董 陽子 大学院卒業 2016年

 なんでそんな簡単なこと?と思われるかもしれませんが、30歳になった時に次の10年間の目標を専門医と博士号取得にしました。

 学業・仕事・家事育児の両立は簡単なものではないと考えたからです。大学院入学後は予想以上に苦しい毎日で、‘タイムマシンに乗り、大学院入学を志した日に戻り、進学をやめるよう自分を説得したい!’と考えない夜はありませんでしたし、何度も退学を考えました。このような私が今こうしてこの原稿が書ける機会を頂けた事が不思議でなりませんし、大変光栄な事と思っております。

 私の在学中のテーマは、糖尿病網膜症、翼状片、黄斑前膜といった増殖組織形成を伴う視力予後不良疾患の病理学的な検討でした。現在、これらの疾患の主な治療法は手術療法ですが、薬物療法が進歩すれば恩恵を受ける事が出来る患者さんは沢山いると思われます。これらの疾患を病理学的、分子生物学的な視点から勉強できた事は大変有意義でしたし、今後は新たな視点から臨床診療に携われるのではと考えております。

 最後に、私に大学院進学の機会を下さり御指導いただきました石田教授・野田准教授、多くの助言や励ましを下さいました研究委員会の先生方、実際の実験手技・研究者としてのあるべき姿を御指導下さいました加瀬講師・神田講師・村田助教、臨床検体を採取して下さいました先生方、そして公私ともに支えて下さいました出張先の同門の先生やスタッフの皆様、医局の先生方、研究室スタッフの皆様、大学院の先輩・同期・後輩の先生方にこの場をお借りして厚く御礼を申し上げます。