外来医長挨拶

新明 康弘

早いもので、外来医長も9年目となりました。あと1年で殿堂入り?かとも思っていますが、まだまだ南場先生の医局長在職期間には、遠く及びません。

今年は研修医も多く入局し、たくさんの客員臨床医師も外来を手伝ってくれているため、診察室のほうがむしろ不足気味です。今年度中に、前眼部OCT のCASIA2や選択的線維柱帯凝固と硝子体混濁が切開できるYAG レーザーであるタンゴリフレックスオフサルミックレーザーなど、新しい機械も購入が決まっています。以上が明るい話題でした。

 

「Dr’s クラークにおける北大眼科ブラック企業化?問題」

今年の外来の最大の問題は、Dr’s クラークが相次いで退職してしまう「北大眼科ブラック企業化?」でした。

最近の世の中の雇用状況の改善や労働人口の減少の影響なのか、今年度はDr’s クラークが5人ほど次々と退職してしまいました。今年のDr’s クラーク崩壊のきっかけは1人が辞めるときに他の1人が体調を崩して休みがちになり、残りの人たちが限界に達してしまったというものでした。辞めた人はほぼ全員が入職数か月以内です。

しかし、だからと言って、ここで手をこまねいている訳にもいきません。権限上、我々にDr’s クラークの賃金を上げることは不可能でも、Dr’s クラーク一人あたりの業務を減らすことならできそうです。そこで今年度は病院に対して、Dr’s クラークを4人から7人に増やすよう交渉してみることにしました。もちろん先立つものも必要ですが、幸い眼科外来は相変わらず、順調に売り上げが増加し続けています。昨年度の外来収入はおかげさまで前年度に比べて数千万円単位で増えています。少しづつでも職場を「オフホワイト」くらいにしていきたいです。

最終的にDr’s クラークに長く働いてもらうには、専門職としてキャリアアップしていけるような枠組みがなければならないと思いますが、それにはまだ時間がかかりそうです。ひとまず我々にできることは、Dr’s クラークがいるとこんなことまでできて、これだけの効果があるよと病院に対して発信していくことだと思っています。

働く人が満足できない病院に、患者が満足するはずがないというのが、私の持論です。

 

「主治医制を望む患者に対して」

例年、患者から投書が来るのは、「4月で主治医が交代したが、毎回診察する医師がコロコロ変わる。何とかならないか」ということです。私が入局した二十数年前は、外来は主治医制だったのですが、大野前教授が赴任した当時に、主治医の負担を減らすためにグループ制を導入しましょうということで、今の外来体制ができました。確かに大学のように医師の入れ替わりが激しく、さらに研修医の指導も必要な組織にはグループ診療のほうが向いていると思います。

しかし、どうしても自分の手術した患者などは自分自身で診ていきたいという希望が医師側にもあるため、グループの中でも個人指定の患者が生じてしまいます。また、これを禁止することは心情的にできません。幸い今まで基本的に自分指定の患者を多く抱えていく医師は、他の医師よりも多くの患者を診ている熱心な方なので、周りの医師からも不公平感は出ていないようです。

しかし、問題となるのは、そのような医師が大学から外に出た場合です。転勤先にその患者をすべて連れて移動すれば問題は生じないのですが、患者の中には医師個人ではなく、大学病院についている場合も少なくないのです。その場合、次に担当する医師にも当然のように主治医となることを要求してくるのですが、それに応える義務は本来ないわけです。たまたま、主治医が交代して最初に診察した医師ができた人柄であれば、次回も診察するかもしれませんが、そうでなければ、先のような投書がやってくることになります。患者からしてみると一度与えられた特権が、いきなり剥奪されたような気持になるのでしょうけれども、しかしそれにすべて応えていてはグループ診療の維持ができなくなります。

こちらも一筋縄では解決できない問題ですが、診療にあたっている医師には是非一度、考えてもらいたいことだと思います。

最後になりましたが、これからも北大眼科外来をよろしくお願いいたします。

 

新明康弘