董 震宇 大学院卒業 2013年
2010年4月の大学院入学からあっという間に4年間が終わろうとしています。4年間で担当した課題は、現在進行中のものも含めて6つあり、網脈絡膜血管新生に関するものは野田航介先生、加瀬先生、ぶどう膜炎に関するものは北市先生、神経保護に関するものは新明先生よりそれぞれご指導頂き、また神田先生より手技を含め実験全般についてご指導頂きました。
実験は苦労がつきものといわれますが、一番苦労したのは入学当初から担当し、血管新生抑制型VEGF、いわゆるVEGFb に関するものです。2002年に初めて報告されて以来、VEGFb と従来の血管新生促進型VEGF(いわゆるVEGFa)のバランスが血管新生の病態の根底にあると考えられ、大きな注目を集めていました。
両者のバランスがmRNA レベルでSPRK という酵素により制御されていることも報告されています。幸運にも私はレーザー誘導CNV モデルマウスとSRPK 阻害薬を使用して、mRNA レベルで両者のバランスを調節することで、血管新生抑制をはかる実験を担当させて頂きました。VEGFb など、大学院入学までまったく知らないものだっただけに、みんなを驚かせる結果を出すと意気込んでいました。
しかし、VEGFb はどうしても検出できず、のちに他の論文により実は存在しないことが判明したのです。まったく予想外の結果でしたが、自分の実験でもVEGFb が存在しないことを証明できたので非常に大きな収穫でした。
最後に実験に際して終始ご支援、ご指導くださいました石田晋教授に深く感謝致します。また、多くの助言、励ましを下さいました研究委員会の先生方ならびに眼細胞生物学視覚科学研究室のスタッフの皆様にも深く感謝致します。さらにともに研究生活を送り、互いに切磋琢磨した大学院生の仲間たちにも心から感謝の意を表します。最後に陰で支えてくれた妻陽子と、いつもかわいい笑顔でいやしてくれた子供達に心から感謝致します。