留学報告(英国・ロンドン大学)

岩田 大樹

 サマータイムが終わり、北緯51度のロンドンでは日照時間がみるみるうちに短くなって通勤時にもまだ薄暗いといった状況になってきました。それでも冬は温暖で、長年北海道で暮らしてきた私にとっては除雪がいらないのは本当に嬉しい限りです。

 昨年はオリンピックという一大イベントがありましたが、今年の当地での話題は、やはりロイヤルベビーの誕生かもしれません。Babynomics などと言われロイヤルベビーに乗じたグッズ販売などで経済効果は370億円以上といわれているので影響力は相当なものです。我が家でもロイヤルベビー記念のオーナメントを1つ購入しました。

 

〜研究について〜

 ラボはold street station から徒歩3分ほどでロンドン中心部の良い場所です。しかし建物の一部で壁の崩壊がみられるなど老朽化が目立ちます。先日はいよいよエレベーターまで故障してしまいました。ラボは4階、共焦点レーザー走査型顕微鏡や製氷機などは地下1階にあるので否応なく毎日良い運動になっています(笑)。2020年までに移転新築される予定になっていますが、まだまだ先のことで直接その恩恵を受けることはなさそうです。

 私の在籍しているラボでは糖尿病網膜症、眼炎症、脈絡膜新生血管(CNV)を自然発症するマウスモデルなど、研究テーマに応じて幅広く解析を行うことができます。私自身は抗VEGF 抗体治療に次ぐ次世代の新たな抗体2種類を用いてその治療効果を、CNVモデル、及び眼炎症モデルを用いて検討しています。

 また私はここで新たなライブイメージングの確立を目指しています。白血球を蛍光標識して、その動態をSLO で直に評価する手法を臨床応用するべく取り組んでいます。白血球の動態と病巣におけるそのsubpopulation の数的変化を検出できれば、網膜疾患の早期診断や治療効果判定に役立ちます。臨床応用にむけて書類申請中で、認可がおりれば道が開きます。Moorfields eye hospital が隣接しており、研究の臨床応用がしやすい環境ではありますが、手続きなどに非常に時間がかかる国ですので、いつ道が開くのか悩みの種となっています。

 私の留学期間も半年を切りました。残った時間を有意義に使って今までの仕事を出来うる限りまとめあげようと思います。

 最後になりましたが、留学を後押していただいた石田教授や医局員の皆さま、受け入れていただいたDavid T Shima教授とその同僚、滞在中に出会ったすべての人々に心から御礼を申し上げます。(2013年10月)