3.神戸餃子、豚まん

神戸餃子の特長は、何と言っても味噌だれを使用すること。これは、南京町にある「元祖ぎょうざ苑」の店主が考案したものらしい。また、京都、大阪、博多餃子ほどではないが、やや小ぶりで薄皮である点も神戸餃子に共通している。しかし、美味しい店でも焼き方が浅かったり焼きすぎたりしていて技術的なムラがあり、残念ながら総合的にみて全国レベルには達していない。「豚まん」とは肉まんのことで、南京町の「老祥記」が元祖である。こちらの方は相当レベルが高く、特に「老祥記」と「曹家包子館」は頭1つ抜きん出ている。

老祥記、曹家包子館

 「老祥記」は、中国天津地方の「天津包子」というミニ豚まんを販売している。南京町広場の前にあり、昼食時はかなりの行列を覚悟しなければならない。行列を避けるには、開店直前か16時過ぎがいい。広場をはさんで向かい合っている「曹家包子館」の方は空いているが、実はこちらも老祥記が経営していることは意外と知られていない。「老祥記」は葱入りのシンプルな豚まんを、「曹家包子館」は椎茸入りの豚まんをそれぞれ販売している。まずは老祥記で食べ、後で向かいの「曹家包子館」で食べ比べてみるのがお勧め。どちらの豚まんも餡の豚肉が醤油でしっかりと味付けされているため、幾らでも食べられる。まずはそのまま食べ、少し飽きたら辛子をつけて食べよう。行列時には店内で食べるのを諦め、テイクアウトして店の前の広場で食べるといい。なお、元町アーケード5丁目に「元祖豚饅頭 老祥紀」という名前の類似した別の店があるので注意。

●曹家包子館
神戸市中央区元町通1-3-7  
電話:078-331-7726
定休日:火曜日(祝日の場合翌日)
営業時間:10時~18時半(売り切れまで)
予算:椎茸豚肉包2個180円
アクセス:JR元町駅東口を大丸デパート方面(南側)に向かい、東急ビズフォードホテルの横が南京町の入り口。南京町の中央の広場前にある。JR元町駅東口より徒歩数分、阪急三宮駅西口より徒歩10分。

●老祥記

●曹家包子館

三宮一貫楼

 ガラス越しに豚まんを作っている職人の様子を見ることができる。餡は淡路産玉葱を多めに使用しているせいか幾分甘く感じる。餡と皮のバランスは、通常の豚まんよりミニ豚まんの方がいい。外にテーブルがあり、その場で立ち食いすることができる。豚まんはそのまま食べてもいいが、マスタード(辛子)を塗り、さらにウスターソースをかけて食べるのが神戸流だ。JR三宮駅構内にテイクアウト専門店もあるが、やはり出来たてをその場で食べたい。

神戸市中央区三宮町3-9-9  
電話:078-331-1974
定休日:不定休
営業時間:10時半~22時
予算:ミニ豚まん(5個)500円
アクセス:JR元町駅東口の交差点を渡って左「三宮センター街」の入り口の角。JR元町駅東口より徒歩2分、阪急三宮駅西口より徒歩6分。

四興樓

 創業60周年を迎えたJR元町駅前の中華料理店。ここの名物の豚まんは、通常の豚まんと日替わりの豚まん(この日は叉焼豚まん)とがある。通常の豚まんは皮の生地がやや粗めだが、餡は玉葱と豚肉のバランスがとても良く、甘さが抑えられて美味しい。マスタード(辛子)を塗り、ウスターソースをつける神戸流で食べると二度美味しい。

神戸市中央区元町通2丁目9-1  
 元町プラザビル1階
電話:078-331-0783
定休日:水曜日
営業時間:10時半~20時半
予算:豚まん(2個)360円
アクセス:JR元町駅の南(海側)向かい。JR元町駅東口より徒歩1分、阪急三宮駅西口より徒歩7分。

春陽軒

 神戸では珍しい味噌味の豚まん。元町にもかつて暖簾分けした同名の店があるが、こちらの方は豚まんはやっていない。店内では、1個から食べることが出来る。餡はジューシー感がなく、味噌による苦みが後を引くため、そのまま食べてもパッとしない。しかし、ウスターソースにつけて食べると俄然旨みがアップする。店内には薬味として他に辛子と味噌が置いてあるが、ウスターソース単独で食べるのが最も美味しく、ビールとの相性も絶妙。また、この店の豚まんの皮は、食感がとてもモチモチしていて、恐らく皮の美味しさなら神戸一だろう。しかし、わざわざこのためだけに新開地に行くほどのものではなく、昼に中華広東料理「えん」に行った帰りにでも寄ってみては。

神戸市兵庫区新開地2-7-5  
電話:078-575-0078
定休日:日曜日
営業時間:10時半~豚まん売り切れまで(15時頃にはなくなることも。要確認)
予算:豚まん100円
アクセス:地下鉄湊川公園駅の西出口2を出て、信号を渡って右折。鰻の「かもじま」を過ぎると賃貸の「ワークショップ」が見えるので、角を左折し、中国広東料理「えん」を右折。パチンコ「METRO WORLD」のすぐ隣り。徒歩5分。阪急三宮駅よりタクシーで1700円くらい 。

瓢たん(ひょうたん)三宮店

 阪急三宮駅西口高架下にあり、いつも賑わっている餃子専門店。瓢たんは全部で3店舗あり、本店はJR元町駅東口前の通りを挟んで海側にある屋台のような小さな店。深夜まで営業している北野坂店は比較的空いているが、焼き方がいまいちでお勧めできない。この三宮店は大衆酒場風で雰囲気はそれほど良くないが、焼き方が良くジューシーでお勧め。餡は豚肉とキャベツ、葱、ニンニクなどが入っているサッパリめの餃子。この店の肉入り赤味噌ダレは、豆鼓や腐乳のような深みがあり、今回取材した中で最も良くできていた。ちなみに生餃子は冷凍で宅配もしてくれる。

神戸市中央区北長狭通1-31-37  
電話:078-331-1354
定休日:第4月曜日(月曜日が祝日の場合翌日)、第2日曜
予算:餃子(7個)370円 
営業時間:平日11時半~14時半、17時~22時半、土日祝日11時半~22時半
アクセス:阪急三宮駅西口を出てマクドナルド横の高架下を進む。徒歩1分。

赤萬餃子 三宮店

 本店はJR元町駅東口前の通りを挟んで海側にある。ちょうど「瓢たん」本店の西裏にあたる。しかし、行くなら三宮店の方がきれいでお勧め。小ぶりな餃子は、餡のキャベツがかなり細かく刻まれ、水分を絞っているせいかジューシーさは全くなく、サッパリとした宇都宮餃子に近いイメージ。ガスの炎の位置が関係していそうだが、餃子の焼かれる列によって焼きムラがある。白味噌ベースの味噌ダレは、後味が少し苦いが、ラー油入り酢醤油と一緒に食べると全く気にならない。

神戸市中央区北長狭通2-2-1  
電話:078-331-0831
定休日:水曜日
営業時間:13時~21時
予算:餃子(7個)280円(1人二人前から)
アクセス:阪急三宮駅西口を出て、角の鯛焼き屋前の信号を西側に渡るとすぐ。阪急三宮駅西口より徒歩2分 。

ぎょうざ大学 元町店

 名前からして餃子専門店と思って入ったが、実はラーメン店。しかし、客のほとんどは餃子を注文していた。他の神戸の餃子店にも言えることだが、神戸の餃子店はなぜ綺麗な店が少ないのか?神戸のスイーツ店とは真逆なだけに、この点をいつも不思議に思う。カリッと焼かれた小ぶりな餃子は、皮がふやけて多少ブヨブヨしているがなかなか旨い。餡は細かく刻まれたキャベツがメインで、ニンニクの風味が効いている。味噌ダレは、味噌田楽のような甘めの白味噌で、生田神社近くの餃子専門店「古屋」(この店はピカピカで清潔)の味噌ダレに近い。

神戸市中央区元町通2-3-5  
電話:078-332-2233
定休日:月曜日
営業時間:12時~21時半、12時~19時半(日曜、祝日)
予算:焼餃子(7個)250円
アクセス:JR元町駅東口を大丸デパート方面(南側)に向かい、東急ビズフォードホテルの横の南京町入り口から入り、直進する。「福龍菜館」前のT字路を元町アーケード側に曲がるとすぐ。JR元町駅東口より徒歩数分、阪急三宮駅西口より徒歩10分

元祖ぎょうざ苑

 昭和21年創業の南京町の中華料理店。混んでくるとタバコの煙が立ちこめる店内は決して居心地は良くない。この店は「神戸スタイル」と言われる味噌ダレを始めた元祖として有名。味噌ダレは、ラー油入り酢醤油に溶かして食べるようなのだが、僕的には溶かさず直づけしたうえで、ラー油入り酢醤油に浸して食べる方が好み。しかし、僕のお勧めは餃子ではなく、実は「ジャジャ麺」。伊勢うどんのように腰のない平打ち麺と、その上にのったピリ辛の肉味噌が実によく合う。肉味噌は、よくある甜麺醤ベースの甘いものではなく、独特の香りで深い味が後を引く。また、茹でキャベツや茹でモヤシたち脇役陣も、シャキシャキとしたいいコントラストを演出している。

神戸市中央区栄町通2-8-11  
電話:078-331-4096
定休日:月曜日
営業時間:11時45分~15時、17時~20時半
予算:焼餃子420円、水餃子420円、ジャジャ麺630円
アクセス:JR元町駅東口を大丸デパート方面(南側)に向かい、東急ビズフォードホテルの横の南京町入り口を入り、直進して左側。JR元町駅東口より徒歩数分、阪急三宮駅西口より徒歩10分。