2.日本料理、居酒屋、おでん

Kyobashi f

  「酛TOKYO(→ 銀座グルメバイブル・日本料理の頁を参照)」と同じファースト商事ホールディングスが運営する日本酒割烹の店。以前ここは「京橋もと(酛)」という店であったが、「京橋もと(酛)」が東京ミッドタウン八重洲へ移転し、「酛TOKYO」と名称変更したのに伴い、こちらも「Kyobashi f」と名を改めて再出発した。また、料理長に前料理長の上野さんを迎え、内装はそのままに今年の3月から営業をスタートした。料理はお任せのコース料理のみで、一緒に料理に合った料理長セレクトの日本酒が供される。
 店の外には看板はや暖簾などは一切なく、日本橋の擬宝珠をイメージしたアイコンのオブジェだけが目印である。重厚な扉を開けて店内に入ると、照明が落とされた店内にはジャズが流れ、以前と変わらぬオープンキッチンのカウンター席がある。この店は基本、料理長の上野さんが調理もサービスも全て一人で行っているため、一日1〜2組に人数制限をしている。どうしても9席が満席となったときには、グループ店からのヘルプを頼んでいるという。上野さんは未だ若いが料理センス抜群で、素晴らしい料理を次々と出してくれる。元々ワイン好きであった彼は、面接時には職場が日本酒の店だとは知らなかったらしいが、今は日本酒にハマっているという。日本酒のセンスもなかなか素晴らしく、以前から彼の料理ファンだという常連客が、今日も集まっていた。
 本日の1杯目は、福島県・峰の雪酒造の「大和屋善内 しぼりたて純米生原酒」。福島らしい重厚でフルーティーな酒だ。この酒を知らなかったとは、日本酒もまだまだ奥が深い。料理の1品目は、「ズワイガニの飯蒸し」。優しい味の餡がズワイガニの香りと甘みを引き立たせており、フキノトウの苦みがアクセントに。意外にも、2品目は「ベビーリーフのサラダ」。素揚げされた野菜とベースリーフとの相性が抜群で、ドレッシングに酸味がなく、日本料理店らしいサラダ。2杯目は茨城県の森島酒造の「森嶋 雄町純米大吟醸」。ラベルがアーティスティックで、味は微発泡ながらトロミがあり、滑らか。非常にまとまっており、香りも強くないので食中酒としてはいいかも。3品目は「初鰹の山ワサビ漬け」。鰹の脂こそ少ないが、漬けにしたことで鰹特有の鉄分と香りを強く感じられる。また、ワサビ葉の醤油漬けの辛味とミョウガのシャキシャキ感とも合う。4品目は「お造り(サヨリ、金目鯛、ヒラメ、イワシのなめろう)」には、ごま塩と醤油が添えられていた。どれも美味しかったが、酢で締めたイワシを使った「なめろう」が、日本酒との相性がベストだった。3杯目は福島の「飛露喜」の地元銘柄「泉川 うすにごり純米吟醸ふな口本生」。甘さがそれほどなく、トロミと厚みがあり、それでいて飛露喜らしく洗練された味がする。4杯目は「鳳凰美田 純米大吟醸」。何度も飲んだことがある酒だが、見事なバランスと純米らしい旨味がある。まさに、侍ジャパンの吉田正尚選手のような間違いの無い酒だ。5品目は「サワラの山椒焼き」。柔らかくとろけるようなサワラは、煮魚のような優しい味付け。これが、トロトロのバフンウニと絶妙に合う。山椒の葉と実のスパイシーな香り、甘く味付けされた菊芋のピューレ、葉ごぼうのシャキシャキ感、どれも欠かせないピースであり、全てが調和している。6品目は「ホタルイカと新筍の茶碗蒸し」。ホタルイカが入ったことで、茶碗蒸しとは思えないくらいのコクが出ている。新筍の香りも素晴らしい。5杯目は、十四代が作る山形の好適米・山酒四号を使った福島の「会津宮泉 純米吟醸・山酒四号うすにごり」。微発泡で柔らかな酸を感じ、バランス良し。7品目は「苺と金柑の白和え」。一見ミスマッチのようだが、意外にも美味しい。8品目は揚げ物三連発「トンカツ、フキノトウのコロッケ、トラフグの白子のおかき揚げ」。全てを塩でいただく。トンカツに塩はよくあるが、さらに山椒の葉とは意外である。しかし、このトンカツが一番印象に残った。6杯目は福島の「飛露喜 純米吟醸」。厚みがあってバランスが良く、まさに王道の酒。9品目は、料理長が初めて作ったという「和牛のハンバーグ 新玉ねぎソース」。サッパリとした和風ソースとウルイのネットリとしたシャキシャキ感が、粗挽きのミディアムレアなハンバーグにピッタリ!10品目となる締めのご飯は「ホタルイカと筍の土鍋ご飯」と「シジミの赤だし」、香の物。蒸らしは少し足りなかったが、旨味たっぷりで美味しい。山椒の葉の香りも良く、塩味もピッタリでお見事。久しぶりに、ご飯をおかわりしてしまった。デザートは特になく、これで終了となった。
 それにしても、美味しい食事とそれに合わせた最高の日本酒、そして店の雰囲気、この三拍子全てが揃っている店は、ありそうでなかなかない。近くにあれば毎週通いたくなるような店であり、日本酒好きには一度は訪れて欲しい店である。美味しい料理とアテでお腹一杯になること請け合いで、満足度120%となること間違いなし。(2023年4月追加)

中央区京橋2-6-13 イーストビル1階  
電話番号:03-3567-7888
定休日:日曜〜火曜、祝日(不定休あり)
営業時間:【水曜〜土曜】17時〜22時
予算: 12000円(コース+日本酒)
アクセス:東京メトロ銀座線・京橋駅6番出口を出て、次の角(レム東京京橋の横のセブンイレブン)を左折する。「天ぷら 深町」を過ぎ、宝くじ売り場の向かいのにある細い通り(エトワール画廊と日本橋焼餃子・極の間)を左折すると右側にある。京橋駅より徒歩2分
最寄りのランドマーク:レム東京京橋
お勧めポイント:日本酒好きには一度は訪れて欲しい店

宝くじ売り場の向かいのにある細い通り(エトワール画廊と日本橋焼餃子・極の間)を左折すると・・・ 奥の右側のココです 店の外には看板はや暖簾などは一切なく、日本橋の擬宝珠をイメージしたアイコンのオブジェだけが目印である 重厚な扉を開けて店内に入ると、更に扉がある。店内に入ると、照明が落とされた店内にはジャズが流れ、以前と変わらぬオープンキッチンのカウンター席がある 本日の1杯目は、福島県・峰の雪酒造の「大和屋善内 しぼりたて純米生原酒」。福島らしく重厚でフルーティーな酒だ。この酒を知らなかったとは、日本酒もまだまだ奥が深い 料理の1品目は、「ズワイガニの飯蒸し」。優しい味の餡がズワイガニの香りと甘みを引き立たせており、フキノトウの苦みがアクセントに 意外にも、2品目は「ベビーリーフのサラダ」。素揚げされた野菜とベースリーフとの相性が抜群で、ドレッシングに酸味がなく、日本料理店らしいサラダ 2杯目は茨城県の森島酒造の「森嶋 雄町純米大吟醸」。ラベルがアーティスティックで、味は微発泡ながらトロミがあり、滑らか。非常にまとまっており、香りも強くないので食中酒としてはいいかも 3品目は「初鰹の山ワサビ漬け」。鰹の脂こそ少ないが、漬けにしたことで鰹特有の鉄分と香りを強く感じられる。また、ワサビ葉の醤油漬けの辛味とミョウガのシャキシャキ感とも合う 4品目は「お造り(サヨリ、金目鯛、ヒラメ、イワシのなめろう)」には、ごま塩と醤油が添えられていた。どれも美味しかったが、酢で締めたイワシを使った「なめろう」が、日本酒との相性がベストだった 3杯目は福島の「飛露喜」の地元銘柄「泉川 うすにごり純米吟醸ふな口本生」。甘さがそれほどなく、トロミと厚みがある。それでいて、飛露喜らしく洗練された味がする 4杯目は「鳳凰美田 純米大吟醸」。何度も飲んだことがある酒だが、見事なバランスと純米らしい旨味がある。まさに、侍ジャパンの吉田正尚選手のような間違いの無い酒だ 5品目は「サワラの山椒焼き」 柔らかくとろけるようなサワラは、煮魚のような優しい味付け。これが、トロトロのバフンウニと絶妙に合う。山椒の葉と実のスパイシーな香り、甘く味付けされた菊芋のピューレ、葉ごぼうのシャキシャキ感、どれも欠かせないピースであり、全てが調和している 6品目は「ホタルイカと新筍の茶碗蒸し」 ホタルイカが入ったことで、茶碗蒸しとは思えないくらいのコクが出ている。新筍の香りも素晴らしい 5杯目は、十四代が作る山形の好適米・山酒四号を使った福島の「会津宮泉 純米吟醸・山酒四号うすにごり」。微発泡で柔らかな酸を感じ、バランス良し 7品目は「苺と金柑の白和え」。一見ミスマッチのようだが、意外にも美味しい 8品目は揚げ物三連発「トンカツ、フキノトウのコロッケ、トラフグの白子のおかき揚げ」。全てを塩でいただく。トンカツに塩はよくあるが、さらに山椒の葉とは意外である。しかし、このトンカツが一番印象に残った 6杯目は福島の「飛露喜 純米吟醸」。厚みがあってバランスが良く、まさに王道の酒 9品目は、料理長が初めて作ったという「和牛のハンバーグ 新玉ねぎソース」 サッパリとした和風ソースとウルイのネットリとしたシャキシャキ感が、粗挽きのミディアムレアなハンバーグにピッタリ!
10品目となる締めのご飯は「ホタルイカと筍の土鍋ご飯」と「シジミの赤だし」、香の物。 蒸らしは少し足りなかったが、旨味たっぷりで美味しい。山椒の葉の香りも良く、塩味もピッタリでお見事。久しぶりに、ご飯をおかわりしてしまった。デザートは特になく、これで終了となった

時喰み(ときはみ)

 古いビルの2階にある小さな和食店。実は、ここは「徳うち山(→ 銀座グルメバイブル・日本料理の頁を参照)」の系列店であり、グループにおけるカジュアル店という位置づけの居酒屋割烹である。立ち飲みではないが、どこかしら「銀座 しまだ(→ 銀座グルメバイブル・日本料理の頁を参照)」とコンセプトが似ているような気がする。入ってすぐにオープンキッチンのカウンター席があり、奥にテーブル席が2つ(2名席と3名席)ある。この店はサービス料を取らないが、テーブルチャージが1000円かかる。また、人気店ゆえに、混雑時には2時間までという時間の縛りもある。
 メニューには、魅力的な品々が並んでいる。基本的に全ての品は2名用のボリュームとなっているが、ハーフサイズにもしてもらえる。飲み物のメニューを見ると、和食店としては珍しくメインはワインのようだ。白はグラス2種とボトル10種、赤はグラス2種とボトル8種、シャンパンはグラス1種とボトル3種で、ボトルの価格帯は6200円〜17800円である。ワインの持ち込みも可能で、1本の持ち込み料は4000円である。これに対して日本酒は、料理長に好みを告げてお任せするのが基本となる。この店のアルコールの中でもう一つ特筆すべきは、飲食店だけで飲める特別なクラフトビール「GARGERY(ガージェリー)」が置いてあること。僕の大好きな黒ビール「GARGERYスタウト」は置いていなかったが、ペールエールタイプの「GARGERYエステラ」があった。これもスタウト同様に口当たりが円やかで、とても洗練されていてお勧め。
 突き出しは、お決まりの「焼胡麻豆腐」。これは「徳うち山」の主人の修業先だった「うち山」の名物料理である。外側がカリッと焼かれ、中がフワッとしていて美味しい。まるでマヨネーズ醤油のような胡麻ソースと胡麻豆腐との相性もいい。料理はアラカルトメニューの中から選ぶが、まず注文したのは、「焼きさつま芋ピューレ 生湯葉 生うに 出汁ジュレ」のハーフ(1個)。混ぜて食べると、サツマイモの香りと甘み、柚子の香り、ネットリとした湯葉の食感、フレッシュな生ウニのトロミが渾然一体となって押し寄せる。これは絶対にお勧め!「海老真蒸揚(えびしんじょうあげ)」もハーフサイズ(2個)でいただく。雪塩を付けて食べると、サクッとした後に、滑らかな食感の海老と魚のすり身の香りが押し寄せる。「造里三種盛り合わせ(ハーフサイズ)」には、ポン酢餡と胡麻油塩、醤油が添えられている。素材はどれも申し分なく、とくにサワラは、皮がカリッと焼かれていて身がとろけた。さらに、馬肉も脂と赤身のバランスが良く、熊本で食べた馬刺しと同等な最高レベルのものだった。ネット上の口コミで1番人気の「蟹クリームコロッケ」は、通常のハーフサイズは1個であるが、この日は蟹の入荷が少なく、人気故のクォーターサイズとなってしまった。細かい衣がサクッとしており、蟹の身がたっぷりと入っていて美味しいが、一番人気というほどのレベルではない。他にもたくさん美味しいものがあるのに、どうも食べログの有力コメントに引っ張られてしまいがちだ。「猪・茸・九条葱 小鍋」は、通常はハーフサイズにはしないそうだが、特別にしてもらえた。薄切りの猪肉は冷凍なのか?少し脱水気味だった。しかし、山椒の葉が香り、キノコと九条ネギとのバランスも良く、醤油味の出汁も含めて美味しかった。「長芋 軟骨バター醤油焼 パルミジャーノ」は、長芋も軟骨も醤油味でカリッと揚げられていた。これに粉パルミジャーノが加わることで、スナック菓子の様な濃厚な味に仕上がっている。最後の締めとして、土鍋御飯「庄内豚ベーコンとトリュフの炊き込み御飯 卵黄のっけ」を注文したかったが、炊き込み御飯だけはハーフの注文は無理とのこと。一人飯の客が注文できるのは、「時喰みカレー」か「蔵王牛サーロイン飯」、イクラやカラスミ、キャビアがのった「痛風そば(麺)/痛風飯(御飯)」しかない。消去法で、「炊き立て白米 蔵王牛サーロイン飯 卵黄のっけ」(ハーフはないのでフルサイズ)を注文。ワサビと卵黄を混ぜて食べると、意外にもステーキというよりもローストビーフのように肉が薄く、味付けも薄めなので、ご飯とのバランスが悪かった。最後のデザートとして、徳うち山グループの名物である「黒糖プリン」を注文。しっかりとした黒糖の風味が感じられ、硬すぎず柔らかすぎずの食感も良かった。

中央区銀座3丁目11-61 鈴木ビル 2階  
電話番号:03-6264-2809
定休日:日曜・祝日
営業時間:17時半〜22時半
予算:焼きさつま芋ピューレ 生湯葉 生うに 出汁ジュレ(2個)1800円、海老真蒸揚(4個)1800円
アクセス:東京メトロ日比谷線・有楽町線・東銀座駅A7出口を出て、すぐに交差点を右折すると左角のビル。東銀座駅から徒歩1分
最寄りのランドマーク:歌舞伎座
お勧めポイント:料理長のセンスが光る居酒屋割烹

この古いビルの2階です ここが入口 階段を上がったところにあります ココです! 入ってすぐにオープンキッチンのカウンター席があり、奥にテーブル席が2つ(2名席と3名席)ある 。カウンター内に見えるのが料理長 メニューを見ると、様々な魅力的なメニューが並ぶ。基本的に全ての品は2名様用のボリュームとなっているが、ハーフサイズにもしてくれる。メニュー1 メニュー2 ドリンクメニュー(これ以外にワインメニューがあります) 突き出しは、お決まりの「焼胡麻豆腐」。これは「徳うち山」の主人の修業先だった「うち山」の名物料理である。外側がカリッと焼かれ、中がフワッとしていて美味しい。まるでマヨネーズ醤油のような胡麻ソースと胡麻豆腐との相性もいい まず注文したのは、「焼きさつま芋ピューレ 生湯葉 生うに 出汁ジュレ」のハーフ(フルサイズは2個) 混ぜて食べると、サツマイモの香りと甘み、柚子の香り、ネットリとした湯葉の食感、フレッシュな生ウニのトロミが渾然一体となって押し寄せる。これは絶対にお勧め 「春霞 生」は、微発泡で甘めながらバランス良し 「海老真蒸揚(えびしんじょうあげ)」もハーフサイズでいただく。雪塩を付けて食べると、サクッとした後に、滑らかな食感の海老と魚のすり身の香りが押し寄せる 「造里三種盛り合わせ(ハーフサイズ)」には、(左から)胡麻油塩、ポン酢餡、醤油が添えられていた 左から、本マグロの中トロ、サワラ、馬肉。素材はどれも申し分なく、とくにサワラは、皮がカリッと焼かれていて身がとろけた。さらに、馬肉も脂と赤身のバランスが良く、熊本で食べた馬刺しと同等な最高レベルのものだった 「鶴齢 純米吟醸五百万石」は、柔らかく滑らかな口当たりで、こちらも洗練されている ネット上の口コミで1番人気の「蟹クリームコロッケ」は、通常のハーフサイズは1個であるが、この日は蟹の入荷が少なく、人気故のクォーターサイズとなってしまった 細かい衣がサクッとしており、蟹の身がたっぷりと入っていて美味しいが、一番人気というほどのレベルではない。他にもたくさん美味しいものがあるのに、どうも食べログの有力コメントに引っ張られてしまいがちだ 「猪・茸・九条葱 小鍋」は、通常はハーフサイズにはしないそうだが、特別にしてもらえた。薄切りの猪肉は冷凍なのか?少し脱水気味だった。しかし、山椒の葉が香り、キノコと九条ネギとのバランスも良く、醤油味の出汁も含めて美味しかった 「長芋 軟骨バター醤油焼 パルミジャーノ」 長芋も軟骨も醤油味でカリッと揚げられていた。これに粉パルミジャーノが加わることで、スナック菓子の様な濃厚な味に仕上がっている 「炊き立て白米 蔵王牛サーロイン飯 卵黄のっけ」(ハーフはないのでフルサイズ)。ワサビと卵黄を混ぜて食べると、意外にもステーキというよりもローストビーフのように肉が薄く、味付けも薄めなので、ご飯とのバランスが悪かった 徳うち山グループの名物である「黒糖プリン」。しっかりとした黒糖の風味が感じられ、硬すぎず柔らかすぎずの食感も良かった

TOKYO(旧:京橋もと)

 ブルガリホテルで話題の「東京ミッドタウン八重洲」で、店舗の書かれたプレートを見ていると、「酛 TOKYO」という名前のレストランが目に飛び込んできた。そう言えば、新明先生が「京橋もと(酛)(→ 銀座グルメバイブル・日本料理の頁を参照)」が今年移転すると言っていたような気がする。早速電話をしてみると、確かにその通りで、未だ開店3日目だという。この「酛 TOKYO」は、料理長も含めて「京橋もと(酛)」のスタッフによる店舗であり、前の「京橋もと(酛)」は前料理長と別スタッフにより、「Kyobashi f(→ 銀座グルメバイブル・日本料理の頁を参照)」と名前で同時期に営業をスタートさせているとのこと。
 電話で当日予約できた料理のコースは、9000円と13000円の2コースだったが、ポケットコンシェルジュやホットペッパーグルメ経由で予約すると割高となるかもしれないが、更に高いコースも予約できる様だ。ちなみに、9000円と13000円のコースの違いは、料理の品数ではなく素材である。
 1階からエスカレーターで3階へ上ると、店の前にはたくさんの開店祝いの花々が並んでいた。入口を覗いてみると、日本酒を入れたガラス張りの冷蔵庫と細長い立ち飲みのカウンタースペースが見える。落ち着いた雰囲気の前店舗と違って、立ち飲みスペースはザワザワと賑やかな雰囲気。すぐに、前店長と現店長である女将の谷口さんが出迎えてくれ、着席スペースの扉を開けてくれた。扉の奥は照明が落とされ、立ち飲みスペースとは別世界な空間が広がる。左側にカウンター席が6席と右側には6名までの有料個室が2つある。
 この日は13000円のコースを注文。先ずは、「蛤しんじょうのお椀」が出てきた。料理長の佐久間さんの出汁の引き方は、吉兆系のように濃くて美味しい。日本酒の1杯目は、この店の開店のために作られたという千葉の「寒菊 羽州誉50-Horizon 2023 純米大吟醸無濾過生原酒」。口当たりがトロリとしていて、少し甘めだ。お造りは「滋賀の琵琶マス、塩釜の本マグロ、山口のノドグロの炙り」の3品。琵琶マスと言えば夏のイメージだが、冬季のものの方が脂がのっている。三陸沖の本鮪は個体が小さいのか?香りや味に深みがなかったが、ノドグロの炙りは脂がのっていて最高だった。2杯目の日本酒は、埼玉の「彩來(さら)花澄み(かすみ)」。フルーティーな現代的な造りで僕好み。続く料理は、「大分産シマアジの焼き物」。シマアジは通常刺身でいただくことが多いが、焼き物とは珍しい。焼いたシマアジをいただくのは僕も初めてだが、言われなければブリと間違えてしまいそう。3杯目の日本酒は、石川の「手取川 吉田蔵 u 百万石乃白生酒」。山廃は癖が強くて好きになれないが、この酒は後味が良く洗練されている。続く「メヒカリと筍、空豆の天ぷら」はどれも美味しいが、空豆と筍が特に良かった。4杯目の日本酒は、三重の「而今 純米吟醸 山田錦無濾過生」。而今にしてはかなり濃めだが、口の中からスウっとフェイドアウトしていく。八寸は、「マグロのなめろう」、「稚鮎の天ぷら」、「タケノコの土佐煮」、「天然もずく酢」、「干し柿バター」、「自家製カラスミ大根」、「煮アワビ」、「水菜と桜エビのお浸し」。どれも酒のアテとして甲乙つけがたく、最高!5杯目の日本酒は、埼玉の「花陽浴(はなあび)純米大吟醸 瓶囲無濾過生原酒」。大人気商品らしいが、吟醸香が強めで僕好みではない。メインは、仙台牛A5の最高峰「飛び牛のステーキ」。塩と黄身醤油、ワサビでいただく。とろけるとはまさにこのことで、サシが強いので沢山は食べられないが、とにかく美味しい。黄身醤油との相性も良いが、塩とワサビも捨てがたいなあと思っていたら、結論として黄身醤油とワサビの組み合わせがベストだった。最後を締めくくるご飯までのアテに、「ちりめん山椒」が出てきた。このタイミングで奈良の「みむろ杉 濁り酒」をいただく。微発泡で酸味を感じながらも、フルーティーで悪くはない。「ヒフオ(鮎の稚魚)と新筍の土鍋ご飯」は、蒸らしが足りないのか?やや芯が残っていた。そして、水菓子の「マスクメロンと苺大福」で終了となった。
 土鍋ご飯の芯が残っていたり、味噌汁の塩分が少し強めだったり、今回は完璧な3つ星ではなく、2つ星という評価だった。しかし、一等地でのコスパの良さや移転3日目という厨房の状態を考慮して、今回は3つ星のままとした。(2023年3月追加)
https://fsknet.co.jp/impression/mototokyo/
https://www.hotpepper.jp/strJ003451158/

【ポケットコンシェルジュ】https://pocket-concierge.jp/ja/restaurants/244042?seat_date_eq=2023-04-01
中央区八重洲2-2-1東京ミッドタウン八重洲3階 
電話番号:03-6910-3877
定休日:月曜
営業時間:16時〜22時(立ち飲みは15時〜)
予算:料理コース9000円、13000円(日本酒は別料金、4名〜6名用の個室は別途5000円)
アクセス:JR東京駅八重洲口から八重洲地下街を経由してバスターミナル東京八重洲を目指すと、直結している。東京駅から徒歩2分
最寄りのランドマーク:JR東京駅八重洲口、バスターミナル東京八重洲
お勧めポイント:美味しい和食と日本酒のマリアージュを楽しみたい方に

JR東京駅八重洲口を出て、目の前の大きなビル・・・ この右の大きなビルです(左の小さなビルはヤンマー) 「東京ミッドタウン八重洲」に入って、店舗名の書かれたプレートを見ていると、「酛 TOKYO」という名前のレストランが目に飛び込んできた。そう言えば、新明先生が「京橋もと(酛))」が今年移転すると言っていたような気がする。早速電話をしてみると、確かにその通りで、未だ開店3日目だという 1階からエスカレーターで3階へ上ると、店の前にはたくさんの開店祝いの花々が並んでいた 入口を覗いてみると、日本酒を入れたガラス張りの冷蔵庫と細長い立ち飲みのカウンタースペースが見える。落ち着いた雰囲気の前店舗と違って、立ち飲みスペースはザワザワと賑やかな雰囲気。すぐに、前店長(左)と現店長である女将の谷口さん(右)が出迎えてくれ、着席スペースの扉(女将の後)を開けてくれた 扉の奥は照明が落とされ、立ち飲みスペースとは別世界な空間が広がる。左側にカウンター席が6席と右側には6名までの有料個室が2つある 日本酒の1杯目は、この店の開店のために作られたという千葉の「寒菊 羽州誉50-Horizon 2023 純米大吟醸無濾過生原酒」。口当たりがトロリとしていて、少し甘めだ この日は13000円のコースを注文。先ずは、「蛤しんじょうのお椀」が出てきた。料理長の佐久間さんの出汁の引き方は、吉兆系のように濃くて美味しい 2杯目の日本酒は、埼玉の「彩來(さら)花澄み(かすみ)」。フルーティーな現代的な造りで僕好み お造りは「滋賀の琵琶マス、塩釜の本マグロ、山口のノドグロの炙り」の3品 琵琶マスと言えば夏のイメージだが、冬季のものの方が脂がのっている。三陸沖の本鮪は個体が小さいのか?香りや味に深みがなかったが、ノドグロの炙りは脂がのっていて最高だった 続く料理は、「大分産シマアジの焼き物」。シマアジは通常刺身でいただくことが多いが、焼き物とは珍しい。焼いたシマアジをいただくのは僕も初めてだが、言われなければブリと間違えてしまいそう 3杯目の日本酒は、石川の「手取川 吉田蔵 u 百万石乃白生酒」。山廃は癖が強くて好きになれないが、この酒は後味が良く洗練されている 続く「メヒカリと筍、空豆の天ぷら」はどれも美味しいが、空豆と筍が特に良かった 4杯目の日本酒は、三重の「而今 純米吟醸 山田錦無濾過生」。而今にしてはかなり濃めだが、口の中からスウっとフェイドアウトしていく 八寸 左から「マグロのなめろう」、「稚鮎の天ぷら」と下が「タケノコの土佐煮」、「天然もずく酢と車海老」、 「干し柿バター」、「自家製カラスミ大根」、「煮アワビ」、「水菜と桜エビのお浸し」。どれも酒のアテとして甲乙つけがたく、最高! 5杯目の日本酒は、埼玉の「花陽浴(はなあび)純米大吟醸 瓶囲無濾過生原酒」。大人気商品らしいが、吟醸香が強めで僕好みではない メインの仙台牛A5の最高峰「飛び牛」を、料理長の佐久間さんが見せてくれた 「飛び牛のステーキ」は、塩と黄身醤油、ワサビでいただく とろけるとはまさにこのことで、サシが強いので沢山は食べられないが、とにかく美味しい。黄身醤油との相性も良いが、塩とワサビも捨てがたいなあと思っていたら、結論として黄身醤油とワサビの組み合わせがベストだった 最後を締めくくるご飯までのアテに、「ちりめん山椒」が出てきた このタイミングで奈良の「みむろ杉 濁り酒」をいただく。微発泡で酸味を感じながらも、フルーティーで悪くはない。 「ヒフオ(鮎の稚魚)と新筍の土鍋ご飯」 蒸らしが足りないのか?やや芯が残っていた。また、味噌汁の塩分が少し強めだった ブチブチとした飛び子の食感も、アクセントとしては良かった そして、水菓子の「マスクメロンと苺大福」で終了となった

移転 京橋もと(酛)
移転先:酛 TOKYO(旧:京橋もと)

 かつて、「銀座グルメバイブル2012」を発刊したときに、1つ星で初登場した店である。当時は新橋に店を構えていて、店名は「酛(もと)」。30種類くらいの日本酒がラインナップされており、あまり聞いたことがない小さな蔵を中心とした酒が揃っていたと記憶している。また、当時の店は非常に狭く、10人も入ればもう満員という状態で、食事はコースの他にアラカルトメニューもあった。
 その後移転に伴い、現在の京橋にリニューアルオープンした。店主によると、常連客の多い新橋での移転も考えたが、華やかな銀座を避け、更にその先にあり落ち着いた佇まいの京橋に決めたという。確かに、現在の店は通りから少し入ったところにひっそりとあり、隠れ家的な雰囲気が漂っている。
 店内に入ると、オープンキッチンのカウンター席のみで、キャパは当時とそれほど変わっていない。雰囲気はモノトーン調のシックな感じで、BGMにジャズが流れ、普通の居酒屋だった前店とは全く別な店として生まれ変わった。また、料理もお任せコースのみとなり、それに合わせてサービス担当の店長が、客好みの酒を勧めてくれる。料理人は2人とも若いがセンス抜群で、素晴らしい酒のアテを次々と出してくれる。店主の日本酒のセレクトの素晴らしさ、それに合わせた最高のアテと良い雰囲気、この三拍子全てが揃っている店は、ありそうで実はなかなかない。近くにあれば、毎週でも通いたくなる店であり、日本酒好きには一度は訪れて欲しい店でもある。(2020年1月追加)

中央区京橋2-6-13 イーストビル1階 
電話番号:03-3567-7888
定休日:日曜・祝日(不定休あり)
営業時間:【月曜〜金曜】16時〜22時半、【土曜】15時〜21時
予算:15000円くらい(コース+日本酒4〜5杯で)
アクセス:東京メトロ銀座線・京橋駅6番出口を出て、次の角(レム東京京橋の横のセブンイレブン)を左折する。「天ぷら 深町」を過ぎ、宝くじ売り場の向かいのにある細い通り(エトワール画廊と日本橋焼餃子・極の間)を左折すると右側にある。京橋駅より徒歩2分
最寄りのランドマーク:レム東京京橋
お勧めポイント:日本酒好きには一度は訪れて欲しい素晴らしい店

京橋駅6番出口を出て、次の角(レム東京京橋の横のセブンイレブン)を左折する。「天ぷら 深町」を過ぎ、宝くじ売り場の向かいのにある細い通り(エトワール画廊と日本橋焼餃子・極の間)を左折すると・・・ 右側にある ココです! 店内に入ると、オープンキッチンのカウンター席のみで、キャパは当時とそれほど変わっていない。雰囲気はモノトーン調のシックな感じで、BGMにジャズが流れ、普通の居酒屋だった前店とは全く別な店に生まれ変わった。カウンター内にいるのは店長 料理はお任せコースのみとなり、それに合わせてサービス担当の店主が客好みの酒を勧めてくれる。先ず出てきたのは、而今の純米吟醸。広島の八反錦生の柔らかい口あたりがいい。素晴らしいバランスだ!本日最高の一杯 「真鱈の白子と海老芋」は。擦った柚子皮が入っている。トロミのついた出汁が素晴らしい サッと締められた「宮城の金華サバの刺身」 適度な脂がのった身が素晴らしい 盛り付ける直前に切られた松坂牛のローストビーフを使った「ビーフシチュー・冬トリュフ添え」 煮込んでいないので、ビーフシチューというよりも「温いローストビーフのデミグラスソース」といった感じだ。ミディアムな火の通し方も良く、素材が良いだけでなく、ソースの酸味と苦味も絶妙なバランスだ 2杯目は茨城県の森嶋・山田錦・純米吟醸生。微発泡の輪郭のハッキリとした現代的な洗練された良い酒だ。日本には未だ知らない酒があると実感 八寸のような酒のアテがいろいろと出てきた。まさに、日本酒党の天国である。「金沢の絹モズク」、「帆立のXO醬」、「ホヤの塩辛」、「ナッツ入り干し柿バター」、「ガゴメ昆布明太子」、「牡蠣の薫製バルサミコ仕立て」、「コノワタ」、「子持ち鮎のコンフィ・山椒のせ」。どれも素晴らしいが、「帆立のXO醬」、「ナッツ入り干し柿バター」が特に良かった。アテが良いのでついつい酒が進んでしまう 埼玉の「五十嵐」も輪郭のハッキリとした現代的な酒 「カラスミ」は、炙りとそのままを2種 大阪のかたの桜・雄町生原酒は、ふくよかでバランスが良いが、新酒なのか?アルコールが硬くなじんでいない 「サワラの天ぷら」は、ピリ辛のポン酢に浸っている。下に敷かれた長芋の食感もいい 「銀杏の素揚げ」は、パルミジャーノチーズをのせていただく。ナイスアイデア!
新潟の「山間(ヤンマ)」。同じ新潟の銘酒・久保田(クボタ)に対抗できる酒として造られたという。クボタ vs ヤンマーなのである 「茶碗蒸し」には、柚子香るハマグリの出汁餡とハマグリの身、そして北海道興部産のガチュカバロチーズが入っている 炊きたての「穴子の土鍋ご飯」 海苔の味噌汁と香の物。ご飯はツヤツヤで美味しい デザートは「とちおとめとバニラアイス」バニラアイスはハーゲンダッツのような味で、イチゴのコンフィチュールとドライイチゴ、ナッツが入っている

徳うち山

 名前が示す通り、店主の工藤さんは「銀座 うち山」から独立した料理人である。店は「銀座 うち山」からほど近く、こちらの店の方が歌舞伎座裏の小路という分かりやすいところにある。
 店内は、入口近くに個室が1つとテーブル席が3つ、そして右側にカウンター席がある。料理は「銀座 うち山」よりも味にメリハリがあり、味付けもはっきりしていて美味しいが、今回いただいた夜のコースに関しては、コストパフォーマンスはさほど良くなかった。また、お酒の価格設定も若干高めなのが気になった。締めの御飯は「銀座 うち山」と同じ「鯛茶漬け」であり、これは悪くない。ちなみに、専属のサービス担当がいないので、フォーマルな食事や接待などにはあまり向かないかもしれない。

中央区銀座3-12-9   
電話:03-3544-1091
定休日:日曜・祝日 
営業時間:11時半~14時、17時~21時 
予算:ランチ:鯛茶漬け1500円、5000円 、ディナー:10500円、15750円、18900円
アクセス:東京メトロ(銀座線、丸ノ内線、日比谷線)銀座駅A6番出口を出て逆側の築地側に向かう。広い昭和通りの信号を渡り、歌舞伎座に向かわず、「PRONTO」前の歩道を左へ曲がる。「吉野家」が見える一つ目の信号を右折し、2つ目の角を右折するとすぐ左。東京メトロ銀座駅(4丁目交差点)から徒歩10分。 

最寄りのランドマーク:歌舞伎座(工事中)

菊乃井 赤坂店

 2020年ミシュランガイド東京で2つ星を獲得した店。「菊乃井」は、京都の日本料理店の中でも僕の最も好きな店の一つ。赤坂店のエントランスに続く通路には竹が植えられ、京都らしい風情が演出されている。この店は、価格設定や店の規模から考えて、 京都円山公園近くにある本店と木屋町の「露庵菊乃井」との中間的なグレード。また、この店と京都の店とは定期的な人事交流があるらしく、料理のレベルも京都とほぼ変わらない。かつて、同じ週に京都木屋町の「露庵菊乃井」とこの店の両方を食べ比べたことがあるが、料理の質も献立内容もかなり類似していた。 開店当初は夜のみの営業であったが、現在は昼も営業しており、とても使い勝手が良くなった。

港区赤坂6-13-8   
電話:03-3568-6055
定休日:日曜(月曜は夜のみ営業)
営業時間:火曜~土曜12時~13時、17時~21時、月曜17時~21時
予算:昼:高台寺御膳5250円、昼懐石10500円、夜:懐石15750円、18900円、21000円
アクセス:東京メトロ(丸ノ内線、銀座線)赤坂見附駅のエスカレーターを上り、ベルビー赤坂1階に出る。赤坂エクセル東急ホテルが見える広い外堀通りとは逆の右の裏通りに出て左へ。「赤坂アルトビル」を過ぎ、「三菱東京UFJ銀行」、「サンクス」を過ぎ、2つ目の交差点(右角にセブンイレブンとバンコク酒場)を右折する。しばらく進むと左に東京メトロ(千代田線)赤坂駅2番、6番出口を通過する。「スギ薬局」手前、“秋田産生ハム直売店”と張り紙のある青色のレストラン「GRAN VIA」の小路を左折。すぐに突き当たるので右折するとすぐ右。東京メトロ赤坂見附駅から徒歩10分。赤坂駅から徒歩4分。

最寄りのランドマーク:国際新赤坂ビル西館

お勧めポイント:京都の本店と変わらぬ京料理が楽しめる

龍吟

 2018年の8月に六本木から銀座へ移転してきたミシュランガイド3つ星日本料理店。「ザ・ワールド50レストラン」の第20位に選ばれたこともあり、インバウンド客にも大人気の店である。店主の山本さんは、「小十」や「かんだ」の店主を輩出した「青柳」の出身。
 ミッドタウン日比谷の7階までエレベータで上がると、真っ白な暖簾が見える。暖簾をくぐって通路を抜けると、高い天井に龍が描かれた広いメインダイニングとなる。この他にも個室が2つあり、最大8名までに対応できるという。ワンフロア全体を使っているので、以前の店よりもかなりの大箱店となった。
 変わったのは広さだけではない。コースの価格も大幅にアップし、カジュアルな雰囲気だった前店に比べると、雰囲気も含めて全てに高級感やこだわりが増した。それは食器に留まらず、箸やコースターに至るまでいろいろである。例えば、生ビールのジョッキーは木製であり、水を入れるグラスの底には日本を象徴する富士山が彫られ、コースターにも店名をイメージさせる龍の絵が印刷されているといった具合。また、日本酒を注文すると、様々なデザインの江戸切子のお猪口を選ぶことができ、江戸切子が映える鏡のコースターで供される。さらに、トイレは最先端のアーティスティックなインテリアなのである。この様に、全てが驚くほど細部に渡って計算し尽くされているのだ。サービスも含めて、これほどまでの日本料理店を見たことがなく、まるでフレンチにおけるグランメゾンのよう。木の表紙でできた分厚い飲み物リストが圧巻で、とくに日本酒とワインのペアリングは9種で50000円と値は張るが、見事な品揃え。全体的に、ワインや日本酒の品揃えは素晴らしいが、価格設定はかなり高めであると思っていただきたい。
 ちなみに、閉店となった今や伝説の日本料理店「京味」は京風料理であったが、この店は日本の最先端を行く、まさにモダンジャパニーズキュイジーヌの旗艦店である。なので、この店にはドレスコードや香水・オーデコロンなどの制限といったレギュレーションもあるので、ご注意を。 (2019年12月取材/2023年10月追加)
http://www.nihonryori-ryugin.com

千代田区有楽町1-1-2 ミッドタウン日比谷7階 
電話番号:03-6630-0007
定休日:不定休
営業時間:17時半〜20時
予算:コース44000円
アクセス:東京メトロ日比谷線、千代田線・日比谷駅A2,A3出口から、JR有楽町駅日比谷口から新橋駅方面に向かうとすぐ。日比谷駅、JR有楽町駅から徒歩3分
最寄りのランドマーク:TOHOシネマズ シャンテ
お勧めポイント:細部にこだわった最高峰の日本料理が食べられる

ミッドタウン日比谷の7階までエレベータで上がると真っ白な暖簾が見える さらに暖簾をくぐって通路を抜けると・・・ 高い天井に龍が描かれた広いメインダイニングとなる 窓側は眺めの良く、障子戸によって半個室になるので、5〜6名であれば指定した方が良いかも。この他にも個室が2つあり、最大8名までに対応できるという。ワンフロア全体を使っているので、以前の店よりもかなりの大箱店となった テーブルの上に置かれた店名の千社札と油滴天目茶碗のイラストが入った紙封筒を・・・ 開けると・・・ 日本全国から取り寄せた素材を使った本日のメニューが メニューアップ1 メニューアップ2 木の表紙でできた分厚い飲み物リストが圧巻で、とくに日本酒とワインのペアリングは9種で50000円と値は張るが、見事な品揃え。全体的に、ワインや日本酒の品揃えは素晴らしいが、価格設定はかなり高めであると思っていただきたい 使用する箸箱の色を選べる(中身は同じ)生ビールのジョッキーは木製 日本酒を注文すると・・・ 様々なデザインの江戸切子のお猪口を選ぶことができ・・・ それを映える鏡のコースターで供される。こんな感じです チェイサーの水を入れるグラスの底には、日本を象徴する富士山が彫られ・・・ コースターにも店名をイメージさせる龍の絵が印刷されていたコースのスタートは、「椎茸のすり流し」。出汁の濃厚な香りと椎茸の旨味がピッタリ 2品目が何かメモし忘れたが、メニューによると「海老芋、ニシン、フキノトウ」らしい 江戸切り子の中に隠れた3品目は・・・ 冬の時期しか食べられない「コウバコガニ(卵をもったズワイガニのメス)」蟹の身の他に、オレンジ色の未成熟卵(内子)と茶色の成熟卵(外子)、そして蟹味噌の4つが一度に味わえる 4品目は、「白子の香煎揚げ」。揚げたてのかき餅をまぶしたかのように香ばしい。外側がカリッとしていて中がクリーミーで、本当に美味い〜と思える逸品。それにしても、良い店というものは、常に塩味が安定している 5品目はお椀。取材時は12月だったので、サンタが描かれた塗りのお椀だった中は「松葉ガニのシンジョ」だった。身が甘く、徐々に出汁に濃厚な香りが出てきて美味しい 6品目は「平目」。左が「平目のポン酢がけ」で、右が「平目のエンガワは酢味噌がけ」。平目の身は柔らかくてイマイチ。 7品目は、「北海道余市産 あん肝の鰹節餡」。あん肝はとろけるような食感で、鰹節餡がこれほどあん肝にマッチするとは新鮮な驚き。ポン酢とは全く違う初めて味わう美味しさ 8品目は、「ワラで燻った鰹のユッケ仕立て」。胡麻油と塩麹、卵黄が絶妙にマッチしている 9品目は、「甘鯛の炭火焼」。皮がカリッと焼かれていて身はジューシー。添えられた白和えはアサリの出汁で作られており、柚子が香って美味しい 箸休めの「青リンゴのガリ」。それほど美味しくはないが、食の変化球としては悪くない 10品目は、「スッポンとフカヒレの煮物」。フカヒレはキチンと乾物から戻されており、ドンコ(干し椎茸)や餅などの脇役もいい。フレンチのコンソメの様な旨味を感じさせる 11品目は肉料理の「讃岐オリーブ牛の薪炙り」。写真撮影を忘れたが、玉ねぎのスープが添えられていた。玉ねぎのスープは甘味と旨味が一体となった、まさに至高のスープ 赤身は薪で燻されており、肉の旨味がある。火の通し方も抜群で、塩味もドンピシャ。そのままの塩味で食べても美味しいが、山わさびや生胡椒を添えて一緒に食べると、味変して2度美味しい12品目はご飯で、「ウニ丼」と「海老出汁の味噌汁」、「香の物」。海老出汁の味噌汁には、菊花状の豆腐が入っている 「ウニ丼」には温かい餡がかかっているが、オフシーズンだからなのか?旬の北海道の生ウニ丼を上回るほどでなかった。また、意図的なのか?ご飯には芯が残っていた 写真を撮る前に少し食べてしまったが、水菓子の一品目は「和三盆のジュレ レモンのソルベ 紅マドンナ」 二品目は、「日本酒のスフレと日本酒のアイス」 スフレは胃にもたれるが、アイスはサッパリとして美味しい 丸い四国の米菓子の軽い食感もいい(おめでたいお菓子) そして、最後の「薄茶」で終了となった

幸村

 カウンターとテーブルが1つだけの地味で小さな店。しかしながら、この店の料理には華があり、しかも美味しい。シャンパンや日本酒などの酒のセレクトも良く、特に「黒龍・しずく」が良かった。
 僕がこの店で最もお勧めしたいのは、裂いた松茸をハモで巻き、炭火で焼いた秋の名物料理。この料理は、実にシンプルではあるが、松茸の香りとハモのジューシーな味わいの織りなすハーモニーが堪らない。今回はまだ時期が早く、残念ながらいただくことが出来なかったが、もしも名残ハモの秋の時期に行くのなら、最高の店であろう。特に、最後を飾る季節の土鍋ご飯がとても美味しい。余った御飯を、おにぎりにしてお土産にしてくれる心遣いもありがたい。
 それにしても、看板が出ておらず、店の入っているビル自体も分かりにくいので、知らない人だと通り過ぎてしまうかも。

港区麻布十番1-5-5 YUKEN AZABU10ビル3階   
電話:03-5772-1610
定休日:不定休
営業時間:17時半~20時
予算:お任せコース22000円
アクセス:東京メトロ(南北線)、都営地下鉄(大江戸線)麻布十番駅の5a出口を出て左の六本木ヒルズ方向へ進む。途中、「ENEOS」、「docomo麻布十番店」、「港区麻布十番公共駐車場」を過ぎ、「つけ麺大王」並びにある「ELAN」の入っているビル。手前横の階段を上がるとエレベーターがある。東京メトロ麻布十番駅から徒歩4分。

最寄りのランドマーク:港区麻布十番公共駐車場

お勧めポイント:松茸のシーズンには絶対に訪れるべき店

新ばし 笹田

 「京味」出身の日本料理店として知られている店。価格は「京味」のおよそ半額程度で食べられることから、食べログの人気店となっている。店は、「京味」から歩いて3分程度のところにある。カウンターのみの店内は、店外に出るにも後ろを通れないほど狭く、デートや接待には向かない。料理はどれも平均的に美味しく、欠点というほどのものはない。しかし逆に、正直、これは!というものもなかった。しかし、最後を締める銀しゃりは、京味同様すこぶる美味しい。最後に敢えて言わせてもらうなら、カウンターのみの日本料理店であるのにもかかわらず、予約は2名からという縛りは、是非なくして欲しい。

港区西新橋1丁目23-7 プレシャスコート虎ノ門1F(移転しました)   
電話:03-3507-5501
定休日:日曜・祝日
営業時間:18時~22時
予算: 12600円、14000円
アクセス:東京メトロ(銀座線)新橋駅、JR新橋駅の日比谷出口あるいは烏森出口を出る
と「ニュー新橋ビル」が見える。その浜松町駅側の通りの 「ケンタッキーフライドチ
キン」、パチンコ店「ビックディッパー」を過ぎ、「アコム」、「文銭堂本舗」、
「志乃だ寿司」を過ぎ、更に広い日比谷通りの信号 を渡る。「HANABISHI」の横を直
進し、更に進むと左に「NATURAL ローソン」、「香港屋」、右に「小諸そば」がある
ので、それを過ぎた「高田屋」、「EVERY」角を右折するとすぐ左。新橋駅から徒
歩10分。

最寄りのランドマーク:志乃だ寿司、HANABISHI

お勧めポイント:新橋界隈では適正価格のスタンダードな日本料理店

日本料理 賛否両論

 テレビの番組でお馴染みの若き料理人・笠原氏の店。彼はもともと「正月屋吉兆」で修業をしていたが、父親の死に伴って武蔵小山の焼鳥店を継いだ。実は、この時から焼鳥の他に日本料理も供してしており、その美味しさが評判であった。しかし、その後焼鳥店は閉店となり、2004年に現在の日本料理店を開いた。
 店は住宅街の寂しげな通りにぽつんとあり、外観も含めてあまり日本料理店らしからぬカジュアル。しかし、その外観や内観とは裏腹に、料理は真っ当な日本料理である。特に、彼の料理に対する感性が素晴らしく、ある日に出された締めの「鯛茶漬け」などは、最高に美味しい逸品だった。
 昼のおまかせコースは6,900円で、夜のおまかせコースは、6,900円と9,500円の2コースある。どちらのコースもコストパフォーマンスは抜群である。人気店なので早めの予約が必要であるが、美味しい日本料理が食べたくなった時には、気軽に行けるお勧めの店である。また、土曜日限定ではあるが、ランチをいただけるようになったのは嬉しいニュース。

渋谷区恵比寿2-14-4 太田ビル1階   
電話:03-3440-5572
定休日:日曜・祝日
営業時間:18時~23時
予算:おまかせコース6300円(8400円は要予約、22時以降は酒肴コース・ミニコース3150円やアラカルト注文も可能) 
アクセス:アクセス:東京メトロ(日比谷線)広尾駅2番出口を出て、右手ワインや角の通り「広尾商店街」に入る。突き当たりの寺を左へ道なりに進み、角にセブンイレブンのある「広尾5丁目交差点」の信号を渡る。小さな川を過ぎて最初の信号を右に曲がると緑の通学路表示が見える。数十メートル進むとY字路になる手前の左側(小さな児童公園向かい)。地下鉄広尾駅から徒歩6分。

最寄りのランドマーク:都立広尾病院(裏)、広尾商店街

お勧めポイント:日本料理初心者向き。遅い時間帯でもOK

肴や 味泉

 太田和彦氏の「ニッポン居酒屋紀行」で知った店。後にミシュランガイドで1つ星を獲得したが、高額設定の居酒屋にしては店内が異常に狭く、肩肘が触れ合うほど窮屈。しかし、普通の居酒屋と考えればとても素晴らしく、日本酒好きや焼酎好き(黒糖焼酎が充実)には堪らない店だと思う。特に、刺身などの生ものがいい。刺身は単品注文がお勧めだが、「刺身盛り合わせ」の方がお得になっている。生もの以外のお勧めは、「おすすめ野菜の盛り合わせ」、玉葱のたっぷり入った「自家製特大さつま揚げ(小さいものも作ってもらえる)」、「特製コロッケ」、「豆腐のみそ漬け」、「極上クジラベーコン」など。店の一押しの「煮穴子」は、煮穴子を更に炙ったもので、とても良くできている。しかし、この日の穴子は泥臭かったので、産地の水質に影響される穴子はお勧めではない。
 日本酒は純米酒にこだわった品揃えで、弘前の地酒「豊盃」の純米搾りたて生原酒、山形の「十四代」中取り純米大吟醸(お一人様一杯限定)、福島の「飛露喜」の純米吟醸生、福井の「黒龍」の純吟、埼玉の「神亀」純米などが良く、焼酎は、「百年の孤独」、「月夜の梟」、熟成した黒糖焼酎などがいい。

中央区月島1-18-10   
電話:03-3534-8483
定休日:日曜・祝日、月曜日
営業時間:17時半~22時半
予算:刺身盛り合わせ(一人前)1500~2000円、おすすめ野菜盛り合わせ(一人前)800円くらい、特大さつま揚げ900円、豆腐のみそ漬け600円
アクセス:東京メトロ(有楽町線)月島駅7番出口を出て左の「月島西仲通り商店街」へ向かう。「みずほ銀行ATM」の角を右折し、ローソンを過ぎて止まれの標識の角を左折するとすぐ。東京メトロ月島駅から徒歩3分。

最寄りのランドマーク:月島西仲通り商店街1番街

お勧めポイント:日本酒が揃った下町の高級居酒屋

ラ・ボンバンス La BOMBANCE

 “La BOMBANCE”とはフランス語で“ご馳走”という意味らしいが、フランス料理店ならともかく、日本料理店らしかぬネーミングである。ミシュランでは1つ星を獲得し、新日本料理にジャンル分けされている。店は人通りの少ないビルの地下にあり外からは看板が目立たないため、よほど注意していなければ通り過ぎてしまうほど。しかし、目立たない外観とは裏腹に、階段を下りて中に入ると、そのモダンジャパネスクともいえるシックなインテリアに感嘆。トイレの入り口などは、外人受けしそうな茶室のにじり口をイメージしたものとなっている。席は長いカウンター席(一部が対面式に)がメインで、横には半個室の4人掛けのテーブル席がある。テーブルには葉書型のメニューが添えられているが、読んでみても謎々クイズのようになっていて、想像力をかき立てるような仕掛けである。例えば「33b ao10 bar℃」は「炭火・青唐辛子・地鶏(バード)焼き」といった具合。料理は確かにエスニック的な要素もあるが、真っ当な美味しい日本料理に仕上がっており、料理長である岡元さんの技術の高さが窺える。このエリアでこの雰囲気とこの料理レベルを考えると、かなり満足度の高い良質な店だ。

港区西麻布2-26-21 ニューシティーレジデンス地下1階    
電話:03-5778-6511(受付は12時以降) 
定休日:日曜・祝日 
営業時間:18時~21時 
予算:コース10800円 
アクセス:東京メトロ(日比谷線)、都営地下鉄(大江戸線)六本木駅2番出口を出て西麻布方面へ進み、「明治屋」、「zaboo」を過ぎ、西麻布交差点の信号を「三菱東京UFJ銀行」側に渡る。直進してしばらく進むと「FUJI FILM」のビルが見えるので、その手前のビル(小さいオレンジの看板が目印)。東京メトロ六本木駅から徒歩10分。 

最寄りのランドマーク:FUJI FILMビル 

お勧めポイント:ニューヨークにありそうな新日本料理店

琥珀

  席につくとまず飲み物を聞かれたので生ビールを注文すると、「ザ・プレミアム・モルツ」であった。 小さな銅のグラスで出されるが、この出し方やビールのチョイスからして、店主の 食に対するこだわりが伝わってくる。その後、食べられないものや苦手食材などを聞かれるが、そもそもこの店にはメニューというものが存在しない。つまり、店主の任せ一本なのである。 唯一選択できるのは、メインの魚料理と肉料理、そして締めの御飯だけである。また、客全員分の同じ素材や同じ料理を用意している訳ではなく、客の好みや食べ具合などによって少しずつ料理を変えて出しているのだ。なので、用意している料理の品数は驚くほど多い。
 まず、酒のアテとなる小皿が何品も続き、そしてメインディッシュ、ご飯となる。メインディッシュは魚と肉であるが、これらを完食するとかなりのボリュームがあるので、 まさに体育会系の店である。 しかし、この店に来たのなら、これら全てを平らげなければ、この店の醍醐味は味わえない。なので、小食の方は量を調整してもらうか(たぶん値段は変わらないかも)、残りを食べてくれるような大食漢の方と一緒に行くべきであろう。
 魚はその日に仕入れたものの中から「焼き魚」か「煮魚」を選択できるが、「ノドグロの焼魚」か「キンキの煮付け」がベスト。そして肉は、ステーキでなく絶対に「ビーフカツ」を注文してほしい。サクッとした衣とミディアムレアに揚げられたヒレ肉は、赤肉の旨味があって最高に美味しい。さらに、お腹に余裕のある方は、ビーフカツと一緒に別なフライ(もしあれば鯵フライ)も注文してほしい。締めの御飯でこの日僕がチョイスしたのは、「トビッコ入り中落ち丼」。 マグロの中落ちとトビッコの食感が絶妙で、一緒に出された「岩のりの味噌汁」との相性も抜群だった。また、ある日食べた「ウニの混ぜ御飯」も濃厚で実に美味しかった。
 お酒は福井の地酒が1種類の他、焼酎やグラスワインなどもあるが、アルコール類はあまり期待しないで欲しい。気さくに話してくれる店主の人柄も良く、僕が東京に住んでいたら週一くらいのペースで行きつけにしたい店である。

新宿区神楽坂3-4   
電話:03-5225-0807
定休日:日曜・祝日 
営業時間:17時半~22時半 
予算:コース13000円、15000円、17000円 
アクセス:東京メトロ(東西線、南北線、有楽町線、大江戸線)神楽坂駅のB3出口を出て、早稲田通りを右へ上る。「ファミリーマート」、「天下一品」を過ぎ、左に「松屋」、「牛鍋ますだや」が見えたら、その角を左折。すぐ右側に牛のマーク「ASADOR EL BUEY」が見えるので、その隣の新しい建物。飯田橋駅から徒歩3分。 

最寄りのランドマーク:松屋 

お勧めポイント:斬新さや新しい可能性を追求する日本料理

一即夛(いっしょくた)

 エレベーターで2階に上がると、左の一番奥に見える小さな店。エレベーターで行くと看板が目立たないが、よく見るとドアの右側にひっそりと看板がある。この店はカウンター席が12席しかないが、奥の席はパーティションで仕切られた対面式テーブルのようになっている。 → 対面できるテーブル席のようになっている。
 席につくと、飲み物を聞かれたので生ビールを注文すると、それは「ザ・プレミアム・モルツ」であった。ビアグラスのように小さな銅容器で出されるが、この出し方やビールのチョイスからして、店主の食に対するこだわりが半端でないことが伝わってくる。その後、食べられないものや苦手食材などを聞かれるが、この店にはそもそもメニューというものが存在しない。店主の任せ一本なのである。唯一選択できるのは、メインの魚料理と肉料理、締めの御飯だけなのだ。また、客全員分の同じ素材や同じ料理を用意している訳ではなく、客の好みや食べ具合などによって少しずつ料理を変えて出しているようだ。なので、用意している料理の品数は驚くほど多い。
 一口にこの店の素晴らしさを伝えるなら、とにかく厳選された素材とその調理の仕方が際だって優れていること。塩加減や火の通し方はほぼ完璧で、どの品にも店主のセンスを感じさせる。また、店主がほぼ1人で調理しているにもかかわらず、料理がとてもテンポ良く出される点もいい。酒のあてとなる小皿が何品も続き、そしてメインディッシュ、ご飯となる。メインディッシュは魚と肉であるが、これらを完食するとかなりのボリュームがあり、女性客を連れたカップル客を多く見かけるが、まさに体育会系の店である。
 この店に来たのならこれら全てを平らげなければ、この店の醍醐味を体験できない。なので、小食な方は量を調整してもらうか(たぶん値段は変わらないかも)、残りを食べてくれるような大食漢の方と一緒に行くべきであろう。魚はその日に仕入れたものの中から「焼き魚」か「煮魚」を選択できるが、「ノドグロの焼き」か「キンキの煮付け」をチョイスするがベスト。そして肉はステーキでなく絶対に「ビーフカツ」を注文してほしい。サクッとした衣とミディアムレアに揚げられたヒレ肉は旨味十分で最高に美味しい。お腹に余裕のある方は、ビーフカツと一緒に別なフライ(もしあれば鯵フライ)も注文してほしい。そして、締めの御飯でこの日僕がチョイスしたのは「トビッコ入り中落ち丼」。マグロの中落ちとトビッコの食感が絶妙で、一緒に出された「岩のりの味噌汁」との相性も抜群だった。また、ある日食べた「ウニの混ぜ御飯」も濃厚で実に美味しかった。
 お酒は福井の地酒が1種類の他、焼酎やグラスワインなどもある。気さくに話してくれる店主の人柄も良く、僕が東京に住んでいたら週一くらいのペースで行きつけにしたい店である。コース1人当たりの値段はおよそ1万円強くらいであるが、素材や料理の内容を考えると、その倍を支払っても納得できるくらいの満足感が得られる。なお、店内は禁煙であるのでご注意を。(2014年4月更新)

港区西麻布1-10-16 西麻布ロイヤルビル2階    
電話:03-3746-2877
定休日:日曜・祝日 
営業時間:18時半〜24時
予算:1万円強
アクセス:東京メトロ(日比谷線)、都営地下鉄(大江戸線)六本木駅2番出口を出て、「明治屋」、「zaboo」を過ぎ、さらに2つめの「ファミリーマート」を過ぎて、「ハレノヒ」の角を右折。「長寿庵」が見える2つめの交差点(T字路は除く)を左折すると、左側に見える白い4階建て飲食店ビル。地下鉄六本木駅から徒歩7分。 
最寄りのランドマーク:明治屋 
お勧めポイント:美味しいつまみをたくさん食べて最後はボリュームタップリのメインディッシュを頂くという、まさに食いしん坊のパラダイス

パプリカのスープと生ビール

ローストビーフ

空豆の塩ゆで

刺身(平貝、イカ、サヨリ、真鯛

生のノレソレ(穴子の幼魚

マグロの中落ちと葉ワサビ

活ボタン海老の刺身

カツオの刺身

アジ?の胡麻和え

湯葉豆腐と塩水ウニ

ホタルイカの酢味噌

煮アワビ

豆苗のおひたし

煮染め

新明先生注文の煮魚(黒ムツ、金目鯛)

僕が注文した焼き魚(マナガツオ)

ビーフカツと牡蠣フライ(2名分)

マグロの中落ち丼(トビッコと煎り金胡麻)

ながずみ

 赤坂にあるカウンターだけの小さな日本料理店。店内に入るとコの字のカウンターがあり、客の中心にあるカウンターという舞台で、店主が料理を作るという趣向らしい。福岡県の長住(ながずみ)出身の店主は未だかなり若く、和食店では珍しい長髪。聞くところによると、彼はミシュランで星を獲得した 最年少のオーナーシェフらしい。
 料理はコースのみであるが、 途中でおでんが出るところが面白かった。中でもF1和牛(和牛:今回は赤牛とホルスタインの一代交配種)の焼きものが、特に美味しかった。そして、最後の締めを飾る「鯛味噌御飯」や「お茶漬け」もさっぱりとしていて良かった。酒の種類が少ないのが欠点であるが、コースの値段を考えるとコストパフォーマンスは悪くない。

港区元赤坂1-5-3   
電話:03-5410-1919
定休日:不定休 
営業時間:18時?22時半 
予算:12000円
アクセス:東京メトロ(丸ノ内線、銀座線)赤坂見附駅の元赤坂口:B出口を出て右へ外堀通り沿いに進み、すぐに左折。そしてまたすぐに右折するとすぐ左側。東京メトロ赤坂見附駅から徒歩2分。 
最寄りのランドマーク:ベルビー赤坂 
お勧めポイント:若い料理人が作るモダンな日本料理

酒仙 しんばし光寿(こうじゅ)

  サラリーマンの街・新橋には、かつて「酒仙 しんばし光寿(こうじゅ)」と「酛(もと)」という人気の日本酒居酒屋があった。両店の大きな違いは、「しんばし光寿」が純米酒を中心とした有名蔵の酒が定番として揃っているのに対し、「酛(もと)」では聞いたことがない小さな蔵を中心としたこだわりの酒が揃っており、それを固定せずに入れ替えるシステムだった。しかしその後、「酛(もと)」は京橋に移転し、「京橋もと」というワンランク上の日本酒居酒屋に生まれ変わった。
 この店には約40種類の日本酒があり、このエリアにしては酒の価格設定が高めである。食べ物のメニューもそれほど多くはないが、酒がメインと考えれば、アテとしては、決して悪くはないと思う。まずは靴を脱いで上がるのだが、席は掘りごたつ風になっているのでくつろげる。さらに、予算に問題がなければ、ここでしか飲めない大吟醸 「辻寛文」もぜひ飲んで頂きたい。

【酒仙 しんばし光寿】    
港区東新橋1-2-17 下島ビル地下1階 
電話:03-3575-0939
定休日:土日・祝日、土曜は不定休 
営業時間:17時半~23時半 
予算:6000円〜7000円
アクセス:東京メトロ(銀座線)新橋駅、JR新橋駅から「ゆりかもめ新橋駅」側に向かう。2C出口を出て、広い第1京浜を左へ浜松町方面に向かうと10m。新橋駅から徒歩1分。 

最寄りのランドマーク:ゆりかもめ新橋駅

蕎麦 流石(さすが)本店

 2016年ミシュランで1つ星を獲得した蕎麦店である。本来は蕎麦の店であるが、今回は居酒屋としての紹介である。店主は神田で「いし井」を開店し、その後修善寺へ店を移転させて「朴念仁(ぼくねんじん)」を開いた。修善寺に宿泊した折に僕も訪れたことがあるが、とにかく混んでいたことと、「桜海老のかき揚げ」と「焼き味噌」、「だし巻き 玉子」などが美味しかった印象がある。残念ながら蕎麦は、極細ということ以外とくに記憶に残っていない。
 この店が銀座に移転して「流石」という店名に変わり、ビルの地下にあったときに一度訪れてみたが、印象は同じだったように思う。その後訪れることはなくなってしまったが、永田眼科の黒田先生に居酒屋としての使い方を教わり、この店の別な魅力に気づいたのである。なので、この店は蕎麦だけを食べる店としてお勧めしているわけではない。酒のアテが充実しているので、それを肴にワインや日本酒などを飲み、最後の冷たい蕎麦で締めるという使いがベスト。
 蕎麦は蕎麦100%の極細の生粉打ちで美味しい。しかしながら、汁が弱いことが全体のバランスを悪くしている。汁は本枯れ節によるスモーキーさは素晴らしいが、やや(塩)辛さや甘みに欠けるのだ。(2016年1月更新)
http://ginza-sasuga.jp/honten/index.html

中央区銀座2-13-6 東二ビル2階    
電話:03-3543-0404
定休日:日曜・祝日 
営業時間:11時半~14時、17時半~23時半 
予算:流石コース7000円 
アクセス:東京メトロ(銀座線、丸ノ内線、日比谷線)銀座駅A6番出口を出て逆の築地側に向かう。広い昭和通りの信号を渡り、歌舞伎座に向かわず、「PRONTO」前の歩道を左へ曲がる。「ビックヴィジョン」、「QBHOUSE」の交差点角右折し、「函館らーめん 船見坂」を過ぎ、2つ目の角を左折するとすぐ左。東京メトロ銀座駅(4丁目交差点)から徒歩10分
最寄りのランドマーク:ホテル銀座ダイエー

銀座 ささ花

 学会場である東京国際フォーラムから最も近く、日本酒が美味しい和食店である。地下に降りると、手前にカウンター席が8席、奥にテーブル席と小上がりがある。料理はどれも美味しく関西風の味付け。料理だけ食べていると、京都の割烹で食べているような錯覚にとらわれる。日本酒は吟醸と大吟醸がほとんどだが、日本酒の価格設定はこのエリアにして至極妥当なもの。この日良かったのは熊本の「香露 大吟醸」と山口の「獺祭(だっさい)大吟醸」。しかし、アラカルトの料理は一品一品の量が少なく、コストパフォーマンス的には良くない。しかしながら、学会場近辺で美味しいものを食べて日本酒を飲むにはうってつけの店であろう。

住所:中央区銀座1-4-9 第1田村ビル地下1階    
電話:03-3561-3761
定休日:無休 
営業時間:平日:17時~22時半、土日・祝日:12時~15時のランチ営業あり、17時~21時 
予算:お任せコース6300円~12600円、太刀魚いぶし焼き1680円、牛すじ840 円 
アクセス:①JR有楽町駅・東京国際フォー ラム口を出て、東京国際フォーラム手前を右に曲がる。高速の下を通り、外堀通りを渡って 沖縄ショップ「わした」を過ぎるとすぐ左側。②東京メトロ銀座線、丸ノ内線、日比谷線・銀座駅から数寄屋橋交差点へ出て、外堀通りを東京駅方向へ進む。「カラオケ館」、「東映会館」、「マロニエゲート銀座」を過ぎた次の交差点(CAFE de GINZAと銀座わしたショップの間の通り)を右折するとすぐ左側。JR有楽町駅(東京国際フォーラム)、東京メトロ銀座駅(数寄屋橋交差点)から徒歩5分。
最寄りのランドマーク:マロニエゲート銀座
お勧めポイント: 学会場である東京国際フォーラムから最も近い日本酒の美味しい和食店。

銀座 しまだ

 新橋の「イタリアンバル ピッコロ(→ 銀座グルメバイブル・イタリアンバールの頁を参照)」が激安の体育会系立ち飲み店とすれば、こちらは上質でワンランク上の立ち飲み居酒屋である。黒板のメニューを見ると、“おばんざい”中心の メニューが並び、中には僕の食欲をくすぐる品々も多数。料理は居酒屋というよりほとんど割烹レベルに近い。お勧め は「ズワイガニコロッケ」や「伊勢エビジュレ」、手打ちの「からすみそば」など。また、僕がまだ食べたことのない「からすみそば」のパワーアップ版「バチコ(くちこ)そば」のお値段は何と6,000円である。立ち飲みスペース以外には4人掛けのテーブル席が1つだけあり、3〜4名ならテーブル席を予約することも可能。

中央区銀座8-2-8_ 高坂ビル1階    
電話:03-3572-8972 
定休日:日曜・祝日 
営業時間:17時〜 23時 
予算:ズワイガニコロッケ1,000円、伊勢エビジュレ1,600円 
アクセス:①東京メトロ(銀座線)新橋駅、JR新橋駅銀座口を出て、カラオケBIGECHO向かい「天久利」、「まぐろ市場」側に渡る。高速の下をくぐり、静 岡新聞ビルを過ぎる。「アシックス」の信号を左折し、中華料理の「維新號」を右折して小路を進むとすぐ左。新橋駅から徒歩3分。②東京メトロ(銀座線、丸ノ内線、日比谷線)銀座駅A2番出口を出て、銀座中央通りを新橋方面に進む。「フェラガモ」、「とらや」の前を通り、赤褐色の建物「資生堂ビル」の交差点を右折。しばらく直進して「和蘭豆」を過ぎてすぐの小路を左折。少し進むと右側に。東京メトロ銀座駅(4丁目交差点)から徒歩6分。 

最寄りのランドマーク:静岡新聞ビル、資生堂ビル 

お勧めポイント:ワンランク上の上質な立ち飲み居酒屋

銀座あさみ

 京料理の店だが、この店のお勧めは「鯛茶漬け」。鯛料理の専門店なども含め、いろいろな店の鯛茶漬けを食べてきたが、僕が美味しいと思ったのはこの店と「賛否両論」くらい。切られた鯛は、ゴマ醤油に浸った状態で小鉢の中に入って出てくる。これをかき混ぜてタレと共に御飯にのせ、擦りたての山葵をのせてお茶を注ぐと最高に美味しい!但し、鯛茶漬けの単品は、お昼のランチでしか食べることができない。もちろん、夜の京料理のコースでも、最後の御飯に鯛茶漬けが出されるが、あくまでもお勧めは鯛茶漬け。お昼の鯛茶漬けには、小鉢、お新香、モズク酢、お菓子がつく。鯛茶漬けだけでは物足りないという方は、前日までの予約で「鯛茶漬けとお弁当のセット」が頂ける。但し、短時間で客が入れ替わる昼のランチタイムは、心地よいサービスは望めない。また、人気店なので、昼は予約が必須。個室だけでなくカウンターもあるので、1人飯にもいい。

中央区銀座8-16-6 ときわぎ館1階   
電話:03-5565-1606
定休日:日曜・祝日
営業時間:11時半~14時、17時~22時
予算:昼のみ:鯛茶漬け1500円、鯛茶漬けとお弁当のセット3500円
アクセス:①東京メトロ(銀座線)新橋駅、JR新橋駅1番出口を出て直進し、「新橋玉木屋」の信号を汐留方面(海側)へ渡る。「宮越屋珈琲店」を過ぎ、「三井ガーデンホテル」前の歩道橋を登り、シェル石油ガソリンスタンドの入った「銀座COMビル」の直進側階段へ降りる。更にアップルパークの見える汐留側に進み、コンビニ「ポプラ」を過ぎた角を左折してすぐ。東京メトロ・JR新橋駅から徒歩8分。②(都営大江戸線)築地市場駅A3番出口を出て右へ進み、黒い塀の「東京吉兆」の交差点を左折。しばらく直進すると右。(都営大江戸線)築地市場駅から徒歩3分。

最寄りのランドマーク:三井ガーデンホテル(RICHO)、東京吉兆

お勧めポイント:鯛茶漬けが旨い!

 

 

赤坂 詠月

 赤坂の飲み屋街のビルに入っている店の扉を開くと、その狭さにびっくり。席数が僅か10席しかないのである。このような小規模で本格的和食店は、神戸版で掲載した芦屋の「食楽 板垣」くらいしか思い当たらないが、この店は板垣よりも更に狭くて小さい。日本料理店には、「吉兆」や「菊乃井」のような遊び心があり、華のあるタイプと、「招福楼」や「京味」のように、素材力を引き出すために余分なものを削ぎ落とし、シンプルな料理を出すタイプとがある。この店の料理は後者で、地味なだけに評価が分かれると思うが、実直で熱心な店主の情熱が料理に表れている。
 お昼はランチメニューだけなので、コースを味わえるのは夜のみ。当日予約だと8400円と10500円の2コースのみだが、前日以前の予約なら12600円の高いコースも頂ける。8400円のコースでも十分満足できる内容となっており、日本酒や焼酎などのお酒が比較的揃っている点もいい(メニューに載っていない日本酒もあるので、要確認)。しかし、雰囲気を重視する方や接待、デートなどには向かない。

港区赤坂3-11-7 ソシアル赤坂ビル4階   
電話:03-6277-6293
定休日:日曜・祝日
営業時間:18時~23時(ランチは月曜から金曜の11時半から13時半まで)
予算:夜:8400円、10500円
アクセス:東京メトロ(丸ノ内線、銀座線)赤坂見附駅のエスカレーターを上り、ベルビー赤坂1階に出る。赤坂エクセル東急ホテルが見える広い外堀通りとは逆の右の裏通りに出て左へ。「赤坂アルトビル」を過ぎ、「三菱東京UFJ銀行」を過ぎ、「サンクス」を過ぎるとすぐ右のビル。東京メトロ赤坂見附駅から徒歩4分。

最寄りのランドマーク:ベルビー赤坂、三菱東京UFJ銀行

お勧めポイント:赤坂の飲み屋街にあるハイコストパフォーマンスの和食店。