臨床指導医育成プログラム体験談(緑内障・神経眼科)

 
新海 晃弘

思い返せば入局1年目、新明先生から「プログラミングに興味ない?」と聞かれ、プログラミングの本を渡されたのが始まりだったのかもしれません。少し読もうとしてみたものの、プログラミングの神には愛されず、今となっては、あの本がどこにあるのかさえ定かではありません(というのは冗談で、外来の片隅に置いてあります)。その後、気が付けば2020年度から、緑内障および神経眼科の臨床指導医育成プログラムに入っていましたので、その体験談を寄稿いたします。


育成プログラムに入ったのは2020年度からですが、実は2019年後半から少しずつ斜視手術や緑内障手術を習い始めていました。初めてのトラベクレクトミーの執刀では、6-0プロリンで制御糸をかけて結紮するところからまごついてしまい、事前に絹糸で練習していたにも拘らず活かすことができませんでした。そんな段階から始めたトラベクレクトミーですが、だんだんと強膜の厚みも分かるようになり、今では後期研修医の先生と手術をするまでになりました。とはいえ、独り立ちしたとはまったく思っていません。不測の事態には、迷わず上級医に助けを求めます。また、トラベクレクトミーで強膜の厚みを実感する機会が増えたことで、斜視手術の時の外眼筋の縫合も、以前よりも恐れずにできるようになってきたように思います。


また、病棟では、緑内障の術後管理に加え、視神経炎や甲状腺眼症の患者さんに対するステロイドパルスを担当する機会が増え、時として神経内科にコンサルトすることもあります。ステロイド反応性が良好な視神経炎は良いのですが、不良な場合の治療方針など、まだまだ判断に迷うことが多々あり、神経眼科の難しさを日々痛感しています。


トレーニングプログラムは、知識や手術手技など学ぶことが多く、一つのプログラムだけに入るケースが多いかと思います。緑内障と神経眼科という二つのトレーニングプログラムに同時に入ると知った時には、まるで終わりのない迷宮に立ち入ってしまったような気すらしていました。そして実際に学問に終わりはないのでしょうけれども、日々一歩ずつ進んでいき、少しでも眼科医療に貢献できればと思います。

指導医から一言:新明 康弘

新海先生は、神経眼科でも、緑内障手術でも教わるだけではなく、すぐに自分なりの工夫を加えようとするところが面白いなと思って見ています。神経眼科は学会を聴くと、今でも毎回、私も知らないようなマニアックな症候群が一つくらい出てきますので、とても奥が深いです。新海先生には、加瀬先生、田川先生、水門先生に並ぶマニアックさを感じ取りましたので、神経眼科がとても向いていると思います。
でも、レクトミーでフラップをつくる部分より、斜視で通糸する筋付着部では、強膜の厚さがかなり薄いので、今後は気を付けてください。新海先生は初めてのiStent手術でも、ためらうことなく線維柱帯を刺せるし、手術のセンスがあると思います。今後も、様々な手術にチャレンジしてください。