北海道大学大学院医学研究科
眼科学分野 診療准教授
医局長 南 場 研 一
2011年度の北大病院における実績が優秀であったということで眼科は3つの賞を受賞しました。そのうちの1つが「社会的地位向上に顕著な貢献」をしたことを称えられたものです。いち早く科内独自の「女性医師支援プログラム」を作成し運用していることを高く評価されました。
ご存じのように、眼科入局者の約半数が女性であり、関連病院を含めた眼科医局の運営に女性医師は欠くことのできない大変重要な役割を担っていることは言うまでもありません。ところが、どうしても日本では、家事・出産・子育ては女性が中心となっておこなうことが慣例化しており、特に出産から数年間は思うように仕事ができないのが実情です。中にはこの状態に疲れ果ててしまって医師としての仕事を完全に辞めてしまう人もいます。大変優秀な将来性のある人材なのに大変もったいないことです。対策として北大眼科では「女性医師支援プログラム」を作成し2010年から運用しています。対象は就学前の子供がいる医師で、有給の「フルタイムコース」と無給の「パートタイムコース」を設定しています。フルタイムコースでは正規の勤務時間は責任を持って仕事をしていただきますが、定時に帰宅することができるような配慮をしています。また、パートタイムコースでは大学病院の外来(新患、専門外来など)を客員臨床医師として担当し、外勤と合わせてある一定条件を満たせば専門医更新ができるようにしています。もちろん希望があればフルタイムコースに復帰も可能です。とにかくそれぞれの専門性を維持していただき、その後いつでも第一線に復帰、そして指導者へ育って欲しいというのが我々の願いです。
今回の眼科での取り組みを受けて大学病院も新たな提案を打ち出してくれました。多くの女性医師が円滑に職場復帰できる環境を整えるという「すくすく育児支援プラン」です。要するに、これまでパートタイムコースでおこなっていた大学病院の外来診療は無給でしたが、それに対して給与と交通費を支弁しましょうというものです。
現在このプランにより3人の女性医師がパートタイムの給与を頂いています。病院の英断に感謝したいと思います。その他にも、保育施設(事前の申請があれば24時間の保育が可能)を大学敷地内に設置するなど、病院も女性医師支援に積極的に取り組んでくれています。また、最近は医師会が中心となり、講演会での保育サービスが時々見られるようになりました。北大眼科でも年に何回か講演会を企画しますが、最近は保育サービスをつけるように配慮しています。まだ利用者側も戸惑っているようですが、今後慣例化すると利用者も増えてくると思われます。
今後もさらに北大眼科の発展に寄与すべく真摯に取り組んでいく所存でございますので、皆様には引き続きご指導ご鞭撻いただきますよう宜しくお願い申し上げます。
(2012年アニュアルレポートより)