臨床指導医制度の修了体験談(角膜)

 臨床指導医制度の修了体験談
田川 義晃

 

このたび、大口 剛司先生にご指導を頂き、なんとか角膜トレーニングプログラムを修了することができましたのでご報告いたします。大学院を卒業してからプログラムが始まりましたが、そもそも大学院に入る前から角膜外来には参加していましたので、大口先生には大学院入学以前から大学院在学中、さらにはプログラム期間中と長きにわたり角膜診療のご指導をして頂きました。角膜の日々の診療から学んだと感じることは、角膜潰瘍重症例の扱いです。重症例では通常の点眼治療のみでは、たとえそれが正しい治療であったとしても救えないことがあります。特に、免疫性の潰瘍ではすでにone eyeの方が多く、治療の成否が失明に直結します。外科的治療を含めて入院管理で治療介入のタイミングを見極めることが、時には必要だということを今後も念頭に置きながら診療にあたりたいと思います。
プログラム期間中は特に角膜移植を中心にご指導頂きましたが、本当にいつも優しくご指導頂きました。どれくらい優しいかというと、連続縫合の全層角膜移植の翌日に浅前房だったため処置をしようとして、なんと連続縫合の糸を切ってしまいましたが、休日にも拘らずすぐに飛んできて一緒に角膜を縫合してくれました。また、あるときは内皮移植の翌日に前房内をみると移植片が落下していましたが、やはりすぐに飛んできてくれて再手術しました。優しい指導のみならず、全身麻酔の全層角膜移植では移植片を洗うときにいつも角膜をBSSの入った容器に入れるとすかさず、「角膜は内皮が痛むからしゃぶしゃぶは厳禁!しゃぶし ゃぶは牛肉だけにして!」といって楽しく指導をしてくださいました(すみません、文章力が足りずにあの面白さを伝えられません……)。まだまだ未熟者であることは変わりありませんが、同門の先生方に少しでも安心して角膜疾患の患者さんを送って頂けるように精進して参ります。最後になりますが、大口先生には本当に大変お世話になりました。この場をかりて深謝申し上げます。2021年度からも引き続き角膜のご相談をさせてください。今後ともよろしくお願い申し上げます。

指導医から一言:大口 剛司

私は田川 義継先生に角膜の基本を教えていただき、まさかご子息の指導に当たるとは思ってもいませんでした。田川 義晃先生は大変勉強家で、角膜の基礎的なことはむしろ私が教えてもらう立場でした。彼に足りないのは手術を含めた臨床経験だけでしたので指導する立場としては楽でした。彼の角膜移植デビューは突然やってきました。周辺部角膜潰瘍の穿孔に対する治療的表層角膜移植術という手術で、これはルーキーを9回裏1点差の場面で初登板させるようなものですが、彼は難なくこなし、さすがの強心臓ぶりを発揮してくれました。これからもどんどん経験していってほしいです。きっとやってくれることでしょう!期待しています!!