6.イタリアン、スパニッシュ

中央区

エニェ ene

 船場にあるマンションの1階の小さなレストラン。この店のオーナーシェフは、スペインの幻の3つ星レストラン「エル・ブジ」で働いた経験をもつ料理人だという。なので、この店の料理の分類としてはモダンスパニッシュということになるが、「エル・ブジ」のようなサプライズを引き出す分子ガストロノミー的・科学的な料理ではなく、料理の素材を引き出すような芯がしっかりとした料理である。大阪でモダンスパニッシュと言えば、通年して予約が取れず、大阪グルメバイブルでも取材を見送ったミシュラン3つ星店「Fujiya1935」が有名だが、この店の人気も現在赤丸上昇中なのである。現在のところ、未だミシュランに掲載されてはいないが、いずれ掲載されて予約が取れなくなるのも時間の問題であろう。
 店内にはジャズが流れ、オープンキッチンのカウンター席がメインである。聞くところによると、6名までの個室もあるらしい。カウンター席に座ると換気扇の音が多少気になるのが、それでも値段を考えればコスパ抜群な魅力的な店であることは間違いない。ご夫婦でやられているのか、口数の少ないシェフが料理を作り、マダムがサービスをしている。コースは昼と夜とも1コースのみで、昼と夜とではスタイルが異なるようだ。昼はメイン料理のボリュームが比較的しっかりとしているが、夜は全体的にポーション少なめの少量多皿料理となる。シェフが一人で作っているにもかかわらず、料理が次々とテンポ良く出されるが、これは予め素材に火を半通していて、出す直前に再度火を入れ直すという手法を使っているためのようだ。普通の料理人がこの方法で調理すると、素材に火が通り過ぎてしまい、脱水して料理がダメになってしまうが、この店のシェフは本当にそうしたの?と思うような絶妙な火の通し方をする。前述のように、おそらく、来年には「Fujiya1935」と同じくらい予約困難な店となることだろう。なので、行くなら早いほうがいい。(2016年3月追加)

大阪市中央区安土町1-6-3 エステムプラザ本町クロス1階  
電話番号:06-6265-1420
定休日:月曜
営業時間:【ランチ】12時〜14時、【ディナー】18時〜20時半
予算:【ランチ】3500円、【ディナー】6500円
アクセス:地下鉄堺筋線、中央線・堺筋本町駅12番出口を出て堺筋とは反対方向へ向かう。「理想科学工業」、「池田泉州銀行」前を通り、「スギ薬局」の交差点を左折するとすぐ左側のマンション。堺筋本町駅から徒歩2分
最寄りのランドマーク:理想科学工業、池田泉州銀行、スギ薬局・堺筋本町店
お勧めポイント:驚異的なコスパのモダンスパニッシュ

このマンションの1階です入口を入ったところカウンター席はこんな感じランチのコースメニュー飲み物のメニュー「スペイン産ビキージョピーマン風味のグリッシーニ」は、ほんのり香るピーマンとサクッとしたグリッシーニの食感が絶妙で、シャンパンと良く合うバゲットとオリーブオイル「水ダコのスープ バスク風」は、トマトの香りと玉葱の甘味が印象的。柔らかく煮込まれた小ぶりなタコのブツ切りも美味しい「イサキのブランチャ トマトとアンチョビのソース・イモピューレ」は、脂ののったイサキがフックラとグリルされ、トマトとアンチョビのソースも洗練された味わい。滑らかなジャガイモのピューレも相加的な美味しさを奏でている凄いボリュームの「大和ポークのカタルーニャ風カツレツ マッシュルームソース」。叩いて薄く引き延ばされた豚ロースに、ガーリック風味のパン粉がカリッと焼かれ、何もつけなくても塩味が付いていて美味しい。マスタード風味のマッシュルームソースとの相性も悪くない。上に添えられたワサビ菜やルッコラのなど野菜はビネガーで味付けされ、一緒に食べると油を打ち消してくれてサッパリと食べられる2度入れたとは思えない火の通り方も絶妙「リオハ風牛スジのアロスとイディアサバルチーズ」は、リオハ産赤ワインを使ったリゾット(カルドソ)で、バスク地方のハードチーズ「イディアサバルチーズ」との相性も悪くない「焼きプリンとブラッドオレンジのエスプーマ」。スペイン伝統のしっかりとした焼きプリンは外側がヌルッとしたカヌレのような食感で、玉子の風味が強い。ほんのりと苦いブラッドオレンジを泡でエスプーマしているので味わいが軽くなる

西区

ラ・ギャロワーズ

 四ツ橋駅近くにある野菜が美味しいと評判のイタリア料理店。野菜は全て大阪泉州産のものを使用し、毎朝、もぎたてのものを直接農家へ受け取りに行くほどのこだわりよう。店は奥に4名用のテーブル席が1つだけあるが、メインは長いオープンキッチンのカウンター席である。
 この店の象徴的料理とも言える「9CUBO」は、異なる野菜を異なる味付けにしてキューブ状に固めた9個の前菜で、毎日内容が変わるらしい。料理には説明書きが添えられ、食べる順が決められている。野菜だけの前菜なので多少物足りなさはあるものの、見た目にも十分インパクトがあり、女性受けしそうな味だ。今回いただいた1800円のランチは、「9CUBO」+「パスタとメインの中から1つ」+「飲み物」だったので、1000円を支払ってパスタとメインの両方にし、さらにプラス350円でデザートもいただいた。
 料理はとりわけ美味しいというほどのものはなかったものの、外れもなく押し並べて良かった。今回のランチは2番手のシェフが作っていたので正確な評価こそできないものの、それでもコスパの良い優良イタリアンという評価は間違っていないと思う。
 ちなみに、平日のランチタイムはかなり混むそうだが、土日は比較的空いていていい。(2016年2月追加)

大阪市西区新町1-23-2  
電話番号:06-6532-5603
定休日:月曜(祝日の場合は翌火曜)
営業時間:11時半~13時半、18時~22時
予算:【ランチ】1800円、【ディナー】
アクセス:地下鉄四つ橋線・四ツ橋駅2番出口を出て長堀通を右へ。最初のT字路(「京阪神西心斎橋ビル」手前)を右折し、2つ目の交差点を過ぎると左側にある。四ツ橋駅より徒歩2分
最寄りのランドマーク:京阪神西心斎橋ビル
お勧めポイント:泉州産の野菜が美味しいイタリアン

この通りにあるビルですココです1800円のランチメニューは「9CUBO」という泉州野菜の前菜+パスタかランチのいずれか+飲み物。デザートは350円で、料金には含まれていない店内はL字型のカウンター席がメインこれが「9CUBO」。まさに野菜のキューブ素材の説明書き「9CUBO」のアップバゲットとオリーブオイルバゲットは塩気を感じ、オリーブオイルはローズマリーとオレンジ風味がつけられていた「牛肉とレンズ豆、インゲン豆のラグーソースの手打ちパッパルデッレ」はコクがあってなかなか美味しかったパスタだけだと取材にならないので、メインも別料金で追加することにこの日のメインは「サワラのバターソテー」。カボチャやゴーヤなどの自慢の野菜が下に入っていたデザートは「パンナコッタ」だったかな。これは特に印象に残っておらずコースに付いている飲み物の中で、この「カフェラテ」はプラス100円だった

北区

クイントカント

 東京 「イル・テアトリーノ・ダ・サローネ(→ 銀座グルメバイブル・イタリアンの頁を参照)」 や横浜 「SALONE 2007(→ 横浜グルメバイブル・イタリアンの頁を参照)」 などのイタリアンレストランを展開するグループ店。この「クイントカント」は、現時点で食べログ・大阪市の総合第7位、イタリアン第1位の人気店である。
 欧風の重厚感が漂う「ダイビル本館」1階角の入口を抜けると、白を基調としたスタイリッシュな空間が広がる。どのテーブル席も一方が壁に面していて、ソファーのような座り心地の良い椅子になっている。テーブルに置かれたメニューを見ると、メニューには材料だけが書かれている。これは革新系のサプライズレストランでよく見かけるメニューで、素材からイメージを膨らましてもらおうという狙いが感じとれる。
 料理は少量多皿で、アミューズを含めた前菜が2皿、パスタが3皿、魚料理1皿、肉料理2皿、デザートというメニュー構成。素材の味をシンプルに引き出して勝負するというより、斬新さやサプライズを狙った演出系料理である。これはこのグループ全店に共通したコンセプトであるが、これが人気につながっているのかもしれない。
 料理はどれも平均以上で良いが、ずば抜けて美味しいと思えるものはなかった。今回のコースでは「子羊のロースト」と「スパゲッティ サルサ・ポモドーロ」が良かった。特に、スパゲッティは30g、60g、90g(90gは通常の1皿分の量)から好きな量を選ぶことができるので、大食漢の方でも十分満足が得られると思う。
 ちなみに、ディナーは食べていないので何とも言えないが、ランチは間違いなくコスパが良くお勧めできる。しかし、料理の値段に比してアルコールの値段は高めである。(2016年2月追加)
http://www.quinto-canto.com

大阪府大阪市北区中之島3-6-32 ダイビル本館1F  
電話番号:06-6479-1811
定休日:日曜、第1・3月曜
営業時間:12時~13時、18時~20時
予算:【ランチ】5000円、【ディナー】12000円
アクセス:地下鉄四つ橋線・肥後橋駅3番出口を出て、「アパホテル」前を進み、土佐堀通の「土佐堀1東」交差点を右折する。土佐堀川を越えて「大阪市立科学館」を過ぎ、堂島川手前の「田蓑橋」交差点右角にある。肥後橋駅より徒歩12分
最寄りのランドマーク:アパホテル大阪肥後橋駅前、田蓑橋交差点
お勧めポイント:ランチがお勧めの革新系イタリアン

欧風の重厚感のあるこのビルにあります欧風の重厚感のあるこのビルにありますビルの角が入口です入口を抜けると、白を基調としたスタイリッシュな空間が広がります本日のランチメニューです。料理の名称はなく、素材だけが書かれています。これは革新系のサプライズレストランでよく見かけるメニューで、素材からイメージを膨らましてもらおうという狙いが感じとれますアルコールメニュー最初の巨大なアミューズは「竹炭のピニェ、フォアグラ、レモン」とあるが・・・食べるのは左手前の黄色い部分これです竹炭のシュー皮の中に、レモン風味のフォアグラペーストが入っています。これは美味しかったこの赤い前菜は「マグロ、ビーツ、ボッタルガ」と書いています要するに「生マグロを酢漬けのビーツのスライスで巻いたもの」で、これはどちらの素材も生かされておらずカラフルなパン皿から1つ選んでくれと言われたので・・・パープルなこれを選んだ柔らかめのパンこの魚料理は「スズキ、トピナンブール、バニラ」と書かれている要するにバニラ風味のスズキのロースト1つ目のパスタ「イカとブロッコリーのタリオリーニ」はイマイチだった1つ目の肉料理は「鴨、イチジク、トレビス」と書いてあった要するに「鴨肉とイチジクのジェラート」にはヘーゼルナッツパウダーがかかっていた2つ目のパスタ「馬肉とクルミ入りの手打ちの太麺ウンブリッチェッリ」は、トリュフソースとキノコパウダーで香り付けられている。これは深い味で美味しい2つ目の肉料理「仔羊のローストマジョラン風味」も旨かった2つ目のパスタは、シンプルなトマト味の「スパゲッティ サルサ・ポモドーロ」。他の取材があるので30gにしてもらった。これは美味しかったメニューには「カンノーリ、プロポスタ」とあるが、オリジナルのイタリア菓子「カンノーリ」とはかなり異なり、ピスタチオアイスに砕いたカンノーリをまぶしたもの

弘屋(こうや)

 ビルの3階にあるカウンター8席だけのイタリアンダイニングバー。しかし、小さい店ながらも予約が取れないほどの人気店である。店内は黒いモノトーンでシックにまとめられており、客層も30代以降というどちらかと言えば大人向けの店である。
 ご夫婦でやっておられるのだろうか?2人の仕事は実に息が合っていて、見ていて気持ちが良いくらい。料理は店主が1人で作っているので多少時間はかかるが、それでも1人で作っているにしてはなかなかのテンポで出てくる。また、この店の料理は基本的に2名か3名分の量で供されるため、メニューの価格表示も2人前と3人前である。1人客の場合はどうなるのかは聞き忘れたので、予約の際に確認してほしい。
 この店に来店する客の多くは、料理と言うよりもむしろワインが目的である。しかしながら、グラスワイン以外は基本的にワインリストはなく、予算と好みを告げ、店主にいくつかセレクトしてもらというシステムなのだ。種類こそそれほど多くはないが、店主はブルゴーニュマニアなのか、比較的飲み頃で良質のブルゴーニュワインを揃えていて、セレクトのセンスもいい。ちなみに、この店のグラスシャンパンはマグナムボトルで供されるが、これは、シャンパンはマグナムボトルの方が絶対に美味しい!!という店主の信念よるもの。
 フードメニューの人気ナンバーワンは「カルボナーラ」だが、どれを食べてもハズレがない。特に、今回食べた「フォアグラと干しイチジクのテリーヌ・マジョラム風味」は濃厚で、ワインとの相性も抜群に良かった。この店特注のライ麦パンも、外がカリッと中がフワッとしていて美味しかった。しかし、デザート類はイマイチで、総合評価としてはギリギリの2つ星である。(2015年4月追加)
http://ko-ya.com/index.php

大阪市北区堂島1丁目3−1 二葉ビル3階  
電話番号:06-6348-5455
定休日:日曜・祝日
営業時間:【月曜~金曜】18時~翌1時、【土曜】18時~23時
予算:グラスワイン1100~2200円、フォアグラと干しイチジクのテリーヌ・マジョラム風味(2名)2400円、(3名)3600円
アクセス:アクセス:JR東西線・北新地駅の出入口1番を出て「スエヒロ本店」角を左折する。突き当たりを左折し、「かに道楽」前のT字路を右折する。「堂島センタービル」、「大日ビル」を過ぎると右角にあるビル(ANAクラウンプラザホテル大阪の手前)。北新地駅から徒歩5分
最寄りのランドマーク:ANAクラウンプラザホテル大阪
お勧めポイント:洗練された創作イタリアンと美味しいワイン

  • 写真

このビルの3階です

狭いL字型のカウンター席のみです

グラスワインのメニュー

グラスワインのメニュー

本日の食事のメニュー

本日の食事のメニュー

食事メニューの価格は2人前と3人前の価格のみです

この日のグラスワイン「ロベール・アンボーの1992年サヴィニー・レ・ボーヌ」は1杯1500円

熟成していることを示すガーネット色をしていました

突き出しのプチシュー

「フォアグラと干しイチジクのテリーヌ・マジョラム風味」は濃厚な味

特注のライ麦パン

北海道秋刀魚のカルパッチョ みずの実 辛み大根 肝のペースト

宮城の生ウニ 赤ピーマンのムースグラッセ

たまめ鯛のヴァプール 香茸のソース

パスタは「徳島産鱧と万願寺唐辛子のタリアータディファジョッリ」

デザートは新田先生の大好きな「マスカルポーネのアイスクリーム エスプレッソがけ」

栗南瓜のキャラメルプリンとココナッツミルク