木嶋 理紀

 2014年8月から正式に緑内障トレーニングプログラムに入りました。今にして思えば、10年前に入局した頃からずっと、病棟受け持ち患者といえば緑内障の方ばかりだったので、こうなることが決まっていた(決められた!?)のかな、と考えたりします。

 現在、陳先生、新明先生、大口先生のご指導のもと、trabeculectomy から勉強させていただいています。術者の立場になって思うのは、やはり術中・術後も含めて思いどおりにならないことが大変多い、ということです。トラブルが少なそうな症例を選んで担当させていただいているにも関わらず、術中・術後合併症は避けられず、再手術はもちろんある一定の確率で仕方がないことですが、視機能が大きく下がってしまった方を診る度に胸が痛みます。また、手術はもちろんですが、診療も奥が深く難しく、類似疾患との鑑別、手術の適応や悪化の判定、点眼の調整や術後管理、難関症例への対処法などわからないことが増える一方です。私の同世代の先生方は手術や語学、研究など優秀な方が多いですが、自分にはその能力はない分、身体が丈夫である、というのが最大の長所だと思っています。そのおかげで、陳先生の取材にお供させていただくことができたり、ポスターが間に合わないからといって週の半分徹夜(お肌に悪い!!)できたりするのは、元気に育ててくれた両親と健康を支えてくれる家族のおかげだと思います(取材のおかげで栄養状態もバッチリです)。

 大学病院は臨床診療だけではなく、様々な研究も行っており、グループの一員としていくつか担当させていただくようになりました。これは大学病院以外ではなかなか体験できないものであり、面倒なことが多い反面、新しいことがわかるというのは純粋に楽しいことであります。同期から大きく遅れてやっといま始めたばかりなので、ご指導の先生方の足を引っ張ってばかりですが、少しでも残せるものができたらと思っています。

 

 これからも緑内障の臨床・研究とも少しずつ取り組んで、一回り大きく成長(体重じゃありません!)したいと思っています。ご指導よろしくお願いします。

指導医から一言: 陳 進輝

 木嶋先生とは、彼女が富良野協会病院の医長だった頃から一緒に手術に入っていますが、とても手術が上手で、しかも丁寧です。ぜひ緑内障グループにほしい人材だなあと思っていましたが、当時の木嶋先生は富良野をとても気に入り、大学に戻ってくるような雰囲気ではありませんでした。しかし、たまたま彼女が在任中に医局の事情で富良野を引き上げることとなり、大学に戻ってきました。そして、僕の念願が叶い、今年度より正式に緑内障グループの一員に加わってくれました。現在、研究面では前向き研究のビックプロジェクトに取り組んでくれております。
 臨床面では、トラベクレクトミーをやってもらっておりますが、最近は難なくシュレム管を破らずに強膜弁を作れるようになりました。そこで、次のステップとして、そろそろ下方術野からのトラベクロトミーやスーチャートラベクロトミー変法へ進んでもらおうかと考えています。期待していますので、これからも頑張ってください!