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船場にあるマンションの1階の小さなレストラン。この店のオーナーシェフは、スペインの幻の3つ星レストラン「エル・ブジ」で働いた経験をもつ料理人だという。なので、この店の料理の分類としてはモダンスパニッシュということになるが、「エル・ブジ」のようなサプライズを引き出す分子ガストロノミー的・科学的な料理ではなく、料理の素材を引き出すような芯がしっかりとした料理である。大阪でモダンスパニッシュと言えば、通年して予約が取れず、大阪グルメバイブルでも取材を見送ったミシュラン3つ星店「Fujiya1935」が有名だが、この店の人気も現在赤丸上昇中なのである。現在のところ、未だミシュランに掲載されてはいないが、いずれ掲載されて予約が取れなくなるのも時間の問題であろう。
店内にはジャズが流れ、オープンキッチンのカウンター席がメインである。聞くところによると、6名までの個室もあるらしい。カウンター席に座ると換気扇の音が多少気になるのが、それでも値段を考えればコスパ抜群な魅力的な店であることは間違いない。ご夫婦でやられているのか、口数の少ないシェフが料理を作り、マダムがサービスをしている。コースは昼と夜とも1コースのみで、昼と夜とではスタイルが異なるようだ。昼はメイン料理のボリュームが比較的しっかりとしているが、夜は全体的にポーション少なめの少量多皿料理となる。シェフが一人で作っているにもかかわらず、料理が次々とテンポ良く出されるが、これは予め素材に火を半通していて、出す直前に再度火を入れ直すという手法を使っているためのようだ。普通の料理人がこの方法で調理すると、素材に火が通り過ぎてしまい、脱水して料理がダメになってしまうが、この店のシェフは本当にそうしたの?と思うような絶妙な火の通し方をする。前述のように、おそらく、来年には「Fujiya1935」と同じくらい予約困難な店となることだろう。なので、行くなら早いほうがいい。(2016年3月追加)
大阪市中央区安土町1-6-3 エステムプラザ本町クロス1階
電話番号:06-6265-1420
定休日:月曜
営業時間:【ランチ】12時〜14時、【ディナー】18時〜20時半
予算:【ランチ】3500円、【ディナー】6500円
アクセス:地下鉄堺筋線、中央線・堺筋本町駅12番出口を出て堺筋とは反対方向へ向かう。「理想科学工業」、「池田泉州銀行」前を通り、「スギ薬局」の交差点を左折するとすぐ左側のマンション。堺筋本町駅から徒歩2分
最寄りのランドマーク:理想科学工業、池田泉州銀行、スギ薬局・堺筋本町店
お勧めポイント:驚異的なコスパのモダンスパニッシュ
このマンションの1階です入口を入ったところカウンター席はこんな感じランチのコースメニュー飲み物のメニュー「スペイン産ビキージョピーマン風味のグリッシーニ」は、ほんのり香るピーマンとサクッとしたグリッシーニの食感が絶妙で、シャンパンと良く合うバゲットとオリーブオイル「水ダコのスープ バスク風」は、トマトの香りと玉葱の甘味が印象的。柔らかく煮込まれた小ぶりなタコのブツ切りも美味しい「イサキのブランチャ トマトとアンチョビのソース・イモピューレ」は、脂ののったイサキがフックラとグリルされ、トマトとアンチョビのソースも洗練された味わい。滑らかなジャガイモのピューレも相加的な美味しさを奏でている凄いボリュームの「大和ポークのカタルーニャ風カツレツ マッシュルームソース」。叩いて薄く引き延ばされた豚ロースに、ガーリック風味のパン粉がカリッと焼かれ、何もつけなくても塩味が付いていて美味しい。マスタード風味のマッシュルームソースとの相性も悪くない。上に添えられたワサビ菜やルッコラのなど野菜はビネガーで味付けされ、一緒に食べると油を打ち消してくれてサッパリと食べられる2度入れたとは思えない火の通り方も絶妙「リオハ風牛スジのアロスとイディアサバルチーズ」は、リオハ産赤ワインを使ったリゾット(カルドソ)で、バスク地方のハードチーズ「イディアサバルチーズ」との相性も悪くない「焼きプリンとブラッドオレンジのエスプーマ」。スペイン伝統のしっかりとした焼きプリンは外側がヌルッとしたカヌレのような食感で、玉子の風味が強い。ほんのりと苦いブラッドオレンジを泡でエスプーマしているので味わいが軽くなる