2019年 外来医長挨拶

新明 康弘

早いもので、ついに外来医長も10年目の節目を迎えました。そろそろ殿堂入りですね。しかしながら10年続けても、今まで経験したことがないような問題は、次々と勃発するものです。時に無力感にさいなまれることもありますが、なるべく皆が幸せになる形で解決していきたいと思っています。

今年の外来のニュースといえば、田川義晃先生によるドライアイ外来の開設です。満を持して(?)大学院を卒業した田川先生は、かねてからの研究テ ーマをさらに臨床でも追及すべく、新しい専門外来を立ち上げました。機能的MRIを使ったドライアイへの新しいアプローチなど、その研究成果が患者さんに還元されることを願っています。また、視能訓練士は奥山香奈恵・竹田迪葉の新人2名も加わって、廣岡主任のもと、新しい体制がスタートしました。橋本勇希は今年4月より、福岡国際医療福祉大学視能訓練士学科に准教授として招聘されました。また来年度には佐久間愛が母校である吉田学園医療歯科専門学校視能訓練学科で教職に就く予定です。北大眼科で得た経験をもとに後進の指導に活躍の場を移していくことは喜ばしいことですが、少し寂しさも感じます。来年4月からは、視能訓練士2名の増員が見込まれていますので、検査も、もう少しスムーズに流れていくことが期待されます。

 

「眼科外来働き方改革と外来体制の見直し」

以前より改善したとはいえ、まだ眼科外来の終了時間が18時過ぎとなることがあり、患者やコメデ ィカル、医事課を含め、いろいろな部分に負担がかかっています。また、医師自体の残業も抑制する方向も、今日の流れです。カンファレンスなども、いずれは勤務時間内に行わなければならないようにな っていくと思われます。北大病院は全国的にみても、大学病院としては再来患者数が多すぎるらしく、現在病院全体で逆紹介率を上げることに取り組んでいます。

そこで、現在、来年度以降に向けて午後の外来を縮小することを計画しています。現在はぶどう膜外来だけが午前中で、残りの13の専門外来が午後に行われていますが、可能な限り午前中に移動していきます。そして、今まで一般再来としていた枠の患者さんの受け入れを徐々に縮小し、新患も専門外来のなかで直接診察していく形に変えていきます。それに伴い、曜日ごとのグループ診療制も見直します。目標としては大学病院として、より専門性を生かしたコンパクトな外来システムを目指します。また無給で働く、臨床客員医師についても、今後は国から見直しが必要とされていますので、マンパワー上も縮小せざるを得ないということもあります。効率的に診察室を稼働させながら、診療時間の短縮を目指します。その代わり、今まで週3日だった新患日を週5日に増やして、患者の迅速な受け入れをしやすくする予定ですが、全体としての受け入れ人数は2割ほど削減することを考えています。そうすることで、今までよりも時間的余裕をもって新規の患者さんを受け入れることができるようにします。

今後の外来の基本的な考え方として、スタッフが無理なく診療できる範囲内での診療を目指し、そこからあふれる患者さんは、地域の病院に一層の受け入れをお願いする形になっていくと思います。来るものすべて拒まないという医療の理想は、医療者も労働者であるという考え方や自分だけよい医療が受けたいという患者の権利意識の前では、そろそろ限界を迎えているのかなと個人的に思います。限られた医療資源を、どう効率よく活用するかが今後の課題となるのでしょう。

 

「患者紹介予約システムの変更について」

今年度から北大眼科への患者の紹介は、病院間の連絡のみに限定することになり、患者が自分で北大病院の予約をとって受診することはできなくなりました。これは紹介状を持っていても同様です。具体的には新患も含め、北大眼科の受診には地域連携室を通して病院から予約をとることが必要で、紹介状を事前にFAXで送る必要があります。今後は今まで以上に、病院間の連携を密にする必要があります。詳しくはこちら→初診の方へ | 北海道大学病院 (hokudai.ac.jp)をご覧ください。

一方、電話連絡による診療ホットラインは、あくまでも医局内で作った独自のシステムですので、今まで通りの運用となりますので、緊急性が高い場合はこちらをご活用ください。また、同門会特別予約枠に関しては、病院から廃止を迫られましたが、石田教授の強い働き掛けもあり、どうにか存続できることになりました。ごく一部の同門会の先生だとは思いますが、残念なことに地域連携室に対して高圧的な態度をとられる方もいらっしゃるようで、この同門会特別予約枠は病院事務からの評判があまりよろしくないようです。我々としては、できるだけ、お世話になった同門会の先生方のご要望にお応えしたいと思っていますので、どうぞ、そこのところをご理解・ご協力お願いいたします。

 

新明康弘