臨床指導医制度の修了体験談(緑内障)

 臨床指導医制度の修了体験談
金谷 莉奈

 

 

 

 

 研修医の頃、緑内障の入院患者さんを担当した際はいつも術後管理に悩まされ、もうお腹いっぱい、そんな気持ちだったはずなのですが、関連病院での勤務を終えて大学へ帰還すると、気がつけばトラベクレクトミーを執刀するようになり、2020年度からは緑内障の育成プログラムに入っていました。

 

 当初は10-0ナイロン糸の取り扱いすらもままなりませんでしたが、剪刀の動かし方から強膜・結膜の縫合に至るまで、丁寧に教えていただきました。入局した当初からずっと、陳先生の手術の助手に入らせていただくとき、陳先生が強膜フラップを作成しながら毎回のように「ほら、強膜の線維が規則的に横に走るようになってきた、ここが強膜岬だ。この先にシュレム管が出てくるぞ!」と仰っていましたが、今も手術のたびにその声が頭の中で響きわたり、その甲斐あってこのところは適切な強膜フラップの厚みやシュレム管の在りかを以前よりは判断できるようになってきたように思います。ときに生じる術後合併症、そして夢中で執刀するあまり悪化してしまう私のドライアイは相変わらず悩ましいですが、それらを少しでも回避すべく試行錯誤の日々です。

 

 ベルギービールにつられて参加した欧州緑内障会議は、コロナ禍により残念ながら現地に行くことは叶いませんでした。『ぶどう膜炎続発緑内障に対するレクトミー術後10年間の成績』についてまとめ、オンラインにて発表したのち、手厚くご指導いただきました先生方のお陰で、論文として世に送りだすことができ、まさに “感謝カンゲキ雨嵐”です。次の国際学会こそは現地に赴いて美味しいビールが飲めることを願ってやみません。

 

指導医から一言:大口 剛司

 金谷先生はもともと左利きで両手を使いこなせ、手術指導はほぼ見守るだけで十分でした。ただ、集中力が増してくると瞬目回数が減り、ドライアイ(個人情報ごめん)が悪化するのでそこのケアは必要でした、笑。また、手術だけでなく、国際学会でも発表するなど学術活動も立派にこなしました(発表指導は陳先生、新明先生)。北大緑内障グループはいまや全国トップクラスの手術件数を誇り、外来はまさに「嵐」、いや「A・RA・SHI」。活動再開を祈念して、これからも頑張って下さい!期待しています!!