網膜硝子体外来 Vitreo-Retinal Surgery

 

【責任医師】齋藤 理幸

【担当医師】加瀬 諭、董震宇、田中孝幸、秦 雅貴、横井康一、清野有紀子

 

 

 2022年度は、鈴木 智弘先生が時計台記念病院へ移動になり手稲渓仁会病院から董 震宇先生と谷向 哲矢先生が、医員大学院生として横井 康一先生が加わり総勢9名体制で診療を行っております。

 コロナ禍で入院手術制限がかかる病院があるなか、北大網膜班では中核病院として地域医療に貢献するべく御紹介頂いた患者さんを基本的に断らないという方針のもとで臨時手術を受け入れております。2022年の集計では網膜硝子体手術件数が505件と2021年に比べて72%増加という数字でした。そのうち、臨時手術は189件であり裂孔原性網膜剥離が最も多く87件、次いで硝子体/黄斑下出血が33件を占めておりました。特に原因のはっきりしない高齢者の硝子体出血に関しては網膜下出血を併発していることも多く、2週間以内の血腫移動術が有効と考えられているため可及的早期の硝子体手術を行うように努めています。

 また、増殖性硝子体網膜症を除く網膜剥離全体では106件中100%と高い初回復位率を得ることができ、精力的に手術をこなしてくれるトレーニングプログラム医師をはじめ研修医や外来・病棟・手術室など多くのスタッフの献身的な協力に大変感謝しております。手術は主にトレーニングプログラム医師と指導医の組み合わせで行い、高い治療レベルを保ちつつ最大限の教育効果を得られるように取り組んでいます。手術手技は積極的に最新の方法を導入しており、眼内レンズ強膜内固定術や黄斑浮腫嚢胞切開術、黄斑下出血に対するtPA網膜下注入、網膜切開をすることなく網膜下増殖を除去する経強膜網膜下増殖除去法など最新の治療を行っています。

 網膜グループでは手術だけでなく診療カンファレンスを毎週月曜日の夕方に開いており、全ての網膜外来新患症例の受診前後と造影検査症例・手術症例を皆でチェックして共有し検討することによって診療・診断レベルの向上に努めています。学会発表や論文などの学術活動も積極的に行い、 2022年も多くの学会等に現地で参加し発表することが出来ました。

 今後ともお困りの症例がございましたら是非御紹介頂けますと幸いです。

54歳男性 裂孔原性網膜剥離/増殖硝子体網膜症

①術前 ②術後
③術中所見 網膜下に直接トロカールを挿入して行う経強膜網膜下増殖除去法により最小限の網膜への侵襲で網膜下増殖を除去可能。