網膜細胞生物学(血管)

グループチーフ:野田 航介

 網膜細胞生物学(血管)グループでは、主として眼内における病理的血管新生をその原因とする疾患、例えば糖尿病網膜症や加齢黄斑変性の病態メカニズムや創薬に関する研究をおこなっています。これまで我々の研究グループは重要なテーマとして「receptor-associated proreninsystem(RAPS)」と「白血球接着分子vascular adhesionprotein-1(VAP-1)」に着目して検討を進めてきました。
 RAPS に関する研究では、これまで報告してきた糖尿病網膜症などの病態メカニズム(慢性炎症・血管新生)におけるその重要性に加え、特発性黄斑上膜の形成にも関与することを明らかにしました[Dong Y, Kanda A, et al. Sci Rep.2017]。そして、現在様々な施設との共同研究を実施して、RAPS の機能解明および生理的機能への影響を最小限にしながら慢性炎症病態を抑制する早期介入治療戦略の確立を目指した創薬研究を行っています[Kanda A, et al. Mol TherNucleic Acids. 2017]。
 また、VAP-1に関する研究では、VAP-1がSSAO とよばれる酵素として毒性の高いアクロレインという不飽和アルデヒドを産生することを突き止め、糖尿病網膜症の病態において白血球遊走のみならず、酵素としても関与していることを明らかとしました[Murata M, Noda K, et al. Curr Eye Res. Epub ahead of print]。そして、そのアクロレインが結合した蛋白は糖尿病網膜症患者の眼内でさまざまな細胞成分に存在していることを報告し[Dong Y, Noda K, et al. Curr Eye Res. 2017]、現在その病態意義を検討しているところです。他にも、galectin-1など様々な分子に関する研究が継続しておこなわれており、今後さらに発展することと期待しています。

VAP-1の酵素としての作用