな個室もある。お勧めメニューは、「切り干し大根入り玉子焼き」や「厚揚げ」、「細竹と豚炒め」、「昆布干し豆腐」、「イカ団子」、「水餃子」、「醤油豚のそぼろ丼」など。

中区栄4-8-12   
電話:052-252-5266
定休日:日曜・祝日 
営業時間:18時~翌3時 
予算:切り干し大根入り玉子焼き780円、イカ団子580円 
アクセス:市営地下鉄・東山線、名城線「栄駅」12番出口を出て、「中日ビル」、「中区区役所」を過ぎ、「スターバックス」信号を右折。そして次の「ヤマザキデイリーストア」角を左折し、次の「名古屋東急ホテル」裏のT地路を右折するとすぐ右側。栄駅より徒歩6分。 
最寄りのランドマーク:名古屋東急ホテル 
お勧めポイント:台湾にある現地屋台のような味

菜の花

 池下の駅からちょっと離れたところにある中華料理店。店は中華料理店らしからぬちょっとオシャレな店構え。料理はどれも平均点以上の高いレベルで、こんな住宅街にある店とは思えないほど。お勧めは「香港風蒸し鶏」、「自家製XO醤炒飯」、「中国粥」などであるが、特に日替わりの「本日のお勧め」の中から選べば間違いがないはず。

千種区若水3-18-2   
電話:052-712-1182
定休日:木曜・第3金曜 
営業時間:11時半~14時、17時半~21時 
アクセス:市営地下鉄・東山線「池下駅」1番出口を出て、右の「ミスタードーナツ」、「サークルK」方向へ進む。道なりに進み「高見小学校」を過ぎて200mほど進むと左側にある。市営地下鉄・東山線「池下駅」から徒歩13分。 
最寄りのランドマーク:高見小学校 
お勧めポイント:住宅街にある本格的な中華料理店

満拿(まんな)

 台湾料理の店であるが、通常の台湾料理店と思ってもらっては困る。この店の料理はオリジナリティが高く、他の店では味わえないもの。必ず頼まなくてはならいメイン料理の「石頭火鍋」は、飛騨牛を薬膳仕立ての秘伝のタレに漬け込み、石鍋で煮たもの。すき焼きのように生卵で頂くのだが、味は何とも言えない濃厚で深い味がする。どちらかというと、北京で食べた羊のしゃぶしゃぶのタレに近い味だ。この他にも「青のりの貝柱炒め」、「ピータン豆腐」、「台湾蜆」など美味しい料理が目白押し。ちなみに、鍋は二人前からなので、お一人の入店は不可。また、クレジットカードも使えないのでご注意を。

中区栄4-5-22   
電話:052-242-0384
定休日:日曜・祝日 
営業時間:平日:18時~21時、土曜・祝日の前日:18時~20時 
予算:石頭火鍋3500円(一人前) 
アクセス:市営地下鉄・東山線、名城線「栄駅」12番出口を出て、「中日ビル」、「中区区役所」を過ぎ、「カフェ・ヴェローチェ」信号を右折した左角のビル。 
最寄りのランドマーク:カフェ・ヴェローチェ、中区区役所 
お勧めポイント:オリジナリティあふれる台湾料理の店