教育主任挨拶

大学病院の三大業務として臨床・研究・教育があります。教育関連の仕事は多岐にわたりますが、代表的なものは下記の通りです。

  •  医局員の教育環境の整備;カンファレンス、クルズスの開催、予行会の調整
  •  大学院生や医学生向けの講義・臨床実習などの調整、OSCEへの対応
  •  国内外の見学者や留学生の受け入れ調整
  •  日本専門医機構専門研修プログラムの準備、専攻医登録に関する対応など

 

2020年度はコロナ禍で世界の全ての活動が停滞してしまうという未曾有の事態になってしまったため、医局の教育環境にも多大な影響が出ました。感染対策上、対面での講義や実習が不可能となり、これらは全てウェブ講義で行うことを余儀なくされ、急遽その準備に追われました。あらゆる変更を求められ、一時はこれらの事態に対応することに精一杯でてんやわんやでした。教育関連の仕事を担ってくれている秘書の塩垣さんには本当に助けていただきました。11月現在はどうにか対面での臨床実習、カンファレンスなどは通常に近い運用ができていますが、感染拡大しないように細心の注意を払いつつ、いつでもウェブでも対応できるようにしています。
教育の中でも特に若手医局員の初期教育は、その医師としての一生を左右するといっても過言ではない大切なものと認識しており、医局総出で取り組んでいます(北大眼科の教育体制の概要参照)。幸いにもここ数年は平均で6名程度、2020年度も8名の新入局員が加わり、フレッシュな賑わいのある時代が続いています。
しかし、当然のことながら医局カンファレンスやクルズス、セミナーなどにも制限が生じました。これはつまり勉強の場が限定されてしまったことを意味します。実際にウェットラボで白内障手術を練習するのもかなわない時期もあり、いかに教育を通常に近いレベルで遂行できるか、この点に苦慮せざるを得ない1年となりました。日常的に行っているクルズスはウェブとのハイブリット開催にする、毎週末の参加可能なウェブセミナーを積極的にアナウンスするなど、教育の質を損なうことのないように心がけました。今できることを模索して、より良い環境を提供できるよう取り組んでいきたいと存じます。

 

<北大眼科の教育体制の概要>

診療教育

北大眼科には13の専門外来があり、難治症例、緊急手術が必要な症例、そしてに専門性の高い疾患を各専門外来多く紹介していただいています。
初診患者の診察については、2020年から、前日にカルテチェックを行い、対応をコーディネーター医師と確認し、当日は各専門医師に相談しながら、治療方針を決めています。

 

手術指導

北大眼科では専門外来が多岐にわたっていることから、手術内容も幅広く、バリエーションに富んでいます。レベルの高い手術を間近で経験し、さらに豚眼を使用したウェットラボで定期的に手術の模擬練習を行い、実際の執刀に向けた準備をします。入局初年度の後期研修医の先生も、白内障手術を部分的な執刀から段階的に開始して、半年ほどですべての過程を一人で行えるように取り組んでいます。

 

カンファレンス

北大眼科では、医局員が一堂に会して話し合いをする機会が多くあります。教育熱心なスタッフ、医局員一同の協力により、活発な討論が繰り広げられています。下記の3つのカンファレンス以外にも、専門グループ毎に小人数でのカンファレンスもあり、より多くの知識を得ることができます。

 ■リサーチカンファレンス

毎週月曜日に、基礎・臨床研究についての講演会を開催します。他大学から先生をお招きして講演をしていただいたり、医局員の学会の予行会として発表内容を吟味したりします。この予行会を経験することで、学会発表のスキルを磨き、落ち着いて本番の発表に臨めるようになります。
※新型コロナ感染拡大後は、月曜のカンファレンスは中止し、全て、水曜にまとめて行っています。

 ■クリニカルカンファレンス

毎週水曜日に、手術前後の症例を検討して問題点を話し合います。また診療で遭遇した稀な症例や、治療に苦慮し ている症例について報告し、議論をする場でもあります。 これにより多くの臨床経験を分かち合うことができます。

 ■イブニンググクルズス

2019年度までモーニングクルズスとして行っていましたが、2020年度からウェブ講義での対応も見据えてイブニングク ルズスに運用を変更しました。研修医、専攻医向けの少人数での講義を、通年で行っています。主に臨床に関する講義で、代表的な疾患の特徴、診察のコツ、そして治療の方針について、教科書では学ぶことのできないような、本音や診療上のコツも学ぶことができます。