4.日本料理、天ぷら

天濱

 馬車道にある本格的な天ぷら専門店。店主が天ぷらを揚げ、女将さんが1人でサービスを担当している。まずは、靴を脱いで座敷に上がる。座敷は掘りごたつ式の朱塗りのL字のカウンターで、全部で14席と広めである。八海山の「ヴァイツェン」があったので、まずはそれを注文。香りはそれ程ではなく、日本の地ビールとしてはまあまあのレベル。ほどなく「煮竹の子」と「才巻き海老のおどりの刺身」が運ばれてきたが、どれも美味しかった。 
 この店の天ぷらは、関西風の天ぷらのように衣が薄くて軽い。天ぷらで使う塩は「焼き塩」と「抹茶塩」、「カレー塩」の3種類がある。イカは唯一火が通り過ぎていてダメだったが、その他のネタはどれも美味しかった。特に、「おろし長芋の大葉包み」や「鯛の身の天ぷら」が美味しかった。しかしながら一部のネタで、予め食べ方を指定されるのは良くない。例えば、自慢の穴子は大根おろしにライムをかけ、さらに抹茶塩をかけて食するように指示されるのだが、この食べ方が美味しいかと問われればと、微妙なのである。また、締めの「天茶」はブツ切りの才巻き海老の天茶であるが、これはサッパリとしているが物足りなさを感じてしまう。値段を考えれば東京なら0.8つ星くらいの評価となろうが、横浜という土地を考えると、十分1つ星に値する天ぷら店である。店主の電話での対応は無愛想で、気難しい方かと思っていたら、意外にも大柄な見た目とは異なり、とても気さくで話しやすかった。(2013年6月追加)

横浜市中区太田町4-48 川島ビル1階  
電話番号:045-662-6660
定休日:日曜・祝日 
営業時間:17時半~20時半 
予算:13000円くらい 
アクセス:みなとみらい線・馬車道駅5番出口を出て、「神奈川県立歴史博物館」を過ぎ、「生香園新館」の交差点を左折するとすぐ右側。馬車道駅から徒歩2分。 
最寄りのランドマーク:神奈川県立歴史博物館、生香園新館 
お勧めポイント:馬車道にある本格的な天ぷら専門店

美かさ

 東の天ぷらの「美かさ」と西の串カツの   「あーぽん(→ 神戸グルメバイブル・串カツの頁を参照)」  は、僕が考える日本一の揚げもの店である。靴を脱いで上がると、正面には見事な生け花が印象的な待合室が、左側には8名のカウンター席がある。実はこの店、17時半と19時半の2回の入れ替え制。しかも、全ての客が同時スタートなので、必ず予約の上、スタートの5分~10分前には入店して待っていなければならない。このため、カウンター席の右側にはこの様に立派な掘りごたつのウェイティングルームがあるのである。店内はとても清潔感があって、しかも床暖房なので冬も快適。また、カウンターのテーブルは白木でなく朱塗りであるが、このスタイルは馬車道にある「天濱」と同じ。もしかすると、神奈川の天ぷら店ではこれが普通なのであろうか?
 この店のコースは、8000円の天ぷらだけのコースと刺身が付く8800円のコースの2つ。どの天ぷらも外がサクサクで中がレアでシュージー。それは才巻き海老(小さい車エビ)を食べた時のアルデンテのようなレアな食感で実感できる。店主が食べ方をそれぞれ指定してくるので、その通りに食べると最高のパフォーマンスが味わえる。素材がかなり厳選されているだけではなく、素材の旨味を引き出す店主のスキルが凄いのである。例えば「牡蠣の天ぷら」であるが、大根おろしをのせ、スダチを搾り、更に塩を載せて食べる。驚くべきことに、これがすこぶる美味しい牡蠣の食べ方なのである。また、春の「白魚の天ぷら」は何本かまとめて筏状に揚げられるが、その中心部のレア感が半端でない。「キス」は開かずに揚げるため、そのフンワリ感はあり得ないくらい素晴らしい。「ウニの大葉包み」はトロリとして口に表せないほど美味しい。さらに、最後の締めには「天茶」か「天丼」を選べるが、天茶がお勧めである。
 店主は朝の6時から夕方5時までという長時間仕込みに時間を費やすほどストイックで、九州産活穴子を揚げる直前に捌くなどのこだわりも。しかし、一見気むずかしそうに見える店主も、これが意外にフレンドリーで話しやすい。それにしても、東京ではありえないくらいコストパフォーマンスが抜群で素晴らしい店である。また、「デザート天ぷら」に至るまで実に満足度の高い店で、日曜日に営業している点も良い。(2013年5月追加)

川崎市宮前区宮崎2-9-15  
電話番号:044-853-1819
定休日:水曜 
営業時間:17時半~と19時半~の入れ替え制
予算:8000円(天ぷらのみのコース)、8800円(通常のコースに刺身が付く) 
アクセス:東急田園都市線・宮崎台駅北口を出て左へ。坂を上り、「MURATA」を右折。突き当たりのT字路を左折するとすぐ左にある「東進衛星予備校」が入っているマンション。 
最寄りのランドマーク:MURATA、東進衛星予備校 
お勧めポイント:日本一の天ぷらが食べられる