新明 康弘
今年の外来は、電子カルテの導入などのような激動もなく、穏やかに運営されています。視能訓練士は、現存する最古の?石垣さんが寿退職しましたが、新人の佐久間さん、および残った皆さんのさらなるレベルアップにより、問題なく維持されています。
眼科外来には一日平均156名の患者が受診し、収益も今のところ、すべての月で実績が目標を上回っている状態です。専門外来は、今年度新設したものはなく、眼形成外来チーフが4月から野田実香先生の慶應への御帰還により、チーフが石嶋漢先生に交代した以外、大きな変化もありません。もっと「巨星墜つ」という感じになるかと危惧していましたが、後継者に指名された石嶋先生は「ノダミイズム」の継承者としてしっかり役目を果たしているようです。これも今までの野田実香先生の御指導の賜物でしょう。眼形成という分野がすっかり北海道にも根付いていることを心強く思います。
また新人6名入局といったマンパワー増加により、全般的に外来待ち時間の問題もいくらか改善されつつあるようです。また自衛隊から再び田中敦先生が派兵されてきており、外来の大きな戦力になっています。
■診察室が足りないっ!
これはうれしい方の悲鳴ですが、今年度は新人6名と久しぶりの大豊作のため、もともと診察室は12室しかないので、研修医を全員外来に出すと診
察室が足りないという状態が発生してしまうことが判明しました。しかし、外来での研修も、外勤をこなせるようにするためには大切で、病棟業務と同
様、促成栽培?が要求される部分です。外来改装は、以前から病院に要求しているのですが、なかなか予算的に実現しないようなので、今以上に診察室を増設することは、物理的に不可能です。そこで今年はやむを得ず、研修医には半年間づつ外来を回ってもらって、病棟勤務の間は再来も持たないということで、どうにかやりくりすることにしました。
■逆紹介率アップへの取り組み
最近、紹介率とともに重要視されるのが、逆紹介率です。これは当院に来院した患者さんを、治療あるいは検査終了後に、再び地域の病院に戻しているかということをみる目安となる数字です。紹介率だけ高くても、逆紹介率が低いと周辺病院との医療連携がうまくいっているとは言えません。さらには、我々の医療資源は無限ではないので、in だけ増えてout が増えないと、いつかは患者が外来に溢れ出すことを意味します。逆紹介率については40%以上が地域医療支援病院として望ましいとされています。(念のため、当院は地域医療支援病院ではなく、特定機能病院ですが。
逆紹介率を上げるためには、とにかく紹介元ときちんと連携をとることが重要と考えられ、そのために医師だけでは十分にcheck しきれていない返書作成のプロセスについて、メディカルクラークの手を借りて、二重にcheck していきます。これにより連絡漏れを減らして、より地域に患者を戻しやすくしていくよう、新しいシステムの運用を開始いたしました。これにつきましては、病院から「本院の社会的地位を高めるための取り組み」として高い評価を受け、表彰を受けています。また実際このシステムを開始したことで30%程度だった逆紹介率も40%を超えるようになりました。このまま外来の混雑緩和にもつなげていきたいと思います。これからも、北大病院として地域の医療に貢献する新しい形を模索していきますので、どうぞよろしくお願いします。
2015年1月記