齋藤理幸 大学院卒業 2013年

 早いもので、大学院入学からあっという間に4年間が過ぎようとしております。石田教授、齋藤航特任准教授の厳しくも丁寧な御指導の下、結果として多くの業績を上げることができたことに感謝し厚くお礼申し上げます。私は、いわゆる研究室ではなく、主にLaser speckle flowgraphy (LSFG)を用いた脈絡膜循環に関する臨床研究に特化して研究を行ってまいりました。LSFG は近年になりやっと注目されてきておりますが、思い起こせばLSFG と私との出会いは、私が研修医の頃に遡ります。初めて関わった研究は、現在社会保険総合病院で御活躍中の廣瀬茂樹先生の原田病の脈絡膜循環に関する論文です。当時、LSFG を用いて脈絡膜循環を測定した論文はありませんでしたが、MBR マップの示す原田病における明らかな脈絡膜循環障害にLSFG の可能性を見出し、その後の脈絡膜循環に関する仕事へと繋がっています。

 大学院期間中にも様々な疾患においてLSFG を用いた脈絡膜循環の検討を行ってきましたが、なかでも中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)と急性帯状潜在性網膜外層症(AZOOR)は私の卒業論文の題材となった代表的なスタディです。詳細は割愛しますが、CSC では交感神経亢進に関連した脈絡膜過灌流を、AZOORでは炎症性脈絡膜循環障害(AZOOR が近視眼に多い原因?)を示すことができ、その病態に深く関わる研究と自負しております。常日頃、臨床の現場において、教科書的な説明に納得がいかない「何かおかしい」と感じる事の裏には必ず何か秘密が隠されているはずであり、それらを明らかにしていくことは一人の臨床家として大きな喜びであります。

 御指導頂いた石田教授・齋藤航特任准教授をはじめ網膜グループ及び外来スタッフの皆様に改めて厚く御礼を申し上げさせて頂くとともに、今後も臨床研究を中心に、これまで学んできたことを後進に伝え、北大眼科の発展の礎になる事を切望しております。