たんや 門
ご夫婦でやっているJR南福岡駅近くの牛タン専門店。外観は一見すると蔵のような作りになっている。靴を脱いで上がるとL字型のカウンター席があり、外観から想像したよりも若干狭めだ。カウンター内の中央にはアイランド型の焼き台が鎮座している。レンガで囲まれた焼き台の脇にある板の上には大量の塩が置かれている。店主の森川さんによると、もしもこれと同じような焼き台があれば、店主の修業先である福岡・長浜「たんや 卜傳(ぼくでん)」出身者の店であるとのこと。聞くところによると、「たんや 卜傳」の大将は、福岡にあった名店「たんや又兵衛」の先代のもとで修行したしい。現在、「たんや又兵衛」直系の店は鹿児島にしかなく、鹿児島で修行した方が暖簾分けをしてもらって東京・六本木や銀座で「たんや又兵衛」をやっているという。
メニューを見ると、牛タン専門店であるにもかかわらず、「(豚の)レバー」と「(豚の)こぶくろ」がある。これは、修業先の親方が作ったコースメニューの中に牛タンの他、この豚メニューがあったことに由来する。僕のお勧めは豚メニューではなく、「牛舌」と「(牛)さがり」。「牛舌」は冷蔵庫で1カ月熟成した逸品で、黒毛和牛のタン芯を使っているため、1人様限定1本となっている。予め焼き方の好みを聞かれるが、客の多くがミディアムレアで注文する中、僕は敢えてミディアムで注文。というのも、タンのような筋繊維がしっかりとした肉は、火を通した方が歯ごたえ良く、味わいもより深くなると考えているため。なので、タンは肉の中で最も刺身に向かない部位であると思う。「さがり」は焼き方がジューシーで、衝撃的なくらい赤肉の旨味を感じる。ポン酢がかかっていて、これまで食べたサガリの中でもベストと言っても良いくらい美味しかった。お通しは「豚の胃袋」で、これもサッパリと酢が効いて美味しかった。皮を剥いだ「千枚(しろせんまい)刺し」は塩味のゴマ油で頂くが、これはまあまあ。箸休めに生野菜が出てくるがこれもいい。キュウリは軽く塩がしてあり、そのまま食べられる。生のキャベツにはポン酢をかけて食べるが、これは福岡の箸休めとしては定番。「豚足」は醤油で煮たものを更にカリッと焼いた焼き豚足であるが、これはまあ悪くない。「テールスープ」は標準レベル以上で、食べログで評判の「たんすじ」は硬く筋張っていて食感は良くないが濃厚な味がする。
それにしても、ご主人はかなりの話し好きで、奥さんもフレンドリーで話しやすい。福岡に来たらまた寄りたいと思わせる、素晴らしい牛タン店である。(2014年7月追加)
博多区寿町3-1-35
電話番号:092-593-3459
定休日:日曜・祝日
営業時間:18 時~22時半くらい(早く閉店することもあるので要予約)
予算:牛舌2900円、さがり2400円
アクセス:JR鹿児島本線・南福岡駅を出て、駅前通を直進する。2つ目の信号「南福岡駅入口交差点」を左折し、「NTT前交差点」左折せずに筑紫通を真っ直ぐ道なりに進む。「河野歯科医院」を過ぎ、次の信号(銀天有料駐車場の角)を左折したらすぐ左側にある。 JR南福岡駅から徒歩5分。西鉄天神大牟田線・雑餉隈(ざっしょのくま)駅西出口から徒歩5分。
最寄りのランドマーク:NTT前交差点、銀天有料駐車場
お勧めポイント:熟成した究極の焼きタンとサガリが食べられる
タンの熟成庫
焼き台と店主の森川さん
豚の胃袋の酢の物
牛タンを焼いているところ
ミディアムで焼いてもらった牛舌
箸休めの野菜
さがり
千枚(しろせんまい)刺し
(豚の)レバー
テールスープ
(豚の)こぶくろ
たんすじ
(焼き)豚足
味は付いているが、ポン酢をかけても良い