佐賀県

日本料理 かわ島

 有名な佐賀県唐津市の「川島豆腐店」が経営する日本料理店。「川島豆腐店」は200年以上前の寛政年間創業の老舗で、日本全国にコアなファンを持つことで知られている。僕も札幌の蕎麦店 「蕎麦屋酒 艸菴 souan(→ 札幌グルメバイブル・蕎麦の頁を参照)」 で、塩とオリーブオイルでこの「ざる豆腐」を食べて以来ファンとなり、一度訪れてみたいと思っていた。福岡に行く予定のあったある日、「艸菴」の店主・伊藤さんからこの店が日本一の朝食を食べさせるという話を聞きつけ、早速後輩の新明先生とともに10時に朝食を予約。店頭の案内を見てみると、どうやら朝食は8時と10時、12時のスタートで、3回の入れ替え制らしい。また、夜は本格的な会席料理とお酒を楽しめる店のようだ。 
 店の左側にある茶色の暖簾をくぐり、通路を抜けると、寿司店のような清潔な白木のカウンター席が広がる。カウンターの角には名物の「ざる豆腐」が置かれており、後ほど給仕のおばさんがよそってくれる。まずは「豆乳」と「黒ごま豆腐の酢味噌がけ」、「おから」の3品が一気に出てきて、前述の「ざる豆腐」へと続く。「ざる豆腐」はフワフワで甘みがあり、塩で食べても醤油をかけて食べても美味しい。続いてこの日の刺身「ヨコワ(シビやメジとも呼ばれる本マグロの幼魚)」と自家製干物の焼き魚「カマス」が出てきたが、これらも美味しかった。さらに、揚げたての「厚揚げ」が出てきたが、絹ごし豆腐を使っているため、火傷するくらい熱々でトロトロ。これは塩より醤油をかけて食べた方が美味しく、このコース1番の逸品だった。ちなみに、「ざる豆腐」と「厚揚げ」は何度でもお代わり自由である。締めのご飯は「うずみ粥」と呼ばれるお粥で、豆腐の上に麦粥が入っていて、擦ったわさびを溶いて食べる。そして、サッパリとした「豆乳プリン」で終了となる。
 せっかくの豆腐店の料理なのに、何故か「汲み上げ湯葉」や「生湯葉」などが付いていないのが残念だった。また、朝食のコースだったせいもあるかもしれないが、料理人を見かけなかった。なので、良く言えばおばちゃんの家庭的な朝食やサービスであり、プロのサービス担当がいないため、この雰囲気にサービスが伴っていなかった。しかしながら、豆腐料理に刺身と焼き魚が付いた2625円のコースは、確かに日本一の名に恥じない家庭的でヘルシーな朝食であった。ちなみに、朝食、夜の会席ともに基本的には予約制であるので、ご注意を。なお、下記サイトで「ざる豆腐」や「豆腐のみそ漬け」などのネット販売も行っている。(2013年6月追加)
http://www.zarudoufu.co.jp/

唐津市京町1775  
電話番号:0955-72-2423(17時以降は080-1764-6664) 
定休日:無休 
営業時間:朝食8時~、10時~、12時~、夜の会席17時半~21時 
予算:朝食コース1575円(基本の豆腐料理)、2100円(基本+焼き魚)、2625円(基本+焼き魚+刺身)、夜の会席料理3675円、5250円、10500円。朝夜とも基本的に予約が必要。 
アクセス:唐津駅を出て右側にウニのオブジェの間の通りを進む。「松浦運輸」の前を通り、正面に「呉服町」、右に「KYOMACHI」商店街のアーケードが見えるので、「KYOMACHI」側へ進むとすぐ右側。唐津駅から徒歩2分。 
最寄りのランドマーク: KYOMACHI商店街 
お勧めポイント:全国的に有名な川島豆腐店の豆腐メインの朝食が食べられる

鮨処 つく田

 唐津駅前の商店街の中にある有名寿司店。僕は十年以上前に「dancyu」という雑誌でこの店の記事を見て以来、チャンスがあれば一度訪れてみたいと思っていた。今回は福岡に用事があったので、やっと念願がかなった。佐賀県・唐津は、福岡の天神駅から地下鉄直結の快速を利用すれば1時間くらいだが、各駅だと更に20分くらいかかる。福岡空港とも直結しているので、空港からそのまま行くことも可能である。唐津駅に到着し、閑散とした商店街を歩いていると、偶然にも全国的に有名な「川島豆腐店」の前を通りがかった。実はこの店、来栖けいの本「お取り寄せが止まらない」の豆腐部門でナンバーワンになった有名店である。僕はこの店の「ざる豆腐」を札幌の蕎麦店 「艸菴(→ 札幌グルメバイブル・蕎麦の頁を参照)」 で何度も食べているが、失礼ながら、このよう鄙びた商店街にあるとは思ってもなかったので、驚きと共に何かしらの縁を感じた。「艸菴」の店主によると、川島豆腐店は「日本料理店 かわしま(→ その他日本の旨い店・佐賀県の頁を参照)」 も経営しており、朝8時から頂ける朝食も美味しいという話だ。また、下記アドレスからは豆腐の宅配購入も可能なので、興味のある方は一度試してみてほしい。
http://www.zarudoufu.co.jp/index.html
 「鮨処 つく田」は遠くから見ても全く目立たないが、数軒並ぶ魚屋と向かいにある地酒「サンタマキ」を目印にすれば分かる。暖簾をくぐると白木のカウンターが目に付く。席数は僅か7席だけの小さな店である。迎える店主・松尾さんの醸し出す凛とした雰囲気は、名店であることを感じさせる。“つまんでから寿司を”とお願いする。つまみはかなり美味しい。佐賀県産の魚貝が中心であるが、北海道のものもちらほら見受けられる。聞けば、年に一度北海道まで出張寿司に行くらしく、北海道を旅行がてら美味しいネタを見つけては仕入れているのだそうだ。この日、つまみに出てきた中で特に美味しかったのは、「蒸しホタテのアスパラソース」と「ごまさば」。「蒸しホタテのアスパラソース」は、北海道素材にイタリアンテイストを加えたような料理で、日本料理店でも十分出せそうな逸品である。「ごまさば」は福岡県民のソウルフードとして知られ、鯖の刺身とすりゴマ、濃口醤油、酒、みりんを和えて作る博多の郷土料理である。この店の「ごまさば」は五島列島産の真鯖を使用しているそうだが、福岡県のすぐ隣にあるここ佐賀県でも好んで食べられているようだ。寿司はシャリもネタのしめ加減も申し分ない。握り方はシャリを丸め込むように握る独特の握り方だ。対馬の穴子は全く臭みがなくトロける美味しさで、この店の名物とも言える「唐津の赤ウニ巻き」も旨かった。特に、11月から春にかけての赤ウニのない季節には、ムラサキウニの「新ウニ」を使うそうで、これはこの地方独特らしく、小ぶりながらも最高に美味しいらしい。また、五島産の鯖もしめ方が絶妙で弾力もあり、酢飯との相性も最高だった。 (2012年10月追加)

唐津市中町1879-1  
電話番号:0955-74-6665
定休日:月曜 
営業時間:12時~14時、18時~22時(火曜は夜だけの営業) 
予算:寿司のみお任せ(昼)4200円、(夜)6300円、つまみと寿司で12000円~くらいが目安 
アクセス:唐津駅を出て右側にウニのオブジェの間の通りを進む。「松浦運輸」の前を通り、正面に「呉服町」、右に「KYOMACHI」商店街のアーケードが見えるので、「KYOMACHI」側へ進む。「川島豆腐店」を過ぎ、次の角(創作イタリアンある)を左折すると、右側に鮮魚店が並んでいるのでその並び。唐津駅から徒歩4分。 
最寄りのランドマーク:川島豆腐店、サンタマキ