角膜移植外来 Corneal Transplantation

【責任医師】田川 義晃

【担当医師】金谷 莉奈、渡邉 竜也、西村 萌美、大口剛司

 2022年度は片岡先生、渡邉先生が角膜外来に加わってくれました。片岡先生は角膜初心者とは思えない鋭い観察が光る逸材で、メカ好きの彼はスマートフォンカメラを使った前眼部診療を将来実現させたいと考え、学会発表までしてくれました。渡邉先生は新しいことに積極的にチャレンジするやる気にあふれており、顆粒状角膜ジストロフィーに対する電気分解治療を立ち上げてくれました。従来はレーザーを使った治療的角膜切除のために他院に送るか進行して移植するしかなかったものに新しい選択肢を加えてくれました。KKRから診療応援で来てくれていた野田 友子先生は重篤な角膜疾患をいつも丁寧に診察してくれていて、その蓄積した症例からデスメ膜瘤に至る重症例を学会報告してくれました。

 角膜移植については2021年度から取り組み始めた深層層状角膜移植(DALK)の経験が蓄積しつつあります。円錐角膜や感染後の角膜混濁などの角膜内皮は正常なものの、それ以外の実質や形状に問題がある症例について、患者さんの内皮だけを残して角膜実質を移植する術式がDALKです。0.02mmのデスメ膜を一枚残すのは困難も伴いますが、内皮を温存するので拒絶反応が生じづらく術後ステロイド点眼を中止できる経過は患者、医師双方にとって大変ありがたいものです。逆にデスメ膜のみを移植するデスメ膜内皮移植(DMEK)にも取り組み始めており、水疱性角膜症の治療にも幅がでてきています。現在も隔週で大口先生に来て頂いているので、その際に手術についていつもアドバイスを頂いています。

 2023年度以降もよろしくお願いいたします。

 最後に、長きに渡り北大角膜外来ひいては北海道の角膜医療を支えてくださった田川 義継先生がこの夏にお亡くなりになりました。角膜外来一同、ご冥福をお祈りするとともに、田川 義継先生が築いてくださった角膜外来をこれからも発展させていく所存です。今後ともよろしくお願い申し上げます。

顆粒状角膜ジストロフィーの症例に電気分解を施行した術前後の写真