福や銀次郎
弘前大学の先生から教えてもらった、今、弘前で最も予約の取れない人気日本料理店である。いや、実際には「炭火焼き居酒屋」と言った方が正確なのかもしれないが、あくまでも僕のお勧めは、日本料理のコースなのである。店内に入ると、入口側にはガラス張りの炭火焼き台があり、左側にはオープンキッチンのカウンター席が7席、そして右側には掘りごたつの小上がりが奥まで続く。
予め誤解のないように言っておくが、今回は2つ星としたが、決して味や素材、雰囲気、サービスなどが最高というわけではなく、弘前に来たのなら「また訪れたい」と思わせる評価なのである。評価した最大の理由は、18万人弱という地方都市にありながら、コース料理のコスパが日本一であるという点だ。美味しいことはもちろんのことであるが、とにかくコスパがどの店よりも抜きんでているのである。同じ価格帯のコース料理は全国に数多あるとは思うが、ディナータイムで、この量と質を兼ね備えた店は見たことがない。コースは僅か3400円で、プラス1800円で飲み放題にできるので、日本料理初心者の入門店としては最適であろう。
この日のコース料理を見てみると、先付け「石蟹内子とウニの白胡麻豆腐」、前菜「油坊主(銀ダラ科の深海魚)とキノコの笹の葉包み」、お造り「真鯛、生本マグロの赤身、ボタン海老、カンパチ、帆立貝」、炭火串焼き「自家製生つくね・月見」、「(刺身で使った)ボタン海老の頭の焼き物」、鍋「3種からチョイス可(鳥のつくね鍋、豚のしゃぶしゃぶ鍋、海鮮鍋)」、蒸し物「松茸と甘鯛の蕪蒸し」、焼き物「北海道産・氷温熟成牛のサーロインと十和田産・牛ロースの炭火焼き」、炊きたての土鍋飯「広島県産牡蠣と焼き銀杏」、甘味「北海道産小豆と栗のアイスクリーム・きな粉とメープルのソース」といった具合。
居酒屋の雰囲気で、しかも若いバイトのサービス陣ということだったので、実は全く期待していなかったが、この若いサービス陣がよくトレーニングされており、しかも6名もいるせいか、滞りなくサービスされて心地よかった。また、電話対応もそれなりに良く、前日にはキチンとコンファーム電話も届いた。このサービスを含めた点も今回の加点対象とした!(2018年10月追加)
弘前市新鍛冶町63
電話番号:0172-35-9501
定休日:日曜
営業時間:17時〜24時
予算:コース料理3400円(プラス1800円で飲み放題)
アクセス:JR弘前駅からタクシーで5分
最寄りのランドマーク:弘南鉄道・中央弘前駅
お勧めポイント:日本一のコスパの日本料理店
店の前は暗いですがココです!
入口側にはガラス張りの炭火焼き台が見える
炭火を使った焼き台は専属の調理人が担当
左側にはオープンキッチンのカウンター席が7席。左が店主
右側には掘りごたつの小上がりが奥まで続く(今回は途中で仕切られていたが、この奥にも同じような小上がりが続く)
本日のコースメニュー(前半)
本日のコースメニュー(後半)
アラカルトメニューの中から「炭火串焼」
アラカルトメニューの中から「揚げ物」と「焼き物」
アラカルトメニューの中から「土鍋めし」と「鍋物」、「甘味」
アルコールメニューも充実している。生ビールはサントリーの「ザ・プレミアム・モルツ」と「マスターズドリーム・ピルスナー」があり、ハイボールは「響」や「山崎12年」、「白州12年」もある
ボトルワインはお手頃価格。赤白のグラスワインは580円、グラスのスパークリングワインは680円
日本酒は青森県産の地酒。大吟醸は弘前の「豊盃」のみ
先付けの「石蟹内子とウニの白胡麻豆腐」から、早くも味の先制パンチを受けた。国産フカヒレの煮こごりに青柚子の風味を付けているので、日本料理といえばそうだが、食べた感じはフレンチの「ウニとコンソメのジュレ」を彷彿させるとろける逸品だった
続いての前菜は「油坊主(銀ダラ科の深海魚)とキノコの笹の葉包み」
紙包み焼きのように加熱された笹の包みを開けると、まるで秋を彩る宝石箱のよう。様々なキノコや銀杏、ネギなどが柚子味噌で味付けされており、油坊主はまさに脂ののった銀ダラと真鱈を足して2で割ったような味わい
安いコースだからといって、ビジュアル、質ともに手抜きなしのお造りだった
手前右から、真鯛の松皮造り、生の本マグロの赤身、とろけるボタン海老、コリコリのカンパチ、身がぶ厚い帆立貝
炭火串焼きの「自家製生つくね・月見」は、黄身を溶いたタレに漬けて食べる。ナンコツの歯ごたえが何とも言えずいい
刺身で使用したボタン海老の頭を香ばしく焼いてくれた
一口で一気に食べると、殻のカリッとした香ばしさと、時間差で頭の味噌の濃厚さが味わえて最高だった!
店員が鍋に自家製つくねを入れてくれる
自家製つくねと季節の野菜鍋の完成!
自家製つくねはもちろん美味しかったが、野菜の中で、特に地元の豆付きモヤシのシャキシャキ感がとくに良かった
蒸し物「松茸と甘鯛の蕪蒸し」
脇役のトロッとした焼き茄子と蕎麦の実が実に良いアクセントになっていた
「広島県産牡蠣と焼き銀杏の土鍋飯」が炊きあがったようだ
オープン!牡蠣と銀杏の他に、キノコやベビー帆立貝、三つ葉が入っている
焼き物「北海道産・氷温熟成牛のサーロインと十和田産・牛ロースの炭火焼き」も同時に出てきた
「広島県産牡蠣と焼き銀杏の土鍋飯」は、まずは最初はそのまま炊きたてを食べる
2杯目は黄柚子風味の出汁をかけ
茶漬けとしていただく
デザートは「北海道産小豆と栗のアイスクリーム・きな粉とメープルのソース」