さくらの滝 (動画あり)

 斜里川は環境省の水質調査で日本一になったこともある清流。この川にはオショロコマ(カラフトイワナとも呼ばれ、この降海型はドリーバーデン)やエゾイワナ(北海道で言うイワナで、この降海型はアメマス)など約20種類もの魚が住むとも言われている。最も多く生息しているのが清流の女王「ヤマメ(山女魚)」で、体にある大きめの紫色の斑点(パーマーク)が特徴。ヤマメとは通年して川で生息するものを言い、1〜2年川で過ごした後に川を下って日本近海を回遊し(鮭はベーリング海まで回遊)、そして産卵のために再び生まれた川へ戻ってくるものを「サクラマス」と呼ぶ。成長年数や戻ってくる川によって個体の大きさも様々で、30㎝くらいのものから60cmを超えるものまでいる。ヤマベは海へ下るときにパーマークが消えて銀色(スモルト)となり、サクラマスとして海から遡上するときにも銀色のままである。しかし、川で過ごすと徐々に銀色がくすんで青緑がかった黒色を帯び、さらに9月の産卵期になると赤みを帯びた桜色の婚姻色となり、産卵を終えると死んでしまう。この産卵期にサクラ色になること、あるいは遡上時期がサクラの咲く時期と重なることが名前の由来になっている。
 この斜里川に上ってくるサクラマスの数は、僕の知る限り日本でナンバーワンではないかと思っている。斜里川を上って来たサクラマスは産卵に適した上流部を目指すが、中流部にある「さくらの滝」と呼ばれる2mの滝がそれを阻む。「さくらの滝」は文字通り、遡上するサクラマスの遡上が見られる滝である。その姿をじっと観察してみると、僅か2mの滝ながら、サクラマスにとってはかなりハードルが高いようで、これまで僕が見ている間に上りきったサクラマスは僅か1匹だけといった超難関なのである。
 僕は滝を一途に上る力強いサクラマスの姿が好きで、飽きもせずに、かれこれ10回ほど訪れている。ちなみに、僕の経験からすると、遡上のピークは6月中旬〜7月初旬くらいだと思う。同じ清里町にある「神の子池」と共に、この季節に知床を訪れた際には、是非立ち寄って自然の素晴らしさを体験してほしいスポットである。(2014年2月追加)
http://www.kiyosatokankou.com/sakuranotaki.html

北海道斜里郡清里町   
アクセス:清里町のJR札弦駅〜JR緑駅の間にある。中標津空港や女満別空港から車で1時間強くらい。