5.スペイン料理、オーストリア料理、洋食

神田 ルー・ド・メール Loup de mer

 JR神田駅の近くにある人気の洋食店。天上が高く仕切りのないワンフロアーの店内は、元は倉庫だったの?と思うくらい殺風景。雰囲気だけ見ると高級感など一切ないが、値段や料理の内容を見ると高級洋食店なのである。今回はランチタイムに訪れてみたが、ビジネスマンが行列をつくるほど盛況だった。
 この店の店主は、洋食界のカリスマ・鈴木正幸シェフなのである。しかし、鈴木シェフと言えば、京橋二丁目の再開発によって今年閉店となった有名店「京橋ドン・ピエール」、そして「銀座ペリニィヨン」、「アトリエ・ド・ペリニィヨン」、「ドンピエール エクスプレスカレー東京駅店」などペリニィヨングループの総料理長のはず。僕はずっとそう思っていたのだが、実はこの店も経営していて、現在は彼自身がこの店で腕を振るっているのである。「京橋ドン・ピエール」は何度か訪れたことがあり、色々と食べたが、スペシャリティである「ビーフオムライス」はそれほど美味しいとは思わなかった。しかし、今回改めてこの店で彼の作ったものを食べてみると、醤油味の和風テイストと濃厚なビースのコンビネーションが絶妙で、とても美味しかった。確かに3000円という価格はかなり高いと思うが、オムライスの中には黒毛和牛のサイコロステーキがゴロゴロと入っているので満足度としては結構高い。さらに、「ドライカレーオムレツのせ」や和牛を使った「特選ビーフカレー」の他、TBSの「チューボーですよ!」でも紹介された「メンチカツ」や、これを使った「メンチカツカレー」なども外せない美味しさ。(2013年2月追加)

千代田区内神田2-14-3 TSビル1階  
電話番号:03-5298-4390
定休日:月曜、日曜・祝日 
営業時間:平日11時半〜14時半、17時半〜20時半、土曜12時〜14時半、17時半〜20時 
予算:ビーフオムライス3000円、ドライカレーオムレツのせ1580円 
アクセス:地下鉄銀座線・神田駅2番出口を出て右へ進む。もしくはJR神田駅北口を出て左へ進む。線路沿いに進み「BURGER KING」を過ぎた次の角(一方通行で進入禁止の通り)を右折する。「神田外語学院」を過ぎると右側に見える。神田駅から徒歩5分。 
最寄りのランドマーク:BURGER KING、神田外語学院 
お勧めポイント:ドン・ピエールの鈴木シェフの料理が味わえる店

銀座 ハプスブルグ ファイルヒェン

 以前赤坂にあった「カー・ウント・カー」の神田シェフが独立して開いた店である。エレベーターのドアが開くと受付があり、左に進むとメインダイニングがある。店内にはゆったりとしたクラシック音楽が流れ、天井は高くシャンデリアが印象的。壁には鏡とダークブラウンの木材が使われており、床は黒い大理石である。ビルの7階ワンフロア全てが店舗なので、とても広くて快適である。席は基本的に4名用のテーブル席であるが、僕のような1名の場合にも、広いテーブル席を使わせてもらえた。メインダイニングの他に、マックス6名まで収容可能な個室もあるようだ。
 神田シェフはオーストリア国家公認料理マイスターであるが、僕は「カー・ウント・カー」とこの店以外の本格的なオーストリア料理を食べたことがないので、この店の評価は、一般的な料理としての評価である。かつて、先輩と共に「カー・ウント・カー」を訪れたことあるが、前店からの名物・梅山豚の骨付き熟成ハム「ウィーナバイイシンケン」は、以前食べたときに比べて、しっとり感と柔らかさに欠け、まるで市販の骨付きロースハムのようだった。しかし、メイプルシロップとホースラディッシュに栗(?) が入った特製マスタードにつけて食べると、やはり美味しい。料理は全般的にクラシックなフレンチのような感じで、ソースや塩味はしっかりめである。前菜もスープも美味しいが、フレンチの様な華やかさはないので、デートや接待というシチュエーションでは、盛り上がりに欠けるかもしれない。しかし、サービスは軽やかで、雰囲気も含めてとても素敵な店である。カフェタイム(13時半〜15時)には、ウィーン菓子とお茶を楽しむことができ、店内ではお土産用にウィーン菓子も販されている。

中央区銀座7-8-7 GINZA GREEN7階  
電話:03-5537-3226
定休日:日曜・祝日 
営業時間:11時半〜13時半、18時〜21時半 
予算:ランチ5250円、ディナー9500円、15000円 
アクセス:東京メトロ(銀座線、丸ノ内線、日比谷線)銀座駅A2番出口を出て、銀座中央通りを新橋方面に進むと、「フェラガモ」、「とらや」の並びのビル。東京メトロ銀座駅(4丁目交差点)から徒歩3分。 
最寄りのランドマーク:フェラガモ、とらや 
お勧めポイント:オーストリア国家公認料理マイスターがシェフの素敵なレストラン

スリオラ ZURRIOLA

 交詢ビルに移転したモダンスパニッシュレストラン。店内に入ると薪のようなスモーキーな香りが漂う。入口側に長いオープンキッチンのカウンター席があり、奥がテーブル席となっている。
 メニューを見ると、ランチ、ディナーともにコースは2種類で、グラスワインは1400円から。グラスワインのスパークリングは、カヴァとシャンパンの2種類があり、白と赤はそれぞれ3種類あった。また、3種、4種、5種のペアリングワインコースもある。
 サービスに関しては、昔のホテルレストランっぽい淡々としたもので、フレンドリーな「サンパウ(→ 銀座グルメバイブル・スペイン料理の頁を参照)」の方が遥かにレベルが高かった。しかし、逆に調理場はテキパキと作業していて活気がある。この店の日本人シェフは、スペインのバスク地方で修行をしたらしいが、料理はどれもワクワクするようなサプライズ感のある料理で、デザートのチョコミントスープに至るまで美味しかった。(2020年2月追加)
http://zurriola.jp

中央区銀座6丁目8-7 交詢ビル4階
電話番号:03-3289-5331
定休日:月曜
営業時間:11時半〜13時半、18時〜21時半
予算:【ランチ】5500円、7800円、【ディナー】14500円、18800円
アクセス:東京メトロ銀座線、日比谷線・銀座駅A2番出口を出て、JR新橋駅方向へ向かう。2つ目の交差点を右折して交詢社通りを進むと右側のビル。銀座駅から徒歩4分
最寄りのランドマーク:交詢社通り
お勧めポイント:わくわく感のあるモダンスパニッシュ

このビルですエレベーターで4階まで上がると、ココです! 入口側に、このような長いオープンキッチンのカウンター席があり、奥がテーブル席となっている 夜のコース。少量多皿コースです 左の「オリーブオイル入りの硬いパン(グリッシーニの様な硬さ)」はイマイチだったが、右の「ポテトチップスとパンチェッタ」は、ポテチと塩辛いパンチェッタがよく合う 「3種のタパス」は、「イノシシのコロッケ」は、煎って砕いたカカオ豆を付けて食べると、食感の複雑味が増す。「炙った自家製チョリソ」は塩辛いが、スペインのスパークリングワイン(カヴァ)と相性抜群。「ガリシア風煮蛸」は塩でいただく。柔らかさ、味のバランスとも良かった 「スペイン風春巻き」の具材は、子豚のコンフィと帆立貝。それをサラダ菜と大根のピクルスに巻いていただく。カリッとした薄皮とジューシーな具材、さらにトマトガーリック味のロメスコソースによって味の深みが増す 甘口のシェリーペドロヒメネス香る「フォアグラのムース」は、この店のスペシャリティらしい 乳化したフォアグラの上に、シェリービネガーソースと干しぶどう、クルトン。酸味と甘味、フォアグラのコクが一体となっており、さらに干しぶどうとクルトンの食感が複雑さを与えている。確かにフォアグラとは思えない、洗練された味 「スペイン風サラダ」もこの店のスペシャリティ。チーズのドレッシングをかけていただく。下にはトマトとケーパーのジュレが入っている。ゴチャゴチャに混ぜて食べると、ドレッシングの優しい酸味が絶妙で、いろいろな野菜が際立っている ぶどうの木と昆布で軽く燻した煙で香りづけした「キャビアと玉ねぎソースのラビオリ」 大根のスライスで巻かれているので食感が良い。上には締めたカマスの酸味のアクセントになっている。底のパスタが分厚いので食感こそ良くないが、全体的には悪くない。バスク地方では、食材を燻した料理がよく食べられるというパンは赤ワインのパンは外側がカリッとして深みがある。オリーブオイルもフルーティーで美味しい。白いオリーブオイルのパンは、オリーブが香らずフォカッチャのよう 「サワラのコンフィターダ」。ピルピルソース(魚のニンニク風味のソース)は軽めのソースで、黒ニンニクのピューレが敷かれている。また、アーモンドと唐辛子の酢漬けが添えられている。レアに火を通したサワラとニンニク風味のソース、アーモンドと唐辛子の酢漬けが一体となることで最高のパフォーマンスを発揮している 「イベリコ豚ブレサ(肩肉)のロースト・燻した玉ねぎのソース あんず茸を添えて」。 肉の繊維は強めで歯応えはあるが、旨味があってジューシー。シャキッとした玉ねぎと、甘さの少なめのソースも豚肉にマッチしていて最高 「3種のチーズの盛り合わせ」。それぞれのチーズにソースが添えられている。左から、白ワインのゼリーは優しい甘さは山羊のチーズと合う。お酒を使ったオレンジ色ののメンブリージョも甘く、羊のハードチーズと合う。ゴルゴンゾーラとクルミソースも悪くない 「紅マドンナ」はフローズンヨーグルトとは合うが、サフランソースとは合わない 「山羊ミルクのアイスと塩味のある山羊のチーズのムース」。底のドウルセ デ レチェのキャラメルとザクっとした岩塩がアクセントになっている。これは意外にも美味しいドリンクと小菓子で終了となる。小菓子は、自家製カカオ豆から作るチョコデザートいろいろ。どれも甘さ控えめで、香りと酸味、最後尾のチョコミントスープに至るまで美味しい

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レストラン サンパウ
                SANT PAU

 2019年の3月に、「コレド日本橋ANNEX」から永田町の「ザ・キタノホテル東京」に移転したモダンスパニッシュの店。本店は、バルセロナ市の北方60kmにあるサン・ポル・デ・マルという小さな町にある。女性シェフの作る料理が評判となり、オープンからわずか2年半の1991年にミシュラン1つ星を獲得した。更に、1996年にミシュラン2つ星を、2006年には3つ星を獲得し、現在ではスペインだけでなく、世界中から美食家が訪れる世界トップレベルのレストランとなった。
 エレベーターでホテルの2階に上がり、エントランスを抜けるとウェイティングバーがある。中はリゾートレストランのような白とクリーム色を配した明るい雰囲気。どこかしら、改装前の「エスキス(→ 銀座グルメバイブル・フレンチの頁を参照)」と通じるものがある。さすがはスペインの一流レストランだけあって、ワインリストが充実しており、「ウニコ」や「ピングス」といった超高級ワインのオールドヴィンテージも揃っている。また、5000円(3種)、7000円(4種)、12000円(6種)のペアリングワインコースがあり、さらには、泡、白、赤3種のプレミアムワインコースも7000円からある。グラスワインは、スパークリングがカヴァ2種とシャンパン1種、白が4種、 赤が4種、ドライシェリーが3種と充実しており、価格は1200円〜2800円。ビールもエビスの生の他に2種あった。
 かわいいイラストメニューでなくなったのは残念だが、メニューはランチコースが3コース、ディナーコースが4コース。どの料理も少量多皿コースとなっているが、この日の取材はこの店だけではなかったので、デザートを含めた9品コースをチョイス。    
 料理はどれも日本料理と通じる繊細さが感じられ、実に洗練されていた。素材の組み合わせも面白く、本当に素晴らしい料理である。これだけのハイレベルで美味しいにも関わらず、スペイン料理というイメージが影響しているのか?今のところ空席が目立つ。僕的には、もっと評価されても良い店だと思う。(2019年11月再取材)
https://www.santpau.jp

千代田区平河町2丁目16-15 ザ・キタノホテル東京2階  
電話番号:03-3511-2881
定休日:無休(不定休あり)
営業時間:11時半〜13時半、18時〜21時
予算:【ランチ】7000円(平日限定)、9000円、16000円、【ディナー】(7品)15000円、(9品)19000円、(12品)24000円、(12品+シグニチャディッシュ2品)32000円
アクセス:東京メトロ有楽町線・永田町駅4番出口を出ると目の前。永田町駅から徒歩1分
最寄りのランドマーク:都道府県会館、砂防会館
お勧めポイント:スペイン料理のイメージを覆すスペインの3つ星店

ここが永田町の「ザ・キタノホテル東京」 エレベーターでホテルの2階に上がる 前店同様に店舗の外からガラス越しにキッチンを見ることができる 通路を進むと見えてきました ココです! 店内はリゾートレストランのような白とクリーム色を配した明るい雰囲気。どこかしら、改装前の銀座フレンチ「エスキス」と通じるものがある さすがはスペインの一流レストランだけあって、ワインリストが充実しており、「ウニコ」や「ピングス」といった超高級ワインのオールドヴィンテージも揃っている(ピングスの1995年は何と!40万円!!) かわいいイラストメニューでなくなったのは残念だが、メニューはランチコースが3コース、ディナーコースが4コース。どの料理も少量多皿コースとなっているが、この日の取材はこの店だけではなかったので、デザートを含めた9品コースをチョイスした 「瑞穂のいも豚のアルポンディガス」は、豚肉の肉団子。甘みを抑えたバナナのチャツネがいい 「細かく切られた海老が入ったラビオリ」は、旨味十分。栗のブイヨンは、ほんのりと甘い 「ムール貝のエスカベチェ」 爽やかなオレンジの酸味は、和の酢の物を連想させる。火の通りが浅めのムール貝は、臭みがなく良質 「茸のソフレイド」は、キノコのクリームソースといったところ。食材にではなく、ドライアイスによる間接的な松の香りを付加するのは珍しい 「鮮魚ア・ラ・ブランチャ」は、肉の様な弾力のあるアンコウのソテー。まろやかなアーモンドソースは塩味もピッタリで、シンプルに美味しい。付け合わせのアンディーブの様なイタリア野菜には、ポテトサラダが入っている 「イベリコプルーマ(イベリコ豚の天使の羽=首肉)のラカド(鉄板焼き)」は、僅かしか取れないイベリコ豚の希少部位の料理 火の入り方も塩加減も絶妙で素晴らしい。豚とは思えないくらい濃厚で、まるで牛肉のハラミのよう。バターの香りがするオランデーズソースとベストマッチ。付け合わせのカリッとした紫芋の煎餅と挟まれた安納芋のペーストもシナモンが効いて美味しい 「レイシロ」。セミハードチーズと焼いたイチジク、カリッとしたパン 「林檎のキャラメル風味」 リンゴのムースで、表面はラズベリーと苺のソース。中心に生姜とシナモンのムースが入っており、滑らかで洗練されたムース。葉っぱはホウレン草でできている。枝はビスケットのクランチで、一緒に食べてもいい 「エスプレッソ」は最高レベルの香り 6種の小菓子 「棗椰子」 ホワイトチョコ」。バウバブのパウダー入り 「ホワイトチョコ」。中の塩味のきいたオリーブオイルが衝撃的 「コーヒームース」は、とろけるような美味しさ 「パッションフルーツのゼリー」は、酸味と香りが最高 「桂花陳酒」のゼリーは、皮が弾けると金木犀の香りがする酒がドバー!のエルブジ的サプライズ!!

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