パンと珈琲のこうば
移転した「フェネトレ(→ その他北海道の旨い店・中標津町を参照)」からほど近い場所にあるベーカリー。フェネトレと同じくこの店も街の中心部にあった店だが、2021年の4月に現在の地にリニューアルオープンした。店の前には広い駐車スペースがあり、背後には広葉樹や針葉樹の森が広がっている。写真的で見ると、森の中にひっそりと佇むベーカリーのようにも見えるが、実際には国道沿いにある。
昭和レトロなガラス戸を開けて店内に入ると、ゆったりとしたスペースに美味しそうなパン達が並んでいる。食パンやハード系パンの他、デニッシュ、調理パン、サンドイッチ、焼き菓子など、品揃えはバラエティーに富んでいる。とくに、季節のパンや色々な具材を挟んだサンドイッチなどは、前日にFacebookにアップされるので、行く前に是非チェックしておきたい。今回は約半年の時間を費やし、この時期に販売されていたほとんどのパンを食べまくってみた。その結果、美味しかったのは、「パン・ドミ(角食パン)」と「フルーツナッツ」、「あんぱん」、「ミルクフランス」、「レーズンバターサンド」、「キャラメルクルミ」、「ピーナッツバター」、「クロワッサン」、「カレーパン」、「いちじくくるみ」、「シナモンロール」、「チーズのリュスティック」、「全粒粉スコーン(プレーン)」、「天然酵母クルミスコーン」、「モッツアレラ&ポテト」、「チキンと舞茸のサンド」など。中でも僕の一押しは、食パンの「パン・ドミ」とハード系パンの「フルーツナッツ」、そしてスイーツ系の「あんぱん」と「ミルクフランス」である。
角食パンの「パン・ドミ」は1斤260円で、4枚切り、5枚切り、6枚切りの3タイプの厚さが選べる(1本では780円)。「パン・ドミ」は、この店でも最も人気のある商品で、すぐに売り切れることも多いため、確実に買いたい場合には前日までに予約することをお勧めしたい。口に含むと、シルキーな食感で口当たりが良く、小麦の香りも申し分ない。最近僕は食パンにはまり、タイプの異なる2種類のトースターを買って、色々な店の食パンを食べ比べている。甘めの高級生食パンが全盛の時代にあって、この店の食パンは、食パンはこうありたいよねと思える逸品である。また、色々な店の食パンを冷凍してどう変化するか?という食べ比べもしているが、この店のように解凍しても美味しいと思える食パンは、ありそうでなかなかない。「フルーツナッツ」は、皮がカリッとしていて香ばしく、食べる前にトースターで温めて切って食べれば更に美味しい。クルミがナッツ特有の風味を与え、赤ワイン漬けのレーズンやクランベリー、オレンジピールなどが味に重層感と深みを加えている。フルボディの辛口赤ワインと合わせても、絶妙な相性をみせる。同じ系統のハードパン「いちじくくるみ」も赤ワインに合うものの、「フルーツナッツ」に比べると味の深みや皮の香ばしさに欠けるので、こちらは最初からトースターで温めて食べた方が良いのかも。まんまるな形をした「あんぱん」は、粒餡と生地、白胡麻が三位一体となった完成度の高いあんパンである。白胡麻が香ばしく、少し塩味を感じ、生地にバターでも入っているのか?と思うくらい風味豊か。たっぷりと入った粒餡は、小豆の香りこそ強くはないものの、甘みも含めて生地とのバランスがとれている。「ミルクフランス」は、ミニバゲットの中に、練乳のようにシットリとしたミルククリームが入っている。ザラッとしたグラニュー糖の食感とミルククリームの瑞々しさがクセになるくらい美味しく、バゲットの皮の苦味とも絶妙にマッチする。ホットコーヒーと一緒に食すと、最高のマリアージュとなる。
「レーズンバターサンド」は「ミルクフランス」をレーズンバターサンド風にアレンジしたもの。元のミルククリームが美味しいだけに、味に深みが増してパンとの相性も抜群。「キャラメルくるみ」も「レーズンバターサンド」と同様に「ミルクフランス」の延長線上にある商品。クリームが瑞々しく、キャラメルとクルミの相性もいい。「レーズンとカーシュナッツ」は、程よい酸味とレーズンの奥深い甘みに加え、カーシュナッツの味わいが味に厚みを持たせている。「ピーナッツバター」は、ふっくらとしたセミハードパンに、濃厚なピーナッツバターとジャリッとした食感のグラニュー糖が入っている。クリームは水分少なめでネットリと濃厚であるが、不思議とマッチしている。「クロワッサン」は、外側がカリッとしていて少し塩分を感じ、バターの香りも豊か。「カレーパン」は、通常のカレーパンよりも外側がカリッとしてクリスピー。中はふんわりと柔らかであるが、カレー餡自体は全く辛くなく、スパイシーさもない。にもかかわらず、カレーのピュアな旨味のあるエッセンスだけが凝縮されている。「シナモンロール」は、上にのっているバタークリームが生地のシナモンと絶妙な相性をみせる。唯一の問題点は、パン生地の硬さがどっちつかずで、中途半端なこと。「チーズのリュスティック」はチーズが香り、ブラックペッパーのスパイシーさとチーズのバランスが良い。オープントースターで少し焼いて、是非赤ワインと合わせたい。「全粒粉スコーン(プレーン)」は、オーブントースターで軽く温めて食べる。密度が荒めでホロホロと崩れるが、逆に全粒粉の荒い食感やバターの香りが、素直に美味しいと感じられる。「天然酵母クルミスコーン」は、やや硬めでビスケットのよう。しかし、適度な甘さと素朴な美味しさが、クルミに上手くマッチしている。そのまま食べても美味しいが、温めてバターを塗って食べると更に美味しい。「モッツアレラ&ポテト」は、モチモチとした食感の生地とジャガバターが合う。シンプルで美味しいが、モッツアレラチーズとの相性だけは微妙なところ。「チキンと舞茸のサンド」は、中がしっとり、外側がしっかりとしたパンが美味しい。さらに、具材であるほぐされた甘めのチキンに舞茸や大葉が加わることで、さらに美味しく仕上がっている。
ちなみに、店名の一部にもなっているテイクアウトのコーヒーは、香りや深みに乏しくごく普通である。また、この店はバゲットなどの一部ハード系パンやデニッシュ、焼き菓子などの評価が低かったので、札幌にあれば1つ星くらいの評価となってしまうかもしれない。しかし、道東エリアという地域性を考えればとても貴重な店であり、今回の2つ星の評価で良いと思う。(2021年11月〜2022年5月取材/2023年5月追加)
https://www.facebook.com/KOUBA.brot/?locale=ja_JP
中標津町緑町南1丁目2-53
電話番号:0153-74-9807
定休日:月曜〜水曜
営業時間:10時〜17時
予算:「パン・ドミ」1斤260円(4枚切り、5枚切り、6枚切り)、1本では780円。「フルーツナッツ」ハーフ330円、ホール660円、「あんぱん」160円、
アクセス:中標津中心部からタクシーで5分くらい
最寄りのランドマーク:中標津標茶線と国道272の合流点
お勧めポイント:トーストにして食べると最高な食パンが購入できる
店の前には広い駐車スペースがあり、背後には広葉樹や針葉樹の森が広がっている。写真的で見ると、森の中にひっそりと佇むベーカリーのようにも見えるが、実際には国道沿いにある
木のドアを引いて開けると・・・
中には更に扉が。昭和レトロなガラス戸を開けて店内に入ると・・・
ゆったりとしたスペースに美味しそうなパン達が並んでいる。とは書いたてみたものの、既に午後のピークを過ぎた時間帯のものなので品数はまばら(客がいなかったので余裕を持って撮影でき、ピントがあっていて広角なので載せた)
もう少し早く来店すると、たくさんの商品が並んでいてこんな感じ。でも客が多いので広角の写真は撮れず、撮れていてもこのようにピンぼけ状態のものしかなかった
角食パンの「パン・ドミ」と共に一押しなのが「フルーツナッツ」
皮がカリッとしていて香ばしく、食べる前にトースターで温めて切って食べれば更に美味しい。クルミがナッツ特有の風味を与え、赤ワイン漬けのレーズンやクランベリー、オレンジピールなどが味に重層感と深みを加えている。フルボディの辛口赤ワインと合わせても、絶妙な相性をみせる
同じ系統のハードパン「いちじくくるみ」も赤ワインに合うものの、「フルーツナッツ」に比べると味の深みや皮の香ばしさに欠けるので、こちらは最初からトースターで温めて食べた方が良いのかも
まんまるな形をした「あんぱん」は、粒餡と生地、白胡麻が三位一体となった完成度の高いあんパン
白胡麻が香ばしく、少し塩味を感じ、生地にバターでも入っているのか?と思うくらい風味豊か。たっぷりと入った粒餡は、小豆の香りこそ強くはないものの、甘みも含めて生地とのバランスがとれている
「ミルクフランス」は、ミニバゲットの中に、練乳のようにシットリとしたミルククリームが入っている
ザラッとしたグラニュー糖の食感とミルククリームの瑞々しさがクセになるくらい美味しく、バゲットの皮の苦味とも絶妙にマッチする。ホットコーヒーと一緒に食すと、最高のマリアージュとなる
「レーズンバターサンド」は「ミルクフランス」をレーズンバターサンド風にアレンジしたもの
元のミルククリームが美味しいだけに、味に深みが増してパンとの相性も抜群
「ピーナッツバター」は、ふっくらとしたセミハードパンに、濃厚なピーナッツバターとジャリッとした食感のグラニュー糖が入っている
クリームは水分少なめでネットリと濃厚であるが、不思議とマッチしている
「クロワッサン」
外側がカリッとしていて少し塩分を感じ、バターの香りも豊か
「カレーパン」は、通常のカレーパンよりも外側がカリッとしてクリスピー
中はふんわりと柔らかであるが、カレー餡自体は全く辛くなく、スパイシーさもない。にもかかわらず、カレーのピュアな旨味のあるエッセンスだけが凝縮されている
「シナモンロール」は、上にのっているバタークリームが生地のシナモンと絶妙な相性をみせる。唯一の問題点は、パン生地の硬さがどっちつかずで、中途半端なこと
「チーズのリュスティック」はチーズが香り、ブラックペッパーのスパイシーさとチーズのバランスが良い。オープントースターで少し焼いて、是非赤ワインと合わせたい
「モッツアレラ&ポテト」は、モチモチとした食感の生地とジャガバターが合う。シンプルで美味しいが、モッツアレラチーズとの相性だけは微妙なところ
「チキンと舞茸のサンド」は、中がしっとり、外側がしっかりとしたパンが美味しい
具材であるほぐされた甘めのチキンに舞茸や大葉が加わることで、さらに美味しく仕上がっている
右が「全粒粉スコーン(プレーン)」で、左が「天然酵母クルミスコーン」。「全粒粉スコーン(プレーン)」は、オーブントースターで軽く温めて食べる。密度が荒めでホロホロと崩れるが、逆に全粒粉の荒い食感やバターの香りが、素直に美味しいと感じられる。「天然酵母クルミスコーン」は、やや硬めでビスケットのよう。しかし、適度な甘さと素朴な美味しさが、クルミに上手くマッチしている。そのまま食べても美味しいが、温めてバターを塗って食べると更に美味しい