眼循環代謝外来 Ocular Circulation and Metabolism
【責任医師】加瀬 諭
2016年4月より眼循環代謝外来を引き継がせていただいております。本外来は黄斑外来、網膜硝子体外来とも連携し、様々な眼底疾患の病態を、眼循環の観点から検討を行っております。研究手法は蛍光眼底造影検査所見、光干渉断層計(OCT)、OCTアンギオグラフィー(OCTA)に加え、これまで当科で積極的に行ってきたレーザースペックルフローグラフ ィー(LSFG)を用いた黄斑部脈絡膜血流の解析を行っております。LSFGは網脈絡膜の血流速度や血流量を反映し、黄斑部では80%以上脈絡膜血流を反映します。画像において暖色系では過灌流、寒色系では灌流低下を示し、定量的に評価も可能です。
Swept-Source (SS)-OCTにて明瞭に脈絡膜を観察することが可能になり、脈絡膜厚も正確に測定し解析しております。実際には、加齢黄斑変性に対するベバシツマブやアフリベルセプトを用いたPDTトリプル療法、MEWDS、PIC、AZOORといった炎症性眼底疾患におけるOCTAとLSFGの比較などの検討を行っております。併せて、眼内腫瘍におけるLSFGやOCTAの解析にも力をいれております。
近年は下記に示すように、juxtapapillary hemangioblastomaにおける循環を解析し、英文雑誌に掲載されました(Mitamura M, Kase S, et al. Oncotarget 2020)。今後とも眼循環代謝外来をなにとぞよろしくお願いします。
Juxtapapillary hemangioblastomaは、レーザー治療前にLSFGで過灌流を示し、治療後に灌流低下を示した
濾胞性リンパ腫の代表症例:眼窩腫瘍の摘出組織にはCD10陽性のリンパ球が濾胞構造を形成し、腫瘍組織のフローサイトメトリーのCD10比率は60%以上であった