1.カレーうどん お勧めベスト8

gooの「名古屋人以外が選ぶ名古屋めしランキング」によると、第1位は「味噌カツ」で、以下第2位「ひつまぶし」、第3位「きしめん」、第4位「手羽先」、第5位「天むす」、第6位「味噌煮込みうどん」、第7位「エビフライ」、第8位「ういろう」、第9位「味噌おでん」、第10位「どて煮」の順となっており、「カレーうどん」の地位がかなり低いことが分かる。味噌文化ゆえに、何と言っても味噌煮込みうどんの方がスターなのだ。しかし、全国的に見ると、グルメ業界における名古屋カレーうどんは、京都と並んで必ず取り上げられるフラッグシップ・フードであり、カレーうどんをファストフードにまで高めた名古屋の「若鯱家」は、今や関東や関西に進出するまでになったほど。 
名古屋カレーうどんの共通の具は、揚げ、刻みネギ、肉(豚、鶏、牛)の3つであるが、“カレーうどん”というフュージョン系フードの難しさは、“スパイシーさ”、“魚介系だしの旨み”、“麺の太さやコシ”の3つの要素が、いかにバランス良く組み合わさっているかによる。つまり、ルーが旨ければ良い「カレーライス」とは全くの別物で、この調和こそが重要なのである。愛知県一宮市に本拠地を置く「CoCo壱番屋」は、日本で最も成功しているカレーチェーン店であるが、この会社のカレー麺専門店でさえ上手く行かず、撤退したことを考えると、このジャンルの難しさが分かるというもの。実際、美味しい店がありそうで、これは!という店はなかなかない。以前「京都グルメバイブル」制作した時に京都の有名店5軒を食べ歩いたが、結局載せるに値しないと断念したことさえある。それを思うと、「名古屋カレーうどん」は名実共に日本一で、食べるに値するジャンルだ。

第1位 清平

 開店して今年で43年目を迎えた地元の人気店である。外観も含めて、店内はごく普通の街のおそば屋さんといった趣。入って右側に小上がりがあり、左側にはテーブル席がある。この他に2階席もあり、昼間の混雑時には相席となることもある。
 2003年に初めてこの店のカレーうどんを食べた時、その美味しさに衝撃を受けたが、その後は訪れる機会もなく、店名すら忘れてしまっていた。「Dr.陳の名古屋B級グルメバイブル」を作成する際、取材しようと改めてこの店について調べてみたところ、“食べログ”はおろか、当時入手できたどの“名古屋グルメガイド”にも載っておらず、調べるのにかなりの苦労した記憶がある。なので、2009年に作成した日本網膜硝子体学会版「Dr.陳の名古屋B級グルメバイブル」では、“・・・チェーン店の若鯱屋と比較すると横綱と平幕くらいの違いがあるにもかかわらず、名古屋ではそれほど流行っていないのが残念。・・・”と書いたほど。しかし現在では、あらゆる名古屋のグルメ関連雑誌に掲載されているどころか、食べログでは“繁盛店”とか“人気店”と記載されるようになった。
 その後、2012年度版「Dr.陳の名古屋B級グルメバイブル」の取材時も含めて何度か食べているが、やはりこの店のカレーうどんは美味しい!!箸で麺を持ち上げると、ドロッとトロみのあるこげ茶色のカレー汁がうどんに絡む。また、出汁とカレー粉、そして具材である豚肉や油揚げ、長葱とのバランスも絶妙だ。辛いもの好きな方には多少物足りなく感じるかも知れないが、このバランスこそがカレーうどんの生命線なのである。添加物などを一切使わずに打たれた手打ちのうどんは、細めながらモチっとコシがあってカレーうどんにはピッタリの太さなのである。さらに嬉しいことに、大盛りかと思うほどのボリュームがある。ディープな名古屋メシを体験してみたい方は、同じ手打ちで打たれた「カレーきしめん」もあるので、こちらも是非試してみてほしい。ちなみに、カレーうどんを注文すると、頼まなくてもエプロンサービスがあるのもいい。(2014年3月更新)

西区上名古屋3-13-30   
電話:052-531-3387
定休日:水曜 
営業時間:11時~14時半、17時~20時半 
予算:カレーうどん630円 
アクセス:市営地下鉄・鶴舞線「浄心駅」1番出口を出て「浄心寺」前を通り、「アパマンショップ」、「エイブル」を過ぎ、さらに浄心東交差点の信号を過ぎる。次の「中日信用金庫」の弁天通の交差点信号を左折。500mほど進むと左側にある。浄心駅から徒歩12分。 
最寄りのランドマーク:中日信用金庫 
お勧めポイント:名古屋カレーうどんナンバーワンの店

第2位 鯱乃家

 2階に「若鯱家」と書かれた色褪せた看板があるが、全国展開する若鯱屋とは関係がない。元々この「鯱乃家」こそが、先代から若鯱家という屋号でやっていたが、先に商標登録をされてしまったので変更したという話だ。従って、チェーン店の若鯱家とは味が全くと言っていいほど違う。全体的なイメージとしては、後述の「うどん錦」に近い味だ。麺は太く、茹で置きとは思えないくらいコシがある。濃厚かつスパイシーな汁も「うどん錦」に似ているが、こちらの方が予めカレー粉を溶いているため、粉っぽさを感じず完成された味。店の雰囲気も含めて、従業員がもう少し愛想がよければ、満点第1位としてもいいのかも。

北区田幡2-14-1   
電話:052-915-8156
定休日:木曜
営業時間:月曜~土曜:11時~14時、17時半~21時、日曜・祝日:11時~14時、18時~21時
予算:カレーうどん670円
アクセス:市営地下鉄・名城線「黒川駅」1番出口を出て左へ。「百五銀行」を過ぎ、次の角を左折。一つ目の交差点を過ぎるとすぐ左側にある。黒川駅から徒歩2分。
最寄りのランドマーク:百五銀行
お勧めポイント:名古屋カレーうどん最高峰の店

第3位 若鯱家 清明山店

 旧「若鯱家」の系譜は、本家筋にあたる黒川の「鯱乃家(本来の若鯱家)」、そして暖簾分けを許された「若鯱家極楽本店」と「若鯱家清明山店」の3店である。つまり、前出の「鯱乃家(旧 若鯱家)」の先代から暖簾分けを許されたのは、「若鯱家極楽本店」とこの「若鯱家清明山店」の2店のみなのである。本家筋にあたる「若鯱家」は、商標登録の関係上、「鯱乃家」に店名を変更したのに対し、暖簾分けを許された2店は、現在も若鯱家という暖簾を掲げている。紛らわしいので何度も言うが、全国展開している現「若鯱家」とは関係がない。従って、3軒ともほぼ同レベルと思いきや、「若鯱家 極楽本店」は、汁のコクのなさや粉っぽさ、麺のコシの弱さなど総合力という点でランキング落ちした。一方、「若鯱家 清明山店」は3店中最も清潔感があり、接客も良く、麺は茹でたてを供するなど随所に店の良心を感じる。しかも、この「若鯱家 清明山店」と「若鯱家 極楽本店」は、お持ち帰りもできる。

千種区上野1-7-22   
電話:052-712-2605
定休日:火曜、水曜
営業時間:11時半~15時、17時~20時
予算:カレーうどん700円
アクセス:市営地下鉄・名城線「砂田橋駅」1番出口を出て歩道橋の交差点を右へ進む。「愛知教育大附属中学」の校門を過ぎ、団地のような「サンハイツ」を過ぎる。そして、一つ目の信号を過ぎて「安藤歯科クリニック」横の斜め通りを直進。「スギ薬局」を過ぎ、「ネッツトヨタ」の信号を右折。歩道橋を過ぎた次の信号(清明山)を左折するとすぐ左側。砂田橋駅から徒歩12分。
最寄りのランドマーク:ネッツトヨタ東名古屋
お勧めポイント:元祖・若鯱家の系譜の優良カレーうどん店

第4位 つる岡

 「清平」同様にモチモチで細めの手打ちうどんだが、こちらの方が讃岐うどんっぽく角張っている。カレーうどんには牛肉が入っているが、嫌いな方には、牛肉の代わりに鶏肉入りの「カレーなんばん」もある。「清平」よりだしが強いため、多少アンバランスな感じもするが、とろみが強い汁は細い麺に良く絡んで美味しい。

中区千代田2-8-17グリーンハイツ   
鶴舞公園1階
電話:052-261-4555
定休日:日曜日
営業時間:11時~15時、17時~21時半
予算:カレーうどん800円
アクセス:市営地下鉄・鶴舞線「鶴舞駅」1番出口を出て大須通を右へ。1つめの信号を右折して千代田通を進み、「コメダ珈琲店」を過ぎた信号の左側角。鶴舞駅から徒歩5分。
最寄りのランドマーク:老松公園
お勧めポイント:個性の強い名古屋カレーうどん店

第5位 有伝亭 匠

 栄の中区役所近くにあるうどん店。うどんはいろいろあるが、ほとんどの人はカレーうどんを注文している。男性店主と女性の2人だけでやっているにもかかわらず、混雑していても比較的テンポ良く出される。カレーうどんは角張った中太で、適度にコシがあり、具はネギと揚げのみで肉は入っていない。スパイシーさは程良く、出汁とのバランスがとても良い。今回は「うどん錦」と同点になったが、「うどん錦」のスパイシーさを取るか、この店のバランスの良さをとるかはお好み次第。店内が禁煙である点や帰るときの“行ってらっしゃい!”という言葉は好感が持てる。平日の昼に行くとビジネスマンが行列し、相席必至であまり落ち着いて食べられないので、昼に行くなら土曜日に、平日に行くなら夜がお勧め。

中区栄4-4-25   
電話:非公開
定休日:日曜・祝日
営業時間:平日:11時15分~14時15分、18時~20時15分、土曜:11時15分~14時15分
予算:カレーうどん700円
アクセス:市営地下鉄・東山線、名城線「栄駅」12番出口を出て、「中日ビル」、「中区区役所」を過ぎ、「カフェ・ヴェローチェ」信号を右折し、交差点を過ぎるとすぐ左側。栄駅から徒歩3分。
最寄りのランドマーク:カフェ・ヴェローチェ、中区区役所
お勧めポイント:全てにバランスの良いカレーうどん 

(同点)第5位 錦

 この店は錦の繁華街にあるため、早い時間帯よりも22時~翌1時くらいの時間帯が賑わう。汁の色はミルクカレーっぽく、東京の「古奈屋」を彷彿させる。しかし、古奈屋のようなミルキー感はなく、今回取材した中で最も香り高くスパイシー。鶏ガラスープ(名古屋コーチン?)を使った汁はドロッとしており、鰹のだしの風味が押さえられている。具は厚めの揚げがメインで、あとはネギと僅かな豚小間のみ。カレーうどん店で経験したことがないくらい麺にコシがあり、ほとんど讃岐うどんに近い食感。香りを出すためか、直前にカレー粉を溶いているため、多少粉っぽさは残る。

中区錦3-18-9 錦さかいビル1階    
電話:052-951-1789
定休日:日曜・祝日 
営業時間:平日:11時半~13時半、17時半~翌2時、土曜:19時~翌2時 
予算:カレーうどん650円 
アクセス:市営地下鉄・東山線、名城線「栄駅」1番出口を出て「カゴメ本社」の信号を左折。直進し、次の左角「焼肉屋さかい」の看板の見えるビルの1階。 
最寄りのランドマーク:東京第一ホテル錦 
お勧めポイント:締めに最適の名古屋カレーうどん

第7位 味良

 僕の考える名古屋二大麺と言えば、”味噌煮込みうどん”と”カレーうどん”。名古屋ならありそうな組み合わせだが、名古屋でこの2つのコラボを見かけることは少ない。映画に例えるなら、「エイリアンVSプレデター」のようなB級ライバル同士の組み合わせだが、実際、土鍋の中でグツグツ煮立つカレーうどんはなかなかいける。汁のスパイシーさは「若鯱屋 清明山店」よりややマイルドな感じがするが、味噌煮込み特有の固い麺と汁とのバランスはいい。具材は豚肉、かまぼこ、長ネギ、油揚げと、かまぼこ以外は名古屋カレーうどんお約束の具材だが、油揚げは”柔らかいもの”と”揚げたもの”のいずれかを選択できる点が面白い。僕的には柔らかい油揚げの方が良いと思った。ちなみに、トッピングの”ゴボウ天”は少し油臭かったので、揚げ物類のトッピングはお勧めできない。最後の締めに、土鍋に残ったカレー汁にライスを入れて食べると、カレーライスとは違ったリゾット感に大満足。もう少しアクセスが良くて店内に清潔感があれば、もっと評価を上げても良いかも。(臼井英晶)

北区川中町4-3   
電話:052-991-4585
定休日:日曜、木曜夜 
営業時間:11時半~14時半、18時~20時15分 
予算:カレー煮込みうどん750円 
アクセス:市営地下鉄・名城線「黒川駅」4番出口を出て左へ。高速が通る次の信号を渡って左へ、高速に沿って進む。次の角を左折。「愛知信用金庫」、「すき家」、「au」、「三菱東京UFJ銀行」、「モスバーガー」を過ぎ、「DoCoMo」が見えるとすぐ右側。黒川駅から徒歩20分。 
最寄りのランドマーク:「モスバーガー」、「DoCoMo」
お勧めポイント:名古屋ならではのカレー煮込みうどん

第8位 おか茂

 食べログで「ミンチカツカレーうどん」が評判の店。見た目は「うどん錦」と同様明るい黄色であるが、スパイシーさではこちらの方が上回っている(辛さは「CoCo壱番屋」の2辛と3辛の中間くらい)。しかし、麺は「うどん錦」に比べるとやや細めで圧倒的にコシがない。これを補うために、常連客は”麺ぬるめに!”と注文するらしい。これは茹で上がった麺を一度冷水で締めてコシを保つ作業。僕も試しに”麺ぬるめに!”と注文してみたが、上位店に比べるとやはりかなり物足りなさを感じてしまう。さらに常連客はライスも一緒に注文し、麺を食べた後の汁にライスを入れて2度楽しんでいる。一番人気の「ミンチカツカレーうどん」は、メンチカツを2度揚げしているせいか、衣が硬くて僕的にはお勧めでない。むしろ注文するなら、牛肉の入った「肉カレーうどん」 の方が良いだろう。

西区那古屋1-7-16   
電話:052-551-2474
定休日:日曜・祝日
営業時間:11時半~15時、17時~20時 
予算:肉カレーうどん830円
アクセス:市営地下鉄・桜通線「国際センター駅」2番出口を出て、高速道路に沿って右の方に進む。中華料理「東方紅」、「円頓寺商店街」を過ぎ、少し進むと大きな交差点に出る。その角にある右の小路手前にある。市営地下鉄・桜通線「国際センター駅」から徒歩10分。
最寄りのランドマーク:円頓寺商店街
お勧めポイント:スパイシーなカレーうどん