1.中華料理、中華街

謝朋酒樓

 横浜中華街の関帝廟通りにある四川料理専門店。最近、ここ横浜中華街のトレンドと言えば、 「焼き包子(→ 横浜グルメバイブル・中華料理・横浜中華街と最近のトレンドの頁を参照)」 と四川料理である。通りを歩きながら中華料理店の前に置かれているメニューをパラパラめくってみると、四川料理の看板を掲げていない店、例えば上海料理店のメニューを見ても、広東料理店のメニューを見ても、四川料理が多くを占めているのである。これは日本の中国料理店特有のもので、中国や香港、台湾では、やはり上海料理店は上海料理、広東料理店は広東料理メニューなのである。激辛ブームが理由なのかどうかはよく分からないが、とにかく今や横浜中華料理界にとって四川料理は欠かせない存在なのだ。
 この店は中華街では比較的小さな店であるが、料理は本格的で美味しい。しかも、化学調味料に頼らない味付けがいい。特に、生ビールにピッタリなのが「海老と大葉の香り揚げ」と「鶏肉の唐辛子炒め」だ。豚肉好きなら「鶏肉の唐辛子炒め」を「豚肉の四川新鮮唐辛子炒め」にしても良い。王道の「本場成都 陳マーボ豆腐」は、豆豉が効いていて辛さもほどほどで美味しい。さらにお勧めなのが、「牛肉の薄切り山椒辛子煮」と「汁なしタンタン麺」。牛肉はちょっと・・・という方は「牛肉の薄切り山椒辛子煮」を「魚の四川唐辛子入り激辛スープ」に変えても良い。「汁なしタンタン麺」は具材がほとんど入らないシンプルな麺であるが、花山椒が効いていて深みのある完成度の高い麺である。もしも、スープを注文するならサッパリとした「豆腐のカニ味噌煮込み」がいい。また、炒飯を注文するなら、金華ハムのコクと酸味、辛みのバランスが素晴らしい「金華ハムと漬け辛子チャーハン」をお勧めしたい。
 ちなみに、蒸し鶏を使った前菜「蒸し鶏の四川風味冷菜」や「蒸し鶏の生唐辛子入り新鮮ソース」は、どちらも鶏がパサついてお勧めできない。これで前菜の鶏が美味しく、メニューがもっとバラエティーに富んでいれば、2つ星の評価でも十分良いと思う。(2015年7月追加) 
http://shahoshuro.jp

横浜市中区山下町188  
電話番号:050-5868-3726
定休日:無休
営業時間:【平日】11時〜22時半、【土日・祝日】10時半〜22時半
予算:鶏肉の唐辛子炒め1360円、牛肉の薄切り山椒辛子煮1680円、汁なしタンタン麺1050円
アクセス:みなとみらい線・元町・中華街駅1番出を出て、「朝陽門」から中華街大通りを進む。「白楽天」と「東華楼」の間の「上海路」を左折し、関帝廟通りに出た左角。元町・中華街駅から徒歩4分
最寄りのランドマーク:中華街大通り、上海路、関帝廟通り
お勧めポイント:旨み調味料に頼らない本格的四川料理

「蒸し鶏の四川風味冷菜」 は、通称 「よだれ鶏」と呼ばれている前菜

同じように見えるが、こちらは「蒸し鶏の生唐辛子入り新鮮ソース」。どちらも蒸し鶏が美味しくないのでダメ

「海老と大葉の香り揚げ」は、春巻きのように皮がサクッとしていてビールにピッタリ

海老が丸一匹入っていて食感も抜群

僕の超お勧め「鶏肉の唐辛子炒め」もビールと最高の相性をみせる

「本場成都 陳マーボ豆腐」は豆豉の効いた本格的な美味しさ

「牛肉の薄切り山椒辛子煮」は、油の中に唐辛子と山椒がタップリと見える

味は「鶏肉の唐辛子炒め」と同じである「豚肉の四川新鮮唐辛子炒め」

広東料理店でよく見られる「有頭海老のガーリックパン風味炒め」はイマイチ

あんかけ料理というより、スープとして飲むべき「豆腐のカニ味噌煮込み」

「汁なしタンタン麺」は魚介系のような深みがあり、花山椒も心地よい。細めのストレート麺もちゃんととコシがある

僕も初めて味わう「金華ハムと漬け辛子チャーハン」は、酸味のある漬け辛子と金華ハムの香りが絶妙

杏仁豆腐は特にコメントすべきことはなく普通

景徳鎮 本店

 横浜中華街の市場通りにある四川料理の店。中華街の良い店の見分け方は、基本的に「呼び込みがいないこと」、「メニューの写真が美味しそうであること」、「異常に安いプランや食べ放題プランがないこと」などである。実は、この店も事前に調べて来店したわけではなく、中華街をブラブラと見回っていたときに目に留まった店である。調べてみると、この店の他に「景徳鎮 新館」と「景徳鎮酒家」の2つ支店があるようだ。
 1階はテーブル席のみで、パーティションで仕切られていないため、ガランとている。また、2階には宴会席が、3階には個室もあるらしい。着席してオーダーしたときの店員の対応は、あまり期待できないなあというイメージであったが、意に反して、料理の方はどれも日本テイストに迎合しない本格的な四川料理であった。
 僕のお勧めは、前菜の「蒸し鶏の四川胡麻辛子ソース掛け(怪味童鶏)」、そして四川らしい「魚の山椒辛子水煮」と「骨付き鶏肉四川唐辛子炒め」、「四川麻婆豆腐(陳麻婆豆腐)」などである。「蒸し鶏の四川胡麻辛子ソース掛け」は鶏の茹で方が抜群に上手で、シェフのスキルを感じさせる前菜だ。「魚の山椒辛子水煮」は、舌が痺れる四川を代表する川魚料理であるが、この店のものは銀ムツのような魚を使用していてとても美味しい。「骨付き鶏肉四川唐辛子炒め」は、四川特有の丸唐辛子とピリ辛の鶏の素揚げの炒め物で、ビールに最高である。麻婆豆腐には、辛くない一般的な「麻婆豆腐」と四川風の「四川麻婆豆腐」の2種類があるが、辛い「四川麻婆豆腐」の方がお勧めである。日本でチェーン店化された四川省成都市の「正宗四川料理 陳麻婆豆腐」の麻婆豆腐と同様、豆鼓が効いたちょっと痺れるくらいの辛さである。一方、「うなぎ細切り辛子炒め」は鰻が泥臭く、飲茶メニューの「スペアリブの黒豆(豆鼓)蒸し」はイマイチだった。「四川チャーハン」はパラッと炒められていて、ピリ辛で美味しい。また、スイーツの「タピオカ入りココナッツミルク」は、タピオカが少ないが悪くはなかった。ちなみに、旨味調味料の後味が気になる方にはお勧めできないが、中国で食べたような現地の味にかなり近く、美味しい四川料理である。(2015年2月追加)

横浜市中区山下町190  
電話番号:050-5872-3090
定休日:無休
営業時間:11時半~21時(ランチは11時半~15時)
予算:蒸し鶏の四川胡麻辛子ソース掛け(怪味童鶏)1600円、魚の山椒辛子水煮2000円
アクセス:みなとみらい線・元町・中華街駅2番出口を出て、「SEGA」の看板の見えるパーキングビルの前を進む。角を左折して中華街東門から、三叉路の中央にある中華街大通りを進む。そして、「源豊行」と「同發本館」の間の市場通りを左折すると、左側にある。元町・中華街駅から徒歩5分
最寄りのランドマーク:横浜中華街大通り、市場通り
お勧めポイント:現地に限りなく近い本格的な四川料理が味わえる

1階のダイニング

蒸し鶏の四川胡麻辛子ソース掛け(怪味童鶏)

魚の山椒辛子水煮

骨付き鶏肉四川唐辛子炒め

丸いナツメみたいのが唐辛子

うなぎ細切り辛子炒め

四川チャーハン

四川麻婆豆腐

スペアリブの黒豆(豆鼓)蒸し

タピオカ入りココナッツミルク

萬珍樓 點心舗

 「萬珍樓」は1892年創業なので今年で121年を迎える老舗中華料理店である。この店の飲茶専門店がこの「點心舗」であり、オーダースタイルの飲茶を初めて中華街に紹介した店でもある。この店の開店当時は調理場が外から見え、外側に焼き物のアヒルや鶏、叉焼、豚耳などが吊されて本格的な雰囲気であったが、現在は調理場を外から見ることはできない。1階は吹き抜けになったエントランスと奥に客席が、2階には個室と広めのダイニングが、3階には100名までの宴会ができる大きなダイニングがある。
 久しぶりに訪れてみるとメニューも大幅に変わっていた。現在は飲茶専門のメニューだけでなく、本店と同じ広東料理のメニューも頂ける。ほぼ本店と同じメニューなので、敢えて「點心舗」で食べる必要がないのかも知れない。約60種以上の点心はもちろん美味しいが、アラカルトメニューの広東料理もいい。化学調味料を使わずに調理された料理は、素材の風味が際立っていて美味しい。特に、「ピータン粥」や「鶏肉入り蓮の葉ちまき」などのご飯類が美味しい。また、アラカルトのお料理は通常サイズと小サイズがあるので、点心とアラカルトといった組み合わせも楽しむことが出来る。横浜中華街で美味しい飲茶が食べたくなったときに憶えておきたい店である。(2013年8月追加)

横浜市中区山下町156  
電話番号:045-664-4004
定休日:無休
営業時間:11時~22時
予算:鶏肉入り蓮の葉ちまき700円、豚スペアリブの黒豆ソース蒸し660円
アクセス:みなとみらい線・元町・中華街駅1番出を出て、「朝陽門」から中華街大通りを進む。奥に見える「善隣門」の手前右側に「萬珍樓 本店」があるのでその裏通りにある。元町・中華街駅から徒歩3分。
最寄りのランドマーク:中華街大通り
お勧めポイント:横浜中華街で美味しい飲茶が食べたいときに憶えておきたい店

ベビースターランド

 横浜中華街大通りの「横浜博覧館」の2階にある「べビースター(ラーメン)」のミュージアム。「べビースター」といえば誰もが知っているラーメンのスナック菓子。実はこのベビースターランドでは、ベビースターが出来る工程をガラス越しに見学することができ、しかもその出来たてのベビースターが食べられるのである。また、出来たてのベビースターは、「マヨネーズ+コーン」、「ソース+ポテト」、「チョコレート」の3つをトッピングできる。
 今回は「ソース+ポテト」をチョイス。味はカリカリの予想通りの味であったが、ここでしか食べられない味にちょっと満足。さらに、売店ではオリジナルTシャツやマグカップ、各地のご当地ベビースターなどを購入できる。また、ここにしかないベビースターのプリクラもある。横浜中華街を訪れたときには、ついでに足を運んでみても良いかも。(2013年8月追加)

横浜市中区山下町145 横浜博覧館2階  
電話番号:045-640-0081(横浜博覧館)
定休日:無休
営業時間:【平日】10時~20時、【土日・祝日】10時~21時
予算:入場料無料、トッピング無し250円、トッピングあり300円:Aセット(マヨネーズ+コーンのトッピング、Bセット(ソース+ポテトのトッピング)、Cセット(チョコレートのトッピング)
アクセス:みなとみらい線・元町・中華街駅1番出を出て、「朝陽門」から中華街大通りを進む。奥に見える「善隣門」の手前の左側にある。元町・中華街駅から徒歩3分。
最寄りのランドマーク:中華街大通り
お勧めポイント:ココでしか味わえない出来たてのベビースター

横浜中華街と最近のトレンド

 横浜中華街は誰もが知る日本最大規模の中華街である。しかしながら、神戸の南京町などと比べると、よりテーマパーク的な性格が強く、ほとんどの客が地元客というよりは観光客のようだ。みなとみらい線「元町・中華街駅」ができ、それに東急東横線や東京メトロ副都心線、西武池袋線、東武東上線などが接続されるようになってアクセスが良くなって、さらに爆発的な人気が出てきた。
 久しぶりに訪れてみると、いたるところに「正宗生煎包」、「焼き小籠包」の看板が目立つ。これらはいわゆる「焼き包子(ぱおず)」のことで、上海では「生煎饅頭」、台湾や香港では「生煎包」あるいは「水煎包」と呼ばれていて、小籠包を焼いた信州の“おやき”の様なもの。台湾のB級グルメの殿堂・台北の士林夜市の「大上海生煎包」などが有名である。日本では名古屋にある台湾風の 「台湾の焼き包子(→ 名古屋グルメバイブル・焼き包子の頁を参照)」 や東京町屋にある上海風の「小陽生煎饅頭屋」などがこのブームの火付け役と思われるが、最近では日本中至る所で見かけるようになった。横浜中華街では、すでに“杏仁”や“マンゴー”のデザートを越える人気となっており、このB級グルメである「焼き小籠包」を店の前で立ち食いするのが現在のトレンドである。中でも、横浜中華街大通り沿いにある「鵬天閣」と「王府井」の2店が最も人気がある。もちろん両店とも食べ比べてみたが、僅差ではあるが、「鵬天閣」の方が味に深みがあって美味しかった。ちなみに、「焼き小籠包」は中のスープが熱いため、一口では食べることは不可能である。また、ビビって噛むとスープが勢いよく飛び出し、自分や他人にかかって危険なので、先ずは箸で穴を開けて直接スープを飲んでから食べるのがコツ。(2013年8月追加)