ドライアイ外来 Dry Eye

 

【責任医師】田川 義晃

【担当医師】木嶋 理紀、長谷 敬太郎、菊地 香澄、有田 拓矢、金谷 莉奈

 2023年度のドライアイ外来は、海外留学から帰国した長谷先生が新たに加わってくれて、眼炎症の専門家として眼炎症と眼疼痛の両面からドライアイ・眼痛疾患をとらえて診療を行い、さらに眼瞼痙攣に対するボトックス注射まで行ってくれています。菊地先生はドライアイモデル動物に対する神経障害性疼痛治療薬の基礎研究の論文も出してくれていますが、臨床面でもドライアイを神経障害性疼痛の観点から熱心に治療してくれています。金谷先生は自身も抱える片頭痛やドライアイがHypersensitivity syndromeであるという観点から眼疼痛診療に取り組み臨床眼科学会で発表までしてくれています。

 また、2023年度は上皮幹細胞移植に取り組み始めました。アルカリ外傷やスティーブンスジョンソン症候群、眼類天疱瘡、GVHDなどの最重症ドライアイ患者では角膜上皮幹細胞疲弊症によって新生血管や異常結膜上皮が侵入し角膜は透明性を失いますが、今まで実施可能な根本治療は存在しませんでした。片眼の場合は健眼の幹細胞を(ネピック®)、両眼が罹患している場合は口腔粘膜の幹細胞を(オキュラル®)患者自身から採取し1か月培養後に患眼に上皮シートを移植し、幹細胞供給により眼表面再建を図る新しい治療で、ごく最近保険収載されました。口腔粘膜採取については耳鼻科の中薗 彬先生を中心にご協力頂いており、大変感謝しております。術者認定や施設認定、院内の各種委員会の承認など手続きにはそれなりの労力がかかりましたが、視力が回復したことで社会復帰を検討し始める方も出てきており、治療不可能だと諦めていた疾患にも可能性の光が射し始めていることを実感しています。

 ドライアイ外来開設4年目ですが、原因不明の眼痛や羞明から視機能を脅かす最重症ドライアイ症例まで難治性疾患を抱える患者さんが集う、まさに診療しごたえのある外来になってきています。2024年度以降もドライアイ外来をよろしくお願い申し上げます。

角膜上皮幹細胞移植(ネピック®)術前(左)と術後(右)