安藤 亮 大学院卒業 2013年

 早いもので大学院生活も4年目となり、このような卒業にあたっての文章を書くこととなりました。この4年間にしてきたことを簡単に振り返ってみたいと思います。

 大学院に入った理由は、研究の世界をのぞいてみたいという思いと、基礎研究に触れることで日常の臨床所見を別の一面からみることができるのではないだろうかと考えてのことでした。しかし研究は順調とは言えず、3年目の春までやっていた実験的自己免疫性ぶどう膜炎(EAU)におけるvascular adhesion protein-1の関与の検討は結果が出なかったため、途中からメイン研究をプロテアソーム機能不全マウスに変更せざるを得ませんでした(とても興味深いマウスで、今ではこれをメインにできて良かったと思っています)。このマウスは北大分子病理学分野で作成された新規の早老症モデルで、当初は加齢=黄斑変性症と安易に考えて研究を始めましたが、調べていくうちに視細胞変性モデル、つまりヒト網膜色素変性に類似した病態であることが分かりました。プロテアソーム機能の低下そのものが視細胞変性に繋がることを示す初めての報告です。あとはこの変性メカニズムについてどれだけ調べていけるかでしたが、新しいことを手探り状態で調べていくことはtrial and error の繰り返しでした。それでもなんとかまとまった形となり、現在revise に対しての追加実験中です。色々と思うところはありますが、自分が1からやってきたものが論文として投稿できる形になったことを嬉しく思っています。

 このように4年間実験を行ってきましたが、「4年間実験ができる」という環境は医局を始め色々な方の協力によって作られていました。この場を借りて、関わっていただいた方々に感謝申し上げます。また石田教授を始め、研究委員の先生方、特に直接ご指導いただいた野田航介先生には本当にお世話になり、深く感謝しております。そして董先生と福原先生が同期としていてくれたおかげで、楽しい大学院生活を過ごすことができました。卒業後は、この4年間で少しは成長できたと信じて、臨床に戻って頑張りたいと思います。