電子カルテが来た!

新明 康弘

外来医長も3年目が過ぎようとしています。今回は南場先生と二人三脚で進めてきた電子カルテの話を書きます。特に検査入力画面の構成などでは、ORT の溝口さん達にもご尽力いただきました。わずか半年程度の準備期間の割には、なんとか稼働していると思います。

■電子カルテがやってきた!
2013年9月24日、ついに眼科で電子カルテシステムが稼働することになりました。建前上、北海道大学付属病院はすでに3年前から、電子カルテ化していることになっていました。しかし眼科外来だけがそれに抵抗して、紙カルテをスキャナーで取り込ませて「なんちゃって電子カルテ」にしていましたが、今度こそは本物の電子カルテです。

■かつての「なんちゃって電子カルテ」システム
 2010年5月に突然、全科で始まった病院の電子カルテ化ですが、当時のNEC 製のシステムにはスケッチなど手書きの画像を入力するシステムがなく、眼科検査機器との接続もできないものでした。そこで、検査結果はスキャナーで読み込んでくださいという病院からの支持を逆手に取り、紙に書いたカルテもすべてスキャナーで取り込ませました。さらにそれを印刷することで、あたかも診療している側には、紙カルテの時代と変わらない環境を
作り上げました(図1)。このシステムは電子カルテで画像が扱えるようになるまでという約束で暫定的に病院から許可をいただいていました。

 

 

 

 

■「新しい」電子カルテシステム
 新しいシステムでは、検査機器には可能な限り、コンピュータ端末を付けてデータを転送できるようにし、視力や眼位のように数字で表されるものも手入力でタブレット端末に打ち込みます
(図2)。
電子カルテシステムにはPSC 社のClaio が入り、眼科専用のカルテ記載システムとしてC-Note を使うことになりました。液晶タブレットから、タッチペンを使ってスケッチも自由にできます(図3左:Claio の画面 右:C-Note の画面)。基本2画面で動いていますが、これ以外にも、予約・処方システムは別系統で稼働しているので、2画面上に5個くらいのwindowを切り替えながら操作します。

■カルテの記載を減らしますか?それとも患者を減らしますか?
導入して1ヶ月、電子カルテの操作は比較的分かりやすく、外病院から手伝いにきている医師も割合早く慣れているようです。
それでも思った以上に診察に時間がかかるようになりました。私の場合、導入時からかかわっているので操作に関して慣れている方だと思うのですが、それでも患者一人あたりにかかる時間が今までの倍に増えました。ただし、手間をかけるほど、カルテは大変美しいものが出来上がります。一方、書かない!と決めたら、ほとんどコピペ+コメント1行くらいでも、なんとかなるので、後でカルテを見る他のDr の存在を忘れてさえしまえば、記載の時間短縮も可能かもしれません。
今の時点で確実なのは、カルテの記載を減らすか、患者を減らすか、近いうちにどちらかの決断が必要になるということです。
さて、どちらが良いやら・・・。

2013.1記