12.スイーツ、カフェ

神戸は有名和菓子店こそ少ないが、有名な洋菓子店、パン屋、コーヒー店などの本店が多い。ドンクやユーハイム、神戸風月堂、モロゾフ、シュークリームのHIROTA、アンリ・シャルパンティエ(芦屋)、UCC上島珈琲、ネスレ日本など、一度は聞いたことのあるビッグネームが目白押しだ。スイーツとカフェは、神戸を訪れたときには是非行ってみたいジャンルの1つ。

御影ダンケ 元町店

 「バターブレンドコーヒー」で有名な喫茶店である。そもそも「バターブレンドコーヒー」とは、「御影ダンケ 本店」を経営している弟さんが開発したもの。複数のコーヒー豆をブレンドし、焙煎したばかりの熱々の豆が冷めないうちに、バターを絡ませて染みこませるという世界で唯一のオリジナルコーヒーなのである。そうすることでコーヒーの味がマイルドになるらしい。しかし、何度飲んでみてもバターの風味は全く感じられない。この元町店は、実兄である白髪のマスター・寺口さんが1人でやっている小さな店である。コーヒーは一杯毎に豆が挽かれ、ペーパードリップで直接カップに落とされる。最初は蒸らすために静かに注ぎ、その後コーヒーをかき混ぜるかのように、リズミカルに上下に揺らしながら注ぐ。そうすることで、挽かれたコーヒー豆の細粒は、ペーパーフィルターの中でふっくらと盛り上がる。ややハイローストで香り高いコーヒーは、酸味、苦み、香り全てに出過ぎた感じがなく、絶妙なバランスで美味しい。とても円やかで、いくらでも飲める感じだ。この繊細さを味わうには、是非ともブラックで頂きたいところ。しかしながら、これだけ繊細なコーヒーを出しているにも関わらず、店内は禁煙でない。なので、その分星一つ評価を落とさざる得なかった。ちなみに、よく雑誌で紹介されている「コーヒーゼリー」は、特に特徴はなく、食感も含めてあまりお勧めではない。また、「バターブレンドコーヒー」は、店頭での購入が可能である。 (2012年12月更新)

神戸市中央区下山手通3-6-7  
電話:078-331-0021 
定休日:水曜 
営業時間:12時~22時 
予算:バターブレンドコーヒー550円 
アクセス:JR元町駅東口より鯉川筋を上り、鳩時計専門店「ヴァルト」を過ぎてすぐ。阪急三宮駅西口より徒歩10分、JR元町駅東口より3分。 
最寄りのランドマーク:JR元町駅、鯉川筋 
お勧めポイント:バターを染みこませる世界で唯一のオリジナルコーヒー

ラヴニュー L’AVENUE

 オーナーシェフの平井さんは、ワールドチョコレートマスターの称号を持つショコラティエ。そして、グランドハイアット東京のペイストリー料理長を務めた人物。なので、チョコレート類はもちろん美味しいが、チョコレートケーキなどのケーキ類はさらにお勧め。僕の一押しは、お店で2番人気の「リーム」。シットリとして瑞々しく、繊細なチョコレートムースとベースの生地のカリカリッとしたコントラストが最高。1番人気の「モード」は、平井さんが世界大会で優勝したときの作品で、ナッツとプラムがアクセントになった層状のチョコレートケーキ。不思議な食感と複雑なテイストがして、これもなかなか美味しい。もう一つのお勧めは「レディ」で、苺とマスカルポーネのティラミス風のムースケーキである。優しいマスカルポーネの食感と苺の酸味がいい。世界大会作品を含むチョコレートの「ボンボン・ショコラ」は、どれも甘すぎず個性があって美味しい。「アマンド・ショコラ」はアーモンドがカリッと香ばしく、コーティングされたチョコレートとベストッチ。「ケーク・マルブレ」は表面がサクッとしたチョコでコーティングされたマーブルケーキだが、また食べたくなるような深い味と香りがする。残念ながらイートインスペースはないが、まずは並びにある「カファレル北野本店(→ 神戸グルメバイブル・スイーツ、カフェの頁を参照)」のイートインで食べて、帰りにこの店のケーキとチョコをテイクアウトすれば、大満足すること間

神戸市中央区山本通3-7-3 ユートピア・トーア1階  
電話:078-252-0766
定休日:水曜日、火曜不定休
営業時間:10時~19時
予算:リーム525円、モード630円 
アクセス:トアロードを山側に向かい、「NHK神戸放送局」を過ぎ、「北野工房のまち」を過ぎた交差点角にピンクの「カファレル北野本店」が見えるので、左折するとすぐ右側。JR元町駅東口、阪急三宮駅西口より徒歩10分。 
最寄りのランドマーク:NHK神戸放送局、北野工房のまち、カファレル北野本店
お勧めポイント:ワールドチョコレートマスターの作るケーキとチョコレート

カファレル 北野本店

 今回取材した神戸スイーツで断トツのナンバーワンだった店。それは、全国スイーツ・ベスト10に入れても良いのではと思うほど洗練された味わい。実は、カファレル社は1829年にイタリア・トリノで生まれたチョコレート店。
 この店の名物チョコレート「ジャンドゥーヤ」の名を冠したケーキ「ジャンドゥーヤ」は、2層のチョコムースの中心にフランボワーズの入ったシンプルかつ重層感のある味わい。但し、限定商品なので、早めに行かなければ食べられないことも(神戸以外では、 東京駅エキナカGRANSTA(→ 銀座グルメバイブル・東京駅、日本橋周辺編を参照) で唯一購 入可能:こちらはテイクアウトのみなので限定ではない)。また、出来たてのエスプレッソをかけてバニラアイスとともに頂くイートイン専用の「ティラミス」は、まさに至福の大人のデザート!!ケーキによってテイクアウト用と店内用と供し方が異なるので、できるだけ店内で食べることをお勧めしたい。また、店内では、エスプレッソにジャンドゥーヤチョコが溶け込んだトリノの名物「ビチェリン」(夏はアイスも)を飲むことも出来る。
 オープン時に2テーブルしかなかったカフェはその後広くなり、並ばなくても入れるようになった。テイクアウトとしてお勧めなのが、「ジャンドゥーヤ・ロールケーキ」。フレッシュなチョコクリームと濃厚なチョコスポンジがマッチしていて、チョコロールケーキとしては日本一かも。蛇足ではあるが、お土産として買って帰ったジャンドゥーヤチョコの入りのフォンダンショコラ「カンバーナ」も、甘めながら好評であった。

神戸市中央区山本通3-7-29  
 TAIHOビル1階
電話:078-262-7850
定休日:水曜日
営業時間:11時~19時
予算:店内ケーキ(ジェラート付)1050円、ジャンドゥーヤ・ロールケーキ1260円、ビチェリン840円
アクセス:トアロードを山側に向かい、NHKを過ぎて次のファミリーマートの交差点角。JR元町駅東口、阪急三宮駅西口より徒歩10分。

神戸旧居留地 美侑

 小路の少し分かりにくい場所にあり、1階がショップ、2階がカフェとなっている。お勧めのケーキ「W」は、上層がレアチーズケーキ、下層がベイクドチーズケーキとなっていて、小樽ルタオの冷凍チーズケーキ「ドゥーブルフロマージュ」に似ている。それもそのはず。この店は、ルタオなど地域に根ざした菓子ブランドを全国展開している「寿スピリッツ」グループの店なのだ。恐らくWは、ドゥーブルフロマージュのオリジナルモデルと考えられる。Wは甘さが程良く、酸味が少ない分、添えられるフランボワーズソースをつけて食べてもまた美味しく、今回の取材で食べたケーキの中でも最高レベルの美味しさ。「栗・くりっ・くり」は丹波産栗のみで作ったモンブランで、お酒の効いたサバランのようなスポンジが土台となっている。

神戸市中央区三宮町2-9-3  
電話:078-392-3735
定休日:不定休
営業時間:10時半~20時
予算:W(ダブル)525円
アクセス:
①三宮側からだと、センタープラザとセンタープラザ西館の間にあるダイソー横の三宮本通に入り、元町側に向かって1本目を左折してすぐに右折。
②JR元町駅側からだと、まずは大丸デパート方面に向かい、豚まんの「三宮一貫楼」から三宮センター街のアーケードを抜け、トリコロールカラーのインテリア店が見えたら右に曲がり、サッカー専門店が見えたら左折して細い道に入るとすぐに見える。JR元町駅東口より徒歩数分、阪急三宮駅西口より徒歩7分 。

パティスリー プラン

 「カファレル」とともに、僕の考える兵庫ツートップのスイーツ店。カフェが併設されていないため、テイクアウトのみとなる。宿泊しているホテルの部屋か、持ち込めそうなカフェ(マクドナルドやスターバックスなど)で、是非一度食べてみてほしい。開店時間の午前10時には、既に10人前後の行列。このため、午前中に売り切れてしまうこともしばしばで、僕は2度も買うことができなかった。お勧めは、ムース類とチョコレートケーキ。ムース類は繊細で、まるではかなく消えてしまう泡雪のよう。このため、テイクアウトは2時間が限界で、これを過ぎると溶けて崩れてしまうかも。フリュイ・ルージュは、ラズベリーとパッションフルーツのムース。マドラスは、マスカルポーネと紅茶のムース。しかし、プリン(クレーム・ド・ヴェール)は硬めで、硬めが好きな方以外にはお勧めではない。チョコレートケーキ類はどれも美味しいが、シンプルさを味わうならガトーショコラ、重層感を味わうならショコラ・カライブがいい。タルト類は、使われている分厚いビスケットのような生地の好みが分かれると思う。マカロンは普通だった。

芦屋市茶屋之町3-3-101  
電話:0797-35-0466
定休日:月曜日、火曜日
営業時間: 10時~19時(売り切れ次第終了)
予算:ガトーショコラ350円、フリュイ・ルージュ、マドラス、ショコラ・カライブ450円 
アクセス:JR芦屋駅南出口を出てタクシー乗り場の前を通り、タバコ屋の角を左折して「茶屋之町北」交差点の信号を渡る。オープンテラスのあるイタリアンの並び。JR芦屋駅(JR三宮駅より新快速で7分)南出口より徒歩7分 。

ポッシュ・ドゥ・レーヴ Poche du Reve

 「プラン」と人気を二分する芦屋のスイーツ店。ケーキはムースをベースとしたものが多く、特にムース好きに人気がある。甘さは全体的にプランよりやや甘め。芦屋ひなぷりんは、ジャージー牛乳と有精卵を用いたプリンで、表面はしっかりしているのに下はトロトロ。ヨーグルトムースにブドウのジュレがかかったレザンは、食感が良く後味爽やか。しかし、プラン同様カフェスペースがないので、テイクアウトのみとなる。

芦屋市公光町9-7  
 モントルービル1階
電話:0797-32-0302
定休日:火曜日、水曜日
営業時間: 10時半~19時(売り切れ次第終了)
予算:ブラン450円、芦屋ひなぷりん250円
アクセス:阪神芦屋駅北出口を左に曲がって信号を渡り、「アンリ・シャンパルティエ芦屋本店

グラモウディーズ・神戸

 東京・赤坂のピエール・エルメでシェフパティシエを務めたマーク・グレイス氏が、2008年に神戸・岡本で開いた店。この店を一躍有名にしたマカロンは、本店の他、元町の大丸デパートの食品売り場で買う事が出来る。外がサクッとしていて中がフワッとした正にマカロンのお手本。マカロンの一押しはチーズケーキで、その他、ユズ、トウフなどもいい。岡本の本店にはカフェスペースもあり、マカロンの他、8種のケーキが食べられる。ケーキのお勧めはカシスジュレの酸味とサブレのサクサク感が特徴の「チーズケーキ」。その他「ミルフィーユ・バニーユ」や「マスカルポーネ・マンゴー」なども悪くない。紅茶はフランスのTHE O DORの葉を使用し、エスプレッソは6種の豆から選べる。

神戸市東灘区岡本1-4-22  
電話:078-436-8818
定休日:無休
営業時間:11時~21時
予算:マカロン210円、チーズケーキ683円
アクセス:
①阪急岡本駅(阪急三宮駅から特急で7分)を出て右側の道を進み、道なりにT字路を右折して「西崎眼科」を過ぎ、グルメシティの南向かい。
②JR摂津本山駅(JR三宮駅から普通で10分)北出口を出て信号を渡り、突き当たりを左折し、グルメシティの南向かい。徒歩数分。

パティスリー グレゴリー・コレ

 雑誌や本で非常に評価の高いフランス生まれのパティシエ グレゴリー・コレ氏の店。どのケーキも濃厚かつ甘いクラシカルな正統派テイスト。素材を生かした甘さが控えめのケーキを食べ慣れた僕にとっては、かなりヘビーに感じられた。評価の高いフィナンシエやボンボンショコラは敢えて声高に言うほどのものではなく、お土産としてのお勧めは、オレンジピールのチョコ「オランジェット」。ケーキのお勧めは、ヴェローナ社製最高級ミルクチョコレート・ジバララクテを使用した「ミルフィーユ・ジバラ」。見た目も非常に美しく、とてもスタイリッシュ。薄いチョコでサンドされたチョコムースの下に、ヘーゼルナッツのスポンジが敷かれ、面白い食感と濃厚なカカオの香りが感じられる。濃厚なものはちょっとという方には、レアチーズケーキのクレメ・タンジュやティラミス・ア・ラ・メゾンなどがいい。店にはカフェレストランがある。場所も元町アーケード3丁目にあるので、とても分かりやすい。

神戸市中央区元町通3-4-7  
電話:078-326-7511
定休日:水曜日
営業時間:10時半~19時半
予算:オランジェット1260円、ミルフィーユ・ジバラ630円
アクセス:JR元町駅東口より南の大丸デパート側へ向かい、元町アーケードの3丁目左側。JR元町駅東口より徒歩数分、阪急三宮駅西口より徒歩10分 。

  • 写真

ダニエル 御影本店、芦屋店

 阪急御影駅付近は、苺ショートケーキで有名な「御影 高杉」や「impression」などの人気店が目白押し。しかし、僕がショートケーキを食べるならダニエル。この店のショートケーキは、スポンジが繊細で、真ん中にカスタードクリームが入っている。ケーキはどれも甘みが抑えられており、チーズケーキ類以外はどれも美味しかった。お勧めはショートケーキの他、季節の「ブランマンジェ」、「ティラミス」、濃厚な「ムースオショコラ」など。御影本店にはカフェスペースがなく、テイクアウトのみだが、芦屋店は狭いながらもカフェスペースがあり、パンの種類も多い。

●本店

神戸市東灘区御影町郡家1-23-12  
電話:078-843-5020
定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)
営業時間:10時~19時
予算:ショートケーキ473円、栗のティラミス450円
アクセス:阪急御影駅南口を右に出てサンクス前を通り、遠くに見えるタワーマンションに向かって下る。広い通りに出て右折し、「LIFE」の南(海側)向かい。阪急御影駅(阪急三宮駅から4つめ、10分)より徒歩5分。


●芦屋店

芦屋市松ノ内町3-14  
電話:0797-21-3308
定休日、営業時間、予算:本店と同じ
アクセス:
①阪急芦屋川駅を出て右(海側)に川沿いを下り、2つめの橋を左に渡ってすぐの
 マンションの1階。阪急芦屋川駅(阪急三宮駅から6つめ、15分)より徒歩3分。
②R芦屋駅改札口を出て、右の北出口側へ向かい、すぐにマクドナルドと表示された
 左階段を下る。出口を出て左側に進み、芦屋川沿いの右のマンションの1階。
 JR芦屋駅(JR三宮駅より新快速で7分)より徒歩5分。

フロインドリーブ本店

 天井が高く美しい洋館風の建物。この建物は、実は古い教会を改装したもの。日本中探してもこのようなカフェは、ここ神戸だけにしかないだろう。2階のカフェで味わえる「オリジナル ローストビーフサンドイッチ」は、ローストしたライ麦パンにデミグラスソースとマスタードマヨネーズが塗られ、特製のローストビーフを挟んだクラブハウスサンド。食べ始めると止まらなくなるくらい美味しく、ボリュームも満点。ちなみに、お店のお勧めの有機栽培の珈琲は、香りがなくお勧めできない。お土産には素朴なクッキーがいい (→14.おみやげの頁参照) 

神戸市中央区生田町4-6-15  
電話:078-231-6051
定休日:水曜日
営業時間:10時~18時半(ショップは19時まで)
予算:オリジナル ローストビーフサンドイッチ1680円
アクセス:阪急三宮駅東口マクドナルドに面した広い通り(県道30号線)を山側のJR新神戸駅方面へ向かう。加納3丁目交差点の歩道橋を過ぎ、200~300m先のセブンイレブン交差点を右折してすぐ右。阪急三宮駅東口より徒歩15分。

菊水茶廊

 「菊水總本店」は、明治元年創業の老舗和菓子店。楠木正成を祀る「湊川神社」の正門前にあり、湊川神社・社殿建立の際、瓦を寄進する習わしにちなんで「瓦せんべい」を作り、一躍有名となった。一度は閉店したものの、現在は元従業員たちにより再開されている。「菊水茶廊」はこの店内にあり、様々な和のスイーツが味わえる。特に「菊水あんみつ」は、芳醇な丹波笹山産黒豆と香り高い北海道産十勝小豆を使用しており、程良い黒蜜の甘さとマッチして美味しい。

神戸市中央区多聞通3-3-15  
 菊水總本店内
電話:078-382-0080
定休日:無休
営業時間:9時~18時
予算:菊水あんみつ 840円、純水 自家製練乳いちご767円
アクセス:JR神戸駅中央口を出て左に向かい、タクシー乗り場の横を通って進む。信号を渡って左に向かい、角を右(北側)に曲がると湊川神社前の角。JR神戸駅(JR三宮駅から2つめ、4分)より徒歩3分。