角膜移植外来 Corneal Transplantation

【責任医師】田川義晃

【担当医師】片岡慶次、渡邉竜也、田川義継、大口剛司、野田友子

 前角膜(移植)外来チーフである大口 剛司先生が率いてこられた角膜外来ですが、2021年度から私、田川が引き継がせて頂いております。 2020年度までコロナの影響で、アメリカからの輸入角膜に頼っていた角膜移植件数は減少を余儀なくされていましたが、2021年度は角膜移植を延期していた患者さんが多かったので相対的に件数が伸びております。角膜移植に対しては、大口先生に教えて頂いた全層角膜移植術をはじめパーツ移植である内皮や表層角膜移植術を着実に施行することを目標として取り組んで参りました。その中で、成熟白内障を呈した角膜混濁症例に対しては、オープンスカイでのECCEを施行するPKPトリプル手術を行うようになりました。また、内皮移植であるDSAEKは前房内の空気圧を上昇させることで移植片を生着させますが、虹彩欠損や無硝子体眼、濾過胞眼は前房内の空気が抜けて圧力が上がらないためDSAEK難症例として知られています。しかしながら、実臨床ではフックス角膜内皮ジストロフィ ーのように内皮だけが障害され、それ以外の部分には問題が無いという症例はむしろ稀で、白内障術中破嚢例や緑内障手術を繰り返しているような症例が多いのが現状です。そこで、2021年度からはこのようなDSAEK難症例に対しても積極的にDSAEKを行っております。眼内の圧力が上がらず、翌日に内皮が前房内に落下している症例も経験はしましたが、全層角膜移植と比較すると不正乱視や拒絶反応が生じづらく、術後矯正視力も1.0出る症例も珍しくはありませんので退院後の外来診察では、やはり内皮移植を選択して良かったと思うことが多い今日この頃です。

 田川 義継客員診療教授、大口 剛司客員診療准教授には2021年も引き続き御指導頂いております。角膜疾患をはじめとした前眼部疾患でお困りの患者さんがいらっしゃいましたら当外来をご紹介頂けますと幸いです。

アカントアメーバ角膜炎後の角膜混濁に対して全層角膜移植術を施行した症例の前眼部写真術前(左)、術後(右)