電子カルテ後とDr’s クラークの導入

新明 康弘

いつも患者さんをご紹介いただきありがとうございます。昨年度の激動の電子カルテ化を乗り越え、眼科外来もやや落ち着きを取り戻しました。入力操作にもみなさん慣れてきたようです。また眼科外来が先駆けて始めた、新患完全予約制は病院から高い評価を得て、ついに、救急を除く病院全科に広がるに至りました。眼科の新患完全予約制導入後の検証作業では、新患数は1割程度減りましたが、患者1人あたりの医療収入が増えたことで、最終的には増収につながるという予想以上の成果が出ていること
が分かりました。軽症患者の受診抑制によって、手術などが必要な患者に集中して高度な医療資源の投入が行えるという利点が現れたようです。他科でも眼科同様の効果がでるかは未知数ですが、眼科外来がよいモデルケースになったようです。

もともと新患予約制導入の目的は、患者待ち時間の短縮と、午後の専門外来が始まる前に新患を終了させて、新患の医師が専門外来に参加できる時間を作ることでしたが、こちらは未だ道半ばといったところです。もともと私には専門医取得前の医師には、さまざまな専門外来を経験して幅広い知識を身に着けて欲しいという希望があるのですが、実際の新患日には、午後も新患を残して診察を続けているという残念な現実があります。少しでも状況を改善するべく、新患担当医師の中にリーダーを決めるようにしましたが、もともと個人主義が強い眼科医の世界には集団行動はなじみにくいのかもしれません。あとは個々の医師のやる気に期待するしかないです。システムにも、もう少し試行錯誤が必要かもしれません。

昨年度の眼科カルテ電子化は、確実に診療効率を落としているので、以前にもまして患者の待ち時間は増加しています。散瞳後に患者を診察するまで1時間以上かかることが珍しくありません。ただし、初期に電子カルテを導入した病院でよく聞く、外来のカルテ入力が日付が変わっても終わらないという、悲惨な状況までいかないで済んでいるのは、我々の努力以外にIT システムの進化があるでしょう。電子カルテシステムは、今でも南場先生が日々バージョンアップを重ねています。

新患は完全予約制にして、実質の受診制限をしているのですが、それでも予約が入らないと、同門の先生方からは、「何故、ウチからの紹介患者を断る!」と苦情が入るので本来の処理能力以上に患者を受け入れないわけにもいきません。専門外来を含めて患者が多すぎるのが、一番の問題なのですが、なかなか、大病院志向の強い患者は、他の病院に移ることを同意しません。(でも、同時に病院からは収益を上げることも求められているんですね。)

最近の外来のよいニュースは、Dr’s クラークといわれる事務補助員が外来に配属されるようになり、さまざまな書類の入力や、予約の調整などに活躍してくれていることです。外来にメディカルクラークを配属してほしいという交渉は、最初に北市先生と私で、当時の外来師長と話し合っていたことなので、あれから5年たってようやく実現し、今や診療に欠かせない存在になってきました。

職種が増えるにしたがって、仕事の役割分担などをめぐって、時に摩擦も生じますが、基本的にはすべてのスタッフが、眼科外来を良くしようと考えてくれていると信じています。矢面があれば、なるべく立ち、火中の栗あれば拾う。右からきた話を左に受け流し、少しでも皆さんが診療しやすい環境を整えるため、私ももう少し努力したいと思います。これからも眼科外来をよろしくお願いします。

2014年1月記