黄斑外来 Medical Retina and Macula 

 

【責任医師】安藤亮

【担当医師】加瀬 諭、齋藤 理幸、董 震宇、福津 佳苗、清野有紀子、清野 修平、三田村 瑞穂

 

 

 抗VEGF治療が臨床に登場してから10余年が経ちましたが、近年はブロルシズマブやファリシマブなどの新しい薬剤が登場し実臨床での効果が多く報告されるようになり、ラニビズマブのバイオシミラーが糖尿病黄斑浮腫や網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫にも使えるようになりました。ブロルシズマブには強いfluid control力あり、ファリシマブは新しい効果に投与期間延長が期待でき、バイオシミラーは薬価の低さが実臨床でとても助かります。そのため、治療効果だけでなく通院頻度や経済的負担など多くのことを考えながら薬剤と治療方法を選択する必要性が増しています。 2022年度、網膜硝子体学会とFuji Retina 2023の2つの学会で、ブロルシズマブと同時にステロイド(トリアムシノロン)の後部テノン嚢下注射(STTA)を行うと、ベオビュの問題点である眼内炎症と網膜血管炎の発症率がベオビュ単独投与の既報よりも低かったという報告を致しました。これは名古屋市立大の安川教授を始め、9施設の先生方に参加していただきまとめた共同研究です(in preparation)。ありがたいことに、優秀演題シンポジウムとBest Poster Award (3rd place)に選んでいただきました。これからも実臨床に役立てられるような臨床研究や発表をして参りたいと存じます。

 当外来は2014年から2022年まで、野田 航介先生が責任医師を務められてきましたが、2023年度から安藤が務めさせていただくこととなりました。野田先生の抜けた穴はとても大きいですが、同世代の齋藤 理幸先生、董 震宇先生と共に盛り上げて参ります、引き続きご指導ご鞭撻、温かいご支援のほどお願い申し上げます。

ブロルシズマブ関連眼合併症の2例
左: 眼内炎症(硝子体炎)を生じた。
OCTでは硝子体腔に多くのcellが見られる。経過観察で改善した。
右: 網膜血管炎を多数生じている。STTAとステロイド点眼で改善し、視力障害はなかった。