網膜細胞生物学(血管)

グループチーフ:野田 航介

 

網膜細胞生物学(血管)グループでは、主として眼内におけ る病理的血管新生をその原因とする疾患、例えば糖尿病網膜症 や加齢黄斑変性の病態メカニズムや創薬に関する研究をおこ なっています。ガレクチン-1とvascular adhesion protein- 1(VAP-1) という分子についておこなった論文報告についてご 紹介します。

ガレクチン -1に関する研究では、加齢黄斑変性における病態 形成に糖鎖結合タンパク質ガレクチン -1が関与していること を明らかにし報告しました。加齢黄斑変性の治療は、抗 VEGF 阻害薬投与が主ですが、薬剤に反応性が乏しい症例や治療後の 瘢痕形成(線維化)が大きな問題となっており、新たな治療法の 開発が求められています。これまでの我々の研究で、ガレクチ ン -1が糖尿病網膜症における血管新生に VEGF-A 非依存的に 関与することを明らかにしております。そこで、加齢黄斑変性 モデル動物・臨床検体などを用いた解析から、ガレクチン -1の 加齢黄斑変性の病態形成(血管新生、線維化)への関与を明ら かにしました[Wu D, et al. FASEB J. Epub ahead of print]。

また、VAP-1に関する研究では、血管内皮細胞に発現 する膜型VAP-1が可溶型蛋白として糖尿病網膜症患者の 硝子体中に蓄積するシステムについての検討を行いまし た。その結果、糖尿病網膜症の病態形成に関与する matrix metalloproteinases という蛋白分解酵素が、可溶型 VAP-1 の産生に重要な役割を演じていることが明らかとなりました [Yoshida S, et al. Jpn J Ophthalmol. 2018]。この可溶型 VAP-1は酵素として毒性の高いアクロレインという不飽和ア ルデヒドを産生することがすでにわかっていますので、引き続 きその病態意義を検討しているところです。

他にも、PlGF や(プロ)レニン受容体に関する研究なども継 続しておこなっており、今後さらに発展することと期待してい ます。