金澤 せつ理
店主の河田康夫さんは、金沢を代表する名料亭「つる幸」の二代目。大阪の「味吉兆」で修行し、若干28歳で「料理の鉄人」のアンコウ対決で道場六三郎氏と対戦。さらには、「情熱大陸」にも出演したという地元金沢では名の知れた料理人である。ところが、有名フレンチシェフである三国清三さんと同じく、目の前の客の反応を見ながら料理を提供したいという思いが募り、2018年に「つる幸」を閉め、2019年ついにこの店をオープンさせた。
入口を入ると、カウンター席が6席と4名用の個室が1つだけの小さな店。カウンター正面には、現代の借景窓なのか?四季の金沢の風景を映し出すモニターがある。
料理は18時半からの一斉スタート。吉兆系なので、まずは「おしるし(日本酒)」からいただく。酒は新潟県佐渡島の「北雪」。ドリンクメニューにもWEBページにも英語表記があるところをみると、インバウンド客も多いのかもしれない。アルコールは日本酒がメインで、ワインの種類こそ少ないが、ケンゾーエステートのワインもあった。
この日は12月の雪の中での訪問であったので、コウバコガニ(ズワイガニのメス)やズワイガニ(オス)を堪能できるコースだった。料理はどれも一級品の素材を用い、吉兆系らしさも随所に感じられる素晴らしい内容だった。金沢を訪れたときには、また是非訪れてみたいと思える日本料理店である。(2024年8月追加)
https://kanazawa-seturi.com
金沢市高岡町4−5
電話番号:076-264-2375
定休日:日曜(不定休あり)
営業時間:18時半からの一斉スタート
予算:お任せコース20000円 〜(完全予約制で、値段は季節の素材によって異なる)
アクセス:JR金沢駅から金沢駅通りを通り、近江町市場を目指す。近江町市場と金沢エムザ前を過ぎ、「御宿 野乃」や「セブンイレブン」がある上堤町交差点を右折すると左側にある。JR金沢駅から徒歩12分
最寄りのランドマーク:近江町市場、金沢エムザ、上堤町交差点
お勧めポイント:金沢を代表する日本料理店
目立たないこの建物のようです
入口を入ると・・・
カウンター席が6席と4名用の個室が1つだけの小さな店。カウンター正面には、現代の借景窓なのか?四季の金沢の風景を映し出すモニターがある
店主お勧めのドリンク。ワインの種類こそ少ないが、ケンゾーエステートのワインもある
ドリンクメニュー2
ドリンクメニュー3
コースがスタート。この日は12月の雪の中での訪問であったので、コウバコガニ(ズワイガニのメス)やズワイガニ(オス)を堪能できるコース
吉兆系なので、まずは「おしるし(日本酒)」からいただく。酒は新潟県佐渡島の「北雪」
一品目は「コウバコガニのカニ面の餡がけ」。酢の効いた餡はコウバコガニとの相性がとても良いが、生ウニがコウバコガニの味わいを邪魔している
二品目は「飯蒸し」。餅米を蒸したものに、富山の白エビとタラコがのっているが、両者は意外にも合う
三品目は「カラスミのシャーベットと茶碗蒸し」
軽く混ぜていただく。茶碗蒸しは、鱈のような白身魚やチーズが入っていて濃厚。フレンチと言っても通用するくらいのフュージョン料理
四品目のお椀は「ズワイガニと湯葉の真丈」。石川県産「のと115椎茸」が入っている。出汁の引き方は吉兆系にしては弱めだが、余韻が長く味わい深い
五品目は「お造り」。手前から甘エビ、スルメイカ、白ソイ。輪島で獲れたという白ソイはスダチを絞っていただく。弾力があって味わい深く、熟成させているだけあってアミノ酸も感じる。北海道の真ゾイでは体感したことがない味
六品目は「2つめのお造り」。手前がバイ貝で奥が燻したサワラ。バイ貝は身が厚くて甘みある。燻したサワラはほぼマグロ色だったが、身の食感は確かにサワラだ。燻しているので、そのまま食べるよりも旨みが増している
七品目は「能登牛のシャトーブリアンの揚げ物」。衣は硬くクリスピーだが、肉は柔らかで、しっかりと味が付いている。そのまま食べるよりもレモンを絞った方が味の輪郭がハッキリする
八品目は「能登のノドグロと寒鰤のしゃぶしゃぶ」。ちり酢(ポン酢醤油)でいただく
目の前の鍋で、店主が素材をしゃぶしゃぶにしてくれる。春菊と大黒シメジ、レッドオニオンなどが入っており、レアな火の通しが最高に旨い
最後の締めのご飯は・・・
銅鍋の釜で炊いた「コウバコガニと舞茸のご飯」
炊き方もコウバコガニの深い味わいも申し分ない。思わず、おかわりをしてしまったほど美味しい。エノキの味噌汁と香の物は糠漬け、
水菓子は「イチゴとデコポン、洋梨レクチェのフルーツのグラタン」。和食店とは思えないくらい味に柔軟性があって美味しい。アングレーズソースにゴマの風味が加わったような独特な美味しさ