徳島大学眼科教授就任(2010年)
徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部眼科学分野 教授
三田村 佳典
近況報告
この度、平成22年4月1日付けで塩田洋名誉教授の後任として徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部眼科学分野の6代目教授を拝命いたしました。北海道大学眼科在籍中は北大眼科の皆様方には大変お世話になりました。
この場をお借りいたしまして厚く御礼申し上げます。
私は昭和62年に北大眼科に入局させていただきました。同期には吉田和彦先生らがおり、7名の大量入局の年度でありました。田川先生や佐賀先生、秋田先生をはじめ角膜グループの先生方には大変お世話になりました。特に佐賀先生には眼底の見方を一から教えていただきました。私が小さな網膜裂孔を見落とした際に、突然、私の視力検査を始め、視力が十分出ているのを確認すると「この視力で見えないはずがない!」といって怒られたのが懐かしく思い返されます。ちなみにこのようなエピソードは今でも若い先生方に話して後輩の教育に役立っております。
徳島といいますと北海道の方にはあまりなじみがなく「阿波踊り」か「鳴門の渦潮」しか頭に浮かばない方も多いかと思いますが、私もそうした一人でしたし、これまで訪れたこともなく、まったく縁のない土地でした。こちらに赴任してまいりましてからは、冬も温暖で雪の降らない気候と食べ物がおいしいことに大変満足しております。鳴門金時をはじめ徳島の野菜は大阪圏ではブランドだそうで、鯛やあなご、はも(京都の「はも」の大部分は徳島産だそうです)といった海産物や、阿波尾鶏(駄洒落のようなネーミングですが)、阿波牛も大変美味です。ただ、こうした食環境が糖尿病死亡率が万年、全国一位であることの誘因にもなっていると思われ、日常診療でも重症の増殖糖尿病網膜症が非常に多い印象です。また、徳島は神戸まで1時間ちょっとで行ける距離にありながら自然が多く残されており(つまり田舎)、釣りやラフティング、登山などの趣味を持っている方も多いようです。
私の赴任いたしました徳島大学眼科は四国で最も古い眼科学教室でして、これまで約66年に及ぶ歴史を有し、同窓会の会員数も200名を超える四国では伝統ある教室です。北大眼科と比べますと小さな教室ですが、四国全県に関連病院を有し、眼科医の過密地域(東京・大阪・京都につぐ第4位)のためか医局員が臨床診断や手術手技の習得に非常に積極的で貪欲なのに驚かされております。他の地方大学と同様に徳島大学眼科も医局員の減少で決して楽な状況にはありませんが、若い医局員の熱意に支えられて何とかがんばっております。時折、教授回診で「それでいいっしょ!」などとうっかり言ってしまうと冷たい空気を感じますが、早く阿波弁に慣れて徳島になじんでゆかなければと考えています。まだまだ手探りの状態ですが、今後も北大眼科での経験を糧にして精一杯精進してゆきたいと思っております。
北海道からは遠く離れた徳島の地での勤務とはなりましたが、北大眼科学教室ならびに北大眼科同門会の皆様方には今後とも多方面にわたりご指導、ご鞭撻を賜りたく思っておりますのでどうかよろしくお願い申し上げます。また、末筆ながら皆様方のご健勝とご多幸、ならびに北大眼科の益々のご発展を遠方より祈念いたしております。