1.日本料理

京都市右京区

おきな

 嵐山の住宅街にひっそりとある日本料理店。かつて京都に住んでいたことがある「銀座 鮨 青木」の店主・青木利勝さんからいいと教えてもらった店である。店の看板には嵐山らしく「湯豆腐、京料理」の看板があるので、湯豆腐専門店かと思いきや、普通の日本料理店であった。入ってすぐ手前に個室があり、奥にカウンター席がある。2階には20名までの座敷もあるらしい。
 今回は初めての訪問だったので、おまかせコースを注文したが、常連客はアラカルトメニューから好みのものを注文していた。しかし、ビッシリと料理名が書かれていた手書きのメニューには価格表示がないので、常連客でなければ注文しにくいと思うが、恐らくそれほど高くはないものと思われる。
 まず出てきたのは、八寸のような「松茸のおひたし」と「鯖の棒寿司」、「子持ち鮎の甘露煮」、「手長海老と銀杏の素揚げ」などの盛り合わせ。そして、一品目のお造りは「ハタとバフンウニ」。トロみのある醤油ダレと弾力のあるハタの組み合わせがいい。二品目のお造り「ヨコワとブリ」は素材も良いが、厚く切られているので食感が抜群。お椀は「海老芋と蟹」で、汁が餡かけのようにトロミがあって美味しい。焼き物の「マナガツオの西京味噌焼きと鴨ロース」の鴨ロースが、ジューシーで肉の旨みがあって最高だった。特に、この厚く切られた鴨と芽ネギと一緒に食べると絶品である。揚げ物は「穴子と赤万願寺唐辛子の天ぷら」。藻塩でいただいたが、これはまあまあの味。特別に出してくれたご近所のものだという絹ごし豆腐は、非常に柔らかくて滑らかだったが、大豆の甘みや香りがあまりなかった。そして最後のご飯は、白米とじゃこ山椒、香の物であるが、今回はアラカルトメニューの中から単品で、「琵琶湖産・天然鰻の蒲焼き」を追加注文した。身が厚くものは良かったが、火が通り過ぎていて多少脱水気味だったのが残念。そして最後の水菓子「カラメルでコーティングしたアイスクリームと完熟した柿」で終了となった。
 この嵐山エリアの中では至極まっとうな日本料理店であり、嵐山で食事をとる際の選択肢に入れてもいい店である。(2019年9月追加)

右京区嵯峨釈迦堂大門町11  
電話番号:075-861-0604
定休日:水曜(祝日の場合には翌日)
営業時間:11時半~14時、17時~20時
予算:【昼】おまかせ料理6000円〜、【夜】10000円〜
アクセス:JR嵯峨嵐山駅・北口から出て直進し、2つ目の信号のある交差点を左折する。府道187号をしばらく進み、歩道橋のある交差点を右折する。「嵯峨嵐山・田中クリニック」、「京都愛宕郵便局」を過ぎ、「甘春堂」の交差点を左折すると左にある。JR嵯峨嵐山駅から徒歩15分
最寄りのランドマーク:JR嵯峨嵐山駅、京都愛宕郵便局、甘春堂嵯峨店
お勧めポイント:嵐山エリアの優良日本料理店

嵐山の住宅街にひっそりとある ココです! コース、定食、お弁当 奥にあるカウンター席 入ってすぐ手前にある個室。2階には20名までの座敷もあるらしい 常連客はこのアラカルトメニューから好みのものを注文していた。手書きのメニューには価格表示がないので、常連客でなければ注文しにくいと思うが、恐らくそれほど高くはないものと思われる まず出てきたのは、八寸のような「松茸のおひたし」と「鯖の棒寿司」、「子持ち鮎の甘露煮」、「手長海老と銀杏の素揚げ」などの盛り合わせ 「松茸のおひたし」 「鯖の棒寿司」、「子持ち鮎の甘露煮」、「手長海老と銀杏の素揚げ」 一品目のお造りは「ハタとバフンウニ」 トロみのある醤油ダレと弾力のあるハタの組み合わせがいい 二品目のお造り「ヨコワとブリ」 素材も良いが、厚く切られているので食感が抜群 お椀は「海老芋と蟹」で、汁が餡かけのようにトロミがあって美味しい 焼き物の「マナガツオの西京味噌焼きと鴨ロース」
「マナガツオの西京味噌焼き」 この「鴨ロース」が、ジューシーで肉の旨みがあって最高だった。特に、この厚く切られた鴨と芽ネギと一緒に食べると絶品である 揚げ物は「穴子と赤万願寺唐辛子の天ぷら」 藻塩でいただいたが、これはまあまあの味 特別に出してくれたご近所のものだという絹ごし豆腐は、非常に柔らかくて滑らかだったが、大豆の甘みや香りがあまりなかった 最後のご飯は、白米とじゃこ山椒、香の物であるが、今回はアラカルトメニューの中から単品で、「琵琶湖産・天然鰻の蒲焼き」を追加注文した 天然鰻は身が厚くものは良かったが、火が通り過ぎていて多少脱水気味だったのが残念 ご飯は悪くない最後の水菓子「カラメルでコーティングしたアイスクリームと完熟した柿」で終了となった

京都市上京区

御料理 光安

 通りから少し入った小路にある一軒家の料理店。この店は、昼1組、夜2組限定の完全予約制の日本料理店である。扉を開けて上がり框を上がると、すぐに部屋があり、さらに調理場を通って奥に進むともう一つ部屋がある。入口の方は個室と言うほどの空間ではないが、奥の方はほぼ個室と言ってもよい部屋だ。今回通された個室はテーブル席で、畳には電気カーペットが敷かれていたので、冬だったにもかかわらず暖かかった。日本酒は13種類あったが、飲んだ日本酒はどれも美味しく良かった。特に、広島の「天寶一・うすにごり」と島根の「裏月山・無濾過原酒」が良かった。
 料理でまず出てきたのは、「蕪蒸し」のお椀。すり流しのようにトロミがついていたが、出汁が薄く、塩味が足りなかった。一つ目のお造り「甘鯛の昆布締め」は、ネットリと旨味があって美味しい。2つ目のお造り「ブリの炙り」は、ハラミの部分。タレに辛味大根や紫蘇の花を加えて食べると、味に一体感が出て最高だった。続くこの店の名物「野菜の八寸」は、塩味が付いた金時芋、京人参、菜の花などのいろいろな野菜が入っていて、意外に美味しかった。「蛤の雑炊」は、蛤の出汁が出ていて深みのある味わい。「炙った自家製カラスミと青首大根のおろし」は、舌に絡みつくようなカラスミ独特のコクがあって、酒のアテにはピッタリ。この日一番だったのは、シンプルな「モロコの炙り焼き」。フワッと焼かれていて甘みがあり、これまで食べた中での最高のモロコであった。今まで、冬の京都で食べる白味噌のお椀をそれほど美味しいと思ったことはなかったが、「蕎麦掻きの白味噌仕立て」は、サラッとしていて洗練された味わいだった。そして、締めの土鍋ご飯は、「香住ガニのご飯」。米は地元の米をブレンドしているという。浅葱と蟹ミソがタップリと入っていて、あまりの美味しさに、思わずおかわりをしてしまったほど。最後の水菓子は、珍しい「ミカン葛」で、トロッとしていてカボチャのような風味を感じた。また、女将さんのホスピタリティのあるサービスも良かった。(2019年9月追加)
http://kyoto-mitsuyasu.com

上京区千本通丸太町上ル二筋目東入  
電話番号:075-366-3138
定休日:日曜、月曜の昼
営業時間:【昼】12時~13時、【夜】18時~20時
予算:おまかせで15000円〜18000円くらい(素材によって変動する)
アクセス:地下鉄東西線・二条駅1番出口を出て左へ「」を北へ進む。「ライフ」、「スギ薬局」、「酒のやまや」、広い「丸太町通り」を過ぎ、2つ目のT字路を右折すると左側にある。二条駅から徒歩で15分
最寄りのランドマーク:千本丸太町交差点
お勧めポイント:シンプルでありながら美味しいと思えるような日本料理店

通りから少し入った小路にある一軒家 ココです! 扉を開けて上がり框を上がると、すぐに部屋があり、さらに調理場を通って奥に進むともう一つ部屋がある。入口の方は個室と言うほどの空間ではないが、この奥の方はほぼ個室と言ってもよい部屋だ。今回通された個室はテーブル席で、畳には電気カーペットが敷かれていたので、冬だったにもかかわらず暖かかった日本酒は13種類あったが、飲んだ日本酒はどれも美味しく良かった。特に、広島の「天寶一・うすにごり」と島根の「裏月山・無濾過原酒」が良かった 料理でまず出てきたのは、「蕪蒸し」のお椀。すり流しのようにトロミがついていたが、出汁が薄く、塩味が足りなかった 一つ目のお造り「甘鯛の昆布締め」は、ネットリと旨味があって美味しい 2つ目のお造り「ブリの炙り」は、ハラミの部分 タレに辛味大根や紫蘇の花を加えて食べると、味に一体感が出て最高だった 続くこの店の名物「野菜の八寸」は、塩味が付いた金時芋、京人参、菜の花などのいろいろな野菜が入っていて、意外に美味しかった 「蛤の雑炊」は、蛤の出汁が出ていて深みのある味わい 「炙った自家製カラスミと青首大根のおろし」舌に絡みつくようなカラスミ独特のコクがあって、酒のアテにはピッタリ この日一番だったのは、シンプルな「モロコの炙り焼き」。フワッと焼かれていて甘みがあり、これまで食べた中での最高のモロコであった 今まで、冬の京都で食べる白味噌のお椀をそれほど美味しいと思ったことはなかったが、「蕎麦掻きの白味噌仕立て」は、サラッとしていて洗練された味わいだった 締めの土鍋ご飯は、「香住ガニのご飯」米は地元の米をブレンドしているという。浅葱と蟹ミソがタップリと入っていて、あまりの美味しさに、思わずおかわりをしてしまったほど後の水菓子は、珍しい「ミカン葛」で、トロッとしていてカボチャのような風味を感じた

京都市北区

陶然亭

ミシュランガイドで1つ星を獲得した人気の日本料理店。2018年に現在の建物に移転してきた。旧店舗は町家を改装した店であったが、現在の店舗は新しい住宅のような外観である。また、以前は個室や小上がりなどはなかったが、新しい店舗には、カウンター席の他、テーブル席が2卓ある。
 実は、新しくなった店を、未だ僕は訪れてはいない。かつての旧店舗時代に、昼の7000円のコースを食べる機会があったが、店主は言葉少なく、一人で黙々と料理を作っていた。料理は非常にテンポ良く出され、どの料理も塩加減が絶妙。店主の作り出す料理は、どれもセンスを感じさせる創作性の高い料理である。奮闘する女将さんの接客も心地よく、コストパフォーマンスも優れた良心的な日本料理店である。カジュアルな雰囲気ではあるが、料理だけで評価するなら堂々の2つ星であろう。(2019年更新)

北区小松原南町31-1
電話番号:075-461-7866
定休日:不定休
営業時間:12時〜13時、18時〜20時半
予算:【昼】3000円〜3999円、【夜】10000円〜14999円
アクセス:京福北野線・北野白梅町駅を出て左へUターンして、線路沿いの道を進む。「京都バレエ専門学校」を過ぎ、交差点を右折する。1つめの十字路を過ぎ、T字路を過ぎた次の交差点の左側。
最寄りのランドマーク:北野白梅町駅、京都バレエ専門学校
お勧めポイント:店主のセンスを感じさせる創作性の高い日本料理

焼きハモとアスパラ、エンドウ豆だと思います

お造り4種 煎りゴマ添え

魚の照り焼き ?添え(白髪ネギではなかったのですが、魚も含めて何か忘れました)

シャコの胡麻ムース?(忘れました)

五島列島うどんのぶっかけアオサ海苔のせ

混ぜたところ

季節野菜とアワビの餡かけ

じゃこご飯と自家製漬け物

しば漬けおかか昆布

しば漬けおかか昆布をじゃこご飯に入れて食べると美味しさ倍増

クレームブリュレ

和食店では珍しいコーヒー

    

京 上賀茂 御料理秋山

 京都北山の住宅街にひっそりとある日本料理店。この店は古民家を改装したのであろうか?まるで古い農家のような佇まいである。裏は山になっており、虫の囁きが聞こえてきて何とも言えない風情がある。店の中へ入ると、まずは右横の囲炉裏の小部屋に案内される。そこで待っている間に、夏は冷たいドクダミ茶が供される。スタート時間の午後6時半を過ぎると席に案内され、客全員がほぼ一斉のスタートとなった。この店はオープンキッチンのカウンター席が12席のみと、建物から想像できないくらいの狭さである。店主の秋山さんは未だ若いが、同世代の 「前田(→ 京都グルメバイブル・日本料理店の頁を参照)」 の店主と共に、次世代の京都日本料理を担う料理人である。
 彼の料理は、ともかく美味しいものを食べさせたいという想いが伝わってくる。その手法は、 「祇園 さヽ木(→ 京都グルメバイブル・日本料理店の頁を参照)」 の店主にかなり近いものを感じる。まずは店主が大きな声で料理の説明をし、それを聞きながら客が料理を楽しむという劇場型の手法なのである。しかし、料理に対するアプローチの仕方は異なっており、最も大きな違いは日本料理というものに対する考え方の違いであろう。同じ美味しいものを出すとはいっても、佐々木さんは日本料理という枠に捕らわれずに中華や洋風などもありなのに対し、秋山さんはあくまでも日本料理という枠の中でトコトン追求していくタイプである。厳選されたいろいろな素材を使い、それを緻密に組み立て、そこにはサプライズも仕掛けられているのである。例えば、この日の最初の刺身の中で利尻産のバフンウニを出し、後で淡路島由良産の赤ウニを再び出したり、巨大穴子を鱧のように骨切りして料理したりといった具合。また、メインのコース料理の間に出されるつまみのような小料理もアクセントがあっていい。そして、薪で炊かれた銀シャリがこれまた美味しい。パリパリのお焦げもよそってもらえるので、お替わりをする際には是非リクエストしたい。
 ちなみに後で気がついたことだが、午後6時半にスタートして終わったのが10時であったので、計3時間半食べ続けたことになる。しかしながら、その長さを感じさせないくらいの至福の時間だった。(2014年9月追加)

北区上賀茂岡本町58  
電話番号:075-711-5136
定休日: 水曜、月末の木曜
営業時間:12時〜、18時半〜
予算:【昼】4200、【夜】8000円、10000円、12500円
アクセス:地下鉄烏丸線・北山駅2番出口からタクシーでワンメーター
最寄りのランドマーク:北山駅、鞍馬街道
お勧めポイント:京都若手トップの料理人が作る至高の料理

まずはここで待ちます

冷たいドクダミ茶

12500円のコースの最初は生のカボチャやイクラの入った酢の物だったかなあ

タコと梨の柚コショウ味

お椀は出汁が深くて最高!!サワラのつみれに中秋の名月を意識した「ん」が2回付く素材「万願寺唐辛子」、「南京カボチャ」、「インゲン豆」、「銀杏」、「レンコン」

お造り・左から「利尻産バフンウニ」、「太刀魚の炙り」、「大穴子の刺身」、「モミジ鯛(真鯛)」

追加で出てきたフリットしてクリーミーで上質な「淡路島由良産の赤ウニ」

追加で出てきた穴子の皮目焼きだったかな?

追加出てきたノドグロの塩焼き

黒米のお粥

こちらも中秋の名月を意識した「鯵とツルムラサキとしば漬け」、「海老の白和え」の2品

鮎の塩辛・うるか

天然鮎の干物・餅米と餡かけ

にしん素麺

松茸と鱧のタマネギ鍋(沖縄レモン・シークワッシャーを絞って食べる)

竈で薪で炊かれた銀シャリ

1杯目は銀シャリ

お替わりはお焦げ

水菓子はフルーツの盛り合わせ

フルーツホオズキ

食後は再び囲炉裏でお菓子と抹茶を頂く

店主の秋山さんがお薄を立てる

       

京都市左京区

旬席 鈴江

 平安神宮にほど近いところにひっそりと佇む隠れ家的な日本料理店。先斗町から移転して今年で9年目を迎える店の前には、夏になると白川に蛍が舞い、ロケーション的にもなかなか良い。店はこぢんまりとしていて小さく、左側にカウンター席、右側に小上がりがある。掘りごたつになっている小上がりは、3つの個室に仕切ることが出来るが、開放すれば最大14名までの座敷としても利用できる。
 僕はこれまで、ミシュランガイドで最高評価の日本料理店「京都吉兆 嵐山本店」や「未在」、「菊乃井 本店」、「瓢亭 本店(→ 京都グルメバイブル・日本料理の頁を参照)」 、 「吉泉(→ 京都グルメバイブル・日本料理の頁を参照)」 などいろいろと食べてきたが、実はこの店の料理に最も感銘を受けたのである。店主の鈴江さんが仕入れている素材は驚くほど厳選されたもので、魚などは産地直送で仕入れているという。しかも、その最高の素材を最高の状態で調理し、素材の旨味を余すことなく引き出しているのである。素材の特徴を熟知したその料理法には感動すら憶えるほど。
 専属のサービス担当はおらず、料理人だけのサービスなので、ミシュランガイドなどではどうしても評価が低くなってしまうのかもしれないが、間違いなく日本最高峰の料理が頂ける今旬な店である。(2014年8月追加)

左京区岡崎神宮道仁王門白川南入ル  
電話番号:075-771-7777
定休日:不定休(8月中旬、年末年始)
営業時間:17時〜20時
予算:お任せコース3万円くらい
アクセス:地下鉄東西線・東山駅1番出口を出て三条通を左へ。白川を渡り、「三条神宮道交差点」信号を左折し、神宮道を進む。平安神宮の堀の手前・仁王門通を左折する。すぐに白川が見えるので左折して川沿いに進むとすぐ右側にある。東山駅から徒歩5分。
最寄りのランドマーク:平安神宮、みやこめっせ、京都観世会館、左京消防署岡崎消防出張所
お勧めポイント:日本最高峰の和食が頂ける

白川のほとりの小道を歩いて行きます

分かりにくいですが、行灯の見えるところが店の入り口です

カウンター席

カウンター席と小上がりの間の通路

小上がりの座敷

先ずはエゾバフンウニのワサビ添え

混ぜると中から蓴菜(ジュンサイ)が

真鯛の刺身とその白子添え

あしらい(飾り葉)をどけた状態

煮アワビの柚子風味

南天の葉の右に見えるものが本日の炭火焼きの素材

手前が生のトリ貝、奥がハモ

店主の鈴江さんが軽く炭火で焼いてくれます

焼きハモ 塩をワサビで頂きます

焼いたトリ貝 やはり塩とワサビで頂きます

焼き鴨ロース

だし汁が旨い!!

北海道産毛ガニ カニ味噌添え

握り寿司2種

本マグロ中トロの握り寿司

ハモの握り寿司

デザートのフルーツ大福?(素材は求肥?詳細は忘れました)

  

中善

 北白川の裏通りにある食べログで人気の日本料理店。店内はカウンター6席と4人掛けテーブル席が1つだけで、割とこぢんまりとしている。料理人は店主も含めて2人だけなので、この人数くらいが丁度良いのかも知れない。店主は「露庵 菊乃井 木屋町店」出身で、とても人当たりが良くなかなかの好人物。料理はどれも悪くないが、「露庵 菊乃井 木屋町店」ほど料理にキレは感じられない。なので、これは!というような逸品もなかった。コストパフォーマンス的には決して悪くなく、比較的遅くまでやっているので使い勝手もよさそうだ。人気店であるため、平日は中々予約がとれないが、日曜日はかなり空いているそうである。日本料理店にしては比較的ワインが揃っており、女将さんも含めて好印象の店である。(2012年10月追加)

左京区北白川久保田町26  
電話番号:075-708-7519 
定休日:水曜
営業時間:17~23時
予算:コース7000円、10000円 
アクセス:白川通今出川交差点を北に向かうと、スーパー「大国屋白川店」があるので角を左折すると左側にある。 
最寄りのランドマーク:白川通今出川交差点 
お勧めポイント:比較的遅くまでやっている優良日本料理店

瓢亭本店

 2005年以来の7年ぶりの訪問。僕が夏に京都を訪れたときの楽しみは、この店での朝粥を食べること。通常のコースに比べるとお手頃な価格で「瓢亭 本店」の味と雰囲気が楽しめ、しかも午前8時から頂ける。庭に面した離れで頂く朝粥は、味も風情も日本最高の朝粥である。
 夏季に京都を訪れたときには必ず食べてみてほしい。入り口には草わらじが掛けられ、南禅寺を訪れる参拝客をもてなしていた頃そのままの往時が偲ばれる佇まい。「瓢亭」は本店の他、隣りにカジュアルな別館があるが、やはりお勧めは本店である。本店の庭には3つの離れがあり、それぞれ互いに見えないような草庵になっている。最も大きい一番奥の離れだけは左右3つの部屋に分かれており、畳みの茶室とテーブル席の茶室、そして広間がある。従って、奥の離れだけは隣や奥の部屋の声が聞こえるが、入り口近くの2つは、お膳を運ぶ仲居さんの下駄の音と鳥の鳴き声だけが聞こえる完全個室となっている。静寂さを求めるなら手前の離れの方が良いだろう。但し、奥の離れ以外は座布団に座って寄りかかれないので、お年寄りや外国人はかなりつらいかも。一番奥の離れの向かいには400年前に建てられた草葺きの建物があり、現在はお手洗いとして使用されている。男性用の自動小便器の中には、小便の跳ねよけと臭いよけのための杉の葉が入れられていて面白い。自動小便器になる前からの古来の知恵らしいが、自動となってからもそのまま受け継がれているのは京都らしい。トイレも含め、離れの室内はどこも暗いので、本店の離れで食べるのなら、朝か昼の明るい時間帯に訪れるのをお勧めしたい。この日の昼のコースのお椀は、鱧とジュンサイのお吸い物。奇しくも昨日の「阪川」の椀と同じ素材。素材こそ「阪川」の方が上質であったが、出汁に関しては「京都吉兆」同様の深遠さを感じさせる旨味があった。この店の刺身で必ず出る明石鯛は本当に旨い。プリプリ感に加え、旨味があるのだ。刺身には土佐醤油、トマト醤油、塩がつくが、刺身をトマト醤油につけて食べると、塩とグルタミン酸の旨味だけがして、トマトの青臭さなどは感じられない。しかし、直接舐めてみると僅かにトマトを感じて不思議な味だ。
 この店を訪れていつも感心するのは料理を入れる器の素晴らしさ。そして、鮎は予め骨が抜いてあるなどの細かな配慮。それにしても、美味しい店は何を食べても美味しい。例え添えられた枝豆に至るまで隙が無いくらい美味しいのだ。しかも、伝統に裏打ちされた中にも斬新さを感じさせるような料理なのである。この「瓢亭」と「菊乃井本店」、「京都吉兆嵐山本店」の3店は同じ共通点を感じさせ、僕も認める真の3つ星店といえる。本店は空いていれば今回の僕のように1人でもOKだが、基本的には2人からとなっている。 (2012年7月)

左京区南禅寺草川町35  
電話:075-771-4116
定休日:第2,第4火曜日(都合により変更となることも)
営業時間:11時~19時半(朝粥は8時~10時までの2時間)
予算:朝粥(7/1~8/31)6000円(12月~3/15うずら粥12100円)。昼:23000円~ 、夜27000円~
アクセス:。地下鉄東西線・蹴上駅の2番出口を出て左へ向かい、右に南禅寺を見ながら直進する。ウェスティン都ホテル前の信号を渡り、右に南禅寺を見ながらさらに細い仁王門通を進む。右に白壁を見ながら直進すると、右側に見える。南禅寺前の信号が見えたら、交番の角を左折する。地下鉄東西線蹴上駅より徒歩7分。 
最寄りのランドマーク:南禅寺、ウェスティン都ホテル 
お勧めポイント:伝統に裏打ちされた中にも斬新さを感じさせるような料理。日本最高峰の朝粥もお勧め。

吉泉(きちせん)

 まずタクシーを降りて驚いたのは、店の入り口で袴姿の男性が出迎えてくれたことである。このようなビジュアル的な演出以外に、建物や食器なども素晴らしく、京都らしさを求める観光客や外人客を連れて行くには打ってつけの店である。特に、この店の座敷が素晴らしいとのことだが、僕は1人客であるため、残念ながら座敷を利用する機会が未だない。僅か5席のカウンター席も決して悪くないが、カウンター席に着くには、まず玄関で靴を脱いで上がり、何故かすぐ右横の入り口から草履に履き替えて席に向かわなければならない。しかも草履には鼻緒があるため、ソックスやストッキングを履いていると、足下が落ち着かない感じがする。やはりこの点は、ビジュアルよりも機能的な和風テイストのスリッパにするか、草履を履かなくてもカウンターに座れるようにしてほしいところ。カウンターに座ったときのもう一つのデメリットは、コース終盤に関西人丸出しの店主が、積極的に話しかけてくることであろう。話し好きの僕は気にならなかったが、これがネット上では不評のようだ。しかし、料理はどちらかというと、素朴な中にも華があって僕の好みである。中でも、夜の本会席のコースはランチのコースに比べるとより華やかなので、予算が許せば、昼でも夜のコースを頼んでみては。コストパフォーマンス的には微妙なところであるが、京都らしい雰囲気と美味しい日本料理に出会える素晴らしい店である。ちなみに、タクシーは呼んでもすぐには来ないので、早めに頼んでおいた方が良い。(2012年6月)

左京区下鴨森本5番地  
電話:075-711-6121 
定休日:不定休 
営業時間:12時~15時、16時半~22時
予算:昼:8000円、10000円、12000円、夜:14000円、17000円、20000円、22000円 
アクセス:下鴨本通と御蔭通との交差点から北へ200m:下鴨本通沿いの右側。地下鉄今出川駅よりタクシーで5分。JR京都駅からタクシーで15分。 
最寄りのランドマーク:糺(ただす)の森 、河合神社(下鴨神社の摂社)
お勧めポイント:京都らしい雰囲気と美味しい日本料理に出会える素晴らしい店

京都市下京区

和ごころ 泉

 ミシュランガイド2014年で2つ星を獲得した日本料理店。ビルの1階にありながら個室がわずか3つだけと(掘りごたつ2室、テーブル席1室)、思った以上に小さな店である。にもかかわらず、店主の泉さんはありがたいことに僕のような1人飯客にも個室を使わせてくれた。
 料理はどれもハズレのない美味しさであったが、特にこれはというようなインパクトのあるものはなかった。これは店主が修行した「桜田」やそのルーツである「招福楼」系出身者の店と多少イメージが被るような気がする。実はこの店のスペシャリティは「(琵琶湖産半天然)鮎の塩焼き」なのである。なんでも、1時間近くかけてじっくりと焼き上げているらしく、鮎の塩焼きと言うよりも鮎の干物もしくは骨酒に使用する川魚に近い感じだ。店主の説明によれば、じっくり火を通すことで鮎の脂分の流出を抑え、カリッと焼くことができるということであるが、僕的にはちょっと脱水し過ぎで、鮎を美味しく味わうための調理法としては意見が分かれるところだと思う。しかしながらそれを差し引いても、素晴らしいホスピタリティと素材の力を引き出すシンプルな料理は良かった。(2014年10月追加)

下京区四条新町下ル四条町366 四条敷島ビル1階  
電話番号:075-351-3917
定休日:水曜および月末
営業時間:11時半〜13時、17時半〜19時半
予算:【昼】5250円〜、【夜】11300円、16950円
アクセス:地下鉄烏丸線・四条駅の北改札を出て、もしくは阪急京都線・烏丸駅の西改札を出て、26番出口(京都産業会館・きらっ都プラザ出口)から四条通を西へ100mほど進み、新町通を左折すると右側にある。四条駅から徒歩2分
最寄りのランドマーク:四条通、新町通
お勧めポイント:素材の力を引き出すミシュラン2つ星の日本料理

1人飯なのに個室を利用

まずは「おしるし」の日本酒を頂く

ビールと先付けの車エビは火の通し方が最高

お椀はハモとジュンサイ、冬瓜

お造り(鴨、金目鯛、アオリイカ、真鯛、本マグロ、サワラ?)

生の鴨は意外と美味しい

八寸

八寸の鯖の笹巻き寿司

これがスペシャリティ「(琵琶湖産半天然)鮎の塩焼き」

天然の岩ガキ

岩ガキの断面はこんなに厚い

煮物は賀茂茄子の白味噌あんかけ

1人客でもちゃんと土鍋御飯で炊いてくれます。この日は生姜の炊き込み御飯

高いコースを頼んだせいか、赤出汁や香の物の他に、自家製のローストビーフが付いて豪華です

水菓子

薄茶(お抹茶)

余った御飯はお握りにしてくれた

とくを

 木屋町にある小さな日本料理店である。美しい桜が咲く高瀬川沿いを進むと間口の小さな入り口が見える。入り口を抜けると、店内は手前にL字型のカウンター席、そして奥に掘りごたつの個室がある。この店は京都の人気店にしては珍しく観光客よりも常連客の方が多く、地元の方に愛されている店なのであろう。
 料理は比較的しっかりとした味付けがされており、どれも外れなく美味しい。今回頂いた中では、特に丸鍋(スッポン鍋)が良かった。また、最後を締める肉料理は、和牛のシャトーブリアン(ヒレの中心部)を使用したもので、予め塩が振って焼かれており、追加の塩やタレなどはつけずにワサビを添えて頂くスタイル。とてもシンプルな和風ステーキではあるが、柔らかくてとても美味しい。
 お酒は比較的充実しており、日本酒が12種類と焼酎が10種類あり、ワインなども置いている。コースの途中で、常連客が通常のコースに入っていない「鯖寿司」を注文されていたが、このような注文にも柔軟に対応してもらえる点もこの店が愛される理由の一つなのであろう。今回唯一残念だったのは、最後に出された季節のご飯(この日は新筍ご飯)で、客毎ではなくまとめて炊かれているのか、時間が経ってボソボソとした感じで美味しくなかった。それにしても、常連客中心の店でありながら、女将さんも含めた店員の対応は極めて良く、初めての客でも快くもてなしてもらえた。(2014年6月追加)

下京区木屋町通り仏光寺上る天王寺町151  
電話番号:075-351-3906
定休日:日曜、祝日の月曜日
営業時間:12時〜12時半、17時半〜20時半
予算:【昼会席】5000円、【夜会席】10000円、15000円
アクセス:阪急河原町駅の出入り口1を出て、四条通を鴨川・八坂神社方面へ進む。「お菓子のデパート よしや」を過ぎて高瀬川を渡り、「マクドナルド」の手前の通りを右折してしばらく進むと、すぐ左側。阪急河原町駅より徒歩3分。
最寄りのランドマーク:高瀬川、木屋町通り
お勧めポイント:常連客に愛される素晴らしい日本料理店

八寸と生ビール(キリン・ハートランド)

お造り(手前から、赤貝、湯引き車エビ、本マグロの中トロ、真鯛、平貝)

ノドグロの煮付け

甘鯛と鯛の白子焼き

自家製カラスミと大根スライス

丸鍋(スッポン鍋)

赤貝とイカのぬた

和牛シャトーブリアンのステーキ

新筍ご飯と赤出汁

緒方

 ミシュラン2つ星を獲得して以来、大人気の日本料理店である。店内はカウンター席だけと狭く、奥にはライトアップされた小さな庭が見える。また、この店は夜しか営業しておらず、コースも1つだけしかない。
 それにしても、この店の店主・緒方さんの感性は実に素晴らしい。それは素材を見極める力だけに留まらず、素材を最大限に引き出した繊細な味付けには感動すら覚える。例えば、この日のスタートは(茶)懐石スタイルのご飯(カラスミご飯)からのスタート。この炊きたての白飯にのったカラスミが半端なくでかく、そして旨いのだ!!“カラスミは粒の食感が大事”という店主のこだわりによるものらしいが、これは正解であった。引き続いて出てきたのがダシの汁だけで、さらにそれに続いて出たのが毛ガニと山芋の「毛ガニ椀」というからサプライズ感満載。また、桂剥きされた大根の上を泳ぐように配置された「サヨリの刺身」や4年物の分厚い「赤貝の黄身酢」も最高レベルの美味しさ。圧巻は目の前で焼かれた「モロコの炭火焼き」である。山椒の葉を散らしたタレにつけて食べると、ワカサギや稚鮎などを遙かに凌駕する美味しさに驚く。さらに、この日の最後の締めを飾るご飯は「シロウオの玉子とじ丼」と「ウニ丼」、「鴨せいろ蕎麦」の3つで、この中からどれか1つでも全てでもお好み次第。もちろん、僕は3つ全てを食したが、大満足であった。但し、しっかりとした味が好みの方は、 「露庵 菊乃井(→ 京都グルメバイブル・日本料理の頁を参照)」 や 「祇園 さヽ木(→ 京都グルメバイブル・日本料理の頁を参照)」 、 「瓢亭 本店(→ 京都グルメバイブル・日本料理の頁を参照)」 の方がより満足が得られると思う。ちなみに、この店はカウンター席が僅かしかないので、かなり早めの予約が必要。(2014年4月追加)

下京区綾小路西洞院東入新釜座町726番地  
電話番号:075-344-8000
定休日:月曜不定休
営業時間:18時〜21時
予算:コース26000円
アクセス:地下鉄烏丸線・四条駅から四条通側に出る。四条通を西側(河原町と反対方向)に進む。「四条新町交差点」を過ぎ、「やよい軒」の角を左折するとすぐ左側。四条駅から徒歩3分。
最寄りのランドマーク:四条新町交差点
お勧めポイント:素晴らしい素材とそれを最大限引き出す繊細な料理

いはら田

 飲食店が少ない京都西エリアにある小さな日本料理店。店内に入ると1階がカウンター席になっており、2階には20名まで対応可能な座敷がある。カウンター内での調理は、店主ともう1人の料理人の2人で行っている。この店は開店して11年目を迎えたらしいが、店主は未だ若く、20代でこの店を開店したという。なので、逆に長く修行した料理人が陥りがちな既成概念にとらわれない斬新な料理を作る。
 例えば、「ブリの幽庵焼き」はブリのアラで取ったスープをかけ、さらにそのスープでギリギリまで含め煮た白菜を添えて味わうなど、料理は料理人の持つ感性(センス)あるいは芸術性であることを感じさせる料理である。どの料理も食感にコントラストがあり、味には重層感がある。思わず何の味だろう?とイマジネーションをかき立てられる。通常、味の組み合わせが複雑になればなるほど、素材の良さが逆に打ち消しされてしまい、意図の分からないちぐはぐな料理となることが多いが、この店の料理は見事なハーモニーを奏でている。
 特に、15000円以上のコースでは、二カ月熟成したドライエイジングビーフの炭火焼きがコースに加わるのでお勧めである。ちなみに、この日の肉は丹波牛のヒレ肉。ワサビ、フライドガーリック、湯布院・無量塔(むらた)の粒マスタードなどの薬味が添えられてきたが、肉が素晴らしいだけに、そのまま食べるか、摺りたての本わさびだけを載せて食べるのがベストである。最後の季節のご飯(この日はフグ)の米の水分不足と口直しのアイスクリームのザラザラ感が少し気になったが、それ以外の料理はどれも完璧に近く素晴らしいものだった。(2014年1月追加)

下京区西7条比輪田町26  
電話番号:075-314-8899
定休日:日曜
営業時間:18時~22時
予算:コース8000円、10000円、12000円、15000円、18000円
アクセス:JR京都駅中央口からタクシーで1000円前後、ライフ西七条店の並び、西大路通沿い
最寄りのランドマーク:ライフ西七条店
お勧めポイント:店主のセンスを感じる素晴らしい料理

露庵 菊乃井

 マスコミに露出度の高い有名日本料理人・村田さんの店。京都にはこの店の他に、円山公園近くに「菊乃井 本店」、東京には「菊乃井 赤坂店」がある。僕が行った限り、これら菊乃井のグループの中でのグレードは、「菊乃井 本店」、「菊乃井 赤坂店」、「露庵 菊乃井」の順である。雰囲気なども含めたトータルなクオリティでは確かに両店に一歩譲るものの、料理の値段や内容を考えれば、この店最もがコストパフォーマンスに優れていると思う。
 扉を開けると正面には2階へ続く階段と1階奥にはお会計場が見える。入ってすぐに右に進むと、奥にはカウンター席と小上がりがある。2階には通常の座敷の他に薄暗い茶室もあり、「瓢亭」の離れのようなこの茶室が最も京都らいしい趣がある。しかしながら、茶室ではテーブルがないため、低く小さなお膳で食べなければならず、どうしても座っていると疲れてしまう。なので、接待などのときには、通常の2階のテーブルのある個室の方がお勧め。
 お昼のコースは、4000円、7000円、10000円の3つのコースがある。4000円と7000円では素材のクオリティが異なり、10000円は7000円のコースに品数が1品増えるという説明だったので、今回は真ん中の7000円のコースを頂くことに。
 席に着くとまず、食前酒の形で“おしるし”の日本酒が注がれる。菊乃井の素晴らしいところは、「京都 吉兆」同様にお椀が美味しいこと。口の中にジンワリと押し寄せる出汁の深い余韻が素晴らしい。また、素材に対する柔軟性も高く、例えば、この日の「鶉のゆり根饅頭」の餡がトリュフ餡であったり、季節のご飯にチャーハンをイメージした熱々のネギ油をかけたりと言った具合である。これは、村田さんの考える日本料理とは「出汁を使った旨味のある料理」という大きなくくりの概念であり、これを逸脱しない限り柔軟に創作できるのである。さらに、コースの最後には必ず季節のご飯(この日は甘鯛のご飯)が付き、一組毎に陶製のお釜で炊きあげるというのも特筆すべきである。もちろん、写真の様に余ったご飯はお持ち帰りも可能で、翌日の朝食として食べることもできる。この釜飯スタイルを始めたのは、「祇園(建仁寺)丸山」の店主という話(本人談)だが定かではない。それにしても、数ある京都の日本料理店の中でも、最高のコストパフォーマンスを誇る店である。(2014年1月更新)

下京区木屋町四条下ル  
電話番号:075-361-5580
定休日:水曜
営業時間:12時~13時半、17時~20時半
予算:【昼】4000円、7000円、10000円、【夜】10000円、13000円、15000円、18000円
アクセス:阪急河原町駅の出入り口1を出て、四条通を鴨川・八坂神社方面へ進む。「お菓子のデパート よしや」を過ぎて高瀬川を渡り、マクドナルドの手前の通りを右折すると、すぐ左側。阪急河原町駅より徒歩2分。
最寄りのランドマーク:高瀬川
お勧めポイント:菊乃井グループの中で最もコストパフォーマンスの良い店

これでも1人用の甘鯛のご飯

これでも1人用の甘鯛のご飯

お持ち帰りした甘鯛のご飯

お持ち帰りした甘鯛のご飯

京都市中京区

なる屋

 今年で6年目を迎えた錦市場近くの日本料理店。現在は店主一人でやっているが、もうすぐ若い店員が入る予定だという。カウンター僅か7席だけの小さな店ではあるが、常連客が多く観光客は少ないようだ。今回は初めてなので、真ん中のコースを予約。
 ワインはボトル売りしかなかったので、まずは生ビールを注文。まず出てきたのは、何と!「長野産天然シメジと菊の花の小鍋」。天然しめじは歯ごたえが良く、出汁も繊細かつ優しい味で、コース最初の一品として悪くない。続いて出てきた「イチジクと柿、揚げ小芋の胡麻ソース」は、シットリ系の果物とネットリとした小芋に、濃厚な胡麻ソースが絶妙にマッチしている。さらに、カリカリに炒られた胡麻の食感がアクセントになっていた。お造りの「本鮪の黄身醤油と山椒のスプラウト」はイマイチだったが、「クエのしゃぶしゃぶ・青ギリみかんと大根おろし添え」は、まあまあの美味しさ。お椀は「玉ねぎと芋茎の卵とじ」で、スッポンの出汁が味に更なる深みを与えている。飲んだ後の余韻が長く、まるでグランクリュのワインのような美味しさ。焼き物は「金目鯛と海老芋」で、これらは特に可もなく不可もなしといった感じだ。「菱の実とイクラ」は、イクラの皮が硬かったのが残念だったが、ポン酢ゼリーの酸味と栗のような菱の実の取り合わせが実に面白かった。「香茸のすき焼き」は、じっくりと甘辛く濃く味付けされているにもかかわらず、それに負けない香茸の香りが素晴らしかった。「天然舞茸とカマス」の煮物は、香茸の後だったせいもあって舞茸が香らずイマイチだった。秋を感じさせる「子持ち鮎の土鍋ご飯」は、山椒が香り、なかなか良かった。しかし、一緒に出された「赤出汁の味噌汁」は、何故か塩辛くてダメだった。デザートの「バナナアイスのモナカ」と「きな粉のプリン」は美味しかったが、「卵のプリン」は硬く卵の香りに乏しくてイマイチだった。そして、最後の薄茶で終了となった。(2019年10月追加)

中京区堺町通錦小路上ル539  
電話番号:075-252-1199
定休日:月曜(不定休あり)
営業時間:18時〜22時
予算:13000円、16000円、18000円
アクセス:地下鉄烏丸線・四条駅20番出口を出て左へ。東洞院通り、高倉通りを過ぎ、次の堺町通りを左折する。錦市場を過ぎると右側にある。四条駅から徒歩5分
最寄りのランドマーク:堺町通り、錦市場
お勧めポイント:実直な美味しさが光る日本料理店

錦市場から堺町通りを進むと・・・ 右側にあるココです! 店主一人でやっているカウンター僅か7席だけの小さな店 まず出てきたのは、何と!「長野産天然シメジと菊の花の小鍋」。天然しめじは歯ごたえが良く、出汁も繊細かつ優しい味で、コース最初の一品として悪くない続いて出てきた「イチジクと柿、揚げ小芋の胡麻ソース」は、シットリ系の果物とネットリとした小芋に、濃厚な胡麻ソースが絶妙にマッチしている。さらに、カリカリに炒られた胡麻の食感がアクセントになっていたお造りの「本鮪の黄身醤油と山椒のスプラウト」はイマイチ 「クエのしゃぶしゃぶ・青ギリみかんと大根おろし添え」は、まあまあの美味しさ お椀は「玉ねぎと芋茎の卵とじ」で、スッポンの出汁が味に更なる深みを与えている。飲んだ後の余韻が長く、まるでグランクリュのワインのような美味しさ 焼き物は「金目鯛と海老芋」 海老芋には味噌が塗られ、蓮根や蕪、マコモ茸なども添えられているが、これらは特に可もなく不可もなしといった感じだ 「菱の実とイクラ」は、イクラの皮が硬かったのが残念だったが、ポン酢ゼリーの酸味と栗のような菱の実の取り合わせが実に面白かった 「香茸のすき焼き」は、じっくりと甘辛く濃く味付けされているにもかかわらず、それに負けない香茸の香りが素晴らしかった 「天然舞茸とカマス」の煮物は、香茸の後だったせいもあって舞茸が香らずイマイチだった 秋を感じさせる「子持ち鮎の土鍋ご飯」 白く粒々の鮎の子の食感に加えて山椒が香り、なかなか良かった 香の物 一緒に出された「赤出汁の味噌汁」は、何故か塩辛くてダメだった デザートの「バナナアイスのモナカ」と「きな粉と卵のプリン」 パリッとしたモナカとバナナアイスが合う白い「きな粉のプリン」は美味しかったが、オレンジ色の「卵のプリン」は硬く卵の香りに乏しくてイマイチ最後の薄茶で終了となった

木山

 マンションの1階にある完全予約制の日本料理店。マンションの1階とは言っても、入口は全く別になっており、和の雰囲気を感じさせる外観となっている。入口を抜けると、手前と奥にテーブル席の個室が1つずつあり、奥の扉を開けるとカウンター席がある。カウンター席は京都らしい雰囲気があって良いが、後ろの空間が狭く、決して快適とは言えない広さである。
 まずは、井戸水を沸かした白湯が出てきた。この店の日本酒は基本純米酒で、プレミアム的なものはなかった。日本酒の品揃えを見ると、料理を邪魔しない淡麗系のものがメインで、アルコール類が充実していないことが、この店最大の問題点なのかもしれない。今回は昼の訪問であったが、昼の1万円のコースではなく、取材なので、敢えて夜の2万円のコースを注文。
 おしるしは、福岡の地酒「天縁」で、かなり淡麗で辛口な日本酒であった。最初の料理は「蓮根豆腐」で、スッポンの煮こごりと生姜、ネギ、天草のウニなどが入っている。ネットリした蓮根餅に歯応えのある刻み蓮根が入っており、食感のコントラストに加え、力強いスッポンの出汁と生姜の香りが最高だった。続く「黒アワビの煮物」には、万願寺唐辛子とアラレが入っており、アワビの旨味を最大限に引き出していた。
 ここで、2種類の鰹節(1年ものと2年もの)とマグロ節の3つをその場で削るというパフォーマンスを見せてくれ、削り立てを、先ずはそのまま味見させてくれた。さらに、削り立ての出汁を少し飲ませてくれる。塩が入っていないのにもかかわらず、十分に濃厚な香りと旨味が感じられた。
 料理に戻って、「車海老の冷たい海老出汁・白味噌仕立て」が出てきた。さっとレアな状態に油通しされた車海老に、濃厚な海老出汁と真空調理された桃とイチジクの甘さがアクセントになっていた。そして、先程の3種の削り節で出汁をとった「ハモと賀茂茄子のお椀」が登場。薄塩ながら、旨味が口腔内を覆い尽くし、逆に出汁の味が引き立った。1つ目のお造りは、「フエダイの赤シソソース」。フエダイの身自体はそれほどではなかったが、酸味のある赤シソソースがサッパリとして出汁による旨味もあった。2つ目のお造りは、「マグロの酢飯ペースト」。トロミのあるポン酢のようなソースが、青ネギ、海苔と良く合う。「千葉鴨川の天然鮎」は小振りなので身も骨も柔らかく、酸味が柔らかい蓼酢も美味しかった。「天草の天然牡蠣」は、プルプルしたジュンサイの食感とクリーミーな岩牡蠣の食感が、爽やかなライムの酸味とよく合った。「蛸の柔らか煮と茶豆の天ぷら」は、添えられた揚げバチコ(ナマコの卵巣)やクラゲの胡麻和えなども含めて良かった。炊き合わせの「鰻の白焼きと炊いた冬瓜」は、この日唯一印象のない味であった。そしてフィナーレは、この店名物の締めご飯である。4種類の中から幾つでも選べ、おかわりもできるのだ。この日のご飯は「玉子餡かけのローストビーフ丼」、「削り立てのかつお節とちりめん山椒の玉子かけごはん」、「ハモ寿司」、「北海道ホタテと岩モズクの雑炊」と目移りするほど。もちろん、僕は全てを少しずついただいたが、「玉子餡かけのローストビーフ丼」と「削り立てのかつお節とちりめん山椒の玉子かけごはん」の2つがお勧めだ。水菓子は「ゼリーと季節のフレッシュフルーツのフルーツポンチ」で、薄茶と茶菓子で終了となった。
 それにしても、最近京都で食べた店では、「富小路 やま岸(→ 京都グルメバイブル・日本料理の頁を参照)」と並ぶお勧め店である。両店とも現時点でミシュランガイド1つ星であるが、将来的は2つ星以上を獲得することは間違いないであろう。「京都和久傳」の料理長だったという店主はまだ若そうだが、料理センスは抜群であり、どの料理も塩加減が絶妙であった。ちなみに、隣の客が昼の1万円コースであったが、水菓子を含めて料理の素材や品数に結構違いがあったので、やはり昼でも2万円のコースがお勧めである。(2019年9月追加)

中京区絹屋町136 ヴェルドール御所1階  
電話番号:075-256-4460
定休日:不定休
営業時間:12時〜13時半、18時〜19時半
予算:【昼】10000円、(20000円)、【夜】15000円、20000円
アクセス:地下鉄烏丸線・丸太町駅7番出口を出て右へ進み、次の交差点を右折して竹屋町通りを進む。右に「竹間公園」を見ながら進み、3つ目の交差点を右折するとすぐ右側にあるマンションの1階。丸太町駅から徒歩6分
最寄りのランドマーク:竹屋町通り、竹間公園
お勧めポイント:料理を美味しい!と思わせる魅せる日本料理店

普通のマンションの1階にあります マンションの1階玄関の左側に進むと・・・ マンションとは思えない和の雰囲気を感じさせる外観となっている入口を抜けると、手前と奥にテーブル席の個室が1つずつあり、奥の扉を開けるとカウンター席がある。カウンター席は京都らしい雰囲気があって良いが、後ろの空間が狭く、決して快適とは言えない広さ まずは、井戸水を沸かした白湯が出てきたおしるしは、福岡の地酒「天縁」で、かなり淡麗で辛口な日本酒 最初の料理は「蓮根豆腐」 葉をどけると、器にはスッポンの煮こごりと生姜、ネギ、天草のウニなどが入っている。ネットリした蓮根餅に歯応えのある刻み蓮根が入っており、食感のコントラストに加え、力強いスッポンの出汁と生姜の香りが最高だった 「黒アワビの煮物」には、万願寺唐辛子とアラレが入っており、アワビの旨味を最大限に引き出していた ここで、2種類のかつお節(1年ものと2年もの)とマグロ節の3つをその場で削るというパフォーマンスを見せてくれた これが削り立てのもの 2種の削り立てのカツオ節と1種のマグロ節を、先ずはそのまま味見する さらに、削り立ての出汁を少し飲ませてくれる。塩が入っていないのにもかかわらず、十分に濃厚な香りと旨味が感じられた 「車海老の冷たい海老出汁・白味噌仕立て」が出てきた。さっとレアな状態に油通しされた車海老に、濃厚な海老出汁と真空調理された桃とイチジクの甘さがアクセントになっていた
先程の3種の削り節で出汁をとった「ハモと賀茂茄子のお椀」が登場。薄塩ながら、旨味が口腔内を覆い尽くし、逆に出汁の味が引き立った 1つ目のお造りは、「フエダイの赤シソソース」。フエダイの身自体はそれほどではなかったが、酸味のある赤シソソースがサッパリとして出汁による旨味もあった 2つ目のお造りは、「マグロの酢飯ペースト」。トロミのあるポン酢のようなソースが、青ネギ、海苔と良く合う 「千葉鴨川の天然鮎」は小振りなので身も骨も柔らかく、酸味が柔らかい蓼酢も美味しかった 「天草の天然牡蠣」は、プルプルしたジュンサイの食感とクリーミーな岩牡蠣の食感が、爽やかなライムの酸味とよく合った 「蛸の柔らか煮と茶豆の天ぷら」は、添えられた揚げバチコ(ナマコの卵巣)やクラゲの胡麻和えなども含めて良かった 炊き合わせの「鰻の白焼きと炊いた冬瓜」は、この日唯一印象のない味であった フィナーレは、この店名物の締めご飯である。4種類の中から幾つでも選べ、おかわりもできる。もちろん、僕は全てを少しずついただいた。最初は「ハモ寿司」 「玉子餡かけのローストビーフ丼」 「北海道ホタテと岩モズクの雑炊」 「削り立てのかつお節とちりめん山椒の玉子かけごはん」 この「削り立てのかつお節とちりめん山椒の玉子かけごはん」と「玉子餡かけのローストビーフ丼」の2つがお勧め 水菓子は「ゼリーと季節のフレッシュフルーツのフルーツポンチ」
茶菓子薄茶

御幸町 田がわ

 2017年にオープンした人気の日本料理店。町家を改装した店内に入り、上り框を上がると、掘りごたつ式のオープンキッチンのカウンター席がある。ベンチシートのような畳座には座布団が敷いてあるだけなので、できれば、背もたれのある座椅子がほしいところだ。スタッフは店主と女性料理人の2人だけで、専属のサービス担当はいない。料理は16000円の1コースのみで、アルコールは日本酒、シャンパン、赤白ワインなど色々あるが、プレミアム的なものはないようだ。
 今回は18時の一斉スタートであった。最初は店主の地元である三重県鳥羽の「煮アワビ」。肝ソースや芋茎、冬瓜、芽ネギなどの組み合わせがいい。お椀は「明石のアコウダイのお椀」で、揚げたアコウダイに千両茄子や松茸、そして針生姜が入っている。優しく香る出汁の余韻は長く、とても味わい深い。一品目のお造りは、「愛媛県八幡産の甘鯛」。ちり酢でいただくと、ネットリとした旨味がある。二品目のお造りは、「皮目を炙った淡路島のハモ」。ハモはほぼ生に近いが香ばしく、骨切りされているために舌触りがいい。ほんのりと山椒が香る山椒醤油ともよく合う。八寸の中では、「鱧の粽寿司」と「鯵と梅肉タタキオクラかけ」が美味しかった。「琵琶湖のビワマスの付け焼き」は、皮目がカリッと焼かれており、ハラミの部分のせいか、淡水魚にも関わらずかなり脂がのっていた。「宮崎牛イチボの炭火焼と蒸し野菜」は、サッパリとしたゴマポン酢でいただいたが、これは想像通りの美味しさ。「北海道産毛ガニのおこわ・湯葉あんかけ」は薄味であったが、カニの旨味のある餡が良かった。そして締めは、この店の名物となった「天草産・天然岩牡蛎のシャブすき」。ゴボウ、大根おろし、しらたき、豆腐などが入った醤油ベースの濃めの出汁に、生の岩牡蛎サッとくぐらせ、生卵に浸して食べると、甘くないので思いのほか美味しい。炊きたての土鍋ご飯も銀舎利状態で素晴らしく、牡蠣と玉子をすくってご飯にのせて牡蠣玉子丼として食べると最高に旨い。
 デザートの水菓子は「わらび餅と季節のフルーツ」であるが、作りたてのわらび餅にしてはそれほど感動がなかった。料理は全般的にシンプルで分かりやすく、料理に実直な大将の考え方が伝わってくるような料理だ。(2019年9月追加)
https://www.gokoumachi-tagawa.com

中京区夷川通御幸町西入松本町575-1  
電話番号:075-708-5936
定休日:不定休(完全予約制)
営業時間:18時~20時半
予算:おまかせコース16000円
アクセス:地下鉄東西線・京都市役所前駅を出て、「御幸町通り」を京都御所方向(北側)へ進む。「押小路通り」、「二条通り」を過ぎ、次の「夷川(えびすがわ)通り」を左折するとすぐ右側にある。京都市役所前駅より徒歩6分
最寄りのランドマーク:京都市役所前駅、御幸町通り、夷川通り
お勧めポイント:ミシュランガイドで1つ星を獲得した人気の日本料理店

夷川(えびすがわ)通り沿いにあります ココです! 上り框を上がると、掘りごたつ式のオープンキッチンのカウンター席がある店主の地元である三重県鳥羽の「煮アワビ」 肝ソースや芋茎、冬瓜、芽ネギなどの組み合わせがいい お椀は「明石のアコウダイのお椀」で、揚げたアコウダイに千両茄子や松茸、そして針生姜が入っている。優しく香る出汁の余韻は長く、とても味わい深い 一品目のお造りは、「愛媛県八幡産の甘鯛」 ちり酢でいただくと、ネットリとした旨味がある 二品目のお造りは、「皮目を炙った淡路島のハモ」 ハモはほぼ生に近いが香ばしく、骨切りされているために舌触りがいい。ほんのりと山椒が香る山椒醤油ともよく合う 八寸の中では、「鱧の粽寿司」と「鯵と梅肉タタキオクラかけ」が美味しかった 「キスの磯辺揚げ」「枝豆とクチコの翡翠玉」 「鯵と梅肉タタキオクラかけ」 「蓮根の白和え」 「イチジクのコンポート」と「モズク酢」 「鱧の粽寿司 」 「琵琶湖のビワマスの付け焼き」は、皮目がカリッと焼かれており、ハラミの部分のせいか、淡水魚にも関わらずかなり脂がのっていた 「宮崎牛イチボの炭火焼と蒸し野菜」 サッパリとしたゴマポン酢でいただいたが、これは想像通りの美味しさ 「北海道産毛ガニのおこわ・湯葉あんかけ」は薄味であったが、カニの旨味のある餡が良かった 締めは、この店の名物となった「天草産・天然岩牡蛎のシャブすき」と土鍋ご飯 この日は天草産の岩牡蛎 土鍋ご飯 炊きたての土鍋ご飯は、銀舎利状態で素晴らしい セットが完成。ゴボウ、大根おろし、しらたき、豆腐などが入った醤油ベースの濃めの出汁に、生の岩牡蛎サッとくぐらせ、生卵に浸して食べると、甘くないので思いのほか美味しい 牡蠣と生玉子をすくってご飯にのせ、牡蠣玉子丼として食べると最高に旨い デザートの水菓子は「わらび餅と季節のフルーツ」作りたてのわらび餅にしてはそれほど感動がなかった

二条 有恒(ありつね)

 ワンランク上の「大人の居酒屋」をコンセプトに、お酒と旬の食材が楽しめる店。入って左側にオープンキッチンのカウンター席、右奥に2名用のテーブル席があり、さらに2階には4〜6名用の個室もある。
 この店にはコース料理はなく、アラカルトメニューの中から好きなものを頼んで食べるスタイル。メニューには値段表示がないが、よほど特別なものをたくさん頼まない限り、料理予算は1万円くらいと考えておけばよい。日本酒は純米酒がメインで、プレミアム的なものこそないが、島根の「出雲富士」の特別純米や三重の「作」の純米大吟醸などといった僕好みのものがあった。ワインは国産ワインが中心である。
 まず出てきた突き出しは、「冷やし茶碗蒸し」。酸味のある餡が夏らしく、車海老と芋茎の食感もいい。注文した「お造りの盛り合わせ」は、バフンウニ、本鮪の中トロ、真イカの3種であったが、それぞれの素材の良さを感じられて良かった。続いて注文したのは、この店の名物である八寸。「未熟メロンの浅漬け明太子詰め」、「サツマイモの蜜煮」、「ハモ寿司」、「トコブシ煮」、「トウモロコシのすり流し」、「水前寺草の胡麻和え」、「枝豆」、「胡麻豆腐」、「長芋酢とシシトウ」、「ジャコ万願寺唐辛子」が盛り付けられていた。焼きものは、しっとりと焼かれた「グジの炭火焼」。グジの皮は剥がされてカリカリに揚げられていたが、塩がかけられていないのが良くない。身は薄塩であるが旨味があり、醤油をかけた大根おろしと一緒に食べるといい。「びふかつ」は、和食屋らしく塩とワサビでいただく。モモ肉なのか?肉は旨味があって悪くないが、油切れが良くないので、お勧めというほどでない。また、塩ワサビだけでは飽きてしまったので、ウスターソースをリクエストしたが、やはり、ウスターソースの方がビフカツ合う。「龍のたまごの玉子かけご飯・カラスミがけ」は、ご飯が醤油ご飯になっていて、トロロに削られたカラスミと黄身を混ぜて食べると、ムース状のトロロと醤油ご飯の海苔の香りが絶妙だった。(2019年9月追加)

中京区二条寺町西入丁子屋町694-3  
電話番号:075-212-7587
定休日:月曜(月に1回火曜も休みに)
営業時間:17時〜22時
予算:1万円くらい
アクセス:地下鉄東西線・京都市役所前駅を出て、「寺町通り」を京都御所方向(北側)へ進む。少し通りが広くなった「二条通り」を左折するとすぐ右側にある。京都市役所前駅より徒歩5分
最寄りのランドマーク:京都市役所前駅、二条通り
お勧めポイント:京都ならではの割烹風大人の居酒屋

二条通り沿いの・・・ ココです! 入って左側にオープンキッチンのカウンター席、右奥に2名用のテーブル席があり、さらに2階には4〜6名用の個室もある カウンター席から見た厨房 ドリンクメニュー1。日本酒は純米酒がメインで、プレミアム的なものこそないが、島根の「出雲富士」の特別純米や三重の「作」の純米大吟醸などといった僕好みのものがあった。ワインは国産ワインが中心である ドリンクメニュー2 本日のメニュー1(全て単品メニュー)。メニューには値段表示がないが、よほど特別なものをたくさん頼まない限り、料理予算は1万円くらいと考えておけばよい 本日のメニュー2 本日のメニュー3 本日のメニュー4 まず出てきた突き出しは、「冷やし茶碗蒸し」。酸味のある餡が夏らしく、車海老と芋茎の食感もいい 注文した「お造りの盛り合わせ」は、バフンウニ、本鮪の中トロ、真イカの3種であったが、それぞれの素材の良さを感じられて良かった この店の名物である八寸。「未熟メロンの浅漬け明太子詰め」、「サツマイモの蜜煮」、「ハモ寿司」、「トコブシ煮」、「トウモロコシのすり流し」、「水前寺草の胡麻和え」、「枝豆」、「胡麻豆腐」、「長芋酢とシシトウ」、「ジャコ万願寺唐辛子」が盛り付けられていた 左から「長芋酢とシシトウ」、「枝豆」、「ジャコ万願寺唐辛子」 手前左から「トウモロコシのすり流し」、「水前寺草の胡麻和え」、「胡麻豆腐」、奥左からキウイのような「未熟メロンの浅漬け明太子詰め」、「サツマイモの蜜煮」、「ハモ寿司」、「トコブシ煮」 しっとりと焼かれた「グジの炭火焼」 グジの皮は剥がされてカリカリに揚げられていたが、塩がかけられていないのが良くない。身は薄塩であるが旨味があり、醤油をかけた大根おろしと一緒に食べるといい 「びふかつ」は、和食屋らしく塩とワサビでいただく。モモ肉なのか?肉は旨味があって悪くないが、油切れが良くないので、お勧めというほどでない

竹ざき

 押小路通りにひっそりとある7席だけの小さな日本料理店。靴を脱いで店内に入ると、足元が掘りごたつになったL字型のカウンター席がある。ガラス越しに、綺麗にライトアップされた坪庭が見える。聞くところによると、店主は「京料理 木乃婦」出身らしい。
 まずは、おしるしをいただく。先付は「栗の白和え」。クリームチーズも入っているようで、コクがあって美味しい。お凌ぎは「穴子の飯蒸し」。これは穴子がフックラとしていて良かった。お造りは「カマス、バフンウニがのったモンゴウイカ、真鯛」で、皮目を炙ったカマスが特に美味しかった。この店の真骨頂はやはりお椀で、この日は「真丈と松茸」。出汁は吉兆系や「富小路 やま岸(→ 京都グルメバイブル・日本料理の頁を参照)」のように濃くて味わい深い。揚げ物は「甘鯛」で、皮がパリパリに揚げられていたが、これはイマイチ。口直しの「シャーベット」に続いて、「スッポンの茶碗蒸し」が出てきた。スッポンらしい深みのある旨味が絶品である。「雲子のムースと真鯛のポン酢」は、見た目とは違ってイマイチだった。炊き合わせに「黒アワビと海老芋」が出て、更に、締めの土鍋ご飯の「白米」と「香の物」が出てきた。また、ご飯のお供として、「イクラの醤油漬け」や「鯛茶漬け」が出てきた。続くデザートの「ピスタチオのアイスクリーム」は最高に美味しく、水菓子の「完熟柿」、「芋きんつば」、「薄茶」で終了となった。
 この店は、店主と女将さんの2人でやっているのだが、この日は二人の連携が悪かったせいか、料理のテンポが悪く、料理の段取りもイマイチだった。北海道であれば1.5つ星くらいの評価だが、京都で評価するならば1つ星が妥当であろう。(20199月追加)

中京区押小路通高倉東入竹屋町150  
電話番号:075-744-1661
定休日:不定休
営業時間:12時スタート、18時〜20時半
予算:コース16000円
アクセス:地下鉄烏丸線・烏丸御池駅を出て、御池通りを東(鴨川方向)へ向かう。東洞院通り、間之町通りを過ぎ、高倉通りを左折する。1つ目の交差点を右折して押小路通りに入るとすぐ左側にある。烏丸御池駅から徒歩5分
最寄りのランドマーク:高倉通り、押小路通り
お勧めポイント:お椀が絶品の日本料理店

押小路通りにひっそりとある 通路を抜け靴を脱いで店内に入ると・・・ 足元が掘りごたつになったL字型のカウンター席がある。ガラス越しに、綺麗にライトアップされた坪庭が見える まずは、おしるしをいただく 先付は「栗の白和え」 クリームチーズも入っているようで、コクがあって美味しい お凌ぎは「穴子の飯蒸し」。これは穴子がフックラとしていて良かった お造りは「カマス、バフンウニがのったモンゴウイカ、真鯛」
皮目を炙ったカマスが特に美味しかった この店の真骨頂はやはりお椀で、この日は「真丈と松茸」。出汁は吉兆系や「富小路 やま岸(→ 京都グルメバイブル・日本料理の頁を参照)」のように濃くて味わい深い 揚げ物は「甘鯛」で、皮がパリパリに揚げられていたが、これはイマイチ 直しの「シャーベット」 「スッポンの茶碗蒸し」が出てきた。スッポンらしい深みのある旨味が絶品である 雲子のムースと真鯛のポン酢」 美しい見た目とは違ってイマイチだった 炊き合わせに「黒アワビと海老芋」 締めの土鍋ご飯の「白米」と「香の物」が出てきた ご飯のお供として、「イクラの醤油漬け」と・・・ 白米に掛けていただく 「鯛茶漬け」が出てきた続くデザートの「ピスタチオのアイスクリーム」は最高に美味しい 水菓子の「完熟柿」 「芋きんつば」「薄茶」で終了となった

二条城 ふる田

 ANAクラウンプラザ京都のすぐそばにあるミシュランガイド1つ星の日本料理店。店内はカウンター席が6席と4名用のテーブル席が1つだけの小さな店である。ドリンクメニューを見ると、シャンパンや赤白ワイン、焼酎など一通りあるが、種類が少なく、酒に関してはあまり期待しない方がよいかも。夜のコースは、13000円(全9品)と30000円(全10品)の2コースで、値段にあまりにも開きがあるため、初回なので13000円のコースで予約した。
 まず出てきたのは「そうめんカボチャ」。コリコリとした食感と酸味のある出汁の組み合わせが実に夏らしい。お椀は「アコウダイと冬瓜、焼きナス」。冬瓜はすり流しのような状態で、出汁は濃すぎず薄過ぎず美味しい。続いて「ハモの温かい落とし・紫蘇の花と梅肉ソース」。茹でたての温かいハモの落としは初めてだが、コチラの方が食感がフワッと柔らかく、ハモの香りも感じることができて良い。そして、「トウモロコシと新生姜のかき揚げ」、「揚げ賀茂茄子のそぼろ味噌」、「鮎の塩焼き」へと続く。「鮎の塩焼き」の鮎があまりに小さく、焼モロコかと思ったが、むしろ、この大きさの方が一口で骨まで食べられ、内臓の苦みも少なくていい。「徳島の半田麺と北海道噴火湾のモズク」には、紫蘇の葉が入っており、爽やか鰹節の出汁も深い。さらに、「イサキとジュンサイ、白芋茎の小鍋」が出てきた。暑い日(この日の京都は36度)に、グツグツと沸騰した小鍋はどうかと思ったが、プルンとしたジュンサイと白芋茎の食感に加え、生姜が効いたトロミがある汁はなかなか良かった。締めの土鍋ご飯は、「万願寺唐辛子と新小芋の炊き込みご飯」まあまあの出来。米は店主の実家から取り寄せているという。そして、「季節のフルーツとメロンアイス」で終了となった。
 既成の調理法にとらわれない、若い店主の料理に対するポリシーを感じさせる料理であった。料理はシンプルで、素材の味を最大限に引き出す玄人好みの料理ともいえる。御夫婦2人と見習い料理人の3人だけであったが、サービスも問題なく、むしろホスピタリティを感じるものだった。ちなみに、この店での支払いは現金のみで、クレジットカードは使えないのでご注意を。(2019年9月追加)
https://nijyoujyoufuruta.gorp.jp

中京区押小路通小川西入ル古城町371  
電話番号:075-254-8377
定休日:不定休
営業時間:【昼】12時~14時半(完全予約制)、【夜】17時〜20時半
予算:【昼】13000円、【夜】13000円、30000円
アクセス:地下鉄東西線・二条城前駅1番出口を出て、右斜め前にある建物「ANAクラウンプラザ京都」を目指して進む。「ANAクラウンプラザ京都」横の押小路通りを進み、「ANAクラウンプラザ京都」を過ぎるとすぐ右側にある。二条城前駅から徒歩5分
最寄りのランドマーク:二条城、ANAクラウンプラザ京都
お勧めポイント:シンプルで素材の味を最大限に引き出す玄人好みの店

ANAクラウンプラザ京都のすぐそばにあります ココです! まず出てきたのは「そうめんカボチャ」。コリコリとした食感と酸味のある出汁の組み合わせが実に夏らしい お椀は「アコウダイと冬瓜、焼きナス」。冬瓜はすり流しのような状態で、出汁は濃すぎず薄過ぎず美味しい 「ハモの温かい落とし・紫蘇の花と梅肉ソース」。茹でたての温かいハモの落としは初めてだが、コチラの方が食感がフワッと柔らかく、ハモの香りも感じることができて良い 「トウモロコシと新生姜のかき揚げ」 「揚げ賀茂茄子のそぼろ味噌」 「鮎の塩焼き」の鮎があまりに小さく、焼モロコかと思ったが、むしろ、この大きさの方が一口で骨まで食べられ、内臓の苦みも少なくていい 「徳島の半田麺と北海道噴火湾のモズク」 紫蘇の葉が入っており、爽やか鰹節の出汁も深い 「イサキとジュンサイ、白芋茎の小鍋」 暑い日(この日の京都は36度)に、グツグツと沸騰した小鍋はどうかと思ったが、プルンとしたジュンサイと白芋茎の食感に加え、生姜が効いたトロミがある汁はなかなか良かった締めの土鍋ご飯は、「万願寺唐辛子と新小芋の炊き込みご飯」 米は店主の実家から取り寄せているというが、まあまあの出来 ちりめん山椒 赤だしとちりめん山椒とのそろい踏み「季節のフルーツとメロンアイス」で終了

富小路 やま岸 

 2015年に開店した新進気鋭の料理人・山岸さんの店。茶道、華道、書道に精通した店主の作る料理はセンス抜群で、五感で楽しませる料理を提供してくれる。また、店主は寿司職人からスタートしたため、コースの途中に出てくる寿司もかなり美味しい。
 入口を抜けて通路を進み、店内に入ると、カウンター僅か9席だけの小さな空間。店主と女将さんの他に、見習いの料理人が一人だけ。テーブルはダウンライトで照らされ、料理をしっかりと映し出してくれる。
 コースの先付「カマスのジュレがけ」は、ビジュアルも素晴らしいが、サッパリとしたジュレに絡んだカマスが実に美味しい。続くお凌ぎは「アワビの肝素麺・イクラがけ」で、こんな組み合わせがあるのかと感心。お椀は「クエと菊」で、このお椀が素晴らしく、出汁が濃くて僕好みだった。向付けのお造りは「鰹のたたき」。みじん切りのタマネギと生姜でいただくと、もう最高。八寸は「鮎の干物と焼き栗」、そして「丹波の黒豆」。炊き合わせは「キノコと牛肉、蕪」。揚げ物は確か「鮭フライ」だったような気がする。続いて鮨となるが、「鯖の棒寿司」は1つか2つか選べるが、最高に美味しいので絶対に2つ頼まないと後悔する。次の「バフンウニの巻き寿司」も言うまでもなく最高。焼き物の「キンキ」は、塩加減絶妙で脂ものっており、このレベルのキンキにはなかなか出会えない。
 最後を締める土鍋ご飯が、特に美味しかった。料理店の炊きたての白米を、あまり美味しいと思ったことはなかったが、新米なのだろうか?この店の白米はツヤツヤで瑞々しく、本当に美味しかった。ご飯のお供は「タラコ(糀漬け?)」、「釜揚げしらす」、「ナメコ」の3つであり、特にタラコが良かった。水菓子は渋柿を熟成させたものに、甘さをスッキリと調節するためなのだろうか、ライムを添えてあるのが実に心憎い。そして、最後は薄茶で終了となった。
 それにしても、この店で出てくる素材はどれも一級品のものばかりで、一口食べただけでその違いが分かるほど。これほどの素材は、「旬席 鈴江(→ 京都グルメバイブル・日本料理の頁を参照)」で経験して以来である。しかも、素材の組み合わせが斬新で、ビジュアル的なセンスも抜群である。さらに、女将さんの気遣いが素晴らしく、実にホスピタリティーのある日本料理店である。
 ちなみに、下記ホームページからのウェブ予約も可能である。(2019年9月追加)
http://www.tominokoji-yamagishi.com

中京区富小路通六角下る骨屋之町560  
電話番号:075-708-7865
定休日:火曜、第2・4水曜
営業時間:18時〜21時
予算:コース18000円〜20000円(食材により変わる)
アクセス:地下鉄烏丸線・四条駅20番出口を出て左へ進み、5本目の富小路通りを左折する。錦市場を過ぎ、蛸薬師通りを過ぎたら左側にある(生祥小学校の向かい)。四条駅から徒歩8分
最寄りのランドマーク:富小路通り、錦市場、生祥小学校
お勧めポイント:店主のセンスを感じさせる日本トップレベルの料理店

ココです! 入口を入ると・・・ 中に暗い通路が 店内はカウンター僅か9席だけの小さな空間 コースの先付「カマスのジュレがけ」は、ビジュアルも素晴らしいが、サッパリとしたジュレに絡んだカマスが実に美味しい お凌ぎは「アワビの肝素麺・イクラがけ」で、こんな組み合わせがあるのかと感心お椀は「クエと菊」で、このお椀が素晴らしく、出汁が濃くて僕好み 向付けのお造りは「鰹のたたき」 みじん切りのタマネギと生姜でいただくと、もう最高 八寸は「鮎の干物と焼き栗」、そして「丹波の黒豆」 炊き合わせは「キノコと牛肉、蕪」 揚げ物は確か「鮭フライ」だったような気がする 続いて鮨となるが、「鯖の棒寿司」は1つか2つか選べるが、最高に美味しいので絶対に2つ頼まないと後悔する そのまま食べるのではなく、海苔に巻いて食べる 「バフンウニの巻き寿司」も言うまでもなく最高 焼き物は「キンキ」 塩加減絶妙で脂ものっており、このレベルのキンキにはなかなか出会えない ご飯のお供は「タラコ(糀漬け?)」、「釜揚げしらす」、「ナメコ」の3つであり、特にタラコが良かった 最後を締める土鍋ご飯が、特に美味しかった 料理店の炊きたての白米を、あまり美味しいと思ったことはなかったが、新米なのだろうか?この店の白米はツヤツヤで瑞々しく、本当に美味しかった水菓子は渋柿を熟成させたものに、甘さをスッキリと調節するためなのだろうか、ライムを添えてあるのが実に心憎い
薄茶で終了となった

食工房 ひろさき

 「木屋町櫻川」の元料理長が独立して開いたミシュラン1つ星の日本料理店。入口近くには個室があり、奥に進むと5席だけのカウンター席がある。個室客がいないときには店主1人でやっているため、このくらいが丁度良い広さなのである。
 この店は京都の日本料理店としては珍しく生ビールがあったため、先ずは生ビールを注文。話を聞くと、「木屋町櫻川」の彼の後任の料理長が現在の 「前田(→ 京都グルメバイブル・日本料理店の頁を参照)」 の店主であるという。
 この店の料理はどれも素材の味を引き出した真にシンプルなもの。今回では、椀ものの代わりに出てきた「松茸とシメジの小鍋」は、出汁が深く秀逸であった。最後の締めに出てきた「土鍋炊きの白ご飯」と「アジの干物」、「赤出汁」、「香の物」のご飯は艶々で美味しかったが、アジの干物はイマイチであった。日本酒は純米酒のみで、吟醸や大吟醸などは置いていない。しかしながら、店主お勧めの石川県の地酒「宗玄・純米原酒ひやおろし」は、トロリと円やかでアミノ酸度はそれ程高くなく、洗練されていてかなり美味し かった。(2014年11月追加)

中京区竹屋町通新町東相生町282  
電話番号:075-211-1366
定休日:不定休
営業時間:17時~22時
予算:13000円
アクセス:地下鉄烏丸線・丸太町駅4番出口を出て烏丸通を右へ。進入禁止の表示のある次の「竹屋町通」を右折し、2筋過ぎると左側にある。丸太町駅から徒歩3分。
最寄りのランドマーク:烏丸通、竹屋町通
お勧めポイント:元・木屋町櫻川の料理長が独立して開いたミシュラン1つ星の店

入口近くの個室は掘りごたつ

平貝のポン酢ジュレ

厚岸産牡蠣の煮物と大根カラスミ

お椀の代わりに松茸とシメジの小鍋

グジ(甘鯛)のお造り

マナガツオの焼き物

長芋と菊

意外!!真鱈と白子(雲子)のバターソテー

石川県の源助大根と海老芋の炊き合わせは最高

締めのご飯

水菓子は柿

竹屋町 三多(たけやまち さんた)

 寺町通にひっそりとある日本料理店。この店はミシュラン1つ星ながら、 「炭火割烹 いふき(→ 京都グルメバイブル・日本料理の頁を参照)」 や「草喰 なかひがし」、「食堂 おがわ」などと共に、現在、京都で最も予約の取りづらい店の一つである。
 店内にはカウンター席しかないが、店主と奥さんの2人だけでやっているので、この広さくらいが丁度良いのかもしれない。実は、2階には座敷があるらしいのだが、今のところそこまでは手が回らず、一度も使用したことがないという。
 店主は 「旬席 鈴江(→ 京都グルメバイブル・日本料理店の頁を参照)」 出身で、「旬席 鈴江」には10年以上いというが、まだかなり若く見える。料理は「旬席 鈴江」とは若干異なるが、そこは全く同じような料理を出したくないという彼の料理人としてのプライドであろう。しかしながら、素材の力を最大限に引き出すシンプルな料理という点で、方向性は同じである。
 奥さんと二人三脚による心づくしともてなしにはホスピタリティを感じ、また来たいなあと思わせる店である。ちなみに、クレジットカードは使用できなのでご注意を。(2014年11月追加)

中京区寺町通竹屋町下ル西側久遠院前町667-1  
電話番号:075-231-3556(完全予約制)
定休日:無休
営業時間:17時〜21時
予算:
アクセス:地下鉄烏丸線・丸太町駅5番出口を出て、「ハートピア京都」の角をすぐ左折して竹屋町通を進む。「御所南小学校」、「森歯科医院」を過ぎ、突き当たりにある寺町通との交差点右角にある。丸太町駅から徒歩10分
最寄りのランドマーク:御所南小学校、竹屋町通、寺町通
お勧めポイント:今、京都で最も人気の日本料理店

カウンター奥には焼き物に使う七輪が用意されていた

日本酒のメニュー

京都の秋の定番「子持ち鮎の山椒煮」

平貝と菊の酢の物

イクラの醤油漬け

イカと真鯛のお造り

お椀はグジ(甘鯛)の白味噌仕立て

炭火焼きの最初は名残ハモが一切れずつ焼かれて出てくる

続いて焼き松茸

焼き松茸と名残ハモを一緒に頂く

焼きイカと大葉の和え物だったかなあ?

松葉ガニ(ズワイガニ)の餡かけ

和牛のヒレステーキ・キノコとネギ

季節のご飯(鯛とミョウガ?)

水菓子はぶどう3種

栗きんとん

余ったご飯はお握りにしてくれたので、翌朝の朝食に

余志屋

 賑やかな先斗町の通りから少し入った薄暗い小路にある割烹料理店。1階はL字型のカウンター席と掘りごたつのテーブル席が1つあり、2階には最大8名と4名収容できる座敷がそれぞれ1部屋ずつある。1階のカウンター内はオープンキッチンになっており、大将と男女各1名の料理人が料理を作っている。カウンター内では、大将の指示のもとに各人がテキパキと滞りなくオーダーをこなして行く。
 席に着くと、まず店員が本日入荷したお勧め素材の説明をしてくれ、飲み物のオーダーをとってくれる。大将がそれ程忙しくないときには自ら説明してくれるが、2〜3mくらい離れて作業をしながらの説明なので、まるで口上のように声が大きい。メニューはいろいろと魅力的なものが多いが、何分にも金額の表示がないのでちょっと不安になる。高いのか?安いのか?ボリュームはどのくらい?などの情報を知っておきたいところだが、コースの値段からも分かるように、基本的にビックリするほど高い値段ではない。それでもやっぱり不安という方は、リーズナブルなコース料理もあるので、予約の際にその旨を告げよう。
 まず、突き出しに出てきた「焼きナスの胡麻ダレがけ」は、胡麻のソースと濃厚でシットリとした焼きナスの相性が最高だった。この店の名物は、餡かけものの「鴨まんじゅう」や「野菜のあんかけ」、そして焼き物の「鴨ロース」、「だし巻き」などいろいろあるが、僕が京都らしくて美味しいと思ったのは「野菜のあんかけ」である。また、常連客の多くは「一口カツ(1個からの注文が可能)」を注文していたが、僕の注文した揚げ物の「ぐじの唐揚げ」は美味しかったものの油ぎれが悪く、お勧めというほどではなかった。。
 一品一品のボリュームがあるため、1人飯の場合には半量にしてもらうのが良いだろう。しかしながら、人気の「釜飯」だけは3人分でしか炊けないので、もしも余った場合にはおにぎりにしてもらい、持ち帰って朝ご飯にすればいい。この日注文した「穴子の釜飯」は、シットリと炊かれた煮穴子と錦糸卵を混ぜて食べたら本当に旨かった!!また、最後にサービスで出た「黒糖のシャーベット」もサッパリと甘さ控えめで美味しかった。
 それにしても、店員の対応が丁とても寧で、すこぶる感じの良い店である。また、京都でもトップクラスの人気店であるため、早めの予約が必要だ。(2014年6月追加)

中京区先斗町通三条下ル材木町188  
電話番号:075-221-5115
定休日:月曜
営業時間:17時〜22時半
予算:コースは8000円と10000円の2コース
アクセス:阪急京都線・河原町駅出入り口5を出て、四条通を鴨川方面へ向かう。高瀬川、木屋町通を過ぎ、「先斗町」の看板のある小路を左折する。しばらく進むと、右に公園、左に「先斗町バイク駐車場」が見えるので、その20〜30m先の左側にある。河原町駅(四条河原町交差点)から徒歩5分。
最寄りのランドマーク:先斗町、先斗町バイク駐車場
お勧めポイント:実に京都らしい割烹料理店

突き出しとビール

焼きナスの胡麻ダレがけ

明石鯛の刺身

カツオのたたき・おろしニンニク添え

野菜のあんかけ

鴨まんじゅう

ぐじの唐揚げ

鴨ロース

穴子の釜飯

黒糖のシャーベット

お土産にしてもらった残った穴子の釜飯

むろまち 加地

 マンションの1階にある食べログで大人気の和食店。店内は木と白を基調とした明るい雰囲気で、手前にオープンキッチンのカウンター席が、そして奥には4人用の個室がある。この店は店主が1人で料理を造り、もう1人の男性がサービスを担当している。なので、混んでいると鳴っている電話にも対応できないくらい忙しい。
 お品書きを見ると「からすみ餅」があったので、店主は「和久傳」出身かと思いきや、 「祇園 にしかわ(→ 京都グルメバイブル・日本料理の頁を参照)」 出身とのこと。お品書きの半分が酒の肴で、「祇園 にしかわ」の真骨頂である“椀もの”は見当たらず、「祇園 にしかわ」自慢の鯖寿司も今一つだった。もしかすると、店主は若いので、「祇園 にしかわ」ではそれほど長く修行していないのかも。なので、この店は“さあ!日本料理を食べるぞ〜!!”と気合いを入れて行くとちょっとガッカリする。コースを注文するのではなく、お酒を飲んで酒のアテを楽しみ、料理を何品か食べてご飯で締めるといった居酒屋的な使い方が良いのである。それを知ってか知らずか、客のほとんどは単品でいろいろ注文しながらお酒を楽しんでいた。青森の「田酒」や山形の「上喜元」、京都の「久美の浦」など日本酒は比較的揃っていて、純米を中心とした品揃え。メニューに書いていない日本酒もあるので、注文の際に店主に尋ねてみて頂きたい。
 今回は“1人飯”なので、敢えてコース料理を注文。コースは基本予約が必要で5000円から注文できるが、折角なので季節の釜炊きご飯が付いた8000円のコースにした。季節のご飯(この日はじゃこご飯)は2合から1組ずつ炊かれ、僕のような1人飯の客は余ったらおにぎりにしてもらえ、お土産としてお持ち帰りができる。
 料理は全体的に薄味で、もう一塩ほしいと思われる品も幾つか見受けられた。また、刺身は良かったものの、刺身に添えられた前述の鯖寿司はネタもシャリも今ひとつだった。料理はどれも京都では中の上くらいで、特に“お〜”と唸るようなものはなかったので、日本料理店として評価すれば1つ星ギリギリでもどうか?というような評価になるかもしれない。しかしながら、夜遅くまで営業していることや日本酒が比較的揃っていること、雰囲気やコストパフォーマンスも悪くないことから今回はこの評価となった。
 それにしても、若い店主は料理の説明が上手く聞き取れないくらい早口でよくしゃべる方である。なので、カウンターでの1人飯であったが、彼の話や説明を聞いているだけでも退屈しなくて良かった。(2014年6月追加)

下京区松原通新町東入中野之町185  
電話番号:075-353-1113(営業中は電話に出られないことも)
定休日:木曜
営業時間:18時〜23時
予算:お造り三種と鯖寿司、珍味1850円(お通し八寸は前日までの予約の方のみ)、煮穴子焼(1本)980円
アクセス:地下鉄烏丸線・烏丸五条駅2番出口を出て五条通を西へ進み、2つ目の角(OPENと書かれたビルの角、室町通)を右折する。室町通を進み、「ミニストップ」を過ぎた交差点(松原通)を左折するとすぐ左側。烏丸五条駅から徒歩4分。
最寄りのランドマーク:室町通、松原通
お勧めポイント:お酒を飲んで酒のアテを楽しみ、料理を何品か食べてご飯で締めるといった使い方がベストな店

八寸

煮ダコに真鱈の白子がかかったもの?(忘れました)

刺身の盛り合わせと鯖寿司(大根と金山寺味噌添え)

新竹の子のカブラ蒸し

和風グラタン

トキシラズの焼き物

シラスご飯

抹茶のシャーベット

お土産のシラスご飯お握り

四季料理 かわむら

 四条烏丸にある“おばんざい”の店。通りから少し入った小路にあるので目立たないが、京都最高峰のおばんざい店である。扉を開けると正面に広めのカウンター席があり、2階には広い座敷がある。
 この店の名物は「焼きフグ」であるが、基本的には何を食べても美味しく、特に“おばんざい”や刺身などがいい。僕の一押しは「海老芋唐揚」で、味が染みた海老芋の外側がカリッと、中がフワッ、トロッとしていて美味しい。もう一つのお勧めは「茄子の煮浸し」。フックラと炊かれた身欠きニシンとしっかりと味が染みた柔らかい茄子が絶品だ。京都の定番料理「きずし(酢のタレで頂く“しめ鯖”のこと)」や旬の刺身の他、若狭グジ(甘鯛)やノドグロ(赤ムツ)の焼物もいい。冬なら間人蟹(たいざがに)の「コウバコガニ(メスのズワイガニ)」や「フグの白子」などもいい。そして最後の締めは「さば(の棒)寿司(焼鯖寿司もあるが、焼鯖でない方がいい)」。
 この店の唯一の欠点といえば、日本酒の品揃えが悪いことくらい。昼にはランチをやっているようだが、もちろん行くなら夜がいい。また、単品の方がこの店の醍醐味が味わえるが、お得なコースもやっている。(2013年1月追加)

中京区錦小路通室町東入ル占出山町310-7  
電話番号:075-255-0192
定休日:日曜・祝日 
営業時間:17時半~22時 
予算:若狭グジの焼物2000円、さば寿司(2貫)600円、海老芋唐揚1200円、ミニコース3500円、占出山会席5250円 
アクセス:地下鉄烏丸線・四条駅の出入口1から「アーバンネット四条烏丸ビル」へ出て、烏丸通を左へ(北へ)進む。最初の細い通り(錦小路通)を左折し、最初の小路(モータープールおだぜんの手前)をまた左折するとすぐ左側。四条駅から徒歩2分。 
最寄りのランドマーク:烏丸通、錦小路通 
お勧めポイント:京都最高峰のおばんざい店

じき 宮ざわ

 錦市場近くにあるカウンター10席の日本料理店。看板から続く敷地は日本料理「はな邑」と共通で、左手前が「宮ざわ」、奥が「はな邑」である。この店は度々マスコミで紹介されているせいか、いつも予約客で一杯。席は隣同士の間隔が狭く、トイレに行くにも出て行きにくいほど。この日も席は満杯。昼で最も高い7000円のコースを注文したが、偶然にも他の客全てが同じコースだった。コースは料金によって品数と素材が異なるそうだ。
 昼は12時と13時45分からの2回転同時スタート。夜も週末だけは17時半と20時からの同時スタートとなる。そのためか、料理は驚くほどの早いテンポで出てくる。料理は全般的にシンプルで派手さは全くない。なので、火の通し方や塩味が決まらないと、どうしても料理は締まらなくなってしまうが、今回は残念ながらギリギリ合格点といった評価である。しかし、名物の「焼胡麻豆腐」は熱々トロトロで最高に美味しいし、自慢の「土鍋釜炊きご飯」は2杯目、3杯目と時間の経過と共に、ご飯の変化を楽しめて面白い。この店で日本酒を飲むなら限定の品の「磯自慢純米吟醸」がいい。(2012年9月追加)

中京区堺町通四条上ル東側八百屋町533-1  
電話番号:075-213-1326
定休日:木曜、第1水曜 
営業時間:昼12時~、13時45分~、夜17時半~、20時~ 
予算:昼3500円、5000円、7000円、夜7000円、10000円、12000円、15000円 
アクセス:地下鉄烏丸線・四条駅、阪急烏丸駅の出入り口5「京都三井ビルディング」を出て四条通を左へ。「東横イン」、「大丸」を過ぎ、「野村證券」角を左折して堺町通を錦市場へ向かうとすぐ右側。四条駅、阪急烏丸駅より徒歩3分。 
最寄りのランドマーク:大丸、野村證券、錦市場 
お勧めポイント:名物の「焼き胡麻豆腐」が熱々トロトロで最高に美味しい

浜町(はまちょう)

 木屋町にある3階建ての割烹料理店である。店内は1階にカウンター席とテーブル席、2階は最大55名、3階は30名まで対応可能な座敷とカウンター席がある。1階のテーブル席は半個室のボックス席と個室がある。
 メニューを見ると通常の京のおばんざいや刺身、焼き物、揚げ物、煮物から創作系料理まで、あまりの種類の多さに目移りしてしまうほど。また、日本酒などの酒類も一通り揃えている。しかも、宴会コースなら3000円からと、京都にあるこの種の店としては非常に良心的な価格である。料理は特に凄いと言うほどではないが、どれも一定レベル以上の美味しさで、お勧めできる。英語の写真付きメニューもあり、外国人観光客にもお勧めである。(2014年12月追加)
http://hamachodesu.com/

中京区河原町通三条上ル恵比須町448-2(木屋町通三条上ル1筋目西入ル南側)  
電話番号: 075-257-4949 
定休日:不定休
営業時間:17時~23時
予算:鴨ロース900円、月替わりおまかせコース4500円
アクセス:京阪三条駅を出て鴨川を渡り、三条通を河原町通方面へ向かう。「松屋」のある木屋町通の交差点を右折し、一つ目の交差点を左折して高瀬川を渡ると左側にある。京阪三条駅より徒歩5分
最寄りのランドマーク:三条通、木屋町通、高瀬川
お勧めポイント:コスパの良い大箱の割烹料理店

英語メニューもあります

1階のカウンター席

1階のボックス席

たくさんあるメニューの1例

突き出し

お造りは甘鯛とクエ(アラ)

鴨ロースはミディアムレア状態で、味付けはやや甘め

かにと水菜のおひたし

名物つくねは普通

生ゆばの刺身

「鯛飯とゆばの餡かけ」は餡かけチャーハンのようで美味しい

京都市東山区

ぎをん遠藤

 祇園花見小路から少し入ったところにある隠れ家的なカウンター割烹の店。今年で開店して8年目を迎えるらしい。2015年版の時に一度取材をしたことがあるが、実はこの時には残念ながら掲載されなかった。しかし、その後も食べログで高得点を維持しているため、気になっての再度の訪問である。
 入口を入ると、手前にテーブル席があり、左奥にカウンター席がある。この店にはコースがなく、アラカルトメニューの中から客が好きなものを注文するという割烹スタイル。メニューには値段の表示がないが、それなりにリーズナブルな価格のようだ。大将の父親が魚の卸しをやっているということで、この店は魚を売りにしている割烹店のようだ。アルコールに関してはそれほど種類が多くはないが、日本酒は「南部美人」、「寫楽」、「十四代」、「松の司」、「田酒」などがあり、日本酒のセレクトは優れている。
 この日の突き出しは「丹波の枝豆」で、甘みと香りがあった。「お造りの盛り合わせ」は素材を選べるようだったので、僕の好きな真鯛とサワラ、カツオの3つをチョイス。どれも悪くなかったが、極上の素材と言うほどではなかった。「穴子の白焼き」は表面がカリッと焼かれ、身もジューシーで臭みもなくお勧め。「和牛タン塩焼き」は、素材自体は脂がのっていて素晴らしいが、熟成していないのか深みに欠け、塩味も足りないためにボヤけた味となっていた。「松茸の土瓶蒸し」は、国産でないのか?香りに欠け、出汁の引き方も薄めだ。「あじフライ」は、素材が素晴らしく火の通し方も良かったが、サクッとしていないパン粉だけは好みではなかった。ウズラの黄身が入った「からすみご飯」は、まさに想像通りの美味しさ。
 料理は大将一人で調理しているが、料理はテンポ良く出されていい。しかし、料理はシンプルかつストレート過ぎるような気がするので、もう少し料理に深みが出るような工夫が欲しい。それにしても、深夜まで営業している店としてはレベルが高く、ホスピタリティーのあるサービスも含めて魅力的である。(2019年10月追加)

東山区祇園町北側347-118 楽宴小路内  
電話番号:075-551-7271
定休日:日曜・祝日
営業時間:18時〜翌2時
予算:10000円〜15000円
アクセス:阪急河原町駅の出入り口1を出て、四条通りを鴨川・八坂神社方面に進む。京都四條南座の前を過ぎ、朱色の壁の大きな建物(お茶屋一力亭)がある交差点を左折し、花見小路通りを進む。一つ目の信号を右折すると右側に見える(天ぷら「京星(→ 京都グルメバイブル・天ぷらの頁を参照)」の前)。阪急河原町駅より徒歩7分
最寄りのランドマーク:花見小路通り、お茶屋一力亭
お勧めポイント:夜遅くまで営業している隠れ家的な割烹料理店

祇園花見小路から少し入った小路の・・・ さらにこの先の楽宴小路内にあります 杉玉のあるココです! 入口を入って左奥にあるカウンター席 メニュー1(値段表示はない)メニュー2(値段表示はない) この日の突き出しは「丹波の枝豆」で、甘みと香りがあったお造りの盛り合わせ」は素材を選べるようだったので、僕の好きな真鯛とサワラ、カツオの3つをチョイス。どれも悪くなかったが、極上の素材と言うほどではなかった 「穴子の白焼き」 表面がカリッと焼かれ、身もジューシーで臭みもなくお勧めだ 「和牛タン塩焼き」は、素材自体は脂がのっていて素晴らしいが、熟成していないのか深みに欠け、塩味も足りないためにボヤけた味となっていた 「松茸の土瓶蒸し」国産でないのか?香りに欠け、出汁の引き方も薄めだ 国産でないのか?香りに欠け、出汁の引き方も薄めだ「あじフライ」 素材が素晴らしく火の通し方も良かったが、サクッとしていないパン粉だけは好みではなかった 「からすみご飯」ウズラの黄身が入っており、まさに想像通りの美味しさ。

割烹 まつおか

 永田眼科の黒田院長から教えてもらった日本料理店。食べログの点数こそ高くはないものの、地元客を中心とした人気店である。中に入ると、入口から想像していたよりも奥が広く、右側にカウンター席があり、奥に座敷がある。常連客はアラカルトで好みのものを注文していたが、僕は初めてなのでコースで注文。酒はそれなりにあるようだが、プレミアム的なものはない。良かったのは、3つある純米大吟醸のうち、青森の「田酒」と京都の「鳳麟」の純米大吟醸。
 先付けは、「ホタテのウニ焼き、大徳寺麩の白和え、枝豆、イクラの醤油漬け、生湯葉の盛り合わせ」。味がしっかと付いた大徳寺麩の白和えとイクラが美味しかった。お造りは「クエ、カンパチ、マグロ」で、クエはポン酢でいただく。お椀は「鱧と松茸」で、分厚い大ぶりの鱧が素晴らしかった。出汁の引き方は決して濃くはなかったが、その分、鱧の旨味が半端なく美味しく感じられた。炊き合わせは、夏らしく「冷たい炊き合わせ」。それぞれの素材に味が染みていて、柚子の香りも含めて最高の炊き合わせだった。「鮎の塩焼き」は小振りで食べやすく、蓼酢も酸味が柔らかくて美味しい。蒸し物は「蓮根饅頭の蟹餡かけ」で、ネットリと香ばしく揚げられた蓮根と生姜の香りが絶妙にマッチしていた。酢の物は「ツブ貝とトリ貝の酢味噌」で、ご飯は、「鯖寿司と鱧寿司の盛り合わせ」と赤出汁。棒寿司はどちらも美味しいが、脂がのっていて塩味が効いた鯖寿司の方が僕好みだ。そして水菓子へと続き、終了となった。
 それにしても、板前さんのホスピタリティのあるサービスが素晴らしく、比較的遅くまでやっていることも含めて、近くにあったら、ぜひ常連客になりたい店である。(2019年10月追加)

東山区松原通大和大路西入ル弓矢町25  
電話番号:075-531-0233
定休日:水曜
営業時間:17時~22時半
予算:おまかせコース12000円
アクセス:阪急河原町駅の出入り口1を出て、四条通を鴨川・八坂神社方面に進む。鴨川を渡り、「京都四條南座」の信号を右折して川端通りを進む。「焼肉の名門・天壇」を過ぎ、2つ目の橋がある交差点(松原通り)を左折して進むと、右側にある。阪急河原町駅より徒歩10分
最寄りのランドマーク:京都四條南座、川端通り、松原通り
お勧めポイント:地元客に人気の日本料理店

川端通りを左折し、松原通りの・・・ ココです! 中に入ると、入口から想像していたよりも奥が広く、右側にカウンター席があり、奥に座敷がある メニュー1。常連客はアラカルトで好みのものを注文していたが、僕は初めてなのでコースで注文 メニュー2 メニュー3 メニュー4 先付けは、「ホタテのウニ焼き、大徳寺麩の白和え、枝豆、イクラの醤油漬け、生湯葉の盛り合わせ」。味がしっかと付いた大徳寺麩の白和えとイクラが美味しかった お造りの「クエ」 クエはポン酢でいただく お造りの「カンパチとマグロ」 お椀は「鱧と松茸」は、分厚い大ぶりの鱧が素晴らしかった。出汁の引き方は決して濃くはなかったが、その分、鱧の旨味が半端なく美味しく感じられた 炊き合わせは、夏らしく「冷たい炊き合わせ」。それぞれの素材に味が染みていて、柚子の香りも含めて最高の炊き合わせだった 「鮎の塩焼き」は小振りで食べやすく、蓼酢も酸味が柔らかくて美味しい 蒸し物は「蓮根饅頭の蟹餡かけ」で、ネットリと香ばしく揚げられた蓮根と生姜の香りが絶妙にマッチしていた 酢の物は「ツブ貝とトリ貝の酢味噌」 ご飯は、「鯖寿司と鱧寿司の盛り合わせ」と赤出汁。棒寿司はどちらも美味しいが、脂がのっていて塩味が効いた鯖寿司の方が僕好みだ水菓子はシャインマスカットとピオーネ、梨

ぎをん福志

 祇園花見小路から少し入ったところにある小さな日本料理店。実はこの店、開店1年目を迎えたまだ新しい店なのである。青森県金木町出身の店主・福士さんは、「たん熊北店・本店」を経てこの店を開いた。開高 健を彷彿させる店主の料理は、今まさに旬を迎えつつある。
 店内に入ると、左に樹齢200年の檜のカウンター席が7席と、右に6名までのテーブル席が1つある。料理は大将一人で調理し、サービスは女将さん一人で担当しているが、とても淀みのない素晴らしいサービスである。コースは3コースで、今回は真ん中のコースを予約。
 先ずはおしるし(日本酒)をいただく。この日の料理は、「ワタリガニと焼きナスの酢のもの」からのスタート。ハマボウフウとウニが加わることで、料理に厚みが感じられる。続く「岩手産松茸とハモの土瓶蒸し」は、松茸だけでなく、脂ののったハモが抜群に旨い。最初のお造りは「明石の真鯛と九州のアカイカ」で、2つ目のお造りは「鰹のたたき」。皮目がカリカリに焼かれたスモーキーな鰹を、ニンニク醤油と辛子でいただく。そして、続く「鯖の棒鮨」には、バッテラのような白板昆布がのっていた。酢が優しく、脂ののった鯖がほんのり甘く感じられる。さらに、蒸さずに焼き上げたという関西風の「琵琶湖の天然鰻の蒲焼き」は、皮が香ばしく身は柔らかでジューシー。「スッポンの茶碗蒸し」は、スッポンの深遠なる旨味が何とも美味しい。最後の締めは、何と!「ほうじ茶の鯛茶漬け」。これはよくある胡麻醤油漬けの真鯛の刺身ではなく、真鯛の刺身の下には、ネットリとした胡麻醤油ペーストが敷かれ、香ばしいあられがアクセントになっている。水菓子は「洋梨と栗のカスタード」。そして、最後の「鍵善良房」の上生菓子をいただき、薄茶で終了となった。
 それにしても、どの料理も店主のセンスを感じさせる洗練された京料理であった。(2019年10月追加)
http://gion-fukushi.jp

東山区祇園町南側570-120  
電話番号:075-354-5314
定休日:日曜、第2・第4月曜(月1回の不定休あり)
営業時間:12時、17時半〜19時半
予算:【昼】15000円、【夜】15000円、20000円、30000円
アクセス:阪急河原町駅の出入り口1を出て、四条通を鴨川・八坂神社方面に進む。京都四條南座の前を過ぎて進むと、朱色の壁の大きな建物(お茶屋一力亭)が見えるので、その角を右折。花見小路を進み、右側の3つ目の交差点を右折すると次の左角にある。阪急河原町駅より徒歩6分
最寄りのランドマーク:祇園花見小路、お茶屋一力亭、
お勧めポイント:店主のセンスを感じさせる洗練された京料理店

祇園花見小路から少し入ったところにある ココです! 店内に入ると、左に樹齢200年の檜のカウンター席が7席と・・・ 右に6名までのテーブル席が1つある 先ずはおしるし(日本酒)をいただく この日の料理は、「ワタリガニと焼きナスの酢のもの」からのスタート。ハマボウフウとウニが加わることで、料理に厚みが感じられる 「岩手産松茸とハモの土瓶蒸し」は、松茸だけでなく、脂ののったハモが抜群に旨い 最初のお造りは「明石の真鯛と九州のアカイカ」 2つ目のお造りは「鰹のたたき」。皮目がカリカリに焼かれたスモーキーな鰹を、ニンニク醤油と辛子でいただく 「鯖の棒鮨」には、バッテラのような白板昆布がのっていた。酢が優しく、脂ののった鯖がほんのり甘く感じられる 蒸さずに焼き上げたという関西風の「琵琶湖の天然鰻の蒲焼き」は、皮が香ばしく身は柔らかでジューシー「スッポンの茶碗蒸し」は、スッポンの深遠なる旨味が何とも美味しい 炊きたての土鍋ご飯 見事な銀シャリ これを「ほうじ茶の鯛茶漬け」でいただく これはよくある胡麻醤油漬けの真鯛の刺身ではなく、真鯛の刺身の下には、ネットリとした胡麻醤油ペーストが敷かれ、香ばしいあられがアクセントになっている 水菓子は「洋梨と栗のカスタード」最後の「鍵善良房」の上生菓子 薄茶で終了となった

祇園 にし

 八坂神社近くにある人気の日本料理店。ビルの1階にある店内は、日本料理店としてはやや箱が小さめ。入口側にテーブル席があり、奥にカウンター席があるが、入口側のテーブル席は配置的に落ち着かないので、僕のお勧めは奥のカウンター席。
 この店の特筆すべき点は。とにかくお酒の品揃えが凄いことである。シャンパンは、1997年のサロンから2008年と2009年のクリスタルの他、ジャックセロス、アンリジローなどといったビックネームが揃っており、価格帯は9000円〜150000円である。白ワインは、コントラフォンのムルソー、エティシエンヌ・ソゼのピュリニー・モンラッシュ1er ペリエール、キスラーのシャルドネ、ドメーヌ セリーヌのシャルドネなどがあり、価格帯は6000円〜56000円。赤は、シャトー・ラフィット・ロートシルト、フィリップ・バカレ、ロベール・シュヴィヨン、シャトー・ムートン・ロートシルト、オーパス・ワン、スタッグリーブ、ロバート・モンタヴィなどがあり、価格帯は6500円〜130000円。日本酒は、而今、十四代、飛露喜、洗心、醸し九平次などで、全て半合からグラスでいただける。さらに焼酎は、魔王、森伊蔵、村尾、佐藤、中々など。これは、あくまでも店主の酒好きが高じて集められたものであり、ソムリエなどのサービス担当はいない。
 まず出てきたのは「長芋ソーメン」。シンプルながら出汁に深みがあり、夏らしくサッパリとしている。お椀は「牡丹ハモと蓮根饅頭の白味噌仕立て」。暑い季節に白味噌とは珍しいが、意外にサッパリとしていて良かった。最初のお造りは「岩手県の白トリ貝(石影貝)と本マグロのトロ」で、二品目のお造りは「ケンサキイカと甘海老のウニ和え」。八寸は「胡麻豆腐と蒸し鮑」、「オマール海老と桃」、「イチジク」、「白髪ソーメンとスーパートマト・毛ガニ・白芋茎の土佐酢ジュレ」、「トウモロコシのムース」。お凌ぎは「ノドグロご飯」で、焼きたてのノドグロから染み出た脂とキャビアの塩味が相まって最高だった。「グジと松茸の揚げ出し」は、カリッと揚げられたグジが最高に美味しかった。トロッと揚げられた「賀茂茄子と小振りの焼き鮎の海老あんかけ」は絶妙。炊き込みご飯の具材は、「鰻」か「近江牛ミスジとトウモロコシ」の2つであったが、「近江牛ミスジとトウモロコシの炊き込みご飯」をチョイス。いわゆる牛肉のバター醤油味ご飯で、非常に美味しいがそれほどたくさんは食べられない。「赤出汁」はナメコとアサリで、山椒が効いていた。また、香の物には珍しく「自家製ウリと明太子」が付いてきたが、これはなかなか美味しかった。デザートの「宮崎マンゴーのムース・ソーテルヌジェル」 は、トロトロで美味しく、パティシエがつくるレベルであった。そして、最後はコーヒーと抹茶のマカロンで終了となった。
 もちろん、料理も美味しかったが、グラスワインや日本酒のセレクトも良く、お酒好きにとっては満足度が高い店だ。(2019年9月追加)

東山区月見町21-2 
電話番号:075-532-4124
定休日:月曜(火曜は夜のみ)
営業時間:【昼】12時~12時半、【夜】18時~19時半(前日までの予約が必要)
予算:【昼】5000円、10000円、(夜の15000円も可能)【夜】12000円、15000円
アクセス:阪急河原町駅の出入り口1を出て、四条通を鴨川・八坂神社方面に進む。京都四條南座を過ぎ、朱色の壁の大きな建物(お茶屋一力亭)過ぎて進むと正面に八坂神社が見えるので、東大路通りの信号を八坂神社側へ渡る。東大路通り右側へ進み、2つ目の信号(東山安井交差点)を左折すると、すぐ左側にある。阪急河原町駅より徒歩12分
最寄りのランドマーク:八坂神社、東大路通り、東山安井交差点
お勧めポイント:ワインや日本酒などのお酒が充実している日本料理店

八坂神社の近くの坂を上ると、左に派手な飲食店の看板が見えるが、地味な方の・・・ココです!入口側にテーブル席があり、奥にカウンター席があるが、入口側のテーブル席は配置的に落ち着かないので、僕のお勧めはこのカウンター席 英勲の純米大吟醸をいただいたら ワイングラスで出てきた まず出てきたのは「長芋ソーメン」 シンプルながら出汁に深みがあり、夏らしくサッパリとしている お椀は「牡丹ハモと蓮根饅頭の白味噌仕立て」。暑い季節に白味噌とは珍しいが、意外にサッパリとしていて良かった 最初のお造りは「岩手県の白トリ貝(石影貝)と本マグロのトロ」 二品目のお造りは「ケンサキイカと甘海老のウニ和え」見た目は美しかったが、ウニとイカの組み合わせの相乗効果はなかった 八寸は「胡麻豆腐と蒸し鮑」、「オマール海老と桃」、「イチジク」、「白髪ソーメンとスーパートマト・毛ガニ・白芋茎の土佐酢ジュレ」、「トウモロコシのムース」 お凌ぎは「ノドグロご飯」で、焼きたてのノドグロから染み出た脂とキャビアの塩味が相まって最高だった「グジと松茸の揚げ出し」は、カリッと揚げられたグジが最高に美味しかった トロッと揚げられた「賀茂茄子と小振りの焼き鮎の海老あんかけ」は絶妙 炊き込みご飯の具材は、「鰻」か「近江牛ミスジとトウモロコシ」の2つであったが、「近江牛ミスジとトウモロコシの炊き込みご飯」をチョイス セットが完成。香の物には珍しく「自家製ウリと明太子」が付いてきたが、これはなかなか美味しかった いわゆる牛肉のバター醤油味ご飯で、非常に美味しいがそれほどたくさんは食べられない 「赤出汁」はナメコとアサリで、山椒が効いていた デザートの「宮崎マンゴーのムース・ソーテルヌジェル」 は、トロトロで美味しく、パティシエがつくるレベルであった最後はコーヒーと「抹茶のマカロン」で終了となった

まとの

 高台寺近くにある小さな日本料予約したので個室に通されたが、カウンター席もあるようだ。個室は冷え冷えとしており、冬期の利用はお勧めできない。しかし、個室から見渡す雪の降る坪庭は美しかった。
 ドリンクメニューを見ると、日本酒も焼酎も種類がそれほど多くないが、日本酒のセレクトは良く、価格も適正であった。
 先付は「数の子と海老」で、サッパリとしていい。お凌ぎは「穴子の蒸し寿司」。蒸し寿司自体はもちろん美味しかったが、添えられた自家製のカラスミや黄身饅頭などが良かった。お椀は「蛤と松葉ガニの真丈」。塩加減がピッタリで、出汁の引き具合も良かった。お造りは「ヒラメの昆布締め、寒ブリ、サワラの焼き霜」。中でも、サワラが最高に美味しかった。「野菜の煮物」は、クワイ、京人参などで、こちらはまあまあの味。揚げ物の「イカ、蓮根、海老の頭、穴子とフキノトウの天ぷら」、そして酢のものの「トラフグの煮こごりとナマコ酢」と続き、最後は「鯛の土鍋ご飯」で終了。この土鍋ご飯だけはパラついていてイマイチだった。水菓子は「2種類のシャーベットとメロン、ミカンのゼリー」で、美味しかった。
 古い家屋を利用した店なので、雰囲気が実に京都らしく、コスパも良かった。(2019年9月追加)

東山区高台寺北門前通下河原東入ル鷲尾町501  
電話番号:075-531-0202
定休日:不定休
営業時間:12時~13時、18時~19時
予算:【昼】4500円、9000円、【夜】13000円
アクセス:阪急河原町駅の出入口1を出て、四条通を鴨川・八坂神社方面に進む。京都四條南座を過ぎ、朱色の壁の大きな建物(お茶屋一力亭)過ぎて進むと正面に八坂神社が見えるので、八坂神社側へ信号を渡る。更に右に進み、「ホテル サンライン」がある最初の角を左折する。八坂神社・南楼門前のT字路を右折して進み、「浜作本店」の手前の角を左折すると右側にある。阪急河原町駅より徒歩13分
最寄りのランドマーク:八坂神社・南楼門、浜作本店
お勧めポイント:コスパの良い日本料理店

高台寺近くにある小さな日本料理店 ココです! 門を抜けて小路のような通路を進むと、入口が見える この日は4名で予約したので個室に通されたが、カウンター席もあるようだ ドリンクメニューを見ると、日本酒も焼酎も種類がそれほど多くないが、日本酒のセレクトは良く、価格も適正 先付は「数の子と海老」で、サッパリとしてよかった お凌ぎは「穴子の蒸し寿司」 蒸し寿司自体はもちろん美味しかったが、添えられた自家製のカラスミや黄身饅頭などが良かった お椀は「蛤と松葉ガニの真丈」 塩加減がピッタリで、出汁の引き具合も良かった お造りは「ヒラメの昆布締め、寒ブリ、サワラの焼き霜」 中でも、サワラが最高に美味しかった 「野菜の煮物」は、クワイ、京人参などで、こちらはまあまあの味 揚げ物の「イカ、蓮根、海老の頭、穴子とフキノトウの天ぷら」 酢のものの「トラフグの煮こごりとナマコ酢」 最後は「鯛の土鍋ご飯」この土鍋ご飯だけは、パラついていてイマイチだった

佳肴岡もと(かこうおかもと)

 東山五条「妙法院」の近くにある日本料理店。日本料理店とは言っても、通常の日本料理店ではない。店主がセレクトした選りすぐりの日本酒60種類と共に、おまかせコースを楽しむ酒飲みのための日本料理店なのである。もちろん、お酒は別料金だが、徳利でも、グラスでも、お猪口でも、お好みの量を料理に合わせて飲むことができる。
 店内は、L字型のカウンター席が8席のみの割烹スタイル。店主の岡本さんはまだ若いが、日本酒にかなり精通しており、僕の知らない銘柄も多数みられた。食材は主に明石から直送される魚や契約農家からの野菜などで、それを調理する店主の鮮やかな仕事ぶりを、カウンター越しに眺めることができる。
 まず出てきたのは、「焼き千両茄子のピューレ」。冷たい一皿だが、サラッとしたピューレ状の焼き茄子が、実に夏らしい。続く「千葉産・黒アワビの煮アワビ」は、深みのある肝ソースとソーメンカボチャのシャキシャキとした食感が最高だった。お椀は「キスの葛うちとおかひじき」で、濃厚な出汁に包まれたキスの質が素晴らしく、本枯れ節の香りも良かった。お造りは「スズキの昆布締め」。タマネギ醤油と針ミョウガ、針カボチャと共にいただくと、ネットリ、サッパリとした味わい。さらに、八寸が長皿に一品ずつ出てきた。最初は「イワシの辛煮」。酸味のあるイワシが、まぶされた鰹節の粉の旨味と一体化した美味しさ。温かい「鱧の南蛮漬け」も、ほんのりと酸味を感じる素晴らしいアテ。「ササゲとクラゲの胡麻和え」は、単純な胡麻和えではなく、醤油が加わることで味の輪郭がクッキリとしていた。「鱧の子の卵とじと茶豆」は、柚子が香るシンプルな塩味で、これはまあまあの出来。「ハマグリの酒蒸し」は、その時に飲んでいた日本酒を使って酒蒸しにしてくれた。明石海苔の佃煮とキュウリのピューレに紫蘇の花がかかっており、一見複雑そうな味のようだが、実に調和がとれていて良かった。「冬瓜の煮物」は、鮎出汁による鮎餡がけ。ガラス細工のようにとても繊細な出汁であった。「鯖の棒寿司2種」は、思ったほど脂がのってなく、酢飯も今一つの出来。「鹿児島産地鶏の清湯スープと米粉麺」には、気仙沼産フカヒレが入っていたが、乾物の旨味による重層感はなかった。デザートの一品目の「ピオーネとデラウェア」は、白ワインが深みを与えていた。二品目の「煎った玄米粉の蒸し饅頭」は、丹波大納言小豆の香りは良かったが、皮はシットリしていない。
 それにしても、店主は日本酒に造詣が深いだけでなく、料理の塩味もピッタリでセンス抜群。さらに、酒飲みの心をつかむテクニックを持ち合わせているようだ。カウンター席で日本酒を飲める日本料理店としては、「祇園楽味(→ 京都グルメバイブル・日本料理の頁を参照)」とともにお勧めである。また、店主も女将もとてもホスピタリティーがあり、一人で訪れる店としてもお勧めできる。(2019年9月追加)

東山区常盤町470-4  
電話番号:075-551-1055
定休日:月曜、最終週の日曜
営業時間:17時半〜22時
予算:飲み物込みで17000円
アクセス:京阪本線・五条駅出入口1を出て、五条通りを東側(鴨川と反対方向)へ向かう。「東山郵便局」、歩道橋、「金光院」を過ぎて「東山五条交差点」を右折し、1つ目の信号「馬町交差点」を左折すると右側にある。五条駅より徒歩15分
最寄りのランドマーク:東山郵便局、東山五条交差点、馬町交差点
お勧めポイント:日本酒ラヴァーのための日本料理店

東山五条「妙法院」の近くの・・・ ココです! 店内はL字型のカウンター席が8席のみの割烹スタイル まず出てきたのは、「焼き千両茄子のピューレ」。冷たい一皿だが、サラッとしたピューレ状の焼き茄子が、実に夏らしい 日本料理店とは言っても、通常の日本料理店ではない。店主がセレクトした選りすぐりの日本酒60種類と共に、おまかせコースを楽しむ酒飲みのための日本料理店なのである。料理に合わせた最初のお勧め日本酒 「千葉産・黒アワビの煮アワビ」 深みのある肝ソースとソーメンカボチャのシャキシャキとした食感が最高だった 続くお勧めの日本酒はこちら お造りは「スズキの昆布締め」 タマネギ醤油と針ミョウガ、針カボチャと共にいただくと、ネットリ、サッパリとした味わい さらに、八寸が長皿に一品ずつ出てきた 最初は「イワシの辛煮」。酸味のあるイワシが、まぶされた鰹節の粉の旨味と一体化した美味しさ 温かい「鱧の南蛮漬け」も、ほんのりと酸味を感じる素晴らしいアテ 更にお勧めの日本酒はこちら 「ササゲとクラゲの胡麻和え」は、単純な胡麻和えではなく、醤油が加わることで味の輪郭がクッキリとしていた 「鱧の子の卵とじと茶豆」は、柚子が香るシンプルな塩味で、これはまあまあの出来 「ハマグリの酒蒸し」 その時に飲んでいた日本酒「赤い糸」を使って酒蒸しにしてくれた。一瞬にして水蒸気が・・・ 明石海苔の佃煮とキュウリのピューレに紫蘇の花がかかっており、一見複雑そうな味のようだが、実に調和がとれていて良かった 再びお勧めの日本酒が登場 「冬瓜の煮物」は、鮎出汁による鮎餡がけ。ガラス細工のようにとても繊細な出汁であった 「鯖の棒寿司2種」は、思ったほど脂がのってなく、酢飯も今一つの出来 「鹿児島産地鶏の清湯スープと米粉麺」には、気仙沼産フカヒレが入っていたが、乾物の旨味による重層感はなかった デザートの一品目の「ピオーネとデラウェア」は、白ワインが深みを与えていた二品目の「煎った玄米粉の蒸し饅頭」は、丹波大納言小豆の香りは良かったが、皮はシットリしていない

祇園 又吉

 祇園にある食べログで人気の日本料理店。実はこの店、ミシュラン2つ星店である。通りから少し入った小路にある店は、L字型のカウンター席が8席のみと小さい。しかしながら、2015年1月には祇園花見小路近くに移転して個室もできる予定という。
 先ずはビールを注文。ビールはサッポロラガーとアサヒのスーパードライの2つ。特に日本酒の品揃えが良く、常時20種類以上、多いときには40種類くらいあり、シャンパンやワインも置いている。コースは16000円と22000円の2コースのみ。料理はどれも吟味された素材を、洗練された味に仕上げられており、「炭屋旅館」と「祇園丸山」出身の店主・又吉さんの円熟した技量を感じる。しかも、コースの中には魚やキノコのフライという遊び心も。器もセンスが良く、舌だけでなく、視覚や嗅覚からも脳を刺激する料理だ。専属のサービス担当がいないのが唯一残念だが、それを差し引いても心に残る素晴らしい料理であった。
 ちなみに、今回は許可を頂いての撮影だったが、通常写真撮影をする場合は、店主に一言許可を取ってほしいとのこと。(2014年11月追加)
東山区祇園町南側523-8(2015年1月移転予定なのでホームページを要確認)
http://www.gion-matayoshi.com/

東山区祇園町南側523-8(2015年1月移転予定なのでホームページを要確認)  
電話番号:075-551-0117
定休日:水曜
営業時間:12時~14時(完全予約制)、18時~21時
予算:【おまかせコース】16000円、22000円
アクセス:阪急河原町駅の出入り口1を出て、四条通を鴨川・八坂神社方面に進む。京都四條南座を過ぎ、朱色の壁の大きな建物(お茶屋一力亭)過ぎて進むと正面に八坂神社が見えるので、ローソンの角を東大路通に右折する。「かに家」の手前の細いT字路を右折し道なりに左に曲がるとすぐ右側にある。阪急河原町駅より徒歩10分 
最寄りのランドマーク:八坂神社、札幌かに家
お勧めポイント:ミシュラン2つ星獲得の実力店

湯葉の餡かけ(梅干しと枝豆を添えて)

紅ズワイガニの黄身酢・酒盗風味(トンブリとミョウガ添え)

イチジクの赤ワイン煮(芥子の実を添えて)

ノドグロ、原木椎茸、栗饅頭のお椀は旨かった!

最初のお造りはクエ(手前右から塩ダレ、醤油、ポン酢)

2つめのお造りはグジ(甘鯛)の昆布〆で、昆布を粉末にしたものが添えられていた

グジとクエの皮の唐揚げ

ハガツオはカラシと醤油で頂く(写真を撮る前にうっかり一切れ食べてしまった)

お凌ぎ(空腹を凌ぐための炭水化物)は、左がゴマと白板昆布を載せた鯖の握り、右がクエの握り

クエの握り

ゴマと白板昆布を載せた鯖の握り

子持ち鮎の山椒煮

グジと髭ダラ、豆腐の炊き合わせ。グジと髭ダラはポン酢で頂く

美しい秋の葉で覆われた八寸

葉をどけると・・・

モロコの炭火焼きはジューシーでフワッと柔らか。ワカサギとは違った味わい

スッポンと九条ネギの煮物

左から真ダラ、原木椎茸、マイタケのフライに熟成ソースを添えて

自家製の熟成ソース

ご飯は土鍋で熱々を炊いてくれる

本来はご飯かニュウメンのいずれかを選ぶのだが、今回は特別に 両方を頂くことに(写真はクエのニュウメン)

長崎県産・赤ウニと卵の黄身を使ったウニご飯は絶品!

デザートの盛り合わせ

抹茶のソルベ

プリンは日本料理店とは思えないくらいトロッと美味しい

石塀小路 豆ちゃ 京都

 開店して13年目を迎えた石塀小路(いしべこうじ)にあるおばんざいの店。実はこの店、広島の会社が経営しているという。町家を改装した建物の玄関でまずは靴を脱ぎ、店内へと入る。入って左側にカウンター席が、2階に4名と6名までの個室がある。カウンター席は間接照明と和紙を駆使したモダンなインテリアで、バーと言われても全く違和感がないほど。コの字型のカウンター席の両側には坪庭が見え、京都らしい雰囲気がいい。
 メニューを見ると、メインのおばんざいの他、お酒は日本酒、焼酎、ワインなど一通りある。日本酒は吟醸酒までしかなく、大吟醸は置いていない。値段は、この辺りの店にしては価格が抑えられているため、客の年齢層は20〜30代が中心のよう。特に良かったのは炊きたての「季節の羽釜ご飯」である。今回は「サンマと生姜の羽釜ご飯」、「ハモとキノコの羽釜ご飯」、「鯛の羽釜ご飯」の中から、「サンマと生姜の羽釜ご飯」をチョイス。大きめの土鍋ながら1合炊きにしてもらえる。ご飯は艶々で、味付けもしっかりしていて実に美味しく、締めにこれだけを食べに来てもよいと思うほど。最後には薄茶を点ててくれたり、1人客には量を半分にしてくれたり、とにかく居心地が良くホスピタリティを感じる店だ。料理は取り立てて美味しいというほどではないが、この雰囲気と値段を考えれば、十分お勧めできる店である。(2014年11月追加)

東山区下河原通八坂鳥居前下ル下河原町463-16  
電話番号:050-5868-2878 (予約専用番号)、075-532-2788 (お問い合わせ専用番号)
定休日:無休
営業時間:17時~23時(食べ物のLOは22時半)
予算:おばんざい箱840円、季節の羽釜ご飯1200円、コース4500円
アクセス:阪急河原町駅の出入口1を出て、四条通を鴨川・八坂神社方面に進む。京都四條南座を過ぎ、朱色の壁の大きな建物(お茶屋一力亭)過ぎて進むと正面に八坂神社が見えるので、八坂神社側へ信号を渡る。更に右に進み、「ホテル サンライン」がある最初の角を左折する。八坂神社・南楼門前のT字路を右折して進み、親子丼で有名な「ひさご」、「浜作本店」を過ぎたマンション(グレーシティ京都・東山)左の石塀小路を上り、次のT字路を右折するとすぐ右側にある。阪急河原町駅より徒歩14分。 
最寄りのランドマーク:八坂神社・南楼門、石塀小路
お勧めポイント:石部小路にある雰囲気の良いおばんざい店

この門の奥が「石塀小路」

突き出しの冷たい小芋の煮物

いろいろなおばんざいが楽しめる「おばんざい箱」

刺身の盛り合わせ(1人用にしてくれた)

揚げ出し豆腐はイマイチだった

「まぐろとアボガドのわさびマヨネーズ和え」は美味しい

「サンマと生姜の羽釜ご飯」が炊きあがった

サービスの薄茶(お抹茶)と羊羹

祇園楽味(ぎおんらくみ)

 「祇園 さヽ木(ささき)(→ 京都グルメバイブル・日本料理店の頁を参照)」 がプロデュースする別ブランド店。町家をリノベーションした店内は、L字型のオープンキッチンのカウンター席のみ。店内は天井が吹き抜けとなっており、白を基調としたモダンな空間が心地よい。
 2015年版当時の料理長は木田さんであったが、2016年に料理長が水野さんに交代した。後輩の新明先生に言わせると、料理自体にはさほど変化はないものの、日本酒のセレクトが大きく変わったという。木田さん時代にはかなりマニアックなものも揃っていたが、現在は誰もが知る大道の日本酒になったらしい。
 この店の特徴を一言で表すなら、美味しいものを食べさせたいという意欲に溢れた「新しいコンセプトの高級割烹居酒屋」であるということ。料理はあくまでもコースが基本であるが、いろいろな素材を自分で選び、自分好みの料理法で調理してもらえるのだ。刺身もあれば炭火焼きやフライもやる、そしてドンブリも握り寿司もありなのである。しかも、お腹に余裕があればアラカルトメニューから料理を追加できたり、酒をもっと飲みたいので酒のアテをもっとほしいなどといった我が儘もOKなのである。料理も美味しいが、酒のアテも秀逸である。もちろん、このようなコンセプトなので、ワインや日本酒の品揃えもいろいろあり、特に日本酒に関しては常時30種類くらいある。まさに、酒が飲める客にとっては、この店は天国のような店であり、料理法がシンプルなだけに外国人客にも分かりやすいと思う。「祇園ささ木」ほどの完成度はないものの、ジャンルに捕らわれずに美味しいものを食べさせたいと姿勢は同じである。
 ちなみに、人気店なので早めの予約が必須であるが、もしも予約が埋まっている場合でも基本2回転制なので、20時半過ぎにオンコールで入れることが多い。(2019年9月更新)

東山区祇園町南側570-206  
電話番号:050-5789-9278(予約専用)、075-531-3733(お問い合わせ・予約変更)
定休日:日曜、第2月曜
営業時間:17時半~22時半
予算:おまかせで15000円くらい
アクセス:地下鉄烏丸線・四条駅、阪急京都線・烏丸駅19番出口あるいは阪急河原町駅の出入口1を出て、四条通を鴨川・八坂神社方面へ進む。「京都四條南座」、朱色の壁の大きな建物「一力亭」を過ぎ、「アパホテル京都祇園」手前角を右折する。突き当たり(三芳前)T字路を左折すると「祇園佐川急便」のあるT字路が見えるのでその向かい角。四条駅、烏丸駅より徒歩13分。 
最寄りのランドマーク:京都四條南座、一力亭、アパホテル京都祇園
お勧めポイント:「祇園ささ木」がプロデュースする新しいコンセプトの居酒屋割烹

カマスとシメジ、イチジクの酢の物

銀杏の素揚げ

スッポンの椀もの

刺身。これらの素材からお好きなものを何種類でもどうぞ(とは言っても、通常は4種類くらい)

左手前から真鱈の白子、クジラの尾の身、自家製イカの塩辛、イクラの醤油漬け

手前左から本マグロのトロ、アラ、関アジ、サンマ、バフンウニ、鯨ベーコン、ブリ、白エビ

ハガツオ、鯖 、イカゲソ、コハダ、真ツブ、ボタン海老、カマス、シャコ、ホッキ貝、ホタテ貝、煮ダコ

注文した刺身。左から「白エビとバフンウニ、海苔」、「ハガツオのニラポン酢」、「関サバと自家製鯨ベーコン」

「白エビとバフンウニ、海苔」

海苔にのせ、スダチを搾って粗塩をひとつまみ。そして海苔で巻いて食する

「関サバと自家製鯨ベーコン」

「ハガツオのニラポン酢」

追加注文できるアラカルトメニュー

焼き物はこの中から素材をチョイス

エイジングビーフ(黒毛和牛)

手前からハタハタ、ノドグロ、笹ガレイ、きんき、金目鯛

珍味色々と貝類

丹波の枝豆・紫ずきん

エイジングビーフを3枚切ってもらい、炭にのせて直火焼きに

山葵と共にいただく

この日出てきた大吟醸。この他にもう一種類出た

琵琶湖産モロコの炭火焼き

キンキの炭火焼き

酒のアテに追加注文した「甘エビの酒盗和え」

青森県・田酒の大吟醸はワイングラスで

酒のアテにクチコの炭火焼きも追加

鯖寿司も一切れ追加

吸い物

さらに握り寿司も注文

コハダの握り

「祇園ささ木」のヅケトロの手巻き

炭火割烹 いふき

 祇園花見小路の南側にある人気の日本料理店。町家をリノベーションした建物の玄関でまずは靴を脱ぎ、さらに奥の扉を開けると、美しい白木のオープンキッチンのカウンター席が広がる。さすが炭火割烹と言うだけあって、中央にはガラス張りの焼き台が鎮座している。店主の山本さんは坊主頭で一見強面であるが、話してみると非常に人柄が穏やかな方であった。
 炭火割烹を名乗っているが、全ての料理が焼き物というわけではない。もちろん、メインの料理は肉や魚を炭火で焼いたものであるが、刺身や椀もの、揚げ物、炊き合わせなど、いたって普通の日本料理の構成なのである。飲み物のメニューを見ると、日本酒は「十四代」、「磯自慢」、「醸し九平次」、「黒龍」、「喜楽長」、「松の司」、「醴泉」、「瀧自慢」など13種類あり、比較的充実している。
 焼き物は素材を選んで炭火焼きにしてもらうというスタイル。高いコースを注文すると、肉と魚の両方を注文できる。この日の素材は「甘鯛(ぐじ)」、「きんき」、「ノドグロ」、「スッポン」、「黒毛和牛」、「キントア豚」、「シャラン鴨」であった。迷わず、好物の「ノドグロ」と食べたことのない「(焼き)スッポン」を注文。「スッポン」は、生肉を焼いたものと煮込んでつけダレで焼いたものの計2皿が供される。結論から言うと、生肉を焼いた肉はサッパリとしてほぼ鶏肉と変わらず、煮込んだものをつけダレで焼いた肉はトロッとしてまさにスッポンそのものであった。また、スッポンの肝は白レバーとアン肝を足して2で割ったような味で、これは美味しかった。また、「ノドグロの炭火焼き」は脂がのっていて、文句なく美味しい。繊細な「蒸しアワビ」には、意外にも生姜味に加えて擦りたてのワサビがのっていた。ご飯のおかずは「鰻の蒲焼き」、「サンマの塩焼き」、「シシャモの焼き物」、「カキフライ」の中から選ぶのだが、僕は「鰻の蒲焼き」に。鰻は表面がカリッと焼かれていて、タレを追加してワサビと共に頂くと、専門店に負けない美味しさだった。加えて、銀シャリの白米は秀逸だった。(2014年11月追加)

東山区祇園町南側570-8  
電話番号:075-525-6665
定休日:火曜
営業時間:17時〜23時
予算:13000円、16000円、20000円
アクセス:阪急河原町駅の出入り口1を出て、四条通を鴨川・八坂神社方面に進む。京都四條南座の前を過ぎて進むと、朱色の壁の大きな建物(お茶屋一力亭)が見えるので、その角を右折。花見小路を100mほど進むと左側に「ぎおん徳屋」が見えるのでその角を左折すると右側にある。阪急河原町駅より徒歩6分。 
最寄りのランドマーク:祇園花見小路、お茶屋一力亭

玄関で靴を脱ぎます。奥の格子模様の扉を開けるとカウンター席です

カウンター席

正面に半円のガラスがついた焼き台が見えます

八寸

雲子(真鱈の白子)のあられ揚げ

軽く炙ったボタン海老のウニのせ

子持ち鮎の山椒煮

枝豆とムカゴの豆豆腐和え

茹でシャコ・カブラ漬け添え

飲み物のメニュー

松葉ガニ(ズワイガニ)の脚の炭火焼きと抱き身の蒸しガニの2種類

トラフグの炙りをポン酢大根か塩で

雲子のお椀(ゴマ豆腐入り)

津軽海峡でとれた本マグロの炙りの握り

焼き松茸と鶉のつみれと小芋の炊き合わせ

ノドグロの炭火焼き

蒸しアワビ

スッポンの生肉の炭火焼き(脚の部分)

スッポンの煮たもののつけダレ焼きに山ワサビを添えて(奥がエンペラを含む甲羅近くの肉で、手前が肝)

口直しの柿、リンゴ、イチジクにクルミソース

トラフグの唐揚げ・ネギの甘酢餡かけを添えて

鰻の蒲焼きと炊きたての白飯、厚揚げとキノコのお吸い物

洋なしのソルベとフレッシュフルーツの赤ワインジュレがけ(和梨、巨峰)

最後は栗のソルベ入り最中

安久(あんきゅう)

 宮川町のマンションの1階にある日本料理店。実はこの店、ミシュランで2つ星を獲得したことで話題となった店である。店内は非常に狭く、カウンター席が僅か6席しかない小さな店である。最近話題となっている京都の日本料理店の店主は30~40代の方が目立つが、この店の店主・上田さんもまだ30代という若さである。カウンター内には若手の見習の方がもう1人おり、奥さんがサービスを担当している。
 料理は素材の旨味を引き出すようなシンプルな料理。そのため、素材にはとことんこだわっているようだ。日本酒は純米酒が6〜7種類あるが大吟醸は置いていない。また、この店は 「前田(→ 京都グルメバイブル・日本料理店の頁を参照)」 や 「啐啄 つか本(→ 京都グルメバイブル・日本料理店の頁を参照)」 と同様、写真撮影は禁止なので、今回も料理のことは文章でお伝えしたい。
 まず、最初のスタートは小さな椀に入った「梅干しとワサビの吸い物」。梅干しの酸味とワサビの辛みが食欲を刺激するため、最初のイントロとしてピッタリ。2品目の「煮穴子とキュウリの胡麻酢かけ」は、濃厚な胡麻の香りが酢でサッパリとまとめられており、トロトロの煮穴子とシャキシャキのキュウリのコントラストも良かった。3品目は京都名物の「鯖寿司」。意外にもオーソドックスな鯖寿司ではなく、軍艦巻きのように海苔で巻かれ、忍ばせてあるガリが良いアクセントとなっていた。4品目は「松茸とスッポンの椀もの」で、香りを出すためなのか?松茸が細かく千切りにされており、これがスッポンや生姜の香りに負けないくらい存在感があった。5品目と6品目はいずれもお造り。幻と言われる「白甘鯛」は湯引きされた皮付きのもので、身は脂がのっていて、まるで五島や玄界灘のアラのようだった。「シビマグロ(クロマグロの幼魚)」はハラミのトロの部分を炙ったもので、皮目が香ばしくサクッ、トロッとした食感。7品目は「琵琶湖産・天然鰻の白焼き」。関西風なので蒸す作業を行っておらず、身がプリッと厚くて香ばしい。また、活け締めにして血抜きをし、さらにヌメリを取る作業をとことん行っているため、全く泥臭さを感じない。8品目の「ノドグロと蕪の炊合わせ」は、蕪の甘みとノドグロの脂の旨味が最高。9品目は「牛ヒレ肉のステーキ」で、こちらは想像通りの美味しさ。10品目は3つのご飯から選択できる。僕は迷わずこの店の名物「鮭ご飯」をチョイス。これはご飯の上に香ばしく焼かれた鮭の身をのせたもので、東京の 「京味(→ 銀座グルメバイブル・和食の頁を参照)」 にインスパイアされたものかも。「京味」はキングサーモンをしているそうだが、こちらは国産・銀ザケのハラミと背の身を使用しているという。
 店主の上田さんはとてもフランクで、トークが軽妙。なので、1人客でも飽きさせず、常に場が和む。ちなみに、6席しかない小さな店なので、早めの予約は必須である。(2014年10月追加)

東山区宮川筋3-283  
電話番号:075-531-5999
定休日:日曜(要相談)
営業時間:18時〜22時
予算:お任せで2万円ぐらい
アクセス:阪急河原町駅の出入り口1を出て、四条通を鴨川・八坂神社方面に進む。鴨川を渡り、「京都四條南座」の信号を右折して川端通を進む。「焼肉の名門・天壇」を過ぎてしばらく進むと、ラブホテル「ホテルと、いうわけで」と「ホテルRei」が見えるので、その並び角のマンション。阪急河原町駅より徒歩10分。 
最寄りのランドマーク:京都四條南座、川端通、ホテルと、いうわけで、ホテルRei
お勧めポイント:ミシュラン2つ星を獲得した注目の若手料理人の店

割烹 千ひろ

 ミシュランガイド2014年で2つ星を獲得した日本料理店だが、実は3つ星の「千花」とは兄弟店(兄の店が「千花」で弟の店が「割烹 千ひろ」)である。なので、先代「千花」の料理を受け継ぐ両店の料理は基本的に似ている。どちらも素材を生かしたシンプルで派手さのない料理で、コースの中にフルーツを使った料理が出てくるのと最後はフレッシュジュースで締めるというのが定番である。加えて、「千花」のコースに出てくる「生湯葉」が実に美味しい。なので、兄の「千花」の方ももちろん良いのだが、外国人客が多いことやコスパを考えればこの「千ひろ」の方がお勧めである。
 店を入ると右側に白木のカウンター席があり、そして左側には8名までの個室がある。カウンター内には大将の永田さんと若い職人が立ち、大将の指示のもと黙々と下作業をしている。久々に訪れたが、大将は以前よりも更にトークが軽妙になっており、とても元気そうだ。この店のコースは3コースあり、昼も夜も変わらない。コースは値段によって品数だけでなく素材も変わる。前述のように店主は素材にフルーツを用いるのが得意であるが、今回はいつものフルーツの酢の物はではなく、「炊いた干しバナナ」や「湯葉と桃」という驚きの変化球であった。しかも、今回の料理は全般的にこのような変化球の連投で、これをサプライズというプラスに受け取るか、マイナスに受け取るかは意見の分かれるところだろう。(2014年9月更新)

東山区祇園町北側279-8  
電話番号:075-561-6790
定休日:月曜
営業時間:12時〜13時(予約時のみ)、17時〜20時半
予算:コース12000円、15000円、18000円
アクセス:阪急河原町駅の出入り口1を出て、四条通を鴨川・八坂神社方面に進む。「京都四條南座」の前を過ぎ、朱色の壁の大きな建物「お茶屋一力亭」のある花見小路 を過ぎ、東側2本目の小路(アパホテル京都祇園EXELLENTの正面向かい)を左折するとすぐ右側。阪急河原町駅より徒歩7分。 
最寄りのランドマーク:お茶屋一力亭、花見小路、アパホテル京都祇園EXELLENT
お勧めポイント:シンプルながらサプライズな料理を提案する和食店

四条通を挟んだこのホテルの向かい側の小路を入ったところにあります

「宮田圓月堂」の横にある小路です

この小路の奥です

店主の永田さん

まずは「だだ茶豆のヴィシソワーズ」からスタート

タコと大根たったかな?

八寸(ハモ、鯛、鯛の肝、)

サンマの煮物

ハモの子

鯛の肝のゼリー寄せ

ジャコと松茸

鯛?の炙り

ハモの刺身・梅肉あるいは塩、ワサビ醤油で

食感のアクセントにタコの吸盤が入っています

ハガツオの刺身・生姜醤油で

松茸と真丈のお椀

琵琶湖産鮎の塩焼き・炊いたドライバナナ添え

桃の生湯葉ペーストかけ(ほぼムース状の生湯葉)

ビックリするほどホクホクでジューシーな美味しさ「丸のまんまの蒸し焼き茄子、胡麻醤油で」

コーンのかき揚げと甘鯛の唐揚げの餡かけ

締めの「鱧カツ丼・梅肉ソース」は微妙。味噌汁は何と!!冷たい味噌汁でした

リンゴとオレンジのジュース

前田

 祇園花見小路の建仁寺近くにある日本料理店。店は大きな建物の1階にあり、清潔感のある目新しい店舗。店内は僅か10席のカウンター席しかない。この日の客の半分以上が常連客のようである。若い店主・前田さんと若い見習料理人の2人でやっているのだが、店主がテキパキと指示を出すため、料理は淀みなく出される。前田さんは木屋町の「櫻川」出身と言うことであるが、彼の料理は輪郭がはっきりとしていて、「櫻川」とは全く異なる料理を作る。
 ベビーフェイスの店主はまだ38才という若さながら、実に斬新な料理を出す。本当に僕の想像を超えるような料理を次々と出してくる。どの料理も店主の気合いと言おうかパッションを感じさせる品々。あくまでも正統派日本料理という土俵の上で勝負してくるのだが、その素材の組み合わせが驚きなのである。また、どの料理も塩味がビシッと決まっていてブレがない。同じ正統派の 「旬席 鈴江(→ 京都グルメバイブル・日本料理店の頁を参照)」の料理がモネなどの万人受けする印象派の絵だとすれば、この店の料理はピカソやルソーのような当時は前衛的だと言われた絵に例えられるのかもしれない。
 この日最初に出てきたのが「ユリ根羹のキャビアのせ」。ネットリと羊羹のように固められた冷たいユリ根羹に塩味のキャビアが良く合う。2品目の「天然鮎の春巻・蓼酢ソース」は、具材として鮎の身とその内蔵の塩辛「うるか」が入っており、パリッとした皮の中の塩味が効いた鮎の身が日本酒にピッタリ。3品目の「焼き茄子の煮浸しとイチジク・刻みアーモンド掛け」も一見ミスマッチのような組み合わせだが、全ての食材が素晴らしいハーモニーを奏でていた。4品目の「一塩したビワマスの刺身」は、一塩して時間をおくことで旨味が際立ち、さらにスダチが全体をキリッと引き締めていた。5品目のお椀「天然鰻の白焼きの冬瓜のすり流し」は、海で捕れたという天然鰻を揚げたの?というくらいカリッと焼かれており、それがとても香り高く、隠し味の「自家製万願寺唐辛子の柚コショウ」がほのかな酸味のアクセントとなっている。6品目の「蒸し鮑」は、蒸し鮑にトロロ芋の他、淡路島由良産の赤ウニと醤油の代わりに炊かれた海苔がのせられており、この組み合わせが新鮮なインパクトを感じさせた。7品目の「白甘鯛の蒸し物」は、蒸した白甘鯛に刻んだ松茸がのせられ、更にその上に餡がかかったもので、これも最高に旨かった。8品目の「ワタリガニのみぞれ酢・イクラのせ」も、ほぐしたワタリガニの身と大根おろし入りの土佐酢の組み合わせがサッパリとして良かった。9品目は酒のアテである「半生クチコの炙りと粉ふきイワシ」。「半生クチコ」は漁師に特注したというナマコの卵巣(クチコ)で、中がトロリとしていて塩加減もグッド。「粉ふきイワシ」は甘辛く炊かれた小さなイワシに鰹節の粉をかけたもので、これも酒のアテに良かった。10品目の「季節の野菜の煮物」の出汁は驚くほど濃厚で、この濃厚な出汁にタップリかかった針生姜が実にマッチしていた。最後の食事は、竈で炊かれた餅米100%の「松茸と栗の御飯」。松茸と栗の香りが際立ち、塩加減も絶妙だった。デザートの「フルーツとイチジクのシャーベット」はまあまあであったが、「羊羹の葛焼き」は良かった。これは恐らく、“金つば”からヒントを得たものと思われるが、水羊羹に溶いた葛を塗して焼いているので(作り方はあくまでも僕の想像です)、ハフハフと熱くとろける食感が何とも言えない美味しさであった。
 ちなみに、京都の日本料理店としては珍しく生ビールを置いている点は良かったが、四つ葉のクローバー型のグラスが飲みづらかった。また、日本酒のセレクトは良かった。それにしても、この店は写真撮影が禁止なので、あの素晴らしい料理の数々をお見せすることができなかったことが残念である。さらに、この店が2014年度ミシュランで僅か1つ星の評価しか得ていないことが驚きであった。(2014年9月追加)

東山区祇園町南側570-118  
電話番号:075-525-5577
定休日:日曜
営業時間:18時〜23時
予算:コース16000円、20000円(税サービス料別)
アクセス:阪急河原町駅の出入り口1を出て、四条通を鴨川・八坂神社方面に進む。京都四條南座の前を過ぎて進むと、朱色の壁の大きな建物(お茶屋一力亭)が見えるので、その角を右折。200mほど進むと左側に「祇園新地甲部歌舞演場」と「ウィンズ京都」見えるので、そのT字路を「建仁寺」の壁に沿って右折すると、一つ目の小路の右角にある。阪急河原町駅より徒歩10分。
最寄りのランドマーク:祇園花見小路、祇園新地甲部歌舞演場、建仁寺
お勧めポイント:京都若手トップの日本料理人が作る目の覚めるような斬新な料理

      

おが和

 「祇園 さヽ木(→ 京都グルメバイブル・日本料理店の頁を参照)」 で長年修行された料理人が店主を務める日本料理店。店内にはL字型のカウンター席が僅か6つしかなく、日本料理店としてはかなり小さめ。料理は店主と若い男の料理人の2人で作っており、サービスの担当はいない。
 料理はどれもシンプルな味付けながら、創意工夫が凝らされていて美味しい。1品目の梶(かじ)の葉で覆われた「タコの酢の物」は赤ジソで彩られ、ズイキ、ミョウガ、刻みオクラなどが入っていてサッパリとした美味しさ。1つだけ残念だったのは椀ものである「ハモのにゅうめん・梅干し添え」。塩梅は全く問題なかったが出汁の深みにやや欠け、修業先である「祇園 さヽ木」に及ばなかった。3番目に出てきた「お造り」の刺身醤油には刻み昆布が入っており、素材である青森産ムラサキウニ、イカ、煮アワビとも全てが良かった。特に肝醤油につけて食べる煮アワビは最高である。また、コースの途中で出てきた「本マグロの漬けの手巻き寿司」は、修業先の「祇園 さヽ木」のコースに出てくるものと同じ一品。小振りの天然鮎を使用した「鮎の唐揚げ・万願寺唐辛子添え」は、一見何も変哲のない唐揚げであるが、添えられたソースが何と!!自家製稚鮎の塩辛を入れた蓼酢(たでず)ソースなのである。これが鮎同士のせいか絶妙な相性を見せる。「蓴菜(ジュンサイ)とトマトの酢の物」はまあ普通であったが、「穴子の蒸し物」はこの日最も良かった品。穴子、賀茂茄子、だだ茶豆に大徳寺納豆がのったもので、材料の旨味がトロ効いた餡によって余すとこなく引き出されていた。そしてフィナーレを飾るのは、炊きたての白米とそれにのせる5種類のご飯のお供「カラスミ」、「本マグロの漬け」、「金山寺味噌ゴボウ」、「炊いた海苔」、「ちりめんじゃこ」。もちろん食べ放題なので、5種類全てを頼んでも良い。僕的には「カラスミ」と「本マグロの漬け」がお勧めである。特に「カラスミ」は最高で、思わずお代わりをしてしまったほど。さらに、デザートは日本料理店としては少し異色な「メロンクリームソーダ」。バニラアイス(これは恐らくハーゲンダッツのバニラアイス)やフレッシュ・マスクメロンと共に、シュワシュワとした炭酸を感じるサプライズな一品であった。(2014年8月追加)

東山区祇園町北側347-51 第一雅ビル1階  
電話番号:075-525-3327
定休日:日曜
営業時間:18時〜22時半
予算:コース15500円のみ
アクセス:阪急河原町駅の出入り口1を出て、四条通を鴨川・八坂神社方面に進む。京都四條南座の前を過ぎて進むと、朱色の壁の大きな建物(お茶屋一力亭)が見える信号があるので、その角を左折。花見小路の一つ目の信号を右折しするとすぐ左側のビル。阪急河原町駅より徒歩6分。 
最寄りのランドマーク:祇園花見小路、お茶屋一力亭
お勧めポイント:シンプルな味付けながら、創意工夫が凝らされた料理が美味しい

花見小路の最初の信号を右折した小路(手前茶色いビルの行灯のある店)

タコの酢の物

ハモのにゅうめん・梅干し添え

お造り(煮アワビ、ムラサキウニ、イカ)

刻み昆布入り刺身醤油

アワビの肝醤油

本マグロの漬けの手巻き寿司

鮎の唐揚げ・万願寺唐辛子添え

蓴菜(ジュンサイ)とトマトの酢の物

穴子の蒸し物

5種類のご飯のお供(左から「カラスミ」、「本マグロの漬け」、「金山寺味噌ゴボウ」、「炊いた海苔」、「ちりめんじゃこ」)

ご飯のお供「カラスミ」と「本マグロの漬け」

ご飯のお供「金山寺味噌ゴボウ」、「炊いた海苔」、「ちりめんじゃこ」

カラスミご飯と自家製漬け物

本マグロの漬けご飯

メロンクリームソーダ

メロンクリームソーダの泡を退けたところ

京の米料亭 八代目儀兵衛

 うどんで有名な岡崎の 「山元麺蔵(→ 京都グルメバイブル・うどんの頁を参照)」 と並び、今京都で最も行列ができる日本料理店である。いや、日本料理店というよりも“飯屋”と言った方がしっくりくるかも知れない。というのも、名物の土鍋で炊かれた銀シャリ以外は普通だからである。なので、わざわざディナータイムに行くほどではなく、1つ星はあくまでもランチタイムだけの評価なのでご注意を。この京都店の他、東京銀座にも店がある。
 ある日八坂神社界隈を歩いていると、店の前に行列が・・・。気になったので聞いてみると、炊きたての銀シャリが美味しい店だという。行列に並ぶと1時間以上待たなければならないというので、後日予約して改めて伺うことに。電話で予約したいと告げると、ランチタイムの予約は最初の1回転目のみ可能であるという。しかも、オープン10分前の10時50分に店の前にいなければ自動的にキャンセルになるとのこと。
 15分前に到着すると既に予約客の長い行列が。店員に予約していることを告げると、店の前に置かれている順番待ち名簿に名前があるかどうか確認してほしいと言われ、確認してあることを告げる。すると、メニューを渡されて注文をとられる。一番人気は「京のもち豚ロース照り焼き御膳」と「季節のお造り銀シャリ御膳」だが、今回は一番高く品数が最も多い「儀兵衛の三色御膳」をオーダー。開店時間となり店内に入ると、1階はカウンター席のみ。2階は窓際にカウンター席が、そして掘りごたつの小上がりとテーブル席が各1つずつあり、思ったよりも狭い店である。本日のご飯は、山形県産「夢ごこち」と長野県産「こしひかり」、宮崎産「ひのひかり」の3種ブレンド。
 席についてしばらくすると、注文した「儀兵衛の三色御膳」が運ばれ、銀シャリはお替わり自由ですと告げられる。正直言って、焼き魚も天ぷらも、ちりめんじゃこもイマイチで、お造りだけは良かった。なので結論から言うと、「京のもち豚ロース照り焼き御膳」か「季節のお造り銀シャリ御膳」にランチ限定の「卵かけご飯・美山の子守歌」を追加して、2杯目を「卵かけご飯」で締めるというのがベストであろう。卵かけご飯専用の蜂蜜入り醤油は黒酢の様な独特のコクがあるが、少し甘く、これは好き嫌いが分かれる味だ。僕的には刺身に付いてきた醤油をかけた方が美味しく感じられた。(2014年7月追加)

東山区衹園町北側296  
電話番号:075-708-8173
定休日:水曜
営業時間:11時〜14時半、18時〜21時
予算:京のもち豚ロース照り焼き御膳1306円、季節のお造り銀シャリ御膳1593円、卵かけご飯・美山の子守歌185円
アクセス:阪急河原町駅の出入り口1を出て、四条通を鴨川・八坂神社方面に進む。「京都四條南座」、縄手通(大和大路通)、花見小路通を過ぎ、八坂神社前「祇園交差点」を左折するとすぐ左側。阪急河原町駅より徒歩8分。

最寄りのランドマーク:京都四條南座、八坂神社

開店前に店員が注文をとりにくる

店舗のガラス越しに土鍋がズラリと見える

1階のカウンター席

2階の窓際のカウンター席と掘りごたつの小上がり

儀兵衛の三色御膳

1杯目の銀シャリ

1杯目の銀シャリのアップ

焼き魚と天ぷら

季節のお造り

ちりめんじゃこ

香の物

味噌汁

おから

焼き海苔

卵かけご飯・美山の子守歌

2杯目はお焦げ入り銀シャリ

2杯目はお焦げ入り銀シャリのアップ

卵かけご飯

  

啐啄 つか本

この店が先斗町で開店した当初はマスコミで随分話題となった。僕も雑誌「dancyu」でこの店の記事を読んで以来、ずっと行きたいと思っていた。何かの時に店に直接寄ったり、予約の電話を入れたこともあるが、残念ながらチャンスに恵まれず、この日が初めての訪問となった。
 現在の店は先斗町から祇園へと移転し、建仁寺近くの花見小路の1本西側の小路にひっそりとある。店内に入ると、L型のカウンター席が僅か8席のみと前店同様に狭い。店主と女性料理人の2人でやっているようだが、この席数のせいか料理は淀みなく出される。
 この店の料理は、盛りつけなども含めて決して派手さはなく、実直な料理だ。しかしながら、素材の持ち味を見事に引き出しており、素直に美味しいと思えるシンプルな料理である。最後を飾る季節のご飯(この日は牡蠣のご飯)もツヤツヤで美味しく、お替わり必至である。お酒は京都らしく、ビールは全メーカーが揃っており、日本酒は種類が少ないものの、良質なものを置いている。また、常連客が多い店だが、店主の対応が素晴らしく、初めての客でも問題なくくつろげる。
 ちなみに、クレジットカードは使えず、冬は足下が少し冷やっとするので女性の方は厚着をして行った方が良いかも。また、今回写真を何枚か撮影できたが、本来は写真撮影がNGらしいので、ご注意を。(2014年1月追加)

東山区祇園町南側570-120  
電話番号:075-525-8808
定休日:水曜
営業時間:18時〜21時
予算:お任せコース14000円
アクセス:阪急河原町駅の出入り口1を出て、四条通を鴨川・八坂神社方面に進む。「京都四條南座」の前を過ぎて進むと、朱色の壁の大きな建物「お茶屋一力亭」が見えるので、その角を右折。花見小路南側の3筋目(お茶屋・津田楼のところ)を右折し、すぐ次の角を左折すると左側。阪急河原町駅より徒歩7分 
最寄りのランドマーク:祇園花見小路(南側)、お茶屋一力亭

祇園 にしかわ

 八坂神社の南楼門から高台寺にかけてのエリアには、京都の有名美食店が集まっている。これまで京都グルメバイブルに掲載している店を思い浮かべてみても、親子丼の 「ひさご(→ 京都グルメバイブル・親子丼の頁を参照)」 や京都イタリアンの 「キメラ(→ 京都グルメバイブル・イタリアンの頁を参照)」 、日本料理の 「修伯」 などが、さらに行ったことがあるものの残念ながら未掲載の店では、日本料理の「高台寺和久傳」や京都フレンチの「レストランよねむら」、京都イタリアンの「イル・ギオットーネ京都店」などが思い浮かぶ。この店は「ひさご」から少し清水寄りにあり、表通りには細い入り口しか見えないので分かりづらいが、日本料理の「阿吽坊」や葛きりで有名な「鍵善良房 高台寺店」が目印である。 
 京都特有の細長い通路を抜けると、突き当たりの左側に入り口がある。格子戸を開けると、入り口近くに11~12席の広い白木のカウンターが広がっている。個室はテーブル席の他、有料の掘りごたつの座敷席もある。京都の日本料理店にしては珍しく生ビールがあったので注文すると、何と!高価なチタン製の真空ビアグラスで出てきた。料理は久々に本当に美味しい!と思うような料理で、どの料理も素材が素晴らしいだけでなく、火の通し方や塩味が絶妙なのである。お椀の出汁はひき方が深く、すばらしい逸品であった。さらに、「鯖寿司」も「和久傳」以来の美味しい鯖寿司だった。この「鯖(の棒)寿司4000円」は店頭販売のみであるが、お土産として購入もできる(事前に電話での確認が必要)。この店の料理全体のイメージとしては、「菊乃井」の料理に近い感じがするというのが僕の率直な感想。店内は全席禁煙となっており、店内には喫煙室が設けられている。なお、10日以上先の予約は下記インターネットからの予約が可能だ。(2013年2月追加)
http://gion-nishikawa.jp/t_61142/reservation

東山区下河原通八坂鳥居前下ル河原町473  
電話番号:075-525-1776
定休日:日曜(月曜が祝日の場合には、日曜営業、月曜休み)と月曜の昼(夜は営業) 
営業時間:12時~15時(退店)、17時半~21時 
予算:昼5000円、8000円、10000円、夜10000円、15000円、20000円(夜のカウンター席は、15000円以上のコースで)、座敷席のみ有料8000円(いずれも税サービス料別) 
アクセス:阪急河原町駅の出入り口1を出て、四条通を鴨川・八坂神社方面に進む。京都四條南座を過ぎ、朱色の壁の大きな建物(お茶屋一力亭)過ぎて進むと正面に八坂神社が見えるので、八坂神社側へ信号を渡る。更に右に進み、最初の角を左折すると左に八坂神社の南楼門があり、その前の道を道なりに右は進む。すぐに左に親子丼で有名な「ひだご」が見えるのでそこを過ぎ、少し清水寄りに進むと左側にある。日本料理の「阿吽坊」や葛きりで有名な「鍵善良房 高台寺店」が目印である。阪急河原町駅より徒歩12分。 
最寄りのランドマーク:お茶屋一力亭、八坂神社の南楼門、ひさご、鍵善良房 高台寺店 
お勧めポイント:久々に本当に美味しい!と思うような日本料理

祇園 大渡(おおわたり)

 古そうな一軒家の入り口を開けて伺うと、若い店主が出てきて挨拶。「どうぞ、お上がりください」ということで、玄関で靴を脱いで上がる。廊下を右に曲がると、カウンターの中で店主が待ち受けていた。驚いたことに、一軒家にもかかわらず席数は僅か8席の贅沢な空間。カウンターの奥の調理場には若い料理人もいるようだが、サービスは店主がほぼ1人で行っている。カウンター奥の右側には鮮やかな朱色の大きめの土鍋が目に付く。この日のコースに出てきたのは、「松茸のカツ」、「スッポンと松茸」、「名残鱧の霜焼きを塩ワサビで」など、料理は総じて素材の組み合わせや調理法が斬新であった。また、すり流しのアクセントとして岩茸を使用したり、魚の味噌漬けにこだわりの酒粕を用いたり、冷たいウーロン茶は台湾産で作った製品をわざわざ取り寄せるなど、店主は素材に対してもかなりのこだわりがありそうだ。料理の最後を締めくくるのが、白い御飯と漬け物、ちりめんじゃこだけなのはちょいと寂しいが、デザートの「わらび餅」は美味しかった。
 値段や素材を考えると、コストパフォーマンスは割と良く、使用している器もセンスがいい。また、店主は見た目とは裏腹に、割と砕けていてとても話しやすい。(2012年10月追加)

東山区祇園町南側570-265  
電話番号:075-551-5252
営業時間:18時~21時半 
定休日:月曜、不定休 
予算:コース11025円 
アクセス:阪急河原町駅の出入り口1を出て、四条通を鴨川・八坂神社方面に進む。京都四條南座を過ぎ、朱色の壁の大きな建物(お茶屋一力亭)過ぎて進むと正面に八坂神社が見えるので、ローソンの角を東大路通に右折する。「かに家」を過ぎ、左に「京都月見郵便局」が見えたら、最初の角(八坂庵と赤い看板のお好み焼き店の間の通り)を右折するとすぐ左側にある。阪急河原町駅より徒歩10分 
最寄りのランドマーク:八坂神社、かに家、京都月見郵便局 
お勧めポイント:コストパフォーマンスが良い新進気鋭の料理人の店

祇園 なん波

 四条通の北側の小路にひっそりとある日本料理店。店内に入ると正面左にカウンター席が6席、右側に7名まで入る個室がある。さらに、2階には10名まで入れる個室もある。カウンター内にある狭い調理場には、「招福楼」出身の大将を含めて3名の料理人がキビキビと手際よく働いている。そして、サービスはもっぱら女将さんが1人で行っているので、快適なサービスという訳にはいかない。料理の盛りつけには全く派手さがないが、ハズレのない手堅い味である。そのせいか、観光客よりも地元客の方が多いようだ。この日食べた料理の中では、刺身、季節のご飯、水菓子(デザート)などが良かった。しかし、コストパフォーマンス的にはギリギリ合格といったところ。(2012年8月)

東山区四条花見小路東入る祇園町北側279-7  
電話:075-525-0768
定休日:不定休
営業時間:11時半~14時、17時~22時
予算:8000円、10000円、13000円、15000円(昼は5000円から)
アクセス:阪急河原町駅の出入り口1を出て、四条通を鴨川・八坂神社方面に進む。「京都四條南座」の前を過ぎ、朱色の壁の大きな建物「お茶屋一力亭」のある花見小路 を過ぎ、東側2本目の小路(アパホテル京都祇園EXELLENTの正面向かい)を左折するとすぐ右側。阪急河原町駅より徒歩7分。 
最寄りのランドマーク:お茶屋一力亭、花見小路、アパホテル京都祇園EXELLENT
お勧めポイント:祇園の小路に佇む良心的な日本料理店

祇園 末友

 元「花霞」の板長だった末友さんが店主を務める日本料理店。建仁寺の南側にあり、有名日本料理店「建仁寺 丸山」にも近い。一軒家の入り口を抜けるとすぐに暗い待合室がある(夏にここで待つときには、蚊に刺されるので注意)。奥手前には畳み敷のカウンター席が8~10席、奥には10~12名まで入れる個室がある。まだ2階を使用していないそうだが、いずれ余裕ができたら2階にも個室を作りたいという。この店の料理は、季節感だけでなく華やかな雅を感じさせる。もしかすると、その傾向は京都吉兆よりも強いかも知れない。それだけではなく、どの料理も美味しい。それは、最後の締めに出される季節の土鍋ご飯に至るまで美味しいのだ。特に、この店のスペシャリティと言ってもいい「鮎の塩焼き」は、とてもジューシーで他店とは全く異なる革新的な美味しさ。さらに、睡蓮菜を使った鱧の湯洗いも絶品で、睡蓮菜のシャキシャキ感と梅肉醤油が鱧の甘みをグンと引き立て、最高に美味しい鱧を食べ方であると実感できる。
 また、夜のコースはお腹がいっぱいになるくらいのボリュームなので、お勧めは夜のコースである。土鍋御飯は余ったらお土産にしてくれ、板長や女将のおもてなしも含めてホスピタリティ溢れる素晴らしい店だ。(2012年8月)

東山区大和大路四条下る小松町151-73  
電話:075-496-8799
定休日:水曜(木曜日の昼も)
営業時間:11時~14時半、17時~21時 
予算:昼5500円 、夜20000円
アクセス:阪急河原町駅の出入り口1を出て、四条通を鴨川・八坂神社方面に進む。京都四條南座を過ぎた角を右折し、500mほど進むと右に「えびす神社」、左に建仁寺の外壁が見えてくるので、壁に沿って角を左折する。すぐに建仁寺の一つ目の門が見え、そして二つ目の門が見えたら右側にある。阪急河原町駅より徒歩8分。 
最寄りのランドマーク:京都四條南座  
お勧めポイント:季節感ある華やかな盛りつけの日本料理店

八寸

 創業して40年近く経つ日本料理店である。現在は二代目の久保田完二さんがメインでやっており、先代の守さんは夜しか顔を出さない。僕は昼のコースを頂いたので、もちろん全て完二さんの料理である。料理を頂きながら話を伺うと、彼の料理の世界観は素晴らしく、特に素材に対しては妥協を許さないようだ。料理には華やかさはないが、どの料理も味付けが的確で美味しい。特に「鱧の椀」は、葛で覆われた鱧はふっくらしていてダシの風味は限りなく深かった。まるで「京都吉兆」の椀を彷彿させる味わい。今年頂いた椀の中ではピカイチの出来である。また、「鱧の湯洗い」も、京料理の夏の定番・梅肉ダレの「鱧おとし」よりも遙かに鱧の甘みと香りが立ち、鮮烈な美味しさであった。
 料理もサービスも基本的に3人の料理人だけで行っているので、料理のビジュアルやサービスを求める方にはお勧めできない。料理だけなら3つ星の超お勧め!にしても良いくらいだが、あまりマスコミに露出しないせいか、満席になることは滅多にないとのことである。入口には6名までの個室と奥には白木のカウンター席がある。ちなみに、この店からは多くの料理人が輩出されており、北海道帯広の2012年ミシュラン北海道版で2つ星を獲得した「八寸」もその一つである。(2012年8月)

東山区祇園末吉町95  
電話:075-561-3984
定休日:日曜
営業時間:12時~13時、18時~20時
予算:昼:8000円、10000円、夜:20000円
アクセス:阪急河原町駅の出入り口1を出て、四条通を鴨川・八坂神社方面に進む。京都四條南座を過ぎた次の信号を左折し、縄手通を進む。「祇園かね松」のある一つ目の小路を右折し、更に次の小路を左折するとすぐ右側。阪急河原町駅より徒歩5分。 
最寄りのランドマーク:京都四條南座、祇園かね松 
お勧めポイント:料理に派手さはないが、素直に美味しいと思える料理

閼伽井(あかい)

 祇園花見小路の南側にある人気の日本料理店。店主の阿部さんは、下鴨の「吉泉」や人気老舗旅館「炭屋旅館」、京都ホテルオークラ「入舟」などで修業後、河原町三条「藤や」の料理長を務めた人物である。この度、祇園花見小路北側から南側へ移転し、店の雰囲気により重厚感が増した。店内に入ると玄関になっているので、先ずは靴を脱いで上がる。1階には僅か5名の掘りごたつのカウンター席が、そして2階には6〜8名の個室がある。移転後変わった点と言えば、2階の個室が広くゆったりとなったことと、昼夜共にコースの値段が同じになったことである。ご主人と奥様の二人三脚でやっている点は現在も変わっていない。
 料理はどれも美的センスを感じさせる美しい構成。一見するとキンカンか玉子の黄身のような「閼伽珠(あかだま)」はこの店の名物で、どちらのコースでも出される。季節によって月見団子になったりホオズキになったりして、少しずつ姿を変えて供される。今回の焼き物は少し火が通り過ぎていたが、それ以外はどれも良かった。また、以前と比べると酒がかなり充実した。日本酒は「十四代」の吟醸の他、「獺祭」や「聚楽第」などの大吟醸もあった。また、シャンパンやワインも日本料理店とは思えないくらい揃っていたが、リストには値段が表示されていない。
 ちなみに、料理は全て店主1人で作っているため、どうしても料理内容には制限があるが、それでも、1人で作っているとは思えないくらいスキルを感じさせる料理である。(2014年11月更新)

京都府京都市東山区祇園町南側570-7    
電話:075-551-8181
定休日:不定休
営業時間:12時~13時、17時半~20時 
予算:【昼夜共に同じコース】1万5千円、2万円
アクセス:阪急河原町駅の出入り口1を出て、四条通を鴨川・八坂神社方面に進む。「京都四條南座」の前を過ぎて進むと、朱色の壁の大きな建物「お茶屋一力亭」が見えるので、その角を右折。花見小路南側の3筋目(お茶屋・津田楼のところ)を右折し、すぐ次の角を左折すると右側。阪急河原町駅より徒歩7分。

現在屋根を改修中

玄関で靴を脱いで上がる。正面が2階への階段

カウンター席からは坪庭が見える

八寸

椀物は鴨の団子と生麩、菜の花、大根

お造り左が「寒ブリ」、右が手前から「剣先イカ」、「赤ウニ」、「本マグロのトロ」

日本酒を冷やで

蕪と湯葉の柚子皮入り小鍋仕立て

焼き物

葉っぱをどけたところ

丹波シメジの焼き物

ホタテの焼き物(火が通り過ぎだった)

近江牛の焼き物(火が通り過ぎだった)

鮭の西京味噌漬け焼き

ズワイガニのイクラがけ

鰻のおこわ・山椒風味

水菓子とスイートポテト

小菓子

薄茶

阪川(さかがわ)

 この店は鱧料理で有名な板前割烹である。特に、夏から晩秋にかけての「鱧しゃぶ」は以前から絶品との評判。2006年に京都グルメバイブルを作成したときにもそれなりの有名店だったが、最近の食べログ評価には驚くばかり。鱧料理に興味の無い僕もこの評価を目にしていなければ、訪れなかったかも知れない。中に入ると目の前には白木のカウンター席があり、1階奥と2階には個室もある。半分くらいは常連客のようだ。カウンターの中では店主の坂川さんを中心に若手の板前3人がキビキビと仕事をこなしてゆく。どちらかと言えば食べるのが早い僕のペースでも、問題なくテンポ良く料理が出される。薄めの出汁のお椀と水菓子(デザート)は僕好みではなかったが、それ以外の料理は赤出汁に至るまで火の通し方、塩味ともビシッと決まっていて素晴らしかった。特に鱧料理に至っては、身の臭さなどは一切なく、身は柔らかくて甘く香り、「炭火による炙り」や「鱧の落とし」、「鱧の柳川」など、これほど美味しい鱧料理は初めて。(2012年7月)

東山区祇園町南側570-199  
電話:075-532-2801
定休日:日曜
営業時間:17時~22時
予算:13000円 、15000円、18000円
アクセス:阪急河原町駅の出入り口1を出て、四条通を鴨川・八坂神社方面に進む。京都四條南座、朱色の壁の大きな建物「一力亭」を過ぎ、京都祇園ホテルの手前を右折。突き当たりに「にくの匠 三芳」が見えるので左折し、次の角をすぐ右折すると左の小路に見える。阪急河原町駅より徒歩7分。 
最寄りのランドマーク:一力亭、京都祇園ホテル 
お勧めポイント:鱧料理が美味しい日本料理店

HANA吉兆

 2010年に店舗をリニューアルし、店名も「花吉兆」から「HANA吉兆」に変わった。以前はエントランスだけだった1階には、和紙作家・堀木エリ子デザインによる6席のカウンター席ができ、一人飯の方でもゆったりと食事を楽しめるようになった。また、大人数を収容した広い2階のカジュアルなテーブル席はなくなり、2階は日本間の個室に、3階と5階はテーブル席の個室となり、階上はプライバシーを配慮した個室だけの空間に生まれ変わった。料理の方は相変わらず食器の使い方にメリハリがあり、所々にガラスの容器を使うなど料理を美しく見せる演出が施されている。どの料理も塩味や甘さが的確で、以前と比べて特に大きな変化は感じられない。但し、今回訪問したときの「鱧とジュンサイのお椀」は、以前と比べると出汁が薄めで、「お刺身」の鯛の切り方もどこかしら吉兆らしくなかった。しかし、他の料理は季節のご飯(この日は牛蒡のご飯)に至るまでどれも美味しく、給仕する方のサービスも良く、吉兆ならではのゆったりとした素敵な時間を過ごすことができた。
 リニューアル後は単品メニューにも力を入れるようになり、量が多くてコースで少ししか食べられない方やお酒を飲んで軽く食べたいという人向けに、大阪割烹的な使い方も出来るようになった。単品メニューの中にはコースではあり得ない「親子丼」といったメニューもある。次回来たときには、是非あたらしい個室で、単品のアラカルトメニューか高めのコース料理に挑戦してみたい。
 ちなみに、吉兆本店は京都だと思っている方が多いが、吉兆を一代で築きあげた天才・湯木貞一がいた吉兆本店は大阪の高麗橋にある(ちなみに、大阪・本吉兆の高麗橋本店と東京吉兆の築地本店は一見さんお断りらしい)。後に湯木の子供たちが、大阪・本および船場、東京、京都、神戸の5つの吉兆に別れ、それぞれ独立した株式会社を作って地域毎に経営するようになって現在に至る。これだけ多店舗形式に展開していながら、料理のレベルが高く保たれている店は類を見ないように思う。(2012年7月改訂)。

東山区大和大路四条下る  
電話:075-531-1500
定休日:無休 
営業時間:11時半~14時、17時~20時 
予算:弁当:月6930円、雪9240円、会席料理:11550円、17325円、20790円(前日までの予約で28875円と34650円のコースも頂ける) 
アクセス:阪急河原町駅の出入り口1を出て、四条通を鴨川・八坂神社方面に進む。京都四條南座を過ぎた角を右折すると、1階が黒っぽいビルがあるのでそこ。阪急河原町駅より徒歩5分。 
最寄りのランドマーク:京都四條南座
お勧めポイント:嵐山本店を除けば、京都吉兆系の中では中心的な料理店

祇園 さヽ木(ささき)

 「祇園 さヽ木」はこれまでに2回移転し、この店で3店舗目となる。これまでで最も広く閑静なこの地に移転してきたということは、この地こそ店主・佐々木さんが理想とする場所なのであろう。今回、僕はこの店となってから初めての訪問である。
 細長い通路を抜けると入り口があり、靴を脱いで上がると床暖房が心地よい。奥に進むと手前には広いカウンター席があり、奥には個室を見ることができる。カウンター前の棚にはケータイ禁止のマークとインテリアのように掛けられた包丁が目に付く。また、和の趣が強かったこれまでの店とは異なり、BGMにはジャズが流れ、中央には日本料理店としては珍しくオーブン釜がある。特に目を引いたのは、カウンター前に置かれた3つの大きなまな板。後で分かったことだが、これは店のスペシャリティである握り寿司を店主が握るときに、それぞれの客の目の前で移動して握り、直接手渡すためのものらしい。
 この店でのお約束は、奥の個室も含めた食事の一斉スタート。この日の夜は18時半スタートであったが、これは「未在(→ グルメバイブル未掲載)」や 「リストランテ 245 祇園(→ 京都グルメバイブル・イタリアンの頁を参照)」 など、一部の京都の人気料理店で見られるシステム。しかし、この「祇園 さヽ木」での意味合いは多少異なっている。この店では、これから始まる食のエンターテイメントを、ゲスト全員が一体となって体験してもらうためのものなのである。
 客が揃うと、先ずは店主の佐々木さん自らがゲスト全員に挨拶をし、さらにコース半ばにはそれぞれの客と乾杯して一体感を高めるなど、まさに体育会系のノリなのだ。料理の前半の説明は店主自らが行い、その滑らかな話術はまるでカリスマ実演販売員のよう。また、通常は見えないところで行う皿の盛りつけなどを敢えて客の目の前で行うなど、料理への期待が一層高まるようなライブ感満載の演出なのである。
 さらに、佐々木さんの凄いところは、どうすれば素材を美味しく味わえるかということを熟知していること。つまり、料理の本質が分かっているということなのである。例えば、冬に登場する「ズワイガニの蟹チャーハン」は、決して中華料理人が作るパラッとした本格的ものではなく、握り寿司も熟練した寿司職人が握るものに比べると劣るが、しかしそれを感じさせないくらい素材を美味しく食べさせてくれるのである。それは最後のデザートに至るまで同様で、佐々木さんは今まさに絶頂期を迎えている料理人ではないだろうか。この日の最後のフィナーレを飾ったご飯は「ズワイガニの蟹チャーハン」と「中トロ漬けの手巻き寿司」。しかもおかわりができるので、たとえ大食漢の方でも食べた〜!!という大きな満足感が得られる。佐々木さんの軽妙なトークも美味しさを倍増させ、これぞまさに食のエンターテイメントである。これを楽しむには絶対に夜に行くべきで、しかもカウンター席で頂くことが絶対条件である。
 また来たい!!という思いに駆られるのか、何組かの客は帰り際に次回の予約をしていた。なので、この店を訪れる客の半分以上がリピーターと言おうか、常連客であり、僕も取材さえなかったら次回の予約をして帰りたかったほど。2014年度版ミシュランでは何故か2つ星であったが、どうしてなの?と誰もが疑いたくなるほどの素晴らしい店である。
 日本酒は常時10種類くらいあり、人気の「十四代」や「初亀」なども置いている。また、グラスシャンパンなどワインも置いているので、外国人客にも受けそうだ。ちなみに、京都でも1、2を争う人気店なので、かなり早めの予約が必要である。また、前述のように一斉スタートなので、それを確認するリコンファームの電話が2〜3日前にあるが、それほど時間厳守なのでご注意願いたい。(2014年4月更新)

京都市東山区八坂通大和大路東入小松町566-27   
電話番号:075-551-5000 
定休日:日曜、第2月曜、不定休あり
営業時間:【昼】12時、【夜】18時半(完全予約制)
予算:【昼】6000円、【夜】18000〜20000円(仕入れる素材により変動)
アクセス:阪急河原町駅の出入り口1を出て、四条通を鴨川・八坂神社方面に進む。京都四條南座を過ぎた角を右折し、500mほど進むと右に「えびす神社」、左に「建仁寺」の外壁が見えてくるので、壁に沿って角を左折する。すぐに建仁寺の一つ目の門が見え、さらに二つ目の門が見えたら右側に「祇園 末友」が見えるので通り過ぎ、右側に「祇園丸山 建仁寺店」が見えたらその向かえ(左側)。阪急河原町駅より徒歩10分。 
最寄りのランドマーク:京都四條南座、えびす神社、建仁寺
お勧めポイント:今まさに絶頂期の佐々木さんの日本料理店