10.フレンチ、イタリアン

カセント

 ミシュランガイド関西3つ星、食べログ4.34(2015年6月現在)という日本最高レベルの評価を受けている有名スペイン料理店である。僕もかつて神戸グルメバイブル取材中にずっと行ってみたくて何度も予約をトライしてみたが取ることができず、今回、釣り友達である田村先生に招待していただき、やっと念願を実現することができた。
 店舗はマンションの1階奥にある(手前にある店は別な飲食店)。ガラス越しに外から調理場が見えるのは、東京のモダンスパニッシュ 「サンパウ(→ 銀座グルメバイブル・スペイン料理の頁を参照)」 と同じ。店内に入ると一見コンクリートの打ちっ放しのようなモノトーンに見えるが、所々に明るめの木が効果的に使われており、ナチュラルテイストのハイセンスなインテリアが何ともいい感じだ。
 この店の料理は、スペインにあった伝説のレストラン「エル・ブジ」を彷彿させるサプライズを意識した少量多皿料理である。サプライズ感は十分満たされるものの、それを意識しすぎるあまり、味に関しては決して満足できるレベルではなかった。サプライズだけで十分という客はそれでも良いかと思うが、サプライズより、もっと素材の本質を引き出した料理を味わいたいというのが僕の率直な意見だ。別な言い方をすれば、和を意識し過ぎるあまりミスマッチなものも幾つか見受けられ、何料理なのか?アイデンティティを失ってしまっているのである。
 コースはランチ、ディナーともお任せの1コースのみで、ミシュラン3つ星店としてはコスパが良く、品数も含めてとても華やかである。料理の味だけなら1.5つ星、コスパやサービス、雰囲気などを含めると2つ星評価となる。ちなみに、プライバシーに配慮して室内空間の撮影は禁止であるが、料理の撮影だけはOKである。また、ランチタイムにはクレジットカードが使えないのでご注意を。(2015年6月追加)

神戸市中央区中山手通4-16-14  
電話番号:078-272-6882
定休日:月曜、第3火曜
営業時間:12時~13時、18時~20時
予算:【ランチ】8800円、【ディナー】15000円
アクセス:地下鉄西神・山手線・県庁前駅西2出口を出て信号を左折し、県庁横を通って坂を上って山側へ向かう。「県庁前交差点」を過ぎ、次の「相楽園」角の信号を右折する。一方通行の道を進み、進入禁止である3つめの交差点を左折する。茶色い「ひょうご共済会館」を過ぎた細い道を右折すると、マンションの1階にある。県庁前駅から徒歩10分
最寄りのランドマーク:ひょうご共済会館、神港高等学校
お勧めポイント:伝説のモダンスパニッシュ・レストラン「エル・ブジ」を彷彿させるレストラン

この通り側の店は別な店です

奥にあるこちらがカセント

キッチンは全面ガラス張りとなっていて、外から見えます

中での店内撮影はできないので、外から撮るとこんな感じです

最初の一皿はカニのジュレだが、思ったほど味が洗練されていない

なんと粕汁。これは和食?

このフルーティーな牡蠣料理も特に僕の琴線に触れない

雲子(真鱈の白子)のフリットと蕪の組み合わせは美味しい

タパスのような美しいオードブルの数々は華やかで心躍る

ワインビネガーで締めたシメサバは言われなければ、シメサバ(きずし)そのもの

このオイル漬けアンチョビはかなりいける

これは日本の巻き寿司を意識したイクラのコルネは旨い

焼き鯖はトロッと脂がのっていて、焦げ目の苦みとベストマッチ

コリアンダー風味のカルパッチョ

フランス料理で言うブータンノワール。しかし、豚の血でなく鴨の血を使ったソーセージなのだ

自家製パン

フォアグラの表面をパリッとグリルしたもの。下に黒砂糖で作ったメレンゲがひいてあり、そのコントラストが抜群に良かった

下に温野菜、上に生野菜をのせたサラダ

チーズ風味のドレッシングだったかなあ。良く憶えてません

マナガツオのグリルはとてもシンプルで美味しい

何とか鴨のローストトリュフ添え

ロブスターなど甲殻類のリゾットはくどすぎてイマイチ

取材したのは昨年の秋だったので、デザートは旬の栗のプリン。これは美味しい

カボチャのムースを焼いたようなものと、バニラアイス

エスプレッソは香り高くハイレベル

Parrilla 薪焼きレストラン ヌーダ Nuda

 神戸で人気の薪焼きレストラン。天井が高くロフト風の店内にはレゲエ風の音楽が流れ、カジュアルな雰囲気ながらシックで素敵だ。しかし、せっかくの良い雰囲気の店内の壁には、何やらベタベタとカードが貼ってある。後でホームページを見てみると、来店した有名シェフやレストランの名刺らしい。まるでラーメン店の有名人のサイン色紙のようで、これだけは頂けない。サービスは少し硬いものの、十分合格点の好印象。店名の“ Nuda”とは裸という意味で、素材の持つ旨味やアクを包み隠さず丸裸にしたシンプルなスタイルの料理を出すことから名付けられたらしい。料理は1コースのみで、料理9品とデザート2品の計11品で構成される少量多皿のコース。料理の素材はどれも鮮度抜群で、無農薬野菜を使用したりするなどのこだわりも見られる。コースの前半は、「焼き枝豆」、「レアなあぐー豚のチョリソ載せカナッペ風」、「モンサンミッシェルのムール貝とニンジンスープ」、「サワラの薪焼きをレアの状態で」など、素材の組み合わせや調理法にサプライズ感があってとても良かった。しかし、後半になると一変して、何故かどれも火を通して塩味だけという非常に単調な料理となってしまい、テンションが下がってしまう。しかも、塩味が一定していないというおまけ付き。これなら別に塩を添えるなどの改善が必要だ。後半がストイックなまでにこのパターンだと、素材の魅力を引き出す以前に客は飽きてしまう。もしも、前半のパターンが後半も持続していたなら、最高評価だっただけ非常に残念。また、出来るだけ安く料理を提供したいという店のポリシーがあるため、カードは使えない。さらに、当日キャンセルに対してはキャンセル料が発生し、写真撮影も禁止なのでご注意を。(2012年11月追加)

中央区元町通3丁目14-5  
電話番号:078-335-1077
定休日:水曜 
営業時間:12時~13時、18時~20時半 
予算:昼夜コース8660円 
アクセス:JR元町駅東口を出て、南側(海側)へ信号を渡る。渡ってすぐ右へ進み、「上島珈琲店」、「神戸プラザホテル」、「JRAのWINDS」を過ぎ、タワーパーキングを過ぎた2つ目の角を左折するとすぐ左側。JR元町駅より徒歩3分。 
最寄りのランドマーク:JRAのWINDS

お勧めポイント:素材の魅力を引き出すのがコンセプトの薪焼き料理店

パトゥ Patous

 札幌、東京の「コート・ドール」出身のシェフ山口さんが料理を担当し、シニアソムリエの太田さんがサービスを担当している。特筆すべきはシーフード料理で、素材の使い方、火の通し方、塩加減とも素晴らしく、全ての料理にシェフのセンスを感じる。札幌や東京三田コート・ドール本店を含め、コート・ドール出身のシェフの店をいろいろ食べたが、この店こそ全国コート・ドール系フレンチのナンバーワンだと思う。文句なく2つ星だ。

神戸市中央区下山手通3-5-10  
電話:078-392-8216
定休日:火曜日
営業時間:11時半~14時、18時~21時
予算:ランチコース3500円と4500円、ディナー5500円~(税サ別) 
アクセス:阪急三宮駅西口からトア・ロードへ向かい、山側へ登ってNHKの交差点を左折し、すぐ左。阪急三宮駅西口より徒歩10分。

御影 ジュエンヌ

 テーブル8席、カウンター8席の狭い店だが、オープンキッチンになっているためか、それを感じさせない。料理人から客の様子が見えるため、次の料理がとてもタイミング良く出される。どの皿もとても素晴らしく、神戸フレンチの奥深さを感じさせてくれる。特に、この店のスペシャリティともいえる前菜「全国各地よりの有機野菜畑のサラダ」は、彩りだけでなく、海の幸と香草やビネガーの組み合わせが絶妙に計算され尽くしており、野菜嫌いの人でもきっと気に入るはず。前菜から3品出されるデザートに至るまで、トコトン魅せてくれる。ランチタイムのみサービス料をとらないせいか、カードは使えないので注意。人気店なので、予約はかなり難しい。

神戸市東灘区御影3-1-4  
Mパレ御影1階
電話:078-854-4393
定休日:日曜日(月1回不定休)
営業時間:12時~14時、18時~20時
予算:ランチコース4500円と6500円(税サ込み)、ディナー10000円(税込み、サ別5%)
アクセス:阪急御影駅南口を右に出てサンクス前を通り、遠くに見えるタワーマンションに向かって下る。広い通りに出て右折し、「LIFE」前を通って西に向かう。3つ目の信号を過ぎ、右側のクリーニング「DAITOKU」の隣り。阪急御影駅(阪急三宮駅から4つめ、10分)より徒歩10分。

メゾン・ド・ジル芦屋
     Maison de Gill Ashiy

 芦屋川沿いに佇む一軒屋。そこに、仏ノルマンディ地方でミシュラン2つ星を獲得し続ける「Gill」の海外初出店のレストランがある。大きな建物と広い庭、駐車場などから考えて、通常は結婚式などイベントをメインにしているのかもしれない。庭に面した窓から降り注ぐ日の光により、とても明るい店内は、テーブルスペースがゆったりとしている。基本的に個室はないが、大人数の場合、パーティションスペースを使用できる。料理はどれも洗練されていて美味しく、なかなかのハイレベルだ。但し、給仕長兼ソムリエの佐藤さん以外のサービススタッフが少なく、満席の場合どう対応するのか少し気になった。

芦屋市平田町1-3  
電話:0797-35-1919
定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)
営業時間: 11時半~14時、18時~21時
予算:ランチ3800円、5600円、7800円、12800円
アクセス:阪神芦屋駅(阪神三宮駅より特急で16分)南口を出て、右(南側)へ。左側の消防署の前を通り、歩道橋のある精道交差点の信号を南側へ渡る。ENEOSの前を通り、右(西側)の芦屋川を渡り、川沿いの道を左折してすぐの外壁で囲まれた建物。阪神芦屋駅南口より徒歩10分。

ル・ベナトン

 この店の魚料理は関西一と聞きつけ、訪れてみた。料理は全体的に塩味がしっかりしていて、ソースは軽め。特に火の通し方が素晴らしく、どの料理も素材の香りが上手く引き出されている。ディナーの6000円のプリフィクスコースは、アミューズ、前菜、魚料理、肉料理、チーズ、デザートのフルコースで、コストパフォーマンス抜群。テーブル間隔がやや狭い点やデザートが今一つな点など、決してパーフェクトとは言えないものの、淀みないサービス、シックなインテリアなど素晴らしい点も多く、いずれミシュランに掲載されてもおかしくない店。

西宮市寿町4-12  
電話:0798-37-2655
定休日:水曜日(毎月2回不定休)
営業時間: 12時~14時、18時~21時
予算: 昼は3500円、4800円、6000円。夜は6000円、8500円、12000円。
アクセス:阪急夙川(しゅくがわ)駅南口を出て斜め左側へ進み、最初の信号を南側へ渡る。信号を渡って左へ向かい、橋を通って信号を東側へ渡る。「賃貸住宅」、「沢田歯科」が入っているビルを右に見ながら進み、階段を下ると次の角。阪急夙川駅(JR三宮駅より特急で12分)南口より徒歩5分 。

ソン・フィルトル Sans Filtre

 オーナーの田中シェフとソムリエの奥さん2人でやっている小さなフレンチレストラン。店内に入ると、10席のカウンターとBoseのスピーカーシステムから流れる少し大きめのジャズの音色に、ジャズ喫茶?とビックリ。料理は、夜のメニューと昼のメニューは基本的に同じなので、昼のランチの方がお得(夜はオードブルが温と冷の2種になる)。サービス料は、昼が5%、夜が10%。全ての席がカウンターなので、1人飯にはうってつけの店。

神戸市中央区下山手通2-16-8  
 マンションマイウェイ1階
電話:078-392-6654
定休日:水曜日、第3火曜日
営業時間:12時~13時半、18時~21時
予算:ランチ2940円、4935円
アクセス:阪急三宮駅西口を出て、生田ロードを山側に進み、東急ハンズ交差点を左折。茶色の建物「the b kobe」西側を山側へ右折。「ホテル モントレ神戸」前を過ぎた次の右側茶色いマンション1階。阪急三宮駅西口より徒歩で4分、JR元町駅東口より徒歩6分 。

ギュール gueule

 ビストロとは名乗っていないが、ビストロと言ってもいいようなレストラン。テーブル間隔は狭く、決して快適な空間ではない。しかし、シェフはかなり研究熱心な方らしく、季節のいろいろ素材を緻密に組み合わせたサプライズな料理を供してくれる。ディナーでは、最初に4皿の小さな前菜が続くが、これがまた面白い。飛び抜けて美味しい料理こそなかったが、値段を考えれば十分合格点を与えられる。ディナーもランチもフルコースが絶対お得。カードは使えないので注意。

神戸市東灘区岡本1-11-21  
 グレイス岡本ビル2階
電話:078-453-6210
定休日:水曜日
営業時間:11時半~14時半、18時~22時
予算:ランチ:A2370円、B3680円、フルコース5800円。ディナー:お魚のコース5800円、お肉のコース6000円、フルコース6500円
アクセス:阪急岡本駅を出てすぐ右側の「コープ岡本」の横の道を進み、 「笑笑」が見えたらすぐ左。1階がヘアーメイクFresa。阪急岡本駅(阪急三宮駅から特急で7分)から徒歩3分。

ラッフィナート

 六甲道から芦屋にかけて広がる住宅街には、神戸のA級美食店がひしめいている。若きオーナーシェフ・小阪さんの作る料理は、素材の素晴らしさはもとより、火の通し方や塩味に全くブレがない。美味しいを通り越して芸術的でさえある。これだけのリストランテは、ミシュランガイドが発売されている東京、大阪、京都でもなかなかお目にかかれない。サービス陣も素晴らしく、もしもミシュラン兵庫版ができれば、2つ星は間違いないと思う。料理がとても素晴らしいだけに、デザートは多少見劣りするが、エスプレッソは香り高い素晴らしいものだった。

芦屋市親王塚町13-15  
岸の里ビル2階
電話:0797-35-3444
定休日:火曜日(祝日の場合は翌日)
営業時間: 11時~13時半、17時半~21時
予算:ランチ4200円と6825円
アクセス:JR芦屋駅北出口を出て、高架橋を通ってラポルテ北館へ。その階

バレンシア レストラン 
   Balencia Restaurante

 

 日本眼科手術学会の会長招待宴で行ったことのある「北野クラブ」内にあると聞いて、ゴージャスでフォーマルなリストランテをイメージして訪れた。しかし行ってみると、カップルの多いカジュアルなレストラン。北野クラブは高台にあるため、夜景などの眺めを期待して訪れるのだろうか。ところが、実際は木々が邪魔し、街の眺めはさほど良くない。料理は手堅いとでも言おうか、サプライズ的な味こそないが、平均的に美味しい。しかし、料理に比べ、デザートはかなり見劣りする。入口にペアのソファーシートがあるので、カップルや1人飯の場合にはそこを予約しよう。

神戸市中央区北野町1-5-4  
 北野クラブsola luna棟2階
電話:078-241-9102
定休日:水曜日
営業時間:11時半~14時半、17時半~20時半
予算:ランチ2940、3990円、6300円、ディナー:5775円、7875円、11000円
アクセス:JR新神戸駅の近く。JR三宮駅よりタクシーで1000円前後。

トラットリア コチネッラ

 トラットリアと名乗っているとおり、居酒屋か大衆食堂のようなカジュアルな店内。前菜だけでワインを飲むも良し、パスタと生ビールだけでもいい。自由な形で利用すればいい、そんな雰囲気だ。金作シェフは、「ビランチャ 神戸店」の料理長を務めたこともあり、その腕は確か。特にスパイスや香草の使い方が絶妙で、唐辛子もイタリア産にこだわっているほど。パスタは秀逸。ワインはそれほど種類がないが、手頃な値段のものが揃っている。夜遅くまでやっていないが、バール感覚で使えるリーズナブルな店である。

神戸市中央区中山手通4-16-14  
電話:078-261-0025
定休日:水曜日
営業時間:12時~14時、18時~21時
予算:ランチコース3500円と4500円、ディナー5500円~(税サ別)
アクセス:JR元町駅東出口から鯉川筋を上がり、中山手通の信号を渡る。コープ山手の角を左に進んでラッセホールの前を過ぎ、次のCAFÉ MAの角を右折。上って、ひょうご共済会館を過ぎるとすぐ右。JR元町駅より徒歩10分。

ラ・フォーリア

 分かりにくいコンクリート打ちっ放しのビルの階段を上がると、そこにはカジュアルなイタリアンレストラン。料理は、パスタも肉料理もどれも美味しい。特に、肉料理の赤ワインとビネガーのバランスは絶妙で、料理人のセンスが感じられる。デザートは悪くなかったし、エスプレッソも香り高く最高だった。しかし、サービスを担当している給仕人が1人だけで、テーブルでの会計も出来ず、トータル的にはどうかと思ったが、今後この点が改善できれば良い店になると思ったのであえて掲載した。

芦屋市公光町9-3 izaビル3階  
電話:0797-23-8887
定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)
営業時間: 11時~14時半、17時半~21時半
予算:ランチ1365円、1890円、
      2940円、5040円、
   ディナー5460円、7350円
アクセス:阪神芦屋駅北口を出て、
 左(北側)へ。芦屋警察署の信号を右に
 曲がり、進むと藤原皮膚科や明石歯科の
 入っているビルの並び。
 阪神芦屋駅(阪神三宮駅より直通特急で