
はじめに:多様性が育む新しいチーム体制
2025年4月より、病棟医長を拝命いたしました木嶋 理紀と申します。2025年度は、副病棟医長に鈴木 佳代先生、病棟チーフに水門 由佳先生、菊地 香澄先生、清野 有希子先生を迎え、奇しくも女性リーダーが中心となって病棟運営の舵を取る体制となりました。 その後、チーフ職を交代して担当してくれている荻野 陽先生は、「すくすく(子育て支援の時短勤務)」制度を積極的に活用されています。こうした多様な背景を持つ医師がリーダー層に加わることは、単なる人員配置以上の意味を持っています。異なる視点が交わることで、個々の事情に配慮した柔軟な働き方が浸透し、チーム全体のレジリエンス(回復力)向上に繋がっています。
実際の運営においては、鎌田病棟師長率いる看護チーム、病棟クラークの川端さん、そして現場を支えるスタッフ、医員、専攻医の皆様が、強い結束力で入院や手術の対応にあたってくださっています。一人ひとりが自身の役割を全うし、互いに協力し合える環境があるからこそ、大きなトラブルなく運営を継続できております。この場をお借りして、深く感謝申し上げます。
手術件数の推移と「持続可能な医療」への転換
当科の手術件数は、2023年をピークに緩やかな減少傾向にあります。これは、決して診療機能の縮小を意味するものではありません。背景には、医師およびスタッフの「働き方改革」を推進し、持続可能な医療体制を構築するという明確な方針があります。 具体的には、手術室の並列数を従来の1~3列から毎日2列へと平均化し、定期手術が看護師の定時である16:30に終了できるようスケジュール管理を行っています。あわせて、病棟スタッフの過度な負担を軽減するため、定期入院数にも一定の制限を設ける判断をいたしました。
これらの改革において最も重視したのは、「人員と時間の余白」を確保することです。この余白こそが、緊急性の高い重症患者をいつでも積極的に受け入れ、高度な医療を長期的に安定して提供するための鍵となります。事実、2024年から継続しているこの方針により、全体の件数は減りつつも、臨時手術件数は394件と2022年以降と同等の水準を維持できています。地域のニーズに応える中核病院として、緊急時に即応できる体制を維持することは北大にとっての使命であり、この方針を今後も堅持してまいる所存です。
大学病院と関連病院の強固な連携:地域全体で支える眼科医療
手術の待機時間についても、着実な改善が見られています。2022年のコロナ禍直後は、局所麻酔手術で4~6か月、全身麻酔手術に至っては2年以上という大幅な遅延が生じていました。しかし、 2025年には局所麻酔で1~3か月、全身麻酔で約1年まで短縮することができました。
この劇的な変化を支えたのは、大学病院単体での努力だけではなく、関連病院との役割分担の適正化です。私たちは、関連病院においても白内障手術に留まらない高度な手術が積極的に実施できるよう、教育体制の抜本的な見直しを行いました。若手医師が関連病院でも専門性の高い執刀経験を積める環境を整えつつあり、その成果の一端として地域での診療能力が底上げされ、患者さんの待機時間解消に直結したと考えています。
今後は、北大病院が最先端かつ高難度の症例に集中しつつ、関連病院と密に連携を取り合う「北大眼科」という一つの大きなネットワークとして地域医療に貢献して参りたいと考えています。大学病院と各地域拠点がそれぞれの強みを活かし、質の高い眼科医療を届ける体制を目指して参りますので、今後とも、皆様の変わらぬご指導とご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
2025年 1年間の眼科手術件数





