博多 あかちょこべ
他県民の方には意外なことだが、実は福岡県民はうどん好きなのである。もちろん、蕎麦店もあるにはあるが、うどんの方が圧倒的に人気がある。一方、2006年の映画「UDON」の放映以来、全国的には讃岐うどんブームで、今や全国各地に讃岐うどんチェーン店が進出している。しかしながら、ここ福岡では、地元うどんチェーン店「ウェスト」の看板はよく見かけるものの、「丸亀製麺所」や「はなまる」などといった讃岐うどんメジャー店の看板を見かけることは少ない。その理由は、福岡県民の愛する“博多うどん”は、老舗店「かろのうろん」に代表されるような讃岐うどんとは真逆のコシのない柔らかなうどんだからである。これに極太のゴボウ天ぷら「ゴボウ天」やさつま揚げのような「丸天」、甘辛く炊かれた牛肉「肉」などをのせて食するのである。さらに、鶏の炊き込みご飯「かしわごはん」やそれを握った「かしわおにぎり」などといったサイドメニューがある店も多い。
僕は10年くらい前に「かろのうろん」で初めて食べて以来、柔らかく歯ごたえのない博多うどんを未だに理解できずにいたが、この店のうどんを食べたときには、“コシがなければうどんでない”という概念を改めなければならないと感じた。この店のうどんは細麺で柔らかいが、モチッとした粘り気があり、柔らかい麺が好きな福岡でなければ誕生しなかったオリジナリティのあるうどんなのである。
この店のうどんは「古式胚芽うどん」といって見た目もちょっと変わっている。全粒粉のラーメンの様に茶色っぽい粒々が入っているのだ。また、メニューも非常にユニークで、どれも試したくなるようなラインナップ。例えば、「釜あげずぼらうどん」はヤカンの中に釜揚げうどんが入ったもので、しかもつけ汁には納豆が入っている。「釜揚げキーマカレーうどん」は温かいうどんにキーマカレーがかかったもの。そのまま混ぜて食べると「油そば」や「まぜそば」のような感じで、半分くらい食べたところで少しだし汁をかけて食べると和風に変化して面白い。これでもう少し辛さとスパイシーさがあったら最高である。しかしながら、僕の一押しは王道の温かい「ごぼう天」。細麺と深くコクのある出汁のバランスが素晴らしく、汁を最後まで飲み干したくなる衝動に駆られるほどの美味しさである。
夜にはお酒も出す“うどん居酒屋”として営業しているらしく、隣にはこの店の別館にあたる姉妹店「博多 おっぺけぺ」がある。別館は予約コースのみの営業で、霧島黒豚のしゃぶしゃぶが食べられる。(2013年10月追加)
博多区冷泉町7-10
電話番号:092-271-0102
定休日:日曜
営業時間:11時半~15時、18時~24時
予算:ごぼう天480円、釜揚げキーマカレーうどん640円
アクセス:地下鉄空港線・祇園駅2番出口を出て、すぐに国体道路を右折。「M SQUWARE博多祇園」を過ぎ、しばらく進むと右角に焼肉の「大東園」のある交差点があるので右折する。「櫛田神社」を過ぎると「はかた伝統工芸館」が見えるのでその向かい。祇園駅より徒歩5分。
最寄りのランドマーク:M SQUWARE博多祇園、大東園、櫛田神社、はかた伝統工芸館
お勧めポイント:福岡らしいモチモチとした麺とコクのあるダシが最高の絶品うどん