4.寿司

鮨 かんび

 呉服町にある人気の寿司店。ビルの1階の暖簾をくぐると通路があり、更に奥に入口がある。店内に入ると、カウンター席8席と完全個室の小上がりが1つある。3月から若手職人がもう1名加わるということだが、現在は店主と若手職人一人の2名体制でやっているため、かなり忙しそうだ。メニューはつまみと握りがセットになったおまかせコースのみで、12000円と15000円の2コース。今回は久々の福岡取材だったので、この店の実力を探る意味で高い方を選択。
 この店の特筆すべき点は、何と言っても日本酒のセレクトが良いことだ。メニュー以外にもいろいろと隠れアイテムがあり、この日特に良かったのは、三重の「而今(じこん)」の純米吟醸。コースは茶碗蒸しを含むつまみがいろいろと出て、その後に握り寿司で締めるという大阪スタイル。この日は「毛蟹と真鱈の白子の茶碗蒸し」からスタートし、「イイダコと蒸しアワビの肝ソースがけ」、島根産天然鰻の「うざく」、「三種の刺身の盛り合わせ(甘鯛、星カツオ、ブリ)」、「味付け数の子」、口直しの「新沢庵」、「銀杏の素揚げ」、「ノドグロの味噌漬け」、「ナマコのコノワタがけ」へと続き、その後小振りな握りが10貫と巻物、味噌汁で終了となった。大きな羽釜で炊かれた赤酢の酢飯は美味しく、まさに、日本酒を飲みながらつまみをいただき、最後に握りで締めたいという日本酒好きにはうってつけの寿司屋と言えよう。
 正直なところ、握り寿司の評価は2つ星で、つまみが1つ星、トータルで1.5星といったところだが、前述のように、寿司屋にしては日本酒の品揃えが良く、店主の心遣いも素晴らしかったので、最終的な満足度として2つ星評価とした。(2016年2月追加)

福岡市博多区綱場町1-11 飯尾ビル1階  
電話番号:092-271-1308(要予約)
定休日:月曜
営業時間:12時〜14時、18時〜22時
予算:おまかせコース12000円と15000円
アクセス:地下鉄箱崎線・呉服町駅の6番出口(エレベーター)を出て左へ。大博通り沿いの最初の角を曲がると左に見えるビル。呉服町駅から徒歩1分
最寄りのランドマーク:地下鉄箱崎線・呉服町駅、大博通り、佐賀共栄銀行
お勧めポイント:つまみが充実した本格的な江戸前寿司店

左のビルですココです!暖簾をくぐると通路が・・・中に更に暖簾の掛かった入口が店内はカウンター席が8席と個室の小上がりが1つあるお酒は日本酒のセレクトが良い。これ以外にもいろいろとあり、この日良かったのは、三重の「而今(じこん)」の純米吟醸15000円のコースの最初は「毛蟹と真鱈の白子の茶碗蒸し」2品目は「イイダコと蒸しアワビの肝ソースがけ」島根産天然鰻の「うざく」は、サッパリとして肉厚「三種の刺身の盛り合わせ(甘鯛、星カツオ、ブリ)」手前から。ボンズ、塩、醤油「味付け数の子」は、数の子が塩素臭くイマイチ口直しの鰹節のかかった味付けの「新沢庵」「銀杏の素揚げ」は、揚げすぎてダメ長崎五島産「ノドグロの味噌漬け」はトロトロで最高の美味しさ!つまみの最後は「ナマコのコノワタがけ」握りの最初は何と「コハダ」。大きな羽釜で焚かれた酢飯が美味しい。締め具合は江戸前風にキッチリと締められている「スミイカ」の白さと赤酢を使った酢飯のコントラストが美しい「本マグロの大トロ」「赤ウニ」ではなく、著しく小振りな佐賀県唐津産の「ムラサキウニ」は、ミョウバンの苦みあって良くない。店主にも言ったが、やはり2月は、札幌の 「鮨 しののめ(→ 札幌グルメバイブル・寿司の頁を参照)」 で食べた「北方四島産・無添加バフンウニ」が最高だと思う 「ヒラマサ」はコリコリとした食感と適度な脂ののりがいい長崎五島産の「真鯛」「サワラ」「ミル貝」茹でたての「車エビ」は香り質共に最高レベル対馬産の「穴子」最後は巻物で(玉子、ムラサキウニ、本マグロのトロ、キュウリ,白ごまとあともう一つの素材は忘れました) 

安春計(あすけ)

 今年で16年目を迎えたカウンター僅か8席だけの小さな寿司店。この店は薬院駅から歩いて3分というアクセスの良い場所にあるにもかかわらず、とても目立たない場所にある。というのも、フリーの客がふらりと入れないような場所に店を構えたいという店主のこだわりによるもの。確かに僕が訪れた時も初めての客は僕くらいで、その他の客は常連客であった。ご夫婦でやられており、唐津の 「鮨処 つく田(→ その他日本の旨い店・佐賀県の頁を参照)」 のように写真撮影がしにくい凛とした雰囲気が漂う。
 店主は日本伝統芸能である能や酒器にも造詣が深いらしく、日本酒を頼むと20杯くらいある素敵なお猪口の中から選ぶことができる。酒はビールがエビスの中瓶、日本酒は岐阜県多治見の「三千盛 純米大吟醸」1種類しかなく、この点は酒飲みにとってはちょっと残念である。しかしながら、つまみはどれも美味しく、とりわけ見事な黒鮑を使った「煮アワビ」や皮目がパリッと焼かれた「カツオの柚コショウのせ」などが美味しかった。その一方で、「生ウニのもろきゅう」などの評価が分かれる個性的なつまみもあった。握りはスキルが高いものの、「春子」や「煮ハマグリ」などといった江戸前の仕込みネタは残念ながら今一つであった。しかしながら、赤酢を使ったシャリはキリッと味が締まった硬めのシャリで、福岡で最も僕の好みの酢飯かも。福岡中心部にある寿司店としてはコストパフォーマンスも悪くなく、つまみも豊富でいい。人気店なので、金曜と土曜は早めの予約が必要である。(2013年10月追加)

福岡県福岡市中央区薬院1丁目6−28 エトワール薬院 1F  
電話番号:092-716-6688
定休日:日曜
営業時間:18時~
予算:お任せで13000円前後
アクセス:西鉄天神大牟田線、地下鉄七隈線・薬院駅1番出口を出て右へ向かう。城東橋を渡り、「薬院ビジネスガーデン」ビルの右斜めの通りを進む。2つ目の赤い点滅信号「サンカクヤ」の交差点を左折したところ。薬院駅より徒歩3分。
最寄りのランドマーク:薬院ビジネスガーデン、サンカクヤ
お勧めポイント:キリッとした酢飯が美味しい本格寿司店

近松(ちかまつ)

 薬院にある食べログで大人気の寿司店。店内は白木のカウンター席が9席のみと、寿司店としては理想的な広さである。しかし、店内にはダウンライトと間接照明だけしかなく、寿司屋の照明としてはあまりにも暗すぎる。
  予め誤解のないように言っておくが、この店の握り寿司はそれなりに美味しい。寿司は店主1人で握っており、小ぶりでやや細長。シャリも少なめで、手で持たなければ崩れるくらい握り方が緩い。酢飯の味はしっかりとしていて美味しく、どの握りも非常に仕事が丁寧。 
 この店はお任せコースのみで、昼、夜ともそれぞれ1回転のみ。さらに、基本的に全ての客が一斉スタートとなる。初めに酒の肴が出てきた後、握りが出てくるというスタイルであるが、昼は夜とは異なり、小鉢と寿司だけなので値段は更に安くなるようだ。 
 この日は夜のコースを頂いたが、酒肴として、タコの柔らか煮、マコガレイの刺身、炙りタイラ貝の海苔巻き、塩水赤ウニ、アワビの酒蒸し、メヒカリの干物、ツブ貝の煮物、アジの炙りなどが出てきた。さらに握りは、ヤリイカ、真鯛、アコウダイ、煮烏賊の印籠詰め、マグロの漬け、マグロ中トロ、小鰭、赤貝、煮ハマグリ、穴子(塩で)、シャコ、車エビ、そして玉子焼きと吸い物が出てきた。 
 素材を考えると、3つ星相当のコストパフォーマンスに優れた寿司店であるが、握りのシャリの量が少ないため、昼のようにほぼ寿司だけのコースでは満足感が得られないかも知れない。なので、どちらかと言えば、夜に酒を飲みながら酒肴を楽しみ、最後に寿司をつまむという方向けの寿司店である。しかし、一斉スタートでゆっくりとしたペースで同じものが供されるため、何となくストレスを感じてしまい調子が悪い。もしも、それぞれのペースに合わせて出してくれたら、文句なしの3つ星店である。また、日本酒のセレクトが淡麗系のみと良くない。焼酎には「村尾」と「佐藤(黒)」などがあり、ワインも置いているようだ。前述のように一斉スタートなので基本的には完全予約制であり、店内は写真撮影が禁止であるのでご注意を(2013年6月追加)。

福岡市中央区薬院2-6-19  
電話番号:092-716-5855
定休日:日曜(月に一度連休あり) 
営業時間:12時~14時、18時~21時半 
予算:昼4500円、夜13000円 
アクセス:地下鉄七隈線・薬院大通駅1番出口を出て右へ向かう。「ロイヤルホスト」、「ファミリーマート」、「Hotto Motto」を過ぎ、マンションの角を右折する。「福岡逓信病院」を過ぎた右側のマンション1階。薬院大通駅から徒歩3分。 
最寄りのランドマーク:ロイヤルホスト、福岡逓信病院 
お勧めポイント:酒肴も美味しい人気寿司店

吉富寿し

 全国の食に詳しい大阪の桒山先生から美味しいと聞きつけ、早速の訪問。比較的大きな通りに面したマンションの1階にありながら、店内はまるで古い一軒家にでもいるような落ち着いた雰囲気。外には派手な看板や暖簾などが出ていないので、よく見なければ外観が地味で分かりづらい。入り口を抜けると正面にMax10名までのカウンターがあり、右側には4名までのテーブル席が一つある。小柄な店主は、有名寿司店にありがちな気むずかしい感じは全くなく、温厚で独特の語り口調が印象的。見ていると、観光客にも結構優しいようだ。
 つまみで軽くビールを飲んだ後に握りを頂く。予め言っておくが、この店の寿司は見た目が美しくない。しかし、どのネタも素材が生きている。特に、江戸前の仕事が施されているネタは素材に濃縮感と旨味があり、素材の本質を見極めることができなければ不可能な仕事である。もちろん、それにあわせる酢飯も最高だ。握りに塗る“煮切り(醤油)”も、ネタによって2種類以上使い分けているというこだわりよう。
 最後の締めに大根スライスとワサビの寿司が出されるが、大根の生の食感とワサビの辛さがストレートに伝わってきて良かった。飲み物のメニューを見忘れたが、シャンパン・ヴーヴークリコを飲みながら寿司をつまんでいる外国人観光客もいたので、ワインも置いているのだろう。唯一のマイナス点は、若い店員の電話対応が良くないことくらい。(2013年1月追加)

福岡市中央区舞鶴3−6−23 サンハイツ舞鶴1階  
電話番号:092-741-3490
定休日:日曜・祝日 
営業時間:12時~14時、17時半~21時 
予算:おまかせ握り7000~8000円 
アクセス:地下鉄空港線・赤坂駅1番出口を出て左へ。すぐに角を左折し、“大正通り”を進む。広い“昭和通り”を渡って更に進むと、“那の津通り”の長浜交差点に出る。ファミリーマートを左折して進むと、次の信号の左角にクリーム色のマンションが見えるのでその1階。赤坂駅から徒歩5分。 
最寄りのランドマーク:“那の津通り”の長浜交差点 
お勧めポイント:見た目はともかく、どのネタも素材が生きている美味しい寿司店

鮨 安吉

 まるで老舗の日本料理店のような立派な一軒家。暖簾をくぐると白木の一枚板のカウンターが目に付く。この店はカウンター席僅か7席しかないので、予約は極めて困難である。予め断っておくが、この店の寿司だけの評価は、1つ星かそれよりもちょっと良いくらいであるということ。にもかかわらず、最終的に2つ星の評価をしたのは、以下の理由から。
 まずは、店主1人で握っているにも関わらず、極めてテンポ良く出されること。そしてコストパフォーマンスが良いこと。さらに酒のつまみが充実していること。日本酒に「十四代」や「飛露喜」などのプレミア酒が置いてあること。店内が禁煙であることなど。
 逆に、寿司の評価が低い理由も明らかで、まずシャリが良くないこと。この店は2種類のシャリを使うのだが、基本のシャリは酢が立っていて舌触りもボサボサした感じ。むしろ、後半に出された赤酢シャリの方が酸が立っていない分良かった。次に、多くのネタには江戸前の仕事が施されているのだが、その半分以上は完成度が低く、店主の意欲が空回りしている感じだ。また、寿司の握りは緩めで、「銀座 久兵衛」のような小ぶりな寿司である。しかし、店主は未だ若くとても勉強熱心なので、今後はかなり期待が持てそうという期待をこめた評価である。ちなみに、小上がりは別として、カウンターでは写真撮影禁止なのでご注意を。また、かなりの人気店なので早めの予約が必要(1カ月前からの予約が可

福岡市博多区博多駅前4丁目3-11  
電話番号:092-437-8111
定休日:日曜、祝日の月曜 
営業時間:18時~22時(要予約) 
アクセス: JR博多駅博多口(博多郵便局側)を出て左側に進む。住吉通りを「ANAクラウンプラザホテル」方向に進む。「ドラックイレブン」、「ampm」を過ぎ、「代々木ゼミナール」を過ぎた信号を左折。すぐに次の交差点を右折して進むと右側「紳士服のYAMATA」の並びにある。JR博多駅博多口より徒歩5分。 
最寄りのランドマーク:博多郵便局、ANAクラウンプラザホテル、代々木ゼミナール
お勧めポイント:先ずはお酒とつまみ、締めに寿司という方にお勧め