金沢の繁華街にある知る人ぞ知る有名寿司店。店内に入ると、白木でなく民芸居酒屋のようなカウンター席があり、照明はやや暗め。この時は未だコロナ禍と言うことで、客席もカウンター内もパーティションで仕切られていた。カウンター席は7席で、奥には小上がりもある。店内は暖房が十分ではなく、足元は冷え冷えとしていた。
まず注文したのは地ビール「奥能登ビール 日本海倶楽部ヴァイツエン」。味は特に秀でているところがなかった。また、日本酒はほぼ地酒である。
先ず出てきたのは、「平目とボタン海老の刺身」。平目の弾力が素晴らしく、ボタン海老も新鮮そのもの。2品目は、「ブリとバイ貝の刺身」。氷見の寒ブリについては言うまでもないが、北陸産のバイ貝は歯応えと甘味あって実に美味しい。3品目は「コウバコガニ(香箱蟹)」。セイコガニ(セコ蟹)とも呼ばれるが、この雪の降る時期にわざわざやってきた理由は、これを食べたかったからである。この日はあいにくの悪天候だったが、内子外子ともに味が濃厚で、今回旅一番のコウバコガニだった。食べた後に甲羅の中に日本酒を注いでくれ、甲羅酒としてもいただく。4品目は焼き物で、「ノドグロの味噌漬け」。非常に脂がのっており、焼き方素晴らしくジューシー。5品目は、「雲子の擦り流し」。雲子とは北海道でいうタチ(真鱈の白子)のこと。塩味もピッタリで、飲んだ後に香る白子の旨味や余韻も良かった。
ここからは握りとなる。シャリの大きさはやや小ぶりで、酢飯は酸味、塩味ともに控えめで食べやすい。先ず出てきたのは「甘エビ」。金沢に来て良かったと思える最高レベルの甘エビだ。また、一貫2匹づけなので、フワッと歯切れの良い食感もいい。握り2貫目は、地物の「クエ」。弾力といい脂ののりといい、とにかく抜群。3貫目は、「メジマグロ」。メジマグロとは本マグロの幼魚であるが、サッパリとしていてほどほど脂がのっていた。4貫目は、「赤イカ」。隠し包丁が施されているので歯切れが良く、甘味あって美味しい。それ故に煎った白胡麻の香りは不要と感じられた。5貫目は、「本マグロのトロ」。この時期としては個体が小さいのか?脂ののりも味の深みもイマイチだった。6貫目は、「コハダ」。酢の締め具合が浅くも深くもなく、丁度良かった。7貫目は、地物の「真鯵」。弾力があって新鮮そのもの。天候の悪い日にこれだけの青魚を仕入れることができるとは驚きだ。8貫目は、「ズワイガニ」。香りから、茹でてそれほど時間が経ってないことが分かる。いくらでも食べられるくらい美味しい。この後、「能登の天然岩海苔の味噌汁」が出て、9貫目は「ノドグロの炙り」。口に入れた瞬間に消えてしまうくらい脂があってとろける。凄い!の一言。10貫目は北海道浜中産の「バフンウニ」。この時期のバフンウニとしては秀逸。そして11貫目の「穴子」で終了となった。「穴子」は山椒の葉が香り、臭みなくふんわりと柔らかだった。どの素材も素晴らしく、間違いなく、金沢のトップレベルの寿司店である。(2022年12月取材/2023年9月追加)
金沢市木倉町4-10
電話番号:076-231-7447
定休日:水曜、日曜・祝日
営業時間:12時〜14時、17時〜19時半
予算:お任せで20000円くらい
アクセス:JR金沢駅の鼓門を出て、金沢駅通りを近江町市場方向へ向かう。金沢エムザ(mZA)のある交差点を右折し、百万石通りを香林坊方面へ向かう。みずほ銀行、東横イン、大和・香林坊店、スターバックスコーヒーの入っている香林坊東急スクエアを過ぎ、北國銀行のある片町交差点を右折して中央通りを進む。パーキングのある2つ目の交差点をさらに右折して進むと突き当たり。JR金沢駅から約1.5㎞
最寄りのランドマーク:金沢エムザ(mZA)、大和・香林坊店、香林坊東急スクエア
お勧めポイント:金沢トップレベルの寿司店