鮨 正六
今年で32年目を迎えた熊本市郊外の寿司店。先代も未だ現役ではあるが、現在は二代目の若大将がメインである。彼は非常に研究熱心であり、独自のポリシーを持っている。今流行の江戸前風に流されることなく、独自に発展した熊本寿司スタイルにこだわっている。なので、この店の酢飯は流行の赤酢でなく、米酢である。ネタも基本的に地元天草のものを使用しており、素材に納得できない場合には、長崎の五島産や北海道産など、その時々のベストなものを仕入れているという。しかも、素材によって新鮮なうちに使用するもの、昆布締めなどの仕事を施して出すもの、熟成させて旨味を増してから供するものなど使い分けている。
店内は左側にカウンター席があり、右側に小上がりのテーブル席がある。古い店ではあるが、熊本震災後にリニューアルしたため、外観や内装もそれを感じさせない。
まずは、地元で人気の米焼酎「川辺」をいただく。淡麗な米焼酎にしては香りが良く、さすが地元で人気の焼酎である。せっかくなので、今回は夜の12000円のコースをいただくことに。最初のアテは、地物の「真鯛の刺身」をおろしポン酢でいただいたが、これはまあまあの美味しさ。続く「モンゴウイカとうるかの和え物」は、イカを2週間熟成させているせいか、素晴らしい酒のアテに仕上がっていた。「本鮪のトロの刺身」はカマに近い部分なのか、非常に脂がのっていた。今回アテで一番美味しかったのは、地物の「煮アワビ」。塩加減が絶妙で旨味十分であった。辛子に付けて食べるは初めてだったが、これが意外にも良かった。天草のブランド野菜である「湯島大根のふろふき大根」は、味噌の濃さが絶妙で、蕪のように苦みがなくて美味しい。「函館・うに・むらかみ(→ 札幌グルメバイブル・北海道料理の頁を参照)」の「バフンウニ」と「自家製カラスミ」は、自家製カラスミだけでも美味しいのに、それに生ウニをのせて食べると甘味が増して最高だ。続いていただいた酒は、若大将お勧めの地酒「産山村・純米吟醸・無濾過生原酒」。うす濁りながら洗練されていてコクがあり、糀臭さもない。今まで飲んだ「産山村」のイメージを覆す美味しさだった。最後は、地物の「シャコの焼き物」。小振りでありながら香ばしさと旨味があり、酒のアテとしては良かった。
さあ、そしていよいよ握りに。まずは、2種類のガリと漬物が出てきたが、ガリは九州らしくかなり甘めだ。これは地元客ではない限り、かなり好みが分かれるところ。「ヤリイカ」、「サヨリ」、「ヒラメ」と出てきたが、何れも良かった。「バフンウニ」は海苔なしで、「赤貝」は小振りなものを2枚握って供された。口直しの「溶き玉子の味噌汁」は、店主の言うように握りを邪魔せず良かった。茹でたての「車海老」は甘く香りもあり、非常に美味しかった。脂がのった「本鮪のトロ」は見た目通りの美味しさ。炙った「五島産のあなご」は、塩でいただいたが、これが臭みがなくとろける様に美味しかった。「こはだ」は香り十分で、締め方も丁度良かった。香りをつけるために表面を少し焦がしたという「玉子焼き」は普通。締めの巻物は、ロンドンに移転した「あらきTHE ARAKI」名物の手巻きの鉄火巻き「チョモランマ」を模したような巻き方であるが、若大将曰く、この巻き方は決して「あらき」がオリジナルではないという。この店の手巻きは、マグロ少なめのネギトロスタイルで、これに合うという若大将こだわりの煮切りをつけていただく。
ちなみに、この店は地域に根差した寿司店なので仕方がないのかもしれないが、店内ではテレビが放映され、ガラスの冷蔵ケースがあるなど、まさに昭和の街の寿司店のよう。この雰囲気とは裏腹に、こだわりの若大将が作るアテや握りはどれもハイレベルで洗練されている。今回は1つ星としたが、このギャップを解消できるような雰囲気になれば、地方の寿司店としては2つ星にしても良いかも。(2019年3月追加)
http://www.shoroku-sushi.jp
熊本市東区新外1丁目5-47
電話番号:096-367-1171
定休日:月曜
営業時間:11時半〜13時半、17時半〜22時
予算:【昼】握りのみで6000円、7000円、8000円、【夜】つまみと握りで8000円、10000円、12000円
アクセス:熊本市電・健軍町電停から2.5㎞。熊本中心部からタクシーで2000円〜2500円
最寄りのランドマーク:熊本赤十字病院、熊本県立大学
お勧めポイント:若き大将が作るこだわりのアテと握り
熊本市郊外の交通量の多いエリアにあります
ココです!
昭和の寿司店を彷彿させるガラスケース
入って右側には、小上がりのテーブル席がある
最初のアテは、地物の「真鯛の刺身」をおろしポン酢でいただいたが、これはまあまあの美味しさ
「モンゴウイカとうるかの和え物」は、イカを2週間熟成させているせいか、素晴らしい酒のアテに仕上がっていた
「本鮪のトロの刺身」はカマに近い部分なのか、非常に脂がのっていた
今回アテで一番美味しかったのは、地物の「煮アワビ」。塩加減が絶妙で旨味十分であった。辛子に付けて食べるは初めてだったが、これが意外にも良かった
天草のブランド野菜である「湯島大根のふろふき大根」は、味噌の濃さが絶妙で、蕪のように苦みがなくて美味しい
「函館・うに・むらかみ」の「バフンウニ」と「自家製カラスミ」
自家製カラスミだけでも美味しいのに、それに生ウニをのせて食べると甘味が増して最高だ
続いていただいた酒は、若大将お勧めの地酒「産山村・純米吟醸・無濾過生原酒」。うす濁りながら洗練されていてコクがあり、糀臭さもない。今まで飲んだ「産山村」のイメージを覆す美味しさだった
最後は、地物の「シャコの焼き物」。小振りでありながら香ばしさと旨味があり、酒のアテとしては良かった
さあ、そしていよいよ握りに。まずは、2種類のガリと漬物が出てきたが、ガリは九州らしくかなり甘めだ。これは地元客ではない限り、かなり好みが分かれるところ
漬物
「ヤリイカ」
「サヨリ」
「ヒラメ」は塩でいただく
「バフンウニ」は海苔なしで食べても美味しい
「赤貝」は小振りなものを2つ握って供された
口直しの「溶き玉子の味噌汁」は、店主の言うように握りを邪魔せず良かった
茹でたての「車海老」は甘く香りもあり、非常に美味しかった
脂がのった「本鮪のトロ」は見た目通りの美味しさ
炙った「五島産のあなご」は、塩でいただいたが、これが臭みがなくとろける様に美味しかった
「こはだ」は香り十分で、締め方も丁度良かった
香りをつけるために表面を少し焦がしたという「玉子焼き」は普通
締めの巻物は、ロンドンに移転した「あらきTHE ARAKI」名物の手巻きの鉄火巻き「チョモランマ」を模したような巻き方であるが、若大将曰く、この巻き方は決して「あらき」がオリジナルではないという。この店の手巻きは、マグロ少なめのネギトロスタイルで、これに合うという若大将こだわりの煮切りをつけていただく