臨床指導医制度の修了体験談(網膜硝子体)

 臨床指導医制度の修了体験談

 

安藤 亮

 私は大学院では網膜に関する基礎研究をしており、卒業したあとも網膜に関わっていきたいと2014年4月にトレーニングプログラムに入りました。あっという間に3年半も経ってしまいましたが、少し振り返ってみたいと思います。
 当初4年ぶりの手術で感覚がなかなか戻らず、まずは白内障手術の技術向上から始まりました。その後少しずつ硝子体手術をさせてもらいましたが、半年後にはまだ完投もできていませんでした。例えばコアビトレクトミーは、先輩方の手術をみているといとも簡単に行っていますが、自分でやると術野の広さ、ライトの当て方、硝子体処理の手順・効率など色々なところが悪く、時間がかかってしまいます。森先生には、眼球の球体をイメージできていないとよく指摘されます。考えてみると、これまで行ってきた白内障や翼状片、斜視の手術などは、作業を一つの術野で行うものでしたが、硝子体手術は硝子体腔という立体構造の中で作業する場所を連続的に移しながら行う手術です。それは白内障手術とは違ってかなり広大な世界であり、術野だけでなく眼球、網膜、硝子体全体をしっかりイメージしていないと手術効率はものすごく悪くなりますし、危険性も高くなります。3年半経ってもまだまだ未熟で、先輩方との差はこのイメージの具体性にあるのではないかと考えています。これからも精進して参ります。
 週1回の網膜ミーティングでは、手術予定患者の治療戦略について検討しますが、毎回熱い討論が交わされます。それぞれが論理的な理由やこれまでの経験に基づいていて、とても勉強になる有意義な時間です。
 他にも、大学病院ならではの症例、未熟児網膜症や先天白内障などの小児疾患と色々な症例に携わることができ、この3年半で眼科医として大きく成長できたと実感しています。それでも硝子体術者としてまだまだ未熟で、これからも多くを学び成長していきたいと思います。今後ともよろしくお願い致します。

指導医から一言:森 翔平

 網膜外来、斜視小児外来、しかもそれぞれの手術をこなし、医局で一番夜遅くまで仕事をしている人は間違いなく安藤先生だと思います。網膜復位術については術前に完璧なチャートを作製し、手技もほぼ免許皆伝と言えるほどまで上達しています。硝子体手術については術者の多い大学病院では執刀件数がどうしても限られてしまいますが、その中でも一つ一つの症例を大事にし、術後にはフィードバックを行うことによってさらなるステップアップを目指しています。これからもさらなる高みを目指して頑張っていきましょう!