留学報告(米国・ケンタッキー大学)

福原淳一

 2014年4月から米国ケンタッキー州レキシントン市にあるUniversity of Kentucky(UK)に留学しております。

 ラボでは現在、全員で加齢黄斑変性の病態、治療に関する研究に精力的に取り組んでおり、ポスドクは日本からの4名を始めとして、米国、韓国、中国、ポルトガル、インド出身と多国籍に渡っています。受け入れ先のボスであるAmbati 先生はインド系アメリカ人で、多くの業績があり、先日もNIH Director’s Pioneer Awardを眼科医として初めて受賞しました。毎週月曜午後には3〜4時間程度のラボミーティングがあり、最初はあまりの時間の長さに耐えられませんでしたが、慣れとは恐ろしいもので最近は3時間で終わると「今日は短かった、ラッキー!」と思うようになりました。渡米当初は全く英語が聞き取れず愕然としましたが、現在は半年経ってもほとんど聞き取れないという事実に愕然としております。実験、同僚と英語での意思疎通と仕事上での課題は山積しておりますが、もう暫く頑張りたいと思っております。

 さて、レキシントン市は人口25万人と大都市ではありませんが、自動車関連の企業が多いため日本人の駐在員が多く、約1,200人と人口に比して多くの日本人が住んでいます。そのため市内には日本食材店があり、また韓国系スーパーでも米、味噌、醤油、冷凍食品など(割高ですが)購入可能なため食材にはさほど困りません。肉や野菜も米国のチェーンスーパーで安く購入でき不自由ありませんが、内陸の土地柄のためおいしい魚が手に入らないのが唯一の悩みです。

 北海道のおいしい魚やウニ、イクラが恋しい今日この頃です。ケンタッキー州には、4大メジャースポーツのプロチームがないためか、大学のバスケットボールやアメフトが異常な人気です。特にバスケットボールはプラチナチケット化しており1枚あたり20〜30万円するそうです。春先に一度、UK のアメフト紅白戦を観に行く機会があったのですが、あまりの人気ぶりにびっくりしました。また今夏はシンシナティ市(車で1時間半)で全米オープンテニスの前哨戦であるWestern & Southern Open大会があり、決勝戦でロジャー・フェデラーやセリーナ・ウィリアムズを観ることができました。今までテニスにはあまり関心はなかったのですが、やはりトップ選手のプレーは凄みを感じました。また僕の一番の趣味でもあるゴルフですが、18年振りにケンタッキー州で全米プロゴルフ選手権が開催されたため、幸いにも優勝したロリー・マキロイを始め、フィル・ミケルソン、松山英樹選手などの超一流プレーヤーを間近に観ることができました。日本、特に北海道ではテニス、ゴルフのトップ選手を観る機会はなかなかないため、これだけでもアメリカに留学した甲斐があったと思います。さらに2015年秋には家から近くのキーンランド競馬場に於いて、世界でも1、2を争う高額賞金イベントであり、2日間で13ものGI 競争が行われるアメリカ最大の競馬の祭典であるブリーダーズカップが開催されます。運良くチケットを入手した暁には、是非観に行きたいと思っております。

 美しいKentucky Bluegrass に囲まれ、またどこへ行っても皆親切で気さくに声をかけてくるとても住みやすい所だと感じております。今回このような海外留学の機会を与えてくださった石田教授を始め、医局、同門の先生方に大変感謝しております。充実した留学生活を送れるよう、家族とも仲良く過ごしながらこれからも頑張りたいと思います。今後ともご指導ご鞭撻の程どうぞよろしくお願い致します。