「亀十」のどら焼き
北大眼科のホームページを担当してもらっている「AODグループ」CEO・西川さんからある日メールが届き、浅草「亀十」の「どら焼き」を取材したことがあるか?という。上野の「うさぎや」や日本橋の「うさぎや」は取材したことがあるが、「亀十」は食べたことがないと返信すると、近々送るので是非食べてみてほしいと。どうやら、東京支社近くにある彼の自宅が東京三大どら焼きの1つとして知られる「亀十」に近く、とても美味しかったので僕の感想を聞きたいとのこと。後日、医局宛に名物の「どら焼き」を含めた大量の「亀十」商品が届いた。
結論から先に言うと、僕のお勧めは「どら焼き」と「松風」、「さくら饅頭」の3つ。「どら焼き」は2つ星で、「松皮」と「さくら饅頭」はギリギリ1つ星といったところ。3つ星に至らなかった理由は、どの商品も少し甘すぎるということ。昔だったらこの甘さでも良かったかもしれないが、現代では甘すぎることでバランスを欠き、不完全さを感じてしまう。とは言っても、どら焼きとしては、間違いなくトップレベルであり、お勧めの東京土産である。
この店の「どら焼き」の最大の特徴は、餡を挟む生地にある。もう一つの東京三大どら焼きの「うさぎや」の生地が、オーソドックスな生地であるのに対し、この店のものは、どら焼きとは思えないフンワリ生地なのである。強火で短時間で焼いているのか?通常のものよりも含気率が高く、パンケーキのようにフンワリとしている。焼き色も強めで、香ばしいというよりも黒糖のような風味を感じさせ、何故か夜店のカステラのような懐かしささえ感じる。餡は「白あん」と「黒あん」の2種類があるが、僕のお勧めは「黒あん」。「黒あん」は通常の小豆の粒餡であるが、大納言小豆の力強さを感じさせ、築地「茂助団子(→ 銀座グルメバイブル・お土産の頁を参照)」の粒餡にも匹敵する素晴らしい餡である。これでもう少し甘みが抑えられていたなら、堂々の3つ星評価となっただろう。「白あん」は「黒あん」のような力強さこそないものの、漉し餡特有の滑らかで凜とした品格を感じる。
「松風」は、「どら焼き」の生地をさらにフックラ・シットリとさせた生地で餡を包んでいる。生地の気泡が大きく、柔らかくて黒糖の風味がかなり強い。なので、折角の粒餡の力強さも影を潜めてしまっているのがマイナスポイント。「さくら饅頭」は、皮がシットリ・ネットリとして、山芋でも入ってはいるのでは?と思うくらい粘り気がある。漉し餡は滑らかで、桜の香りと相まって美味しい。「笹団子」は、本場新潟のものに比べると粘り気が強く、しっかりとした食感がある。しかしながら、漉し餡が笹の香りに負けてしまっていて全く香らない。「亀十」商品の中で最も日持ちがする「カステラ」は、シットリとはしているものの、フンワリというよりもどっしりとした噛み応えがある。現代的なスポンジ生地ではなく、素朴な昭和のカステラといったところだ。「わらび餅」や「うすばかりんとう」に関しては、ごく普通のレベルのものだった。
ちなみに、西川さんによると、土日は行列ができて買うのに1時間以上並ばなければならないので、平日の開店前がお勧めとのこと(医局分を購入した日も、開店直後にかかわらず、店内で10人、店外で15人待ちの状態で、買えるまで30分程かかったという)。「亀十」は空港や駅、有名百貨店などにも常設店舗がなく、とくに「どら焼き」は、浅草でしか買えない東京の隠れた逸品である。(2021年10月追加)
台東区雷門2丁目18-11
電話番号:03-3841-2210
定休日:不定休
営業時間:10時〜19時
予算:どら焼き360円
アクセス:東武浅草駅、銀座線浅草駅から雷門を目指すと、雷門通り沿いにある(神谷バーと雷門の中間地点、雷門通りを挟んで向かい側)。
最寄りのランドマーク:神谷バー、浅草寺雷門
お勧めポイント:生地が絶妙に美味しい東京三大どら焼き
土日は行列ができて買うのに1時間以上並ばなければならないので、平日の開店前がお勧め。購入したこの日も、開店直後にかかわらず、店内で10人、店外で15人待ちの状態で、買えるまで30分程かかった ココです! レトロな店内はいつも混雑 これが「どら焼き」の包み 開けてみると、10個入り(黒あん5個、白餡5個) 金文字の包みが「黒あん」。もう一つの東京三大どら焼きの「うさぎや」の生地が、オーソドックスな生地であるのに対し、この店のものは、どら焼きとは思えないフンワリ生地なのである。強火で短時間で焼いているのか?通常のものよりも含気率が高く、パンケーキのようにフンワリとしている。焼き色も強めで、香ばしいというよりも黒糖のような風味を感じさせ、何故か夜店のカステラのような懐かしささえ感じる 通常の小豆の粒餡であるが、大納言小豆の力強さを感じさせ、築地「茂助団子」の粒餡にも匹敵する素晴らしい餡 白文字の包みが「白あん」 「黒あん」のような力強さこそないものの、漉し餡特有の滑らかで凜とした品格を感じる 「松風」 「どら焼き」の生地をさらにフックラ・シットリとさせた生地で餡を包んでいる。生地の気泡が大きく、柔らかくて黒糖の風味がかなり強い。なので、折角の粒餡の力強さも影を潜めてしまっているのがマイナスポイント 「さくら饅頭」 皮がシットリ・ネットリとして、山芋でも入ってはいるのでは?と思うくらい粘り気がある 漉し餡は滑らかで、桜の香りと相まって美味しい